
あなたを寿ぐ球団歌
2026年セパ交流戦の全ての日程が終わった。楽しかったかつまらなかったか、ファンはそれぞれの感想があるだろう。
私の交流戦の楽しみは、順位や勝敗とは別に、普段は交わることの少ない球団の文化に触れること。今年注目したのは球団歌や応援歌。ファンは自分の贔屓の球団歌が1番と思うけど、それ以外の球団歌にも興味を持って欲しい。
私が特に好きなのは地方色豊かな曲。
例えば、楽天。杜の都、伊達政宗。龍飛崎に磐梯山と、東北の空を翔ける狗鷲の視点のよう。セ・リーグでは、広島の鯉。歌詞のみならず、ゆったりした曲調が池の主を思わせる。阪神の六甲おろしは言わずもがな。中国の神話では、白虎は西を象徴する神獣であり、俗に風を司るとされているのも感慨深い。
逆に巨人は地方色をほとんど出していない。東京に地方色?と思われるかも知れないが、ヤクルトには歌詞に神宮の森があり、オリジナル曲ではないが東京音頭も使っている。巨人は日本で初めて作られた職業野球チームであり、初戦はアメリカ遠征だった歴史を踏まえれば、日本全体がホームとも言えるかも知れない。それなら地方色がなくても頷ける。
面白いのは日本ハムの場合だ。第一節に高らかに歌われる鐘の音、うっかり札幌時計台と思ってしまいそうだが、この球団歌は東京時代から変わっていないそうだ。元々は特定の鐘を指しているわけではなく、「勝利の鐘」や「優勝の鐘」祝砲をイメージすれば良いのかも。それなら、なおさら不思議に思えてくる。まるで鐘と鐘が呼応して北の地に導かれたような、そんな運命を感じさせる曲である。
球団歌は単なる応援歌じゃない。球団の道標となり、ホームの地と結びつける。それは、歌われるのが海や星のように普遍的なものでも、どこの海を指すのか、どこの星を見上げるのか、わかるように出来ている。
古代から、和歌は国誉めによって土地を讃え、地霊を祀ってきた。球団歌は現代の国誉めなのだ。
普通は我が贔屓の曲が最高で、ライバルチームの曲は聞きたくないかも知れないけど、それじゃもったいない。もっと色々な曲を聞いてみよう。どの曲もチームを寿ぎ、野球を寿ぎ、地域を寿ぐ。それはあなたをも寿ぐ曲、野球好きなあなたを寿ぐ曲だから。