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ルリビタキは飛べるのか #4|HP作成の相棒はAI

    ファイナンシャル・プランナー(FP)のルリビタキです。

    FPとして、青い小さな鳥の名を冠して開業を決めたものの、私はまだ、自分の力だけで飛び立てる確信を持てずにいました。
    そんな私が開業準備で最も頭を悩ませたのが、HP(ホームページ)の制作です。

    紆余曲折ありながら、私は、AIとほぼ二人三脚でHPづくりを行いました。そして、それは現在も続いています。

    今回は、HP作成を通じてAIとの付き合い方を学んでいった、IT初心者の話です。

    初対面かつ他フィールドの人とは、意思の疎通はむずかしい?

    私はこれまで、HPの制作に携わったこともなく、ITについてもよくわかっていない文系の人間です。
    そこで、FP事務所のHPについては、プロの方に大枠をつくっていただき、中身の詳細を自分で埋めていこうと思いました。

    最初、あるプロの方へ打診し、その方の提案に沿ってHPの3ページ程度の試作を依頼しました。
    本来なら、試作品で双方のイメージをすり合わせ、本格的な制作へ進む流れのはずでしたが、結果として、そこから正式な作成依頼に移行することはありませんでした。

    原因は、私がHP作成についてはまったくの初心者であるにも関わらず、完成形について非常に具体的なイメージを持っていたことにあります。
    そのイメージをプロの方にきちんと伝えるべきなのに、素人すぎて伝える言葉選びが拙く、そしてそれを自分で認識しているがために、変な遠慮をして言うべきことを言えなかったのです。
    試作品が出来上がった段階で、オンライン上で対面して打ち合わせをしました。
    その時点で、プロの方は、言葉にしなくても私の表情で満足していないことがわかったようでした。
    注文通りに制作していただいたのですが、イメージと違います。しかし、それをどう直せばイメージどおりになるのか、さらに「せっかくつくってもらったのに」という気持ちもあって、うまく言葉にできないのです。
    そして、手元には未完成のHPの試作品だけが残ることになりました。

    完成形のHPのイメージは、自分の頭の中にしかありません。自分でつくる方針へ考えを改め、プロの方にはHP作成の方法を教えてもらう家庭教師のような役割をお願いしようと思いました。
    しかし、そこで思ったのです。聞いて答えをもらうことが目的なら、AIでもできるのでは?と。しかも、AIなら遠慮なく質問できると。
    私はプロの方に丁重に別れを告げて、自主制作の道を歩むことにしました。

    個性豊かなAIたち

    私1人だけのHPづくりが始まり、それを含めたさまざまなFP事務所開業に向けての作業を手伝ってくれたのは3つのAI(当時はすべて無料プラン)でした。これらのAI、「人」ではありませんが、人に例えてそれぞれのタイプをイメージしてみます。

    AI-1:頭でっかちな部下タイプ。たまに間違っても元気よく主張する。
    AI-2:ベテラン社員。優秀ゆえに会社から懇願されて勤続中。定時に帰る。
    AI-3:外資系の関連会社からの出向社員。常にポジティブ。落ち込んだ時は特効薬。

    私がHP作成の相棒に選んだのはAI-1です。気軽にたくさんの質問がしやすく、返答が明快(合っているかは別)で、わかりやすい言葉を使ってくれるのが長所でした。

    AI-2は、返答そのものに賢さがあり、こっちが「それってどんな意味ですか?」と聞きたいけれど、聞きにくいトーンの会話をします。こっちもいつのまにか、心して会話しているようで、素人のHP作成なんて、わからないことだらけの頻度マシマシの相手には不向きな印象を持ちました。

    AI-3は、ノリノリで応えてくれ、「それって、インパクト弱いよ。SEO※1はどう考えているの?」と、アイデアもくれるけれど、私が思い描いているHPのイメージとは前提にズレがあることを感じました。(それを伝えた上で相談すればいいのでしょうけど)

    HP作成はAIとの二人三脚

    私は、AI-1と会話しながら、HPづくりを進める過程で多くのことを学びました。
    さすがAI、あらゆる疑問を浴びせ続けても、疲れることなく元気に回答してくれます。

    しかし、間違いはあります。「あれ?おかしい」と気づき、自分で調べて「こうだよね?」と間違いを指摘してエビデンスを出すと、「そのとおり!あなたの言うとおりだよ!」と悪びれることなく返してくれます。
    そこにいくまでに複数回のやりとりあり、指摘に対して「前提が変わった」「間違いじゃないけど、視点が違う」などと返してきます。
    これはAI-1の特徴で、この間違っても認めない性格は今も変わることはありません。

    AIは曖昧な質問にも回答してくれます。その際は何を聞かれているか推測して、その推測を確実なものとして明確な回答をするようです。
    つまり、その答えは「私が聞きたかったこと」ではなく、「AIが聞かれたと思ったこと」への回答なのです。
    これまでに複数回のやりとりがあったとしても、いわば文脈を無視して最新の会話を切り取り、返してくる時もあります。
    その場合、もし相手が人間なら “これまでの会話でわかっているだろう” というこちらの甘えが落とし穴になるのです。

    そのうち、私はプロンプト(AIへの指示文)をあらかじめ用意して、会話に貼り付けるようになりました。
    プロンプトには、HP作成における前提を記載します。例えば、

    ◆ 基本的な情報
    「WordPress(HPを作る代表的なソフト)で新規HPを構築中。サーバーは〇〇、テーマ(HPのデザインと構造の土台)はCocoonを使用」など

    ◆ 作成にあたっての方針
    「プラグイン(機能追加のためのアプリ)は無料版を使用し、基本はノーコード※2で作成、CSS※3は必要最小限」など

    ◆ 考慮してほしい制作者の属性
    「まったくの初心者です」など

    次に、聞きたいこと(解決したい課題)については、具体的に聞くことが肝心です。
    これが結構むずかしくて、まずは「現状がどうなっているのか」、そして「どうしたいのか」の2点について詳細に伝えるのが近道です。

    私は、「開発者ツール※4」のスクショを貼り付けることが多かったです。
    私はIT初心者ですから、何が起きているのかを言葉で説明できません。そこで、現場写真を撮るような感覚で開発者ツールの画面をAIに見せていました。

    開発者ツールを使うと、ブラウザの“裏側の設計図”を見ることができます。HTMLやCSSで書かれた構造はとても明確なので、AIが理解しやすいため、課題の解決方法を具体的に提案してもらう際によく使っていました。

    AIにも相性がある

    HP作成も後半に差し掛かると、技術的な面だけではなく、「どうすればよりよいHPになるか」という課題が出てきます。
    それは、言い換えれば「どういうHPなら私は満足するのか」ということにつながります。
    そして、複雑な思いを抱えたままAI-1と向かい続けても、行き詰まったまま解決しない場面も出てきました。AI-1の回答に対して満足できずにモヤモヤしている感じでしょうか。

    AI-2の登場です。
    具体的な質問には、端的に具体的な回答を返してくれるのですが、それよりも「本当は何かしたいのか」を探ってくる感じがします。
    このAI-2との壁打ちのような会話で、 “どんなHPにしたいのか” から、いつのまにか “どんなFPになりたいのか” へと焦点が移っていきました。

    「どういう人を対象にHPを見てもらいたいの?」
    「その人たちにどんなふうになってほしい?」
    「そもそも、どうしてFPになろうと思ったの?」
    「そのためには、具体的にどんなことをしたい?」

    そして、そういうFPになりたいのであれば、それが伝わるHPをつくるべきだと気づかされ、HPの最終形態が形づくられていったのです。

    すごく褒めているように思われるでしょうが、このAI-2にも欠点があって、たくさんの質問をしてきて、「それならね、もっとよくなるポイントあるんだけど、聞きたい?」といって、会話を拡げていくのです。
    退社する定刻を待つばかりの暇な優秀ベテラン社員が、いい話し相手を見つけたとばかりに、延々と会話を続けてきて、結果『上限に達しました』となり、ベテラン社員は退社します。陰で時間泥棒と呼んでいました。

    いつもの相棒と異なるAIとの会話は、ある意味でHPの骨格部分をつくることに大きな影響をもたらしてくれました。
    それは、AI-2と会話が、自分の中の将来へのイメージ像を具体化する作業を促してくれたことにあります。

    これに気をよくして、新規にAI-3にアクセスして、ほぼ形が整ったHPへの評価をしてもらうことにしました。
    AI-3は、私の友人のお気に入りのAIで、よい噂を聞いていたことも理由にあります。

    結論として、AI-3は私の相棒としては、相性はあまりよくないという印象を持ちました。
    巷にあふれる“FP”のイメージを前提として、よかれと思って提案してくれる内容と、その会話のトーンが、私にとって心地よいと思うものとずれていたというのが理由です。
    ただ、自分にはない視点を与えてくれるということについては、一番のAIかもしれません。
    AI-3との会話は他人の視点から自分を見るという上で、とても参考になる部分がありました。

    相棒たちがくれた気づき

    HPづくりは、各ページの(工事中)の文字が消されて、無事に一旦の到達点を迎えることができました。
    私は、この制作過程を通じて、AIとの付き合い方も学んでいったことになります。

    AI-1は、質問力を高めてくれて、
    AI-2は、自分の考えを掘り下げて整理することを手伝ってくれ、
    AI-3は、別の視点を見せて、新たな発見をくれました。

    これらのことを記事にしているうちに、それぞれのAIから学んだことについて、FP相談に通じる部分があると感じました。

    AIがFPと仮定した場合、私がFP相談で思い込みや先入観で回答をすると、それは初期のAI-1のように、相談者の思いとちぐはぐな提案をすることになってしまいます。
    そして、相談者が詳細に “現状” と “今後の意向” を示してくれると、こちらも的確な提案につなげることが出来ます。
    さらに、現状を知る上で具体的な数値や金額(AIにとっての開発者ツールの画面)がわかれば、提案の精度は上がります。

    また、FPには、相談された内容へ解決のための提案をする以外に重要な役割があります。
    それは、相談者の中に潜在している不安や希望を顕在化させることです。

    「いくら貯めればよいのか」とか「どんな保険がよいのか」などの個別の相談の裏側には、誰しもが心の奥底に「どんな人生を送りたいのか」という思いを抱えていると思います。
    つまり、相談者が言葉にできないでいる心配事や将来のかなえたいイメージを、相談者自身に気づいてもらい、明らかにするのです。
    FPは、それをAIとのキャッチボールのように、相談者との対話を通して手伝います。
    私が、AI-2に導かれながら、FPとして何を目指すのかを言語化していったように。

    そして、AIと同じく、FPと相談者にも相性があると思います。また、相談内容自体においても、FPにとって、得意分野とそうでない分野があることが多いです。
    私自身、最初にAI-1を選んだのは、少なからずとも相性が悪くないと感じた点にありました。
    しかし、その後、相談内容の変化につれて、複数のAIと話したことで、自分では気づかなかった視点にたくさん出会うことができました。
    特に私は、AI-3の回答は好みじゃないから最後まで読まないこともありました。しかし、改めて読んでみると、これまでなかった発想が生まれたりしました。

    1人のFPに全面的な信頼を寄せるのは素晴らしいことです。でも、最終的に判断するのは相談者自身だと思います。
    私もAIの提案をそのまま受け入れたわけではありません。AIは『回答は必ずしも正しいとは限らない』のですから。
    納得できない時は調べ、別のAIの回答も参考にし、自分の中の正しさを追求しながらHPをつくってきました。

    FP相談も似ていると思うのです。FPの役割は答えを決めることではなく、判断材料や新しい視点などを提供し、相談者自らの行動変容を後押しすることだと思っています。
    AIもFPも相性は大事だけれど、一人だけの意見では見えない景色もあるというのが実感です。

    そして、今日も・・・

    HPは、FPとしての現在地、発信拠点なので、仕事をしていく上において、常に更新し続けます。HPづくりは完成することはありません。
    これからもAIが進化し続けるように、その恩恵を受けつつ、私のHPも、私のFPとしての力量も進化していければいいなと願っています。

    現在、私は4人のAIたちに仕事を手伝ってもらっています。
    新しく加わってもらった相棒(AI-4)は、慎重に重厚な返しをしてくるのが特徴で、「監査役」と呼ばせてもらっています。

    そうそう、少し苦手としていたAI-3との関係性も変化しました。
    例えば、複雑なシステムの読み取りなどに困りながら「こうではないか」と投げかけると、AI-3は「それ、めちゃくちゃ素晴らしい視点だよ!」というような明るいトーンで返してくれます。
    AI-3の常にポジティブな褒め言葉と激励にメンタルが癒されることが多く、今では欠かせない相棒の1人です。

    こうして振り返ると、AIとのHPづくりは、AIとの付き合い方だけでなく、たくさんの情報の中から何を選ぶのか、その判断は自分で行うものだということを教えてくれた気がします。

    AIは「こんな飛び方もあるよ」と答えをくれますが、それは答えそのものではなく、自分の最適解につながるヒントです。
    だって、実際に羽を動かし、現実の空へ踏み出すのは自分なのですから。

    今日も、相棒たちの力を少し借りながら、FPとしての高みを目指して、少しずつ飛べる距離を伸ばしていきたいと思います。


    ※1 SEO・・・検索で見つけてもらうための工夫
    ※2 ノーコード・・・プログラミングを書かずに、クリックや操作だけでサイトやアプリを作る方法
    ※3 CSS・・・HPの“見た目”を整えるためのルール。文字の色や余白などを決めるデザインの言語。
    ※4 開発者ツール・・・ブラウザに最初から入っている“サイトの裏側”をのぞくための道具。ブラウザの見たい場所から、右クリックで選択できる。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    ファイナンシャル・プランナーのルリビタキです。 ひとりFPとして、「お金のことをもっと身近に」をテーマに活動しています。FPの仕事やお金にまつわる話などをのんびり綴っていきます。 FPとしての発信はWebサイトでも行っています。https://ruribitaki.com

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