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これまでの記事の総括(前編完)|不屈のCAEエンジニア「Sさん」の記録 17

    #創作大賞2026 #ビジネス部門

    理論と現場のギャップに悩み、組織の中で孤立しているエンジニアや、これから理系の道を志す学生さんへ。 あなたの一歩を後押しできたら。

    振り返れば、私の原点は泥臭い記憶ばかりです。

    転勤族の孤独の中で育まれた観察眼、テスト5点からの再起、メダカとの出会いと徹夜の張り込み、新入社員時代に浴びせられた「お前の学んできたことは役に立たない」という言葉、PTP包装ラインでの脆性破壊との遭遇、そして「クビになっていい」覚悟を決めて始めた錠剤のひずみエネルギー評価……。

    さらに、包装グループへの異動後、プレフィルドシリンジ(あらかじめ薬液が充填された注射器)の開発で直面した「フランジ部の強度不足による破損」という難問に対し、自腹で買った2D-FEMの本と付録ソフトを独学で使いこなし、ベテラン上司のKさんの手計算メモを凌駕する解析結果を翌朝提出したエピソードも、私の記憶に強く刻まれています。

    あのとき、上司の目つきが劇的に変わり、「お前、これができるの!?」と驚かれた瞬間は、まさにCAEという武器が組織の中で初めて信頼を生んだ瞬間でした。

    すべてが、今の私を形作った大切なピースです。

    理論と現場のギャップに苦しみ、孤立し、しかしその痛みの中にこそ新しい価値を生み出すヒントがあった。CAEという武器を手に、少しずつ組織に技術を根付かせていく——その原点がここにあります。

    特に印象深いのは、『信じてこそ、はじめて知識。信頼してこそ、はじめて技術。』という教訓を得た瞬間でした。

    ベテランの勘を数式で証明し、組織の中で少しずつ信頼を勝ち取っていく過程は、決して平坦ではありませんでした。組織再編や異動、合併の波の中で「自分の軸」を問い続け、最終的に医薬品企業を退職する決断に至るまで――それ自体が、一人のエンジニアの「不屈」の生き様そのものだったと感じます。

    この医薬品企業時代(約7.5年)は、私にとってまさに「不屈の土台作り」の時期でした。
    おかげさまで、全体レビューは4500、スキは330を超えました。読者の皆さんとともに、この道のりを振り返ることができて、本当に良かったです。重ねて御礼申し上げます。

    あとがき

    この連載を書き始めてから、自分の人生を「物語」として見つめ直すことで湧き出る力を実感しています。

    四半世紀近く前の記憶を掘り起こす作業は、時に苦しく、時に懐かしく、そして何より自分自身への再確認になりました。
    「Sさん|食と製剤のCAE先駆者」という名前で書き続けるのは、ただの回顧録ではありません。教科書には載っていない「技術を組織に根付かせるための作法」を、次の世代に少しでも届けたいという思いからです。

    もしこの記録を読んで、「自分も一歩を踏み出してみよう」と思っていただけたなら、これ以上の喜びはありません。

    次章からは、いよいよ食品企業時代に入ります。
    医薬品業界で培ったCAEの力を、どのように食品の現場で活かし、さらなる挑戦を続けたのか――。
    新たな「不屈の記録」を、ぜひお付き合いいただければ幸いです。

    最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
    これからも、泥臭く、誠実に、書き続けていきます。

    不屈の精神で。
    Sさん


     
     
    製薬企業→食品企業→コンサルと渡り歩き、CAE一筋で生きてきた「Sさん」です。 教科書には載っていない「技術を組織に根付かせるための作法」や、理系キャリアのリアルを発信します。 未来を創る若き開拓者(Pioneer)の皆さんと、知恵を共有できれば嬉しいです😸

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