
本当はこわがりなオバケとケロくん
おはなし: 残灯(ざんとう)
いらすと:AI(Gemini)


こわがりなオバケは ある日、何でもケロッと忘れちゃうカエルのケロくんと出会いました。
『明日には忘れるのなら、話してもいいか…』
そう思ったこわがりなオバケは、ケロくんにだけ、ほんとうのキモチを打ち明けました。

「ぼくはね、じつはとっても怖がりなんだ。
だから、不安になると、じぶんから先に怖がらせにいっちゃうんだよ」

「前にクマくんが吊り橋を揺らしながら歩くもんだから、怖くなって追いかけたんだ。
そしたらクマくん、吊り橋を渡るのをやめて、帰ってしまったんだ」

「ぼくは、大工屋の猿くんのお家の前まで行ったんだ。そしたら猿くん、また脅かしにきたと勘違いして、カーテンを閉めたんだ」
「ユラユラ揺れる吊り橋じゃなくて、どっしりと歩ける橋にしてほしかっただけなんだけど…」

オバケくんは、大きい透明なため息をつきました。
その溜め息は、あまりにも薄くて、実は目がとってもいいケロくんにしか見えなかったかもしれません。
「あーあ。吊り橋が揺れて壊れるのが、本当は怖いんだってなんで言えないんだろう。
また驚かせてしまったよ…。あーあ。」

ケロくんは、こわがりなオバケくんの瞳から小さな涙が零れるのを、見逃さなかったのです。
なんと、次の日になってもケロくんは、オバケくんの話を覚えていたんです。
ケロくんは思いました。
『なんでも忘れちゃうぼくが、初めて人の役に立てるかもしれないな』

本当の気持ちを話せてスッキリしたこわがりなオバケは、ケロくんに会う度に、
本当は怖かっただけのお話を聞かせました。
ケロくんは知らないフリをして、ただ黙って話を聞いていました。

ケロくんはある日、こわがりなオバケに本当のことを言ったんです。
『じつは、君が話してくれたことをずっと覚えていたんだ。ごめんよ。
でもね、君が怖がりだとしても、ぼくにとっては何も変わらない。君はこわがりなオバケ。ただそれだけさ』

そして、こわがりなオバケに初めての友達ができました。
それから…。
こわがりなオバケは、相変わらず 不安になるたびに、みんなを驚かせてしまいます。
それでも、ケロくんの方を向いて、照れくさそうに笑うのです。
「てへへ…」
ふたりだけの秘密です。
おしまい。
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