芋出し画像

二十幎に䞀床の奇跡《創䜜倧賞2025》

20幎ぶりに新玙幣が発行された。お祝いムヌドの䞭、今日子の元に新札が巡っおきた。くれたのは密かに奜意を寄せるバむト先の先茩幎䞋男子の巜くん。思いがけず巡っおきたお札によっお自分の欲しいものに気づいおしたう。い぀も自信がなく恋にも臆病な今日子は、䞀歩螏み出しおふたりの居堎所を䜜りたいず願うけれど 。敎っおいる巜くんずの距離はなかなか瞮たらない。なんのはなしですかず戞惑い進む巜くんず今日子さんの物語。

あらすじ200字

第話 北里さんず野口さん

   


    
    薄い玙越しに圌を芋぀めおいる
    芋おいるこずに気づいおいるのかな
    䌚っおみたいけど恥ずかしい
    だから もう少し このたたでいよう

   


幎 月

「今日子さん。新しいお札もう芋たしたか。」

新札が発行されお週間が過ぎた頃、バむト先の先茩である圌がフロアにくるなりこう蚀った。新しいお札ずは二十幎ぶりに発行された新玙幣のこずで、䞀䞇円は枋沢栄䞀、五千円は接田梅子、千円は北里柎䞉郎ずデザむンも刷新され、銀行の窓口やATMには連日新札を求める人達の列ができおいる。

「巜さん 」
å·œ 䞀暹 さん、心の䞭では “た぀みくん” ず呌んでいる。

「私ですか。新札、ただ芋おないです。」
その答えを聞いお巜くんは思ったずおりずいわんばかりの顔をする。

「巡っおきたんで、埌でみせたす。」

「えっ、すごいもう巡っおきたんですか。嬉しい、芋たいです。」

新しいお札にはⅮのホログラムが斜され、どの角床から芋おもお札にデザむンされた肖像画ず目が合うんだず、同じくバむト先の降谷さんがさも芋たかのように蚀っおいたのを思いだす。その時、降谷さんの話を聎きながら、“目が合うっおこずは向こうも芋おるっおこずだよね”  “芋぀め返しおくれるんだったら·····” なんお考えお、降谷さんの暪で楜しそうに話を受ける巜くんに意識だけを向けおいた。今だっお目が合わないこずを確認したくはなくお、もし目が合っおしたったら合っおしたったでなんだか恥ずかしく思えお、巜くんに返事をしながらも俯いおしたう。

「じゃあ、あげたすよ。」

頭に響く巜くんの蚀葉に驚いお顔を䞊げる。

 
" あ ・ げ ・ た ・ す " 


“お札を、くれる。”すごい砎壊力だ。

物をプレれントされるずか、ゞュヌスをくれるずか、そんな経隓は沢山でもないけどある。でも、䜕かの察䟡ずかでもなくお、クラりドファンディングみたいに応揎しおたすずかでもなくお。家族や芪戚でも、お正月だから、ずかお小遣いだからずか、たたにあったからずか理由があっお。䜕か買いなさいずか、貯金しなさいずか目的があっお。
 
お札をもらうっおそんなずき。玔粋にお金をもらったこずなんお今たでにあったっけ。

バむト先の先茩埌茩で。幎䞊だけど、埌茩の私に。“あげたす”っおどういうこずだろう。

「新しいお札嬉しいです。けど、いいんですか。」
あのずき、そんなに欲しそうにみえたかなず恥ずかしさも混じり合い、半信半疑で巜くんの様子を䌺う。

「いいですよ。この蟺みんなに芋せおから持っおいきたす。たたあずで。」

そういっお巜くんは、「芋およ新札」ずフロアに入っおきた他のメンバヌに新しいお札を芋せるなり、すぐに茪ができおもう盛り䞊がっおいる。そんな様子を暪目にひずり曎衣宀に戻り、もう䞀床、巜くんの “あげたす”ずいう 蚀葉を頭の䞭に響かせる。

うん、やっぱり私の聞き間違いで、きっず亀換っおこずだよね。思い盎しお旧札ばかりが入った財垃の䞭を確かめる。諭吉さん、暋口さん、野口さん、お札は党郚揃っおいるけど盞手は誰か聞くのを忘れおいた。

“あげたす”  がほんずに  “あげたす”  なら千円かな。

ヌ 新札ありがずうございたすヌ
ヌ私は野口さんをお枡しすればいいですか ヌ

そうショヌトメッセヌゞを送ったら
ヌはい。それでお願いしたすヌ
ず返っおきおやっぱり亀換だったず恥ずかしくなる。

良かった、確認しお。
それならば早くお返ししなくおは、ず財垃の䞭から旧千円札を取り出しおホヌルに戻るず、同じバむト仲間の真由が預かっおるよず封筒を枡しおくれた。

ずおも薄い玙の茶封筒。
グラシン玙のように茪郭がはっきり分かるわけではなく、絵や1000の文字がほんのり透ける皋床の薄さ。
珟金をそのたた受け枡すのではなく、たた䞭のお札を出しお確認するでもなく、ぱっず芋ただけで、あっ、そうなんだず感じるぐらい。

珟金の受け枡しずいう珟実的で生々しさが挂う行為なのに、巜くんがくれたずきの封筒が絶劙な薄さで、その気の利くずころ、さり気なさに正盎心を掎たれる。䞊叞だったら、おっ出来るや぀だな、ず思うだろうし事実、職堎では䞀目眮かれおバむトをたずめるリヌダヌの圹目を任されおいる。

い぀も気の配り方が絶劙なんだよ、巜くんは。
もしかしたらなんお勘違いを恥ずかしく思う。

   ええヌっず、返すのに䜿う封筒は
   確かこの蟺りにいいのがあったはず

ここはお返しの封筒も同じぐらい薄いものをず、棚の䞭をゎ゜ゎ゜ず探す。よしっず業者からの䌝祚甚封筒をみ぀けお財垃から出しおきた旧札を入れる。ほんのりいい感じに野口さんが透けおみえる。

「 お札、ありがずうございたした 。」
自信たっぷりに枡した封筒を芋お、巜くんは「コニシ商店」ず軜く笑った。


郚屋で薄い茶封筒に入ったたたの北里さんを䞡手でもっお眺めおみる。私が亀換で枡したお札はどれだけの人を巡ったか分からないぐらい叀いもので、封筒だっお䜿いたわしだ。それに比べお巜くんがくれた封筒の䞭の北里さんは、きっずシワひず぀なくピカピカしおるに違いない。
薄い玙の茶封筒にいれたたた、でも埡札でも食るかのように棚の䞊においおふんわり眺めおは目をそらす。

䌑み明けのバむト先、すれ違い様に巜くんが蚀う。

「あっ、今日子さん、お札どうでした。」

「実は·····、もったいなくお·····ただちゃんず芋おないんです。」

巜くんの顔を芋るこずができず俯いたたた答える。
せっかくの新札 "あげた"のに、あれから日も経っおいるのに、感想ひず぀なくお残念さが顔に滲み出おいる気がした。
 
  なんお気がきかなくおどんくさいのかな。
  い぀ものこずだけど、なんだか萜ち蟌む。

 



    薄い玙越しに圌を芋぀める
    目が合ったら 気づかれおしたうかも
    新札が出回るたでは蚘念にしずきたしょう
    巜くんはそういった
    出回っおもきっずこの北里さんは䜿えない




たたにしか開かない手垳にふず短い文を曞きこんでみる。なんだかポ゚ムみたい。封筒のむラストを照れ隠しに添えお月のペヌゞをそっず閉じた。


第話 ふたりの梅子さん

新札発行から䞀か月が過ぎ、新千円札が普段の生掻にお目芋えするこずが増えおきた。私のお財垃の䞭にも野口さんに混じっお真新しい北里さんが枚入っおいる。けれど巜くんにもらった䞀番最初の北里さんは、封筒に入れたたた倧切に食っおいる。そんなある日、始業前に巜くんがやっお来た。

「今日子さん。五千円の新札はもう芋たしたか。」
そういえばただ芋おない。回りで芋たずいう話も聞いおない。
「ただただです。」

そう答えた先にいる巜くんはにんたりず口の端を䞊げ匟むような声で蚀う。
「今日巡っおきたんですよ。あずであげたすね。」
「わぁありがずうございたす。」
巜くんに぀られお即答する。

けど、良かったのかな。
初めおの新札、偶然舞い蟌んできたら私はきっず珍しさで財垃の䞭、䜿わずそのたた入れおおくだろう。巜くんはこんなにすぐ手攟しおいいのかな。

䌑憩の終わり際に巜くんが盎接持っおきおくれた。
「はい、これ。もうそのたた枡したすね。今日もらったずこで新札じゃないですけど。うん、折れおない、キレむです。」
なんでもコンビニでお釣りで貰っお、うおヌっ、ず嬉しくなったんだずか。手枡しおもらった新しい五千円札は降谷さんの蚀っおたずおりで、梅子さんの肖像が入ったホログラムがいろいろ角床を倉えおみおもこっちを芋おいる、手毬もキラキラず光っおおキレむ。䞊に持ち䞊げお透かしおみながらそんな感動を䌝える。

「巜さんはしっかり芋たしたか。私が頂いおほんずにいいんでしょうか。」

「倧䞈倫ですよ。新札にはそんなに興味ないですし。これから出回っおきたずきにたた芋たす。」
「だからこれは今日子さんにあげたすね。」

たた、あ·げ·た·す 、だ。
家でただ封筒に入ったたたの北里さんを思い出す。あのずき、どうしお本圓にくれるず勘違いしおしたったのだろう。新札を譲っおくれるこずにお瀌を蚀っお「あずで亀換でお返ししたす。」ず付け加える。

「い぀でもいいです。」
その返事を聞いお、今日は䞀䞇円をお財垃に入れおきおいお、厩さないず亀換するお札がないこずに気が぀いた。巜くんの蚀葉に甘えお埌日ずさせおもらうこずにする。

垰り道、買い物で寄った先のセルフレゞに䞀䞇円札をゆっくりず投入する。
『どうかキレむな五千円が 出おきたすように』
願いが通じたのか、機械からシュッず出おきた五千円はシワひず぀ないキレむな梅子さんだった。

今、手元には二枚の新五千円札、二人の梅子さん。

巜くんの梅子さんず
わたしの梅子さん
同じ日の梅子さん だけど違う梅子さん

䞡方AAから始たる番号、ピカピカの第䞀刷目。将来䟡倀があがるかも知れないから手元に眮いおた方がいいんだず降谷さんは蚀っおいた。それにゟロ目みたいで運だっおいい気がする。こんな幞運独り占めは出来ない。AAがふた぀䞊んだキレむな梅子さんの枚は巜くんが持っおいお欲しい。

でも、どっちを。

これが本のようにれっきずした所有物なら、別ルヌトで手に入りたしたず頂いたものをそのたた返すのが圓然の流れずいうものだけど、お札っお誰のものっおわけではないわけで。このお札に関しおは『今日子さんにあげたす』ず私のものになったお札なわけで。それをそのたた返すのはせっかくの奜意を無にするよう。

巜くんに新札の五千円を譲っおもらっお代わりの五千円を枡そうず思ったら私の元にも新札が巡っおきた。お札だけを枡しおしたったら、きっずそのたた返されたず思われる。『私も手に入りたしたので』ず蚀っおしたうず、枡さなくおもよかったかなずガッカリするかも知れないし。

ここはやっぱり亀換がいい。

ゎ゜ゎ゜ず封筒の入った匕き出しの䞭を探しおみる。
うん、これがいい。䞭身が透けお芋えない厚い玙の封筒を取り出した。それに厚いクラフト玙でできたメッセヌゞカヌドを぀けよう。サッパリしおお分量もちょうどよく、メモしお枡せば誀解もきっずないだろう。

 ┌                     ┐
    巜さん
    金曜日、垰りに買い物したら
    お぀りで私のずこにも巡っおきたした。
    梅子さん 亀換でお返ししたす。  
 └                     ┘ 

メッセヌゞ、あっさりしすぎおるかな。
よしっ、ず梅子さんのむラストを描き、それに『ありがずうございたす。』ず吹き出しを぀ける。

぀いでに『䌌おたせんねぇ』ず曞いお、たる『よ』ずサむンを入れる。


暪手 今日子
苗字のたる『よ』

分厚い封筒に入れたら恥ずかしくもない。
むタズラを仕蟌んだようでワクワクする。そんな気持ちも悟られないよう、あっさりさりげなく手枡した。

「あっ、今日子さん」
次の日、巜くんがすれ違いざたにいう。
「お手玙もありがずうございたす。」

お手玙だなんお 
萜曞き付きのメモにも䞁寧にお瀌を蚀っおくれる。

「ありがずうはこちらの方ですよ。」
そう蚀っお軜く頭を䞋げる。メモは我ながら子どもみたいず可笑しくなっお俯いたたた頬がゆるむ。

「良かったら、LINE亀換したしょう」

ええヌず、
亀換ね、亀換。.  こ · う · か · ん 

萜ち぀け今日子。萜ち぀くのよず、口元は䞀気に緊匵する。

シフト調敎はショヌトメッセヌゞのやり取りだけど、こういうやり取りはLINEの方がいいのかも。巜くんは埋儀だからぞんに手曞きのもの枡しお気を䜿わせおしたったように思うけど、LINEを亀換できるのはうれしい。

䞀呌吞おいお「いいですよ。」ず顔を䞊げお答えるず、巜くんは「じゃあ、あずで」ず蚀っおホヌルに向かった。

「今ですよ。」

他のバむトメンバヌが亀替で少なくなったその隙に、巜くんがスマホを持っお来おくれた。早くしなくちゃず焊る私はスマホを手にたご぀いおしたう。

「ここの、このマヌクからQRコヌド読み取っお、あずは" あ "でもいいから送っお䞋さい。」

教えおくれた通りに操䜜しお、慌おお " よ " ず送る。
暪手の 『よ』     


    
               ã€€äº€æ›ã€€äº€æ›ã€€äº€æ›ã—ただけ
     亀換しお䜕日も経぀のに
     トヌクルヌムに『 よ 』 だけが浮いおる

     亀換ならフィフティ フィフティ
     なのに巜くんの氎槜の䞭
     ポチャンず入っおしたったよう
                   å…¥ã£ãŸæ‹å­ã«æ³¡ã²ãšã€ã ã‘
     もう泳ぎ方も忘れおしたっお
     いたにも消えおしたいそう


䞀向に新着の入らないトヌクルヌムを芗きにくるのはこれで䜕床目なんだろう。なんだか可笑しくなっおきた。こんな状況面癜すぎる。そうだ、ず思いたっお巜くんに䞀文字ず぀メッセヌゞを送っおいく。

『 ろ 』
『 し 』
『 く 』

トヌクルヌムに、瞊に
 よ
 ろ
 し
 く
ず䞊んだ。

よし、完成。ミッションコンプリヌト。
ああ、スッキリした。やっぱり氎槜のようで意識しちゃうけど気にしない。
私はこんな魚です、そんな気持ちを蟌めおみた。

第話 氎槜の䞭で



       ãœã¡ã‚ƒã£ ず入った氎槜の䞭
       すすっヌずひずりでひず泳ぎ

       ああ、気持ちいい


暪手の“よ” から瞊に “よ·ろ·し·く“ず䞊んだトヌク画面を芋お、よしよし、フフフッ、ずくすぐったい気持ちが蟌み䞊げる。巜くんからメッセヌゞが来るこずぞの期埅から䞀転、お願いだからメッセヌゞ来ないでよね、そんな思いで打ち蟌んだ。

やった。巜くんからトヌクされずに完成、完成。
ひず呌吞しおから次を打ち蟌む。

                          
         ヌ               
         トヌクルヌムに”よ"だけの状態が 
         面癜くおふざけおしたいたした
         おずもだち 考え盎すなら今ですよ
         今日も お぀かれ様でした
         おやすみなさい         
         ヌ                              

トヌクに 午埌 10時29分 ず衚瀺される。
倜のLINE、時間ギリギリ セヌフかな。
画面にもう䞀床目を向けたそのずきだった。
ピッコン
わ わ わ っ。どうしよう。巜くんから返信来ちゃった。

tatsumi
 ãƒŒ
お疲れ様です
お返事しなくお申し蚳なかったです
シフト䌑みか䌑前日が良いかず思いたしお ;
今埌ずもよろしくお願いしたす 
ヌ     

          ヌ
          党然、
          よろしく 思い぀いおしたっお
          遅い時間にゎメンなさい
          個人的にずおも楜しかったです
          粟神幎霢䜎いのバレたした
          フランクにどうぞ( .ˬ.)"
          ヌ

tatsumi
ヌ
ありがずです
たたバむトの愚痎ずか いい合いたしょう
よろしく、来た瞬間は 
圌女攟ったらかしにしたみたいで焊りたした^^;
ヌ

"圌女さん”怒らせちゃったりするこずあるのかな。
あ、そもそもこの時間垯、圌女さんずのLINEタむムなんだろうか。亀換しただけなんだからず自分に蚀い聞かせながらも少し期埅しお次を打ち蟌む。

        ヌ
          ”く"のあずに"❀”を぀けたら
          怖くなかったでしょうか
          それもある意味 こわいですね
          ありがずうございたす
          改めおよろしくお願いしたす
           ヌ

tatsumi
ヌ
"❀”ありがずうございたす
嬉しいですよ
い぀でも気軜にLINE䞋さい
ではおやすみなさい .
ヌ

最埌は スタンプ 送りあっお” どもども ”ずご挚拶。
ちょっず 氎槜の䞭 ひず泳ぎ。
ちょっず ドキドキ 楜しかった。
他の氎槜にはどんなお魚さんたちがいるんだろう。
圌女さんはきっずきらきらキレむなんだろう。気になるような 気もするけど気にしない。私だっおい぀もは自分からLINEしない方だし゚サをじっず埅っおるなんお䟘しくおむダだ。なるべく氎槜の䞭にいるこず忘れおいよう。
このトヌクルヌム、巜くんにはたくさんある䞭のひず぀だずしおも、私にずっお特別な堎所になればいい。でも、そんな気持ちはただたっすぐ芋぀めるこずなんおできない。    


   
                   äº€æ›ã€€äº€æ›ã€€äº€æ›ã—ただけ
      から   ..
1歩進んで..

           ラむンのお友だち 増えたした

            ãã®ãã‚‰ã„の軜い気持ちで
            ã™ã™ã£ãƒŒãšæ³³ãã€€
      その方がきっず面癜い


翌朝、目芚めおからもすすっヌず泳いで気持ちいい、そんな心地よさだけ残っおる。あれは倢だったんだろうか。昚倜はトヌク出来お楜しかった。

曎衣宀の鏡で浮き立぀気持ちず匛むほっぺを敎えおからホヌルに向うず、い぀もず倉わらない日垞が目に入っおくる。巜くんはい぀だっおみんなの䞭心、遠い存圚に感じる。

そうだった。

私はい぀もひずり、みんなず混じりあえずにいた。
物心぀いた頃からずっずそう。空気ずいうか、濃床ずいうか、透明の分厚いガラスに隔おられ本圓には誰ずも混じりあえずに今たできた。
就職だっお䞀床したけど、やっぱり違和感しかなくおやめおしたった。䜕もしないず本圓にひずりがっちの気がしお、ここは1幎経っおやっずみ぀けたバむトだ。
掟遣でもなくアルバむト、䞻婊のパヌトさんに混ざっお日䞭のシフトに入っおいたけど、そこでもひずり。
やっぱり日䞭は䜕かひずりでもできるこず、自分の居堎所を芋぀けたいず倜のシフトにかえおもらった。

巜くんは孊生で昌間は孊校に通いながら、やりたいこずを叶えおいくために倜バむトしおいる。きっず昌間も人気者なんだろう。時折、孊校の友だちがきたず接客時に賑わっおいる光景も目にする。
新しく倜のシフトに入った私のような地味なタむプでも銎染めるよう気をかけおくれるようなひず、人気がないわけがない。

「ありがずうございたした。」

声のする方をパッずみるず、い぀もスッず䌞びた背筋を腰から曲げお笑顔をゆっくり䞊げおみせる巜くんが目に入った。
凛ずした䜇たい、い぀もおサムラむさんのようだず思う。䞊䞋関係もしっかりしおるのに栌䞊のような存圚感で頌りにされる。時には厳しく泚意する圹割もしっかり果たすのだけど、指導するずころず盞手の裁量に任すずころの切り分けがたた絶劙で、い぀もふんわりずした間合いの䞭、収たるずこに収たっおいく。
私の䞭では、自信がなくお぀い䞞くなる背䞭をシャキッず䌞ばしたくなる、い぀も勇気をくれるひずだ。氎槜の䞭 䞀緒に泳いで楜しかったのは私だけがみた倢だったのかもしれないず思いながらちらりずだけ芋た。


     おサムラむさんからLINEはこない
     ワタシだっおLINEをしない
     
     䞊手く泳げないのは今たでどおり
     溺れないように日垞を送る
     それだけ それだけ それだけのこず
 


あれは真倏の倜の倢、秋の入り口はもうすぐそこだ。


第話 囲む䌚

䞀週間、二週間経ち、䞀か月、二ヶ月ず倉わらない日々が過ぎおいく。やっぱりメッセヌゞのやり取りなんかなくお、その状態を圓たり前ず受け入れるこずができた頃、ピッコン ずLINEに通知がきた。

tatsumi
ヌ
ああ、したった
先に連絡しおからグルヌプ
お誘いした方が良かったですね ;
ヌ

ん、なになに。グルヌプっおなんのこず。通知をみるず倜のシフトメンバヌ党員のLINEグルヌプに招埅されおいた。私だけじゃない、みんな巜くんの氎槜の䞭だったこずを知っお友だちになった気になっおいたこずが恥ずかしくなる。

tatsumi
ヌ
降谷さんが就職のため今月いっぱいずなりたした。
送別ず今埌の結束のため有志で食事にいきたせんか。
お店の候補送りたす。
厳遞な結果で持っお決めたいので、ひずり぀
垌望を個別のLINEでお知らせ䞋さい。
よろしくお願いしたす。
ヌ

そのトヌクに続いおグルメサむトのお店情報が送られおくる。
、、
・・・、、
・・・・・・・、
店舗、ただ䞞投げじゃないこずは芋れば分かる。
焌き鳥店だけでも、駅1぀前、駅ひず぀先、庶民的なチェヌン店から創䜜居酒屋たで揃っおいる。その他にもむタリアンに欧颚料理に和食店。巜くんはお酒飲めないっお蚀っおたから、良かったお店じゃなく良さそうなお店を䞀生懞呜遞んだんだろうけど、それを感じさせないスマヌトな気配りにはい぀も感心しおしたう。
グルヌプのトヌクルヌムに、皆さんはじめたしおのご挚拶を送っお、巜くんずの個別のトヌクルヌムには床目たしおの挚拶をする。

      ヌ
      魅力的なお店ばかり
      たくさん候補ありがずうございたす
      第䞀垌望   第二垌望  です
      同率ならリヌズナブルな方が垌望です
      よろしくお願いしたす
                       ãƒŒ

なんかちょっず楜しい。どこのお店になるんだろう。締切埌、集蚈結果がグルヌプルヌムに䞊がる。

tatsumi
ヌ
集蚈結果です
1䜍 候補     ïŒ—祚
2䜍 候補    ã€€ïŒ–祚
3䜍 候補     ïŒ“祚
4䜍 候補 ・  祚
最終投祚  ず  どちらかを
たた個別にお知らせ䞋さい。
よろしくお願いしたす
ヌ

おおっ、第䞀垌望、第二垌望
ドンピシャで嬉しい。
ムフフの気分でたたふざけおしたいたくなる。

         ヌ
          でお願いしたす
         初めから決めおたした( ˶ˊᵕˋ)/❀
         ヌ

tatsumi
ヌ
受け付けたした
告癜みたいに蚀っお頂きありがずうございたす。
ヌ

そのあずはたたグルヌプルヌムで結果発衚される。
候補の炉端焌き店『Rogiura』に決定した。

次の日、巜くんが案内を䞀人ず぀配っおいく。    

 ┌                    ┐
        降谷さんを囲む䌚
        ずっず囲っおいたかった
     10月31日朚曜 18時30分   
     堎所「Rojiura」QRコヌド参照
     䌚費 5500円( 圓日 )
   ハロりィンコスプレ参加 倧歓迎(り゜です)
    └                      ┘

「コスプレっお。しかもり゜っお。」
思わず笑っおしたう。

「コスプレはするよりみたい願望ありたす。でもコスプレ瞛りにするずキャンセル倚くなりそうだから。」
「でもここの制服、今日子さん䌌合っおたすよ。」

時々、巜くんはドキッずするようなこずを真顔でいう。その床に私はぎこちなくい぀も俯いおしたう。
「 ありがずうございたす。スカヌト苊手なのでここの制服パンツなの、嬉しいです。」
「パンツ姿、䌌合っおたす。じゃあ月末に。」

火照る顔を隠すようにしお案内を二床芋䞉床芋する。

「あっ、今床の送別䌚」
䞍意に声をかけられお䞊ずった声で答える。
「真由。そっ、そういえば真由は案内のラむングルヌプ入っおなかったね。月末はどんな感じ」

「ワルいけど、私はパス。孊生ずいっおも私は服食デザむンの方だし今床の課題提出に賭けおるから。ここのお店、孊生もOLも来るからファッション芳察には持っおこい。制服もかわいいしね。」
ずニダリず笑う。

さっきのやり取り聞いおたかな。
ほんず、巜くんは女の子の扱い慣れおそうでい぀もドキマギしお困っおしたう。そんな様子は気にも止めず真由は続ける。

「今日子も断るタむプだず思っおたから行くの意倖。圌の誘いだから」
「違う、違う。降谷さんだから。」

降谷さんは昌のシフトだったずき、バむト終わりにお客さんずしおそのたたお店でデザヌトの泚文しおむラスト描いおるのをじっず芋お、お店のポップ描くようチヌフに薊めおくれた人だ。倜のシフトにだっお匕っ匵っおくれお、そのおかげで少し銎染めた気もする。

「むラスト認めおもらったから。恩があるの。」

「そっか。今日子センスあるよ。色䜿い、服食にも参考にしたいもん。そろそろむラスト本気でやっおみたら。」

真由は真由でストレヌトにいいずこ誉めおくれるし、なんだか今日は参っちゃう。

自分を信じおデザむンの道に進む真由も眩しい。
これから瀟䌚人になる降谷さんも眩しい。
瀟䌚人から出戻りのバむトには眩しすぎる。

はあああヌあ。
今日は頑匵っおパンプキンフェアのむラスト曞こう。カボチャを䜿ったシチュヌパむにプリンにモンブラン、パフェだっお矎味しそう。
んヌヌっ、お客さんがじっず眺めお遞んだメニュヌを矎味しそうに食べる瞬間が埅ち遠しい。

さぁ、頑匵っお仕事だ、仕事。 



それから週間
パンプキンフェアも奜評に終わり降谷さんを囲む䌚圓日は、降谷さんだけが匵り切っおコスプレしおいた。

「降谷さん、マツケンサンバは濃いヌ。今日はハロりィンですよヌ。」
どこからかそんな声がしお
「どうせなら職堎の忘幎䌚で䜿える方がいいだろ。」
降谷さんが答える。
「新入瀟員歓迎䌚ではただ堪えお䞋さいよ。」
「我慢できるかなぁ。」
「ほんっず倉態なんですから。」

䌚話が途切れるこずなく、笑いで目尻が最いっぱなしの120分、降谷さんを囲む䌚が終了した。
「暪手さん、むラストほんずいいから頑匵っおな。」
ふざけ倒した埌の降谷さんの䞀蚀には本圓に泣いた。

瀟䌚人になる降谷さん、励たすのはこっちなのに励たされた。いろいろあっおも降谷さんなら倧䞈倫です。蚀えるような立堎でもなく心の䞭で゚ヌルを送る。

最埌に降谷さんから挚拶があっお巜くんが締めお解散ずなった。

「二次䌚行く人お茶しおかえる人、あずは自由です。
気を぀けお。」

お店を出たあず、ふわっずいく぀かの固たりができお楜しそうにおしゃべりしながら動いおいく。

途䞭たであずを぀いお歩いおみるけど、反察方向の駅の方が乗り換え䟿利だし、ず思い盎しお螵を返した。
倧通りから少し倖れた脇道。

明日は新月かぁ。
月明かりはないけどい぀もより星がきれい。

もう月がくる。火照った頬にひんやりずした倜の空気気持ちいい。目線を䞊げお歩いた先の駐車堎にゞャケット姿の男性が目に入る。

「巜さん」
「あっ、今日子さん。あれ、どうしおこっちに。」

「私、路線こっちからが近いんです。」
「よく分かりたしたね。」

「だっおほら、今日はスヌツ着おどうしたんだぁなんお云われおたから。服装芚えおたんですよ。」

「そっか。そりゃあこうやっお集たるずきは服も気を遣いたす。駅たで送っおいきたすよ。」

「いいんですか。お煙草。ゆっくり吞われたら。」

「ん。いいです。お酒は飲たないんですが、昔から幎䞊の人ず遊ぶ機䌚倚くっお。煙草は吞いたす。」

そういっお携垯灰皿に吞い殻を抌し蟌んだ。

「じゃあお蚀葉に甘えお。よろしくお願いしたす。」

右偎に立っお歩き始めるず困ったような顔をする。
「出来たらこっち偎歩いお欲しいです。危ないから。
ちょっずかっこ぀けさせおくれたら嬉しいです。」

巜くんの巊偎を歩く。
右肩にかけたカバンが圓たらないように巊手に持぀ず倉な感じがする。空いた右手は歩く床に前埌に揺れおたたに巜くんの手に圓たっおしたう。なんだか䞊手く歩けない気がするのはさっきお酒を飲んだせいかも。

ふわふわした気分で、流れのたたにおしゃべりしおあっずいう間に駅に぀いた。

「送っお頂いおありがずうございたした。」

「こちらこそ、おしゃべりできお楜しかったです。えヌず、今日子さん、今床オムラむス食べに行きたせんか。今日子さんのむラストほんず矎味しそうで。オムラむスのむラスト芋おみたいです。僕オムラむス奜きなんですけど、今日子さん 奜きですか。」

「はい、奜きです..。オムラむス。」

「じゃあ、今床、行きたしょう。」

家に垰り぀いお、お酒の䜙韻を味わいながら巜くんのくれた新札をふんわり芋぀める。


  
     封筒に入ったたたの北里さん
      優しく目が合う梅子さん

      梅子さんはきっず奜きかも
      北里さんはどうなんだろう
 
      封筒の倖 出䌚っおしたったら
      きっずもう目を逞らせない   


月は今日で最埌。月のペヌゞを開いお巜くんの蚀葉ずオムラむスを思い浮かべた。


第話 本圓のきもち

「じゃあ、今床行きたしょう。」巜くんがそう蚀っおくれたからず心の䞭で前眮きをしおメッセヌゞを打ち蟌んだ。幹事圹だけあっおグルヌプのトヌクルヌムには今日のお瀌に感想に、ひっきりなしに通知が入る。い぀も人気者の巜くんずふたりの時間が持おたこずを䞍思議に思う。グルヌプの方に䞀蚀お瀌ずスタンプを送ったあず、個人のトヌクルヌムにLINEする。

        ヌ
        今日はありがずうございたした。
        垰り送っおくれたこずも、
        オムラむスのお誘いも、です。
        楜しみにしおいたす。
        ヌ

tatsumi
ヌ
こちらこそ。
お話しできお楜しかったですよ。
今床、食べにいきたしょう^^
ヌ

やっぱり本圓だった、玄束なんだずトヌクルヌムをじっず芋る。浞るのも぀かの間、グルヌプルヌムにトヌクやスタンプが沢山入っおくる。

ほんずみんな仲がいい。

巜くんは二次䌚に行くのかず思ったらそうじゃなかったのが意倖だった。䞀緒に垰りながら話した感じだず案倖、私ず䌌たタむプなのかな。
「人に合わせちゃうからよく思われるけどプラむベヌト芪しくなるずガッカリされちゃうこず倚いです。」
そんな蚀葉を聞いたずき、巜くんに限っおっお思ったけどよく考えるず私もそうだ。盞手が勝手にむメヌゞ䜜り䞊げおいお、いざ付き合いが始たるずお互いに気疲れするし楜しめなくおみたいなこず恋愛に限らず倚かった。
巜くんは私にどんなむメヌゞを持っおオムラむス誘っおくれたんだろう。
····、぀は幎が䞊の私に。浮かれおはダメずいう気がしおくる。
封筒に入った北里さんの衚情をみたかった気持ちに蓋をしおそのたた棚の䞊に戻す。でも気になっおなんだか萜ち぀かない。

そうだ、明日11月1日は新月だった。
no+eずいうプラットホヌムで人気があるAhoraセグントさんの新月メッセヌゞを思い出し「倧切なメッセヌゞ⭐」ずしおいるマガゞンから蚘事を開く。


   Ahoraセグントの新月メッセヌゞ
 
─30日に䞀床巡っおくるニュヌムヌンの星詠みヌ
                      
     蠍座新月 ほんずうのきもち        
  幎 月日 時分ごろ
     蠍座床で新月を迎える


      蠍座ずいう星座のサむン
    「砎壊ず再生」「生たれ倉わり」
  そしお「魂ず深く぀ながるこず」で、ズバリ
    「自分の本音ず向き合うこず」
    これが最たるテヌマずなりたす。
 

  蠍座は自分の本質ず向き合うサむンです。
  本音を語っおも倧䞈倫。
  あなたが正盎に本音を語れば語るほど
  それが信頌に繋がりたす。

      怖くおも本音を䌝えお
       本心に埓っお行動しお
 勇気をもっおあなたが本音を語った先にある
        幞せな䞖界

 星たちのメッセヌゞは“倧䞈倫䞊手くいく”です
  さらけ出す勇気は自分を信じる心から

 お互いに嘘のないありのたたの自分で共に生きる
    そんな颚の時代はもうすぐそこに


青セグさん、ず涙ぐむ。Ahoraセグント(青セグ)さんの星詠みには今たで䜕床も励たされおきた。
でも嘘のないありのたたで受け入れおもらえるなんお本圓にあるのだろうか、そもそも自分の本音に向き合うなんお今たで意識したこずもなかった。本音に向き合い勇気をだしお行動する、さらけ出す。そんなこず私にできるのだろうか。

封筒にいれお倧事にしたったたたの私に。
䜕も盎芖できない私に。

でも 
ふず胞に手を圓おるず、ただドキドキず錓動を感じる。頬だっおほんのり枩かい。䞊気しおいるのは今日飲んだお酒のせいだけじゃない気がする。

私の本音っお .。

窓を開けおほずんど光を攟っおいない月を眺める。
冷たい空気が火照った身䜓に気持ちいい。
目を閉じお暗闇を感じおみる。
身䜓の䞭心は赀くお枩かいような気がした。

今日は巜くんず䞀緒に垰れお楜しかった。
オムラむスのお誘いも嬉しかった。『私は䞀緒にオムラむス食べに行きたい。』今日の思い。うん、これは本音で間違いない。『明日もバむトで䌚えるのが楜しみ。』うん、これもそう。でも䌝えるのは恥ずかしい。今は自分に自分の気持ち認める段階。たずはそこから始めおみよう。
      
  

第話 心の扉


   
         内開きの心の扉
       䞭は暗くおひずりがっち   
        鍵をあけ少し開いお様子みる
       ノックの音はもう聞こえない   
  


倢を芋た。

少し開いた扉から巜くんが入っおきお笑顔で蚀うの。
「今日子さん、オムラむス食べに行きたしょう。」

ほんずは倢なんお芋おいない。スマホを眺めお眠れない倜が続いおいる。

「じゃあ、今床行きたしょう。」

䜕床脳内で再生したこずだろう。LINEを開いお『なんのはなしですか』ず問いかける。あれから䞀週間経぀のに、“今床”のお誘いは入らない。
そうだった。
巜くんは自分からはLINEをしないおサムラむさん。
バむト䞭だっおそんな話にならないしこのたた今床なんおこないのかも。
そういえばLINE亀換したずきだっお党然メッセヌゞこなくお『よ·ろ·し·く』ず送った埌でやっずきたメッセヌゞは『圌女攟ったらかしにしたみたいで焊りたした ; 』だったっけ。
これは間違いない。このたた埅っおおもなんにも始たらないパタヌンだ。
気が぀けばトヌクルヌムを芋おしたう。
いけない、いけない。
青セグさん ずたた新月メッセヌゞのサむトを開く。

                      
        怖くおも本音を䌝えお
          本心に埓っお行動しお
        勇気をもっおあなたが本音を語った先にある
          ã€€ã€€ã€€ã€€ã€€ 幞せな䞖界
 
                            

私の本心、私はどう思っおどうしたいの。
今たでの私はどうだった。今たでず同じでいいのず自問自答が続く。自分から行動に移すこずのない私はい぀も盞手任せの浅い亀友関係しかない。淋しさも少しはあるけど自分から行動したら戻っおこれなくなっおしたいそうで怖い。傷぀きたくない臆病者だ。

盞手にばかり行動を求める私はずるいのかな。巜くんずはフィフティフィフティ、察等な関係を築きたいず思っおる。『よ·ろ·し·く』っお送ったずきもちゃんず返しおくれたから勇気を出しお自分からLINEしおみたら䜕か倉化蚪れるんだろうか 。
うん、決めた。LINEする。自分からする私に倉わる。
なんおこずないメッセヌゞなんだから。
ドキドキしたりしないんだから。

                           ãƒŒ
       こんばんは。
       先日聞き忘れおたした。
       オムラむス
       どこかお気に入りのお店ありたすか。
       ヌ
tatsumi
ヌ
こんばんは。
前に奜きだったオムラむスあるんですが
今はやっおなくお。
良さそうなお店探しおみたす。
ヌ

勇気を出しお送っおみおからわりずすぐに返信がきおホッずする。でもお店遞び降谷さんの送別䌚でも巜くん、候補を沢山挙げおくれおた。きっず巜くんのこずだからオムラむスのお店もたくさん調べおくれそう。だけどあんたり気を遣わせたり負担はかけたりはしたくない。

      ヌ
      沢山調べおくれそうな気もしたすが
      良さげなお店にふらっず入っおみるのも
      楜しいかも知れたせんよ。
      ヌ

tatsumi
ヌ
ふらっず。いいですね
じゃあたた良さげなずこあれば行きたしょう。
ヌ

あっ、たた“今床”のパタヌンに嵌たっおしたった。

もしも 同じ気持ちならい぀䌚うかそのお誘いはしお欲しいから、そこには觊れず毎日ラむンする口実を探しおしたう。家にいおも倖にいおも。そうしおる間も巜くんからのメッセヌゞはこない。

今日も䜕もないんだろうな 。
そう思い぀぀どこかで“今床”を期埅しお浮き足だっおる自分がおかしい。お掋服どうしようなんお早くに家を出おバむト先駅手前でおりる。
駅の拡匵工事で高架䞋のお店が軒䞊み撀去を䜙儀なくされたこの゚リア、立ち退いたお店が続々ず移転オヌプンし始めた。再開発も䞀緒に進めおいるんだろう。今たでなかったお店もちらほら芋おずれる。

あっ、ここ新しいお店だ。

衚の看板にはパスタずオムラむスのランチメニュヌがズラリず䞊ぶ。䞭のラむスはバタヌラむスかチキンラむスが遞べ、゜ヌスもプレヌンなケチャップからビヌフシチュヌ、デミグラス、アメリケヌヌ、ホワむトなど皮類近くもある。パスタはフィトチヌネタむプのみだけど皮類はやっぱりたくさんある。巜くんずのオムラむス、このお店いいかも。矎味しいのかな。

カラン、少し高い音で扉に぀いたベルがなった。

チヌク材ずサむフォンで立おた珈琲の萜ち着いた薫りに䌌合わず゜ワ゜ワず店内を芋枡す。12時半、もう出口近くの垭しか空いおない。メニュヌずその䟡栌垯たでしっかり芋お「パスタ、アメリケヌヌ゜ヌスでお願いしたす。ドリンクは食埌に珈琲を。」ず泚文する。

パスタにしたのはオムラむスは䞀緒に食べたいから。瞳の圢をしたような癜い噚の真ん䞭に盛られたフィトチヌネの生パスタはもっちりしおいお芋た目以䞊にボリュヌムがある。

うん。矎味しい。

枩かいうちに食べたいのでスマホで撮っおから蚘憶するようにゆっくり味わう。珈琲の銙りごず味わいながらあずでスケッチブックに描いおいく。
店を出た埌はお気に入りのショップで小花の入ったトレヌナヌを芋぀けた。黒にデむゞヌ、甘すぎないけど可愛い。今日はいいずこ芋぀けちゃった。
日ぶりだし、今日はいいよね、ラむンしおも。

       ヌ
        こんばんは。
        お店情報です。
        オムラむスのいいお店芋぀けたした。
                         ä»Šæ—¥ã¯ãƒ‘スタを頌んでみたしたが
                         ãƒ¢ãƒãƒ¢ãƒã—おお矎味しかったです♪
       ヌ

お店の写真ずスケッチを送っおスマホ画面ずにらめっこする。

tasumi
ヌ
返信遅くなりたした。
良さそうですね
今日子さん今床連れおっお䞋さいね。
ヌ

巜くんからはたた“今床”。私は誘っお欲しいんです。
でも『い぀にしたしょうか』がどうしおも蚀えない。だっお幎が䞊だし、だっお巜くんはこれから瀟䌚に出る人だし、だっお、だっおずい぀だっお、私の心は臆病颚に吹かれおいる。

それからも䜕床かお店を芋぀けおはラむンする。

巜くんは返信ひず぀するにもすごく気を遣う人なんだろう。それは蚀葉遞びから感じずれる。だから䜙裕のないずきは既読になるのも遅くなるのかも。返信に気を遣わせないようなこずしか送らなくなったらトヌクルヌムがポストみたいな独り蚀、぀ぶやきばかりになっおしたった。

降谷さんの送別䌚からヶ月が過ぎ、お店の定䌑日がやっおきた。巜くんず䞀緒に垰っおからヶ月。

巜くんず䞀緒に来たかった、そんなこずを考えながらカランずお店の扉をゆっくり開ける。倜はパスタずオムラむス以倖にピザやアラカルトメニュヌがあるのかず昌間の時ずは違うメニュヌ衚を開く。䞀緒に食べるならピザもいいかも。泚文しおみた矎味しそうなピザを目の前にしお、熱々でパリッずしたこの生地の感じが、䞀緒に食べたい気持ちず䞀緒に䌝われば、なんお今の私のリアルなトヌクを送りたい気持ちがムクムク沞き䞊がっおきた。
巜くんにも『いいですね、僕も食べたいです』なんおいう気持ちになっおくれたらなんお思ったのに、぀いに、既読は翌朝たで付くこずがなかった。

第話 長い倜が明けお


もう朝だずいうのに気分は真っ暗、闇のなか。

昚日は巜くんず䞀緒に行けたらいいなず思っおたオムラむスのお店に倜人で行っおみた。䞀緒に行きたしょう、そう蚀っおたの思いだしおくれるだろうか、いいお店ですね、今からでも行きたい、そんな颚に思っおもらいたくお出来立おのピザの写真を送っおみた。
巜くんにLINEをしおも既読぀くたでに時間がかかったり翌日になるこずだっおあったけれど、それは送る時間垯が遅いからだず思おうずしおいた。でも昚日はお店からLINEしたのは倜の時すぎ。寝おるなんおこずはない時間。い぀返信くるかな、どんな反応しおくれるだろうず䜕床トヌクルヌムを芋たこずだろう。

長い長い倜だった。時近くなっおもう今倜は既読にならないだろうず諊め気味にトヌクする。

        ヌ
        朝からピザ画像は重いですね 
        返信は䞍芁ですよ。
        ヌ

寝䞍足で迎えた朝、もうLINEだっおみたくない。

昚日の倜、既読にならないメッセヌゞだけじゃなく今たで巜くんに送ったメッセヌゞも読み返しお、こんなのちっずも私らしくない、無理しおたんだず気づいおしたった。返信䞍芁ですよ、なんおり゜ばっかり。それに巜くんを付き合わせおしたっおたんだなず恥ずかしさがたすたす自分を惚めにする。気分も身䜓も重いなかでも、い぀もず倉わらず分おきに目芚たしのスヌヌズが鳎る。それを止めるのも億劫ずなっおようやくベッドから起きだした。

倖から差し蟌む朝の柔らかい日差しに混ざるように立ち䞊る玅茶の銙り、ペヌグルトのすっきりずした酞味でようやく少し気持ちが萜ち着く。
そうしおいる間もすぐ暪にはスマホを眮いおある。
そしおLINEの通知を芋おしたう自分がいる。

あ、巜くんから返信きおる。
駆け匕きなんお出来なくおすぐに既読にしおしたう。

tatsumi
ヌ
おはようございたす
昚倜はブラックフラむデヌで
ネットサヌフィンしおたした。
朝ピザ倧䞈倫ですよ
人で倜お店行くっお今日子さん匷メンタル☺
ヌ

読んでああ、ダメだず、実感した。
もうこれ以䞊は頑匵れない。
どう返しおいいか分からないからそのたたにしおみるものの、既読にならずに゜ワ゜ワした次は、返信しおないこずに゜ワ゜ワしちゃう。
巜くんの返信を読み返しおは、既読぀けずに攟眮っおどっちが匷メンタルですかず文句のひず぀もいいたくなっちゃう。けど、せっかく返信くれたのにこのたたにしおおくのも倱瀌かなず、それはそれで萜ち着かなくお、やっずお昌にトヌクを返した。

       ヌ
       昌ピザも重いですね 。
       実は倜も人じゃ重かったです。
       持ち垰りさせおくれお良かった。
       匱メンタルなったので
       トヌクするの控えたすね。
       ヌ
           

送ったあずで人うなずく。これで良かった。
トヌクルヌムは人いお初めお明かりが぀く堎所だ。
真っ暗な䞭人でいる堎所じゃない。倖に居堎所をもずめずに私に出来るこずは私の䞭を明るい堎所にするこずだけ。居心地のいい寛げる堎所に。
私は䜕が奜きで䜕がしたい。䜕もしなくたっおそれもいい。ずにかく今は自分を䞀番にしお自分のこず倧事にしよう。誰かにもらった奜きじゃなくお自分の奜きで満たしたい。

私の奜きなもの、ううん、私の奜きな人、それが分かっただけで今は充分。
今はそう。そういう段階。

無理しお嫌いになったり諊めたりはしなくおいいけど期埅もしない。ただ奜きいお、奜きになれた自分が可愛いず思う、それでいい。芋぀め返しお欲しかった気持ちはそっず心にしたっおおこう。

『匱メンタルなったのでトヌクするの控えたすね。』

そう巜くんにLINEしおからも日が経った。バむトでもたずもに顔が芋れおない。既読になったたたで、返信も返信以倖も巜くんからのメッセヌゞは入らない。

連絡先を亀換したずき、巜くんの氎槜に入ったみたいず思ったけれど、魚が䞀匹いなくなっおも探したりしないみたいだ。圌女でもなんでもないのに人で拗ねお、ほんずの気持ちも隠したたんた倉なメッセヌゞ送っちゃっお。

このたたも倉よね。説明だけ、説明だけは送っおも倉じゃないよね。
よし送ろう。こんな状態のたたじゃ心が持たない。
芚悟を決めおこの前送ったトヌクに続ける。

      ヌ
      こんばんは。
      この前は倉なメッセヌゞごめんなさい。
      普段自分からLINEするタむプじゃなくお
      返信あるたでのがっち時間に
      メンタル匱々になりたした。 
      ブラックフラむデヌには負けるか_(._.)_
      ヌ

そこたで送ったら気持ちが溢れおくる。

     ヌ
     䞀緒にお店に行きたい気持ちはありたすが
     自分から誘ったりは出来ないし
     優先順䜍が䞊がったら連絡䞋さい
     ヌ

そう打ち蟌んで、読み返そうず思ったら送れおしたった。ああああ

     ヌ
     ちょっず埅っお。
     悩んでたら送れおしたいたした
     今のは誀送信ですよ。
     ヌ

そう送るけど、もう手遅れ。既読が぀いお巜くんからトヌクが入る。

tatsumi
ヌ
匱メンタルの原因は僕だったんですね。
気づかずごめんなさい。
ブラックフラむデヌには負けるか、には笑いたした
実はバむト掛け持ちしおおオムラむス誘ったものの
䌑みがほがなく 。LINEもあたりするタむプじゃなく
申し蚳なかったです。
ヌ
tatsumi
ヌ
来週氎曜なら予定空きそうです。
䞀緒にオムラむス行きたしょうか^^🍎
ヌ

巜くんの返信に軜く混乱し぀぀盎ぐにトヌクを返す。

    ヌ
    LINEは優先順䜍䜎そうだず思っおたした。
    忙しそうなのもなんずなく。
    でも朝たでがっちだず
    私の優先順䜍が䜎いのかなんお
    .. 自爆しちゃいたした。
      
    私で良ければオムラむス 行きたいです。
    ヌ

tatsumi
ヌ
じゃあ、この前教えおくれたお店で。
埅ち合わせは駅の改札前でいいですか。
11時半ずかでどうでしょう。
ヌ


第話 䌝えあっお

もうダメだず思い胞がギュッずなるのを堪えおLINEをしたら既読になっおメッセヌゞが来お、今、埅ち合わせを決めおいる。䞊手く状況が掎めおいないけど䌝えおおきたいこずは、ず考えおトヌクを返す。

     ヌ
     11時半。倧䞈倫です。
     先にがっかりポむント䌝えおおきたす。
     い぀も時間ギリギリの人で埅ち合わせ
     たたに遅れるこずがあるずかないずか。
     なんか、回りくどいですね ;
     埅ち合わせ早めに来なくお倧䞈倫。
     䞁床の電車がなければ
     時間過ぎおもいいですよ。
     ヌ
tatsumi
ヌ
わかりたした
時間ちょうどに行きたすね。
じゃあたたバむトずオムラむスデヌトで。
ヌ

『オッ、オムラむスデヌト』

 “楜しみです“おやすみなさい”の文字が入ったスタンプを送ったけどデヌトずいう文字に胞がホワホワしお䜕床も読み返しおしたう。
顔を䞊げた拍子に目に入った棚の䞊の封筒をそっず持ち䞊げ透かしおみる。䞭の北里さんずなんだか目が合ったような気がしお、それに笑っおいるような気がしお自然に笑みがこがれる。

封筒を戻した暪には買ったばかりの来幎の手垳。バむトのシフトはスマホに入れるので手垳は出番は倚くない。もう予定も入りそうにないし買わないでおこうかず思ったけれど、萜ち着きず華やぎが品よくブレンドされたようなラベンダヌの色合いに惹かれお぀い買っおしたった。
 
月始たりの手垳にはスケゞュヌルが䞊手く繋がるように前幎の月のペヌゞが぀いおいる。今幎であり぀぀来幎の䞀郚でもあるかのようなのりしろみたいな特別な䞀か月。その月のペヌゞに蚘すはじめおのプラむベヌトな予定ができた。真新しいペヌゞの日氎曜の枠にオムラむスのむラストを描いおいく。ケチャップは赀色ハヌト型。デヌトずは恥ずかしくお曞けないけれどオムラむスデヌトを意味しお䞁寧に描いた。


そしお迎えた埅ち合わせの日。
 
遅れるかもなんお䌝えおいたのに゜ワ゜ワしお萜ち着かず30分も早く着いおしたった。先にお店を芗いおおこうず駅から5分もかからない距離をゆっくり歩く。時間も早いし垭は倧䞈倫そう、倖から店内芗き芋おいるその時、巜くんから『遅れたす』のLINEが入った。遅刻で慌おおる感じの様子がなんだかかわいい。『倧䞈倫ですよ』ず返しお時間もできたし、ず他にオヌプンしおいるお店も芋ようず蟺りを散策する。お蕎麊に䞭華にハンバヌガヌ、焌き肉店たで、お排萜なお店が目に飛び蟌んでくる。巜くんはオムラむスの他は䜕が奜きなんだろうなんお考えながらたた駅に戻った。

埅ち合わせから10分遅れお巜くんが到着する。

「ごめんなさいっ。遅れおしたいたした。」

「いいですよ。い぀もは遅れる方なのでなんだか新鮮です。遅刻には寛倧なんですよ。私。」

そう笑い合っおあらためお巜くんをみる。磚かれた綺麗なスニヌカヌ、きちんずセットされた髪、い぀もの敎っおる巜くんそのたただ。それず遅刻しお頭を䜎くしおいる様子のギャップが新鮮で芪近感が湧いおくる。い぀も萜ち着いおいお幎䞋なんお気がしないのだけど、今はちょっずお姉さんになった気分。

「行きたしょうか。」なんおお店たで゚スコヌト。だっおこのお店もう回目。䞀緒にくるのははじめおだけど。予定より遅れたけれどできお間もないお店には䞊ばずに入るこずができた。

「ほんずに皮類たくさんあるんですね。僕はドミグラス゜ヌスにしたす。」今日子さんはず聞かれお、プレヌンなケチャップ゜ヌスを遞んだ。実は前にパスタを頌んだずき凝った゜ヌスを遞んで最埌たで食べ切れなかった。い぀も冒険しおしたっおあずから埌悔する。巜くんは生掻もい぀も敎っおる感じがしお食べ物にも『定番』がありそうだず思う。

「オムラむスが奜きなんですね。」
泚文を終えお埅぀間、ずりあえずず話題を遞ぶ。

「実はうち、掋食屋だったんです。父芪が䜜るオムラむスが䞀番奜きで。コロナで店も畳んだし䞀昚幎他界しおしたったんですけどね。あんなに奜きでなん十回、なん癟回ず食べたのに、味芚も含めお感芚っお残らないずいうかその時限りっおいうか。誰ずどこで食べたずか、矎味しかったずいう思い出だけはあるんだけど。なんか無性に食べたくなるずきありたす。」

「あっ、そうそう。それで今日子さんのむラスト芋たずき、なんか父芪の䜜る料理思い出したんです。枩かくお人を幞せな気分にさせるような。ぞんなお誘いでしたよね。今日はありがずうございたす。念願のオムラむスです。それず今日子さんのオムラむスのむラスト、芋おみたいです。」

ずりあえずの話題の぀もりが巜くん自身にいきなり螏み蟌んでしたった。そうしおる間にオムラむスが運ばれおきお巜くんが笑顔になる。その笑顔ごずむラストに閉じ蟌めたい。

「私のむラストで良ければ。味わっお食べお埌でゆっくり描きたすね。ふわふわ卵に゜ヌスたっぷり矎味しそう。写真だけ先に撮らせおもらっおいいですか。」
そういっおオムラむスだけを写真に収めおスマホをスプヌンに持ちかえる。

「お店の雰囲気も萜ち着いおいお味も矎味しい。満足です。いいお店、ありがずうございたす。」 
食べ終えおからの巜くんの蚀葉を聞いお、以前きたずきもいいお店だず思ったけれど䞀緒に食べる今はさらにそうだず実感する。

「掛け持ちで忙しかったんですね。たくさんLINEしおすみたせんでした。」
「そうなんですよ。僕こそLINEすぐに返さずスミマセンでした。」

自分から振った話題が重くのし掛かっお䞋を向く。

「今日子さんあっ、えっえっ。掛け持ちはホントにバむトですよ。今は付き合っおる人も他に仲良くしおる人もいたせん。来幎は就職掻動もあるし今はお金を貯めお、䞀旊は就職するけどキッチンカヌ持぀のが目暙なんです。今も掛け持ちバむトはキッチンカヌで。お店ず違っお倖で子どもたちにありがずう、なんお笑顔向けられるずたたりたせん。キッチンカヌするずきは今日子さんにメニュヌのむラスト頌みたいです。」
私はそういうあなたの笑顔が眩しいです、ずは蚀わずに、䞊手く笑えおるか分からないけど顔を䞊げおから頷いた。

「この埌はどうしたすか。映画でも行きたす」

ちょっず考えおから答える。

「映画いいですね。なんか気になる映画はありたすかでも先にがっかりポむント䌝えおおきたすね。近いか遠いかでいうず 近い方です。 緊匵するずたすたす 。」
「あっ、わかったトむレですか」

「はい。この間も芳た映画が長くっおラスト䞉十分は頭の䞭の半分それでした。いいずころだず垭立぀タむミングも悩みたすし。気心が知れおおリラックスしおるずそうでもないんですけど今日はちょっず緊匵しおたす。」
「分かりたすよ。僕は食べるずおなか匛くなりたす。今日はただ暖かいから映画はやめお散歩でもしたしょう。お店でる前トむレに行きたすか。お先にどうぞ。」
巜くんずいるず楜だなぁず手掗いの鏡に映る自分をみお、そしお代わりばんこに垭で埅぀間に実感する。
䞀緒にオムラむス食べるこずができお良かった。


第話 答え合わせ

「じゃあ、行きたしょうか。」垭に戻った巜くんの䞀声に「はい。」ず答えおカバンからあたふたず財垃を準備する。

「もう枈んでたす。先に衚に出おたすね。ゆっくりで倧䞈倫ですよ。」

巜君は立ったたた、胞たで挙げた手のひらでにこやかに合図したあず出口に向かう。そのすっず䌞びた背筋を远うように出した財垃は手にしたたたで垭を立぀。レゞに立っおいる店員さんに䌚釈しながら小さく「ごちそうさたでした。」ず蚀っお倖に出たあず、もう䞀床、今床は巜くんにお瀌を蚀った。

「お䌚蚈、いいんですか。」
『私の分払いたすよ』ずいう意思衚瀺でお財垃を䞡手で、胞の前で持ったたたで巜くんに確認する。

「倧䞈倫です。女性ず人で出かけるずきは基本出させたせん。でもたたに持っおくれたりするず嬉しいです。」
おサムラむさんみたいに印象を持っおいたけど、ほんずに叀颚で巜くんなりの瀌儀䜜法があるんだろう。それに『デヌト』の぀もりで今日は来おくれたんだずこそばゆくなった。
「じゃあ今回は甘えたす。 ごちそうさたでした。」
次もあればいいずいうほのかな期埅ず䞀緒に財垃をカバンに戻す。

「散歩はどこに行きたしょうか。」

「ここからそう遠くない井の頭公園はどうですか。」

「䞀緒にボヌトに乗りたすか。」ず巜くんが笑う。

「そうですね 。寒いから行っおみお決めたしょう。」
そう蚀っお着いおみたはいいけど池にボヌトはでおいない。

「今日子さん、氎曜日、ボヌト定䌑日でした。」

“井の頭公園 ”“ボヌト”で怜玢した巜くんはそういったあずで楜しそうに笑いいながら蚀葉を続ける。

「でも、乗らなくお正解ですよ。ほらこれ。」
芋せおくれたスマホの画面には『井の頭公園 ボヌトに乗るず別れる。』ずいう蚘事が衚瀺されおいた。

「匁財倩さんのやきもちだそうです。」

そうやっお面癜そうに話す巜くんに
「神様はそんな別れさせるようなこず、したりしないず思いたす。」
ず蚀い切ったあずで付け加える。
「あっ、䞀般論です。神様はきっず懐深いです。」

別れるもなにもお付き合いもしおないんだから、むきになっお倉だったかなず恥ずかしくなる。そんな様子を気にも止めず巜くんは指を指した。

「あっち、匁財倩さんにご挚拶に行きたしょうか。そんな今日子さんのお願い事はきっず聞いおくれるず思いたすよ。」

瀟の前に立ち、お賜銭を入れお䞊んで手を合わせる。心の䞭で願いを唱えお䞊を向くず先に頭を䞊げおいた巜くんがこっちを芋おいた。

「今日子さん、睫毛長いですね。それにお願い事も。䜕をお願いしたんですか。」

こんな近くで顔を芋られた䞊にドキッずするようなこずを蚀うし聞く。䜕をお願いしたのかっお答えはずっくに予想が぀いおいるはず。

「私からは蚀いたせんよ。巜さんは䜕をお願いしたんですか。巜さんから先に聞きたいです。」

「きっず同じだず思うんだけど。」

そう蚀っお䜙裕の笑みを浮かべる。はぐらかされおいるのか私が勘違いしおいるだけなのか。ずっずこんな感じでそれが少しもどかしい。

「話しながら、もう少し歩きたしょうか。」

瀟の奥でお金に柄杓で氎を掛けおいる参拝客が目に入る。
「お金..、あのくれた新札、倧事に持っおたす。ありがずうございたした。」

「そんなに喜んでくれたんですか。」

「はい。嬉しかったです。巜さんからもらったこずも。私にくれたこずも。」

「そうだったんですね。あげお良かったです。今日子さんのこず、ただ倜のシフトに倉わる前から気になっおたした。降谷さんが先に声かけちゃいたしたけど。」

「降谷さんずは䜕も 。でも倜のシフトに倉わっお良かったです。皆さん、わいわいず楜しそうで、巜さんも色々話しかけおくれたしたし。」

そこたで蚀っお少し寂しさも蟌み䞊げる。そう、みんなわいわいず楜しそうで、巜くんはみんなに優しくお、私の入る堎所なんおないんじゃないかず勝手に独り寂しがっおしたうのは私のわるい癖だ。

「そんな颚に思っおくれおお良かった。今日子さん、奜意䌝える぀もりで話しかけおも、あんたり反応なかったから。あっ、でもLINEはよく送っおくれたから少しは興味持っおくれおるかなずは思いたしたよ。」

ああ、そうだった。LINEだ。こっちだっおLINEでは、巜くんにあたり反応しおもらえなかった。

「LINEはあたり自分からはする方じゃないのに送っおしたっお、返信来るたでの時間にメンタル匱っちゃいたした。だからもう送らないようにしようかなず思ったずころで、忙しいのに時間぀くっおくれたんですよね。なんか、ありがずうございたす。LINEよりは䌚っおお話するほうが楜しいです。けどちょっず、なんでかなぁっお少し混乱しおたす。」

そう、混乱しおいる。巜くんがよく分からないずきがある。奜意を持っおくれおいるのかいないのか。もうちょっず分かりあいたい。広い井の頭公園を芋枡しおここにしおおいお良かったず思った。

付き合い始めた埌で釣った魚に゚サをやらないこずはあるかもしれないけど、釣っおもないのに぀れない態床で、私は人氎槜の䞭に取り残された。芪しくなりたくおしおいるこずが逆効果でしかなくお。

LINEするこずが迷惑なだけで、巜くんの負担になっおいるんだったらもう巜くんの氎槜の䞭から出よう。捕たえにきおくれなかったらそれはもう仕方がない。面倒に思われるのはしんどくお、氎槜の䞭息ができなくなっおいた。さっきたで浮かれおいた私の心はどんどん重くなっお足取りも重く歩くペヌスも萜ちた。

巜くんが振り返っお蚀う。


「LINEは、ごめんなさい。わざずでした。」


“ わ · ざ · ず ” 
ああ、やっぱり面倒に思われおたず悲しくなった。

「今、倧孊もあっおバむトも掛け持ちしおお倜もすぐ寝おしたうしキッチンカヌの日仕事のずきはスマホも芋ないし。時間的にも今、お付き合いする䜙裕はないず思っおたのが䞀番で。」

「あず前にお付き合いした方ずはLINEのやり取りが倚くおそれでお別れしおしたったこずがあっお。高校の時だったんですけど。受隓を控えおるなかでお盞手の方のご家族にスマホ気にしおる時間が倚いず芋咎められお、亀際反察されたのもありたすし、自分でもやっぱり今は進路決める倧事な時だからず気を匕き締めたかったのもありたす。」

「あっ、他の女性の話ですみたせん。」ず肩をすくめながらこちらを芋た。

「だから今日子さんたくさんLINEしおくれお奜意もっおくれおるのかなず嬉しかった反面、埅っおくれ、今は無理だっお思ったし、たくさんLINEでやり取りしたいタむプの方だったらお付き合いしおも続かないだろうな、ず思っおたした。」

あっ、なんかこれ振られちゃっおる感じなのかな。巜くんはやっぱりきちんず敎っおる。自分がたずしっかりあっお、自分を埋するこずができお、盞手にもそういう方を望んでるんだ。でもだからずいっお、わざず、は傷぀く。泣きそうになる。

「でも、今日子さんのLINE。あれはズルい。」

「優先順䜍䞊がったら連絡しお䞋さいっお。埅っお埅っおっお思っお。ピュンピュンッお釣り糞匕かれたらパクッおなっちゃいたした。今日は来おくれお嬉しかったです。」

LINE送りすぎた自分も恥ずかしいしなんだか色んな感情が混じりあう。自分でも䜕から話せばいいのかわからないたた蚀い蚳から口に出しおしたう。

「LINEはごめんなさい。本圓にあんたり自分から送るこずないんです。」

「でも巜さんずLINE亀換できお嬉しかったのず、ちょっず焊っおたした。」

そう、私は焊っおしたった。ただ倧孊生の巜くんに比べお私はもう二十五歳を過ぎおしたった。ほんずは二十五歳たでにお付き合いする人ができればいいなず思っおいた。幎を重ねれば重ねるほど結婚がちら぀いお、奜きだけでお付き合いできる、恋愛できる時期っお短い。
だから、奜きだけで、玔粋なお互いぞの気持ちだけで付き合うこずが出来る恋ぞの憧れがあった。奜きだけではダメなんだずいう巜くんは私なんかよりずっず倧人だ。

「だっお、わたし幎䞊ですし。」

「今日子さん、いく぀なんですか」巜くんがむタズラっぜく笑う。
「干支は」ずさらに続ける。

「蚀いたくないならいいですよ。でも僕は今日子さん、いく぀でも気になりたせん。かわいいですし。」

「僕は前からいいなぁず思っおたしたが、今日子さんは、お札あげた時からですか」

少し思い出しながら、巜くんを意識し始めた頃を懐かしんで蚀葉にする。

「わたしも前からです。ただお昌のシフトにいお倕方はお客さんずしおお店に残っおたずきから。」
「あっ、ストヌキングじゃないですよ。巜さん目圓おで残っおた蚳じゃないです。でも䜇たいずいうかすっず姿勢もよくお声もよく通っお自然ず目にも耳にも入っおくるずいうか、すおきだなぁず思っおたした。」
「倜のシフトになっお、“今日子さん”っお䞋の名前で呌ばれおドキドキしたしたけど、みんな䞋の名前で呌んでるし、すごく女性の扱い慣れおそうで。ちょっずゞゎロずいうかそんなむメヌゞで。ダメダメ奜きになっちゃず意識しないようにしおたした。」
「でも䞋の名前で呌んだりも、職堎の雰囲気良くしたりだし、気遣いもできお、仕事ぞの向き合い方も真剣なの䌝わっおきお奜感床高かったです。」

そんなみんなに優しくお気遣いができる巜くん、奜きにならないわけがない。それに匕き換え私はず、い぀も自信がなかった。

「でも、やっぱり新札頂いお。はじめお巡っおきた新札っお枚だけで。それをくれるなんおちょっずはなんお思っお、たすたす意識しちゃうようになっお。」

「“奜き”を自芚しちゃいたした。」

䞊んで歩いおいた巜くんがこっちを芋る。
優しい県をしおいる。
その県がちらっず䞊を向き䞀呌吞おいおから蚀った。

「蚀わんずこ、思っおたけど」
「今日子さん奜きです。」

嬉しさが胞いっぱいに広がった。
倖の寒さも気にならないけど、差し出されお繋いだ右手があったかかった。

第話 優柔䞍断

昌䞋がりの井の頭公園を䞊んで歩く。
じんわりず䌝わっおくる手の枩もりず感觊。早くなった私の錓動も手から䌝わっおしたいそう。

「今日子さん 奜きです。」

その声が頭に響き、い぀も以䞊に巜くんの顔をたっすぐにみるこずができなくお芖線を萜ずしお歩く。でもその足取りは心ず同じでフワフワず軜く匟んでいる。䜎い芖線の先、わたしず同じように嬉しさで匟むように散歩する犬の姿が目に入った。

「あっ、あの犬。癜くお頭がフワフワしおおかわいいですよね。」

お互い黙ったたたの時間がくすぐったくお気持ちは巜くんに向いたたた、照れ隠しのように唐突に話題を倉える。

「ビション・フリヌれですね、今日子さん奜きですか。ずいうか、犬ず猫なら今日子さんどっち掟ですか。」

そう聞かれお私はどっちだろうずすぐには答えられず、あれこれ考える。

「ビゞョン..フリヌれっおいうんですか。あの癜いモフモフしたワンちゃん奜きです。犬はどっちかっおいうず小型犬が奜きですけど猫もかわいいですよね。」

なんお優柔䞍断な答えだろう。奜きずいい぀぀名前も知らなかったし、他にかわいくお気になる犬もたくさんいる。猫だっおいろんな皮類の猫がいるけどたいおいの猫はい぀たでも撫でおいられるような気がする。

「犬ず猫どっちも奜きですけど···もし自分がなるずしたら、····家猫です。」

巜くんちの猫になれたら幞せだろうず思う。い぀もの敎っおいる巜くんじゃないリラックスした巜くん。それを邪魔しないようにそっずすり寄っお少し䜓重を持たせかけぬくもりを感じおみたい。ああ、でも犬になっおこうしおルンルンしお倖歩きするのも棄おがたい。

「芋た目は 倧型犬の仔犬ですけど。小さいけど手足はしっかりしおる感じで·····。こう、スラッず背が高くなりたかったんですけどね。」

巜くんは倧型犬でシェパヌドのようにキリッずしたむメヌゞだ。そのずなりにはスラリずしお頭もよく䌚話が匟むような玠敵なひずが䌌合うのだろう。私が隣でいいんだろうかず思うけど、巜くんは気にするような様子もなく劙に玍埗したように独り蚀のように呟いた。

「なるほど···、仔犬ですか。」

そのあず、今床は私に語りかけるようにゆっくりず蚀葉を声に出した。

「僕はきたぐれな猫よりは安心感のある犬が奜きです。それず小さい女性、タむプです。」

「だから今日子さんは僕の奜みのタむプのひずで、今日も䞀緒にこうしお過ごせるのも嬉しいですし、こうしお䌚っおみた感想、“楜で心地よい”です。楜っおいうずあれですけど、自分の匱点先に䌝え合えるずかほんずめったにないこずで、肩肘匵らずにいられるずいうか。」

私は倉わらず䜎い芖線のたたで巜くんの蚀葉ひず぀ひず぀にコクリ ず頷く。
私もそうだ。たずピンず䌞びた高い背に目がいっお、あずは声だったりひず぀ひず぀のやり取りがくすぐったくお心地よい。リラックスしおいるかずいわれたらそこは違っおいお、ただドキドキが勝っおいる。

「お互い、そのたたで倧䞈倫です。」

巜くんは少し間をおいおから蚀葉を繋いだ。

「良かったらお付き合いしたせんか。」

“よ か っ た ら お ぀ き あ い し た せ ん か ”

巜くんの声がゆっくりず頭に響いた。思わず顔を䞊げる。錓動が早くなり䞊擊っおしたう声を抌さえるように、気持ちを萜ち着けながら蚀葉を返す。

「·····私で良かったら。よろしくお願いしたす。」

巜くんの顔を芋䞊げた。巜くんは䌞びをするように䞊を向き、深く息を吞っおからニッコリ笑った。

繋いだ手にぐっず力が入っお握手のように握り合う。

「そんな今日子さんはサンタさんにクリスマスプレれントの願い事をしおも、匁倩さたは やきもち 焌かないず思いたすよ。」

「次はクリスマスプレれント、䞀緒に買いに行きたしょう。䜕がいいか考えおおいお䞋さいね。」

優柔䞍断な私だけど、もしこうしお巜くんず䌚えるのなら欲しいものはあった。でもうたくLINEでは䌝えるこずができなかった。

「巜さんは䜕かありたすか。」
巜くんはたたちょっず䞊を向いおからこちらを芋る。
「LINEでたた盞談したしょう。」

LINEはちょっず苊手になっおしたったけれど、今すぐに蚀葉で䌝えられる気もしないので、ちょっず考えおから改めお䌝えるこずにした。

「あっ、今日子さんやきもち売っおたすよ。」

東京やきもち。東京郜の郜立公園内の売店で人気のお団子。俵にたくさん刺しおあるお団子たちにそれぞれ顔が぀いおいる。くるみ味噌・醀油・みたらし味の3皮類が遞べるようになっおいる。

「寒いから食べおあったたりたしょう。今日子さんどれにしたすか。」

癜いお団子の䞀番䞊のお逅に少しず぀衚情の違う顔が぀いおいる。少しずがけたような顔をしおたくさん俵に立っおいる様子はゞブリの䜜品『もののけ姫』に出おくる“こだた”みたいだ。

どの子にしよう。味はみたらしもいいけどくるみ味噌も気になる。うん、決めた、みたらしは口のたわりに぀きそうだし。

「このお団子で、くるみ味噌 お願いしたす。」

「じゃあ僕も同じで本お願いしたす。」

食べながら、巜くんがいう。
「さっきの悩んでるずこ可愛かったです。女性はよく悩みたすよね。やきもちも女性の方が焌くこず倚いような。」

「···でも、こんなかわいい顔じゃなくもっずおっかないですよね。やきもち焌くっおよく分からないです。分からなくお面倒になっちゃうこず、ありたした。」

たた、前の圌女さんのこずだろうか。前の女性の話を聞いおも特になんずも思わない。やきもちっおある皋床察等じゃないずやける間柄にならないず思う。わたしず巜くんはただ劬いたりするような段階にはなっおない気がするけど、この先、やきもち焌いおしたうこずも出おくるんだろうか。やきもち焌いお面倒に思われたくないなず思う。

始たったばかりの関係だけどもう倱いたくない気持ちでいっぱいになった。


第話 本圓にほしいもの 

付き合いたしょうずなったけど、䞀緒にいる時間以倖は片思いず倉わらない。倉わらないどころか前より䞀局奜きが募っおる。䞀緒にいる時間はあっずいう間に過ぎおしたうし思い出そうずしおもフワフワしおお雲の䞭にでもいたみたい。はっきりず思い出せるのは頭の䞭に響いた蚀葉だけで、それを巜くんの声でリピヌトしたいのに自分の声になっおしたう。

「次はクリスマスプレれント、䞀緒に買いに行きたしょう。䜕がいいか考えおおいお䞋さいね。」

目を閉じお思い浮かべる。

欲しいものはもうあった。
でも、それは“もの”じゃない。

でも. ず考えおデヌトの玄束のLINEに返事をした。

         ヌ
         決めたした
         よければ. おサむフがいいです。
         ヌ
tatsumi
ヌ
わかりたしたおサむフですね
䞀緒に買いに行きたしょう
奜きなブランドありたすか。
お茶でもしながら盞談しお
ショッピングでどうでしょう。
          ヌ
          はいうれしいです。
          クリスマスデヌトなので
          ケヌキずかどうですか。
          ヌ
tatsumi
ヌ                  
いいですね 
ボクはモンブラン奜きです。
ヌ
          ヌ
          ワタシもデス. ♡
          ヌ

ワタシもデス 。これこれ、これが蚀いたいの。
嬉しさが蟌み䞊げおくる。

「今日子さん 奜きです。」ず蚀われた埌で小さい声で「ワタシもデス 」ず呟いた。巜くんが「なんかズルいなぁ。」ず笑った堎面を思い出す。

ワタシもデス がいっぱいあるずいいなぁなんお思っお『耳はかさかさタむプですか、しっずりタむプですか』なんお質問をたくさん考えおしたうのにどうでもいいか、ず質問はできずにいる。同じタむプか違うタむプか、違っおそうな気もするし同じような気もする。

モンブランを食べ終わっおじっず巜くんの耳を芋る。
「ん、どうかしたした」ずくすぐったいような玠振りで目を现める。

「 なんでもないです。」
あなたの耳の䞭が気になりたすなんお恥ずかしくお目線を倖し銖を降る。

「おサむフはお揃いにしたすか。」ず蚀うのでそれには慌おお手を振る仕草も぀けお吊定した。

「おサむフは ひず぀でいいんです 。」
 
そう、ひず぀がいい。

「本圓いうず 欲しいのはおサむフじゃなくお䞀䞇円の゚ピ゜ヌドで 。新札の、枋沢さんの。」

「巜さんにあの千円ず五千円の新札を頂いたの、あれがずっおも嬉しくお。䞀䞇円の思い出もできれば欲しいです。もし䞀緒に出かけるようなこずがあるなら䞀䞇円でデヌトするのもいいかも、なんお考えたんですけど五千円、五千円の䞀䞇円だず新札の䞀䞇円の゚ピ゜ヌドにならなくお。」

「だから 、二人がたず新札の䞀䞇円を出しあっお、枚の䞀䞇円はデヌトに䜿っお、もう枚の䞀䞇円はお付き合いしおいる間は倧切におサむフの䞭に取っおおくなんおどうでしょう。おサむフはそれを入れおおくための二人のおサむフで、こうしたデヌト代ずか、蚘念ずなる新札の䞀䞇円を入れおおきたいです。だからおサむフは䞀぀でいいし、ブランドには特にこだわりはないです。」

「あっ、でもお札は折れないほうがいいから長財垃がいいです。」

なんか自分の垌望ばっかり蚀っおしたっお、倉におもわれたかなぁず思う。ほんずはこの間の初デヌトを予算䞀䞇円で、新札の䞀䞇円で出来たら、少なくずも二回デヌトしおくれるならなんお䞀䞇円の゚ピ゜ヌドができるなぁなんお勝手にひずりで劄想脹らたせおいたけれど、LINEの䞀方通行では、ずおもそんなこず蚀い出せなかった。

でも、䞀緒に出かけるず巜くんは党郚デヌト代持っおくれようずするし、気を利かせおたたにはこちらでなんお芞圓も私にはハヌドルが高い。だからどちらかが持぀じゃなくお、䞀緒に二人のおサむフからがいい。

「なるほど 。じゃあ買いに行きたすか。おサむフは今日子さんの奜きなの遞びたしょう。今日子さんに持っおお欲しいです。」

巜くんがそう蚀っおくれおほっずする。

「ありがずうございたす。モンブラン矎味しかったですね。」
立ち䞊がっおテヌブルの䞊を芋枡すず「お䌚蚈もう枈んでたす。」ず蚀っおあっず笑った。

「じゃあ .今日のずころはごちそうさたでした。」
「次からは二人のおサむフからですよ。」
軜く頭を䞋げおから、たた笑いあった。

吉祥寺はおサむフを眮いおあるお店も倚い。お倀段もそれなりで安くない。

「今日子さんは買い物よく行くんですか。」
「よく .でもないですけど、出かけお気になっちゃったら買っちゃう方です。ほら、お掋服ずかっお出䌚いですから。誰かずこうしお買い物にくるこずは私にしおは珍しいです。」
悩むわりに盞談しない。でも気に入ったらパッず買っおしたう。

やっぱりこの前買ったおサむフの方がいいなぁず思い返す。通い始めたむラスト孊校の近くのお店で芋぀けたもので、スリムでL字ファスナヌの小さめの長財垃。真ん䞭の仕切りの䞭に小銭を入れるようになっおいおその仕切りの偎面にカヌドも二枚皋床なら差し蟌めるようになっおいる。お札は仕切りを挟んだ䞡偎に入れるこずが出来る。

クリスマスのプレれント、おサむフがいいなぁず思っおから自然ず目に入ったおサむフで、デザむンも革の質感も色んなバリ゚ヌションがある䞭から、黒の光沢があるしっかりずしたクロコダむルのような型抌しがされおいるものを遞んだ。
巜くんが気に入るのがあればい぀かプレれントしたいなぁず思っおいた。

「実はこの前、出䌚っおしたったおサむフがあっお良ければそれにしたいんですけど 。私の遞んだのでいいですか。」
うん、やっぱりあのおサむフがいい。
二人のおサむフだけどお䌚蚈するずきには巜くんに立っお欲しいから。
巜くんに、うん、しっくり銎染みそうな気がする。
少し芋䞋ろすように芋る巜くんず目があった。

優しい優しい目をしおいる。

「今日子がいいなら。そうしよう。」
「プレれントもたた欲しいものに出䌚ったらそのずきにしたしょう。」

「 .それに .、早くふたりになりたいです。」
ちょっずむタズラっぜい目になった。
「ちゃんず宿題も考えおきたしたか。“巜さん”じゃない呌び方を。」

たた䞍意にドキドキするこずを蚀っおくる。

「それは、あずで 。」

い぀もくすぐったくなるようなささいなやり取り。それがなんずも蚀えず奜きで照れおしたう。ふたりにどれだけ時間があるんだろう。
こんな、やり取りが続けばいい。

倜、家に垰っおから、ゎ゜ゎ゜ず封筒を探す。
お財垃に付き合い始めたふたりの蚘念になる新札の䞀䞇円札を入れるための封筒だ。最初にふたりがそれぞれ䞀䞇円を甚意する。
目の前に少しシワの入った䞀䞇円札。取っおおく方はこの䞀䞇円にしおおきたい。
付き合うこずが出来るようになっお、ひずり井の頭公園の匁財倩さんにお瀌参りに行っおきた。願いを蟌めお新札の䞀䞇円に氎を回しかけた。氎気をよく拭き取っおから本に挟んで垰っおきたけど少しポコポコしおいる。

だけど、いいよね。

䞀䞇円にかけた願いごずは巜くんには内緒にしよう。
そう玄束じゃない、願いだから。
今日、䞀緒に過ごせたこずに感謝する。
それが積み重なっおいけばいい。

『い぀たでも䞀緒にいられたすように』そんな気持ちは、ほんのり透けるぐらいがちょうどいい。


      
       封筒を探しおいる
      できるだけ薄い封筒を
    薄い玙越し どうかお守り䞋さい
       
      幞せのお札がい぀たでも
                      ãµãŸã‚Šã®å±…堎所に
                     èˆžã„蟌んできたすように   
 


 

゚ピロヌグ


少しシワの寄った枋沢さんを手のひらで抌さえるように撫でおから、入れるための封筒を探す。巜くんがくれたような薄いものがいいず棚の䞊の封筒を芋る。

んこの封筒。これで良くない

巜くんが最初にくれた二人のきっかけずなった封筒。䞭には巜くんがくれた新札、北里さんず梅子さんを入れおいる。お二人はこちらにず、ビロヌドの生地が貌っおあるゞュ゚リヌBOXの匕き出しに移し、愛着ある封筒に少しシワがあるけど新札の䞀䞇円を入れお、黒のクロコダむルのような型抌しがしおあるおサむフの䞭に倧事にしたった。


「今日はどのオムラむスにしよう。」
奜きなものがハッキリしおいおなんでも定番がありそうだず思っおいた巜くんは、意倖ずチャレンゞ粟神旺盛でこの店のオムラむスの党皮類制芇を狙っおいる。

「今週は頑匵ったからハンバヌグものせる。」
そう蚀っお子どもがすきなメニュヌが奜きなんです、あずは焌き肉かなず色々奜きなものを教えおくれる。

「今日子さんは」ず聞かれおも、これが奜きずいうのがすぐに答えられない。
「苊手なものはチヌズずわさびであずはなんでも 。その時の気分にあったものが䞀番です。今日の気分は 、たらこスパゲッティに決めたした。」ず泚文した。


「あっそうだ。コレ、持っおきたした。二人のおサむフです。」
カりンタヌでポコポコず音を立おるサむフォンの音を聎きながら、黒のおサむフを出しお芋せる。

「䞀䞇円を入れたらいいんでしたね。新札ですよ。」ず巜くんは自分のおサむフから取り出しおくれた。

「ありがずうございたす。私のはもう入っおたす。」
そう蚀っおおサむフを芋せるず「あの封筒ですか。」ず笑った。

「はい。眮いおおくお札はこっちでいいですか。今日のお䌚蚈から巜さんの䞀䞇円䜿わせお頂いお、少なくなったら人ずも䞀䞇円を足しおいくなんおどうですか。次からは新札じゃなくお倧䞈倫です。」

「うん。分かりたした。」

ふたりで目の前に眮かれた珈琲の薫りを味わう。
ほんのりず立ち昇る癜い蒞気ずゆっくりず暡様を描いお沈んでゆくフレッシュを芋ながら蚀葉を継ぐ。

「あずこの蚘念の、封筒に入った䞀䞇円ですけど 。
もし、 もし、お別れするこずがあったらその時は、この䞀䞇円で䞀緒に矎味しいものを食べたしょう。なんずなく連絡がなくなっお、そのたたフェヌドアりトになっおしたうのはむダです。」
そう、ボッチになっおひずり取り残されおしたうなんおもうむダでそんなこず考えたくない。

「なにを、たた。」この人は ず少し呆れるような顔をしながらも、深い息を吐いおから「今日子がいうならいいですよ。」ず静かにいった。

自分に自信がないから、すぐに、だっおだっおが出おきおしたう。ずっず䞀緒にいたいけど、そう出来なかったずきはせめお矎味しいものを䞀緒に矎味しく感じるこずができる皋床のいい関係で終わらせたい。

「その時のメニュヌ、䜕がいいかはただただ決めたせんよ。」ず笑った。



春が来お桜を芋おは来幎もたた䞀緒に芋たいず願う。
今はもう新緑が眩しい。

そんな䞭、新しいアルバむトの孊生が入っおきた。
巜くんの倧孊の埌茩で地元も同じらしい。圌女目圓おにくるお客さんにも明るく接客しおもう人気者になっおいる。
仕事にも熱心で「巜さヌん、巜さヌんっ。」ず声が聞こえる。他のメンバヌずもすぐ銎染みキャッキャ、キャッキャず楜しそう。

近くを通り過ぎるずき思わず俯いお早足になった。

盞倉わらず連絡するのは私からだけど、巜くんになんずなく連絡できないでいる。

だっお、圌女、小さいし。若いし。
可愛くお、キャッキャキャッキャず仔犬みたいだし。

話が盛り䞊がっおいるなか通りがかった私に「あっ、今日子さん。」ず声をかけおくれる。
巜くんだ。い぀もず倉わらない真っ盎ぐな声。

でも口角だっお動かさないたた力なく笑い、その堎から気持ちはもう逃げおいた。


倜になっおLINEが入る。

tatsumi
─
今日、䜓調わるそうだったけど
倧䞈倫
─
䜓の具合じゃないけど心がしんどくおツラいのです。
無理しお平気なフリもしたくない。

      ─
      正盎にいいたす。
      やきもち です。
      ─

tatsumi
─
ええヌ、やきもちなの
誰に、誰に。
─

そのあず、なんか完党に面癜がるから開き盎った態床を取っおしたった。巜くんは人ずの間合い瀌節を倧切にするおサムラむさんなのをすっかり忘れおた。私だっお自分のむダなずころ芋おしたっおしこりずなっお残っおいる。

LINEはたた、既読にならない日が続いおいる。

残りが少なくなった二人のおサむフが目に入った。
このたた終わっおしたうのかな。最埌になるかもしれないけどずメッセヌゞを送った。

     ─
     この前はごめんなさい。
     私の方はただただ矎味しいもの
     食べに行きたい気はありたす 。
     たた䞀緒にゎハン行けるなら連絡䞋さい。
     ─

翌朝、既読にはなったけどメッセヌゞは入らない。
もうダメかずお昌近くにスマホを芋るずメッセヌゞが入っおいた。

tatsumi
─
今日はランチただ間に合う
色々思うずころもあったけど
仲盎りしたいです。
─
返事を送っおオムラむスのお店に向かう。
早く䌚いたくお時には、ず䌝えたけれど今日は私が遅刻しそう。先に来おいる巜くんをバツがワルくチラッず芋䞊げお聞いおみる。

「最埌のゎハン 、じゃないですよね。」

「今日子は最埌がいいの」

「最埌なんお無理です。ずいうか最埌に䞀緒にゎハンなんお蚀ったのに、こんな状態で䌚っおゎハンなんお無理だヌ、なんお思っおたした。」

「それは 」ず䞊を芋䞊げおから
「お互い様でしょ。」ずこちらを向いた。
その蚀葉を聞いおやっず暫くぶりに顔を芋る。
頭をぜんぜんしながら「小さいだけじゃないから。」ず蚀う。

「うん。」
「ちゃんず蚀葉で䌝えおくれようずしおるのはわかっおたす。その蚀葉にり゜がないのも。」

「でもオムラむス食べお矎味しいっおいうのず同じでその蚀葉はその時の気持ちっおこずで、その堎その堎で倧事に受け取りたす。」

「䞀期䞀䌚っおこず、かな。」

「そうです。その時々ず積み重ねおいくもの、䞡方倧事にしおいきたいです。だからこの間の態床は悪かったです。ご免なさい 。蚱しおくれたすか。」

巜くんもチラッずおどけるような顔をしおから蚀う。
「僕たちはお互いカれを匕いたんです。」
「もう、倧䞈倫。オムラむスいきたしょうか。」

やきもちはもうすっかり食べおなくなりたした。
おなかいっぱい。今床は別のを食べたすね。
そう心の䞭で呟いお、カバンの䞭、おサむフを確かめおから右手を繋いだ。

垰ったらおサむフの䞭の封筒に北里さんず梅子さんだっお䞀緒に入れよう。そしたらきっず寂しさなんお感じない。

䞀䞇円ず䞀䞇円 ず五千円ず千円ず。
フィフティ·フィフティじゃなくおいい。
倚すぎるぐらいが䞁床いい。
それがほんのり透けおみえるぐらい。
それがきっず私には䞁床いい。


なんのはなしですか

枋沢さん ず 北里さん ず 梅子さん

それは封筒にしたった私だけの秘密のお話



いいなず思ったら応揎しよう