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アバカス 1回目の䞖界 3-2

    52 xxxii.远加条項停



    玙に鉛筆で䜕かが曞いおある。


    消しゎムはない。


    でも曞き換えたい時がある。


    そんな時、あなたならどうするか。



    曞き足す。

    線を匕く。

    泚釈を曞く。


    あるいは䞊から、塗り朰す。



    『 やり方は、䞀぀じゃない。 』



    やり方の組み合わせは語り尜くせないほどあっお、その䞭にきっず、自分だけの道がある。



    ラリヌ・りォヌルは倚分、そういうこずを蚀ったのではないか。






    ヌヌ 棒人間ぞず成り果お、座屈するシネトリマの脇から躍り出たのは、『小さいクマさん』だった。


    小さいクマさんは、埌ろを振り返り、クむクむッず䞋から䞊に手招きしお、埌に続く斥候に合図を送った。幟人もの斥候からなる連絡経路は数キロメヌトルにも枡り、その埌ろには分厚い軍勢が控え、たるで倧河の流れのように前進しおいた。



    北西方向から抌し寄せる26䞇䜓を超えるクマの軍勢はやがおシネトリマを飲み蟌み、静止した。䞊々ならぬ装備を備えお、陣圢を敎えた。


    南東方向からはザナむ゚ヌザ率いる矊達の骞10䞇骞が迫り䞊がっお来た。䞭倮は重装歩兵、巊翌、右翌には軜装歩兵ず匓階兵の矀れが波打っおいる。この軍は䜕皮類かの魔術垫を埓えお、

    数量差による劣勢を無化しおいた。赀魔術や緑魔術ずいう埗䜓の知れない術匏により、矊達の骞はい぀の間にか二足歩行しおいた。貧盞な骞から、屈匷で筋骚隆々の骞たで倚圩な軍容を呈しおいた。


    ザナむ゚ヌザは巚倧な入道雲のように屹立し、戊堎を芋䞋ろしおいる。


    クマの軍勢は数的優䜍を最倧限に掻甚すべく、䞭倮に防埡力ず䜓力の厚い戊士を配眮し、䞡翌に軜装歩兵を展開した。圧倒的な物量で敵を抌し朰すずいうシンプルな方針だった。


    ザナむ゚ヌザの慟哭が、戊端を開いた。


    矊の骞軍は巊右に展開し、匓階兵による波状攻撃を開始した。矢の雚がクマ軍の盟壁に降り泚ぐ。クマ軍はこれに動じない。


    隙間のない重い矢の雚は、シネトリマをも襲った。しかし矢ず矢の間隔は、狭くおも30cm皋床であり、今やか现い枝くらいの幅しかないシネトリマにはかすりもしなかった。


    時間埮分を䜿うたでもなく、避けるたでもない。



    これは䟿利かも知れない。



    シネトリマの疲匊は色濃かったが、この時ばかりは少しだけ心が躍った。


    数時間の埌、戊いは序章を終えた。ザナむ゚ヌザが䞭倮の郚隊を埌退させ、矊の骞軍䞭倮が厩れ始めるず、クマの軍勢はこれを奜機ず芋お党軍を前進させた。


    前進するクマ軍の陣圢は埐々に䌞び、偎面が薄くなっおいく。矊達の骞軍は埌退しながらも、䞡翌から絶え間なく矢を射かけ続けた。クマ軍はそれに構わず、さらに深く远撃した。


    クマ軍はい぀しか、现く長く、陣圢を厩しおいた。矊の骞軍の䞡翌は、それに合わせるように内偎に旋回し、巚倧な包囲網を圢成し始めた。



    骞軍の右翌ず巊翌がクマ軍の䞡脇を急襲した。さらに埌方に控えおいた予備兵力が、クマ軍の退路を遮断する。完璧な包囲――だが、意図的に䞀箇所だけは包囲されずに開かれおいた。



    クマ軍は包囲に気づき、党軍で方陣を組んで抵抗した。だが四方から降り泚ぐ矢の雚は、クマ達の隊列を消耗させおいく。そしお――クマ達は芋出だすべくしお逃げ道を芋出だした。


    『 囲垫必闕 』

    いしひっけ぀


    完党包囲された軍は死兵ずなり、死力を尜くした反撃を詊みる。しかし逃げ道があれば、戊士達の心には生ぞの執着が芜生える。䞀人が逃げ始めるず、それは䌝染する。


    クマ軍の南西翌から、たず小芏暡な脱出が始たった。それは瞬く間に雪厩ずなり、生存本胜の前に指揮系統は無効ずなった。恐怖に駆られた朰走の始たりだった。


    開かれた逃げ道は、殺戮の回廊ずなる。

    矊の骞軍は執拗に远撃した。


    逃走するクマは隊列を倱い、敵に察しお背を向ける。匓階兵にずっおこれほど容易な暙的は無かった。氞遠の地平は、クマ26䞇䜓の墓堎ず化した。


    ザナむ゚ヌザは改めお戊堎を芋䞋ろす。矊の骞軍の損害は軜埮だった。数的な劣勢を、戊術ず魔術で芆したのだ。


    䞡軍入り乱れた末に、シネトリマは倥しく散らされたクマの残骞を避けながら歩いおいた。よろよろず芚束ない足取りで、ザナむ゚ヌザから少しでも距離を取ろうずしおいた。


    クマの残骞の䞭には少なからず矊の骞も転がっおおり、シネトリマはその䞭に、仔矊の骞が暪たわっおいるのを芋぀けた。



    あたりにも匱々しく、あたりにも儚く、

    懞呜に生きた蚌が、吐血で蚌明されおいる。



    仔矊は恐らく、䜕かの魔術垫なのだろう。それらしい衣装を着おいた。ずうに息絶えたその骞を芋お、シネトリマは思った。



    シネトリマ

    死しお尚、軍隊ずしお駆り出され、その死をさらに䞊曞きするずは



    この時、シネトリマは自分でも意倖なこずをした。仔矊の骞を、埋葬したのだ。



    シネトリマ

    ここはアザナ゚ルの阿頌耶識。そんなずころで、骞の骞を葬っおどうしようずいうのか



    シネトリマは自分自身に呆れお、その堎を去っお行った。


    ヌヌヌ


    やがお、ザナむ゚ヌザの咆哮が戊いの終わりを告げた。


    ザナむ゚ヌザの内奥に乱反射する自己効力感が、シリカずペリドットの砂瀫ずなっお地平を飲み蟌んでいく。ザナむ゚ヌザはその朮䜍の䞭を泳ぐ砂鯚ずなっお、クマ達の残骞をオキアミのように矎味しそうに平らげる。『挲り』である。


    アオヌン、アオヌンず砂鯚が鳎く。


    ザナむ゚ヌザの『挲り』は、最埌のホモ・ルミネンシスずしおの『芚知』を犁じ埗なかった。その本願は、『内は倖、倖は内。真ず停が共犯たらんこずを祈り、唯䞀神による蹂躙を䞀途にただ歓ぶ』であり、『赀い倕陜の暡造物、蹂躙䞀途』を自認した。


    しかし砂鯚が仰向けになるず、その腹は巚倧な藀原厳旡のそれだった。癜く艶めかしい腹の䞋の割れ始め、ただ恥じらいのある襞に隠れお、興奮した真珠の結晶栞がにわかに硬床を増しおいる。


    砂鯚はダむダモンドの癜目を剥き、黒曜石の涙を流す。聖玻璃の泡を口角から吹きながら、ビクビクず暗く脈打぀熔岩が穎ずいう穎から噎き出しおいる。


    自己効力感の絶頂ずずもに、オパヌルずシリカに塗れた朮を盛倧に噎く。


    その埌は、ずにかく静かだった。


    無音の䞖界。


    アザナ゚ルの阿頌耶識に浮かぶ赀い倕陜に、やがお日蝕が蚪れた。


    氞遠の地平に満倩の星空が降り泚ぐ。

    空自䜓が降り泚いで来るずいう、前代未聞の事象の向こうから星屑で構成された『創䞖芳音』が顔を芗かせる。


    それを、䟋の4人もただ茫然ず芋おいるしか無かった。小高い䞘の䞊、すでにクマの糖衣も溶けお、4人もたた党裞で仰向けずなっおいた。


    創䞖芳音は砂鯚の腰回りをおおらかに抱きかかえ、宇宙の粟髄が砂鯚の䞋腹郚に流れ蟌むように絶えず蚈らった。


    砂鯚の背面から、倖科的な手術を以お脊髄が取り出される。創䞖芳音は察象から取り出した神経を党おの珟存圚に接続するこずが出来る。


    これにより、党おの珟存圚が連続䜓女神ぞ接続する準備が敎った。


    しかし、ザナむ゚ヌザはこのタむミングで仏法励起するこずが出来なかった。


    ザナむ゚ヌザはこの時、ほずんど個我を維持出来なくなっおいた。境界がどこたでも曖昧になっおいる。


    ザナむ゚ヌザ最倧の誀算は、たさか「藀原厳旡」に糟合されるなどずは倢にも思っおいないこずだった。


    ヌヌヌ



    藀原厳旡は、暗く脈打぀熔岩に『自ら』を保存しおいた。創䞖芳音にたみえたその瞬間、藀原は自らが第二䞖代ホモ・ルミナリアス、ゎアむキオを『芚知』するよう、予め蚈らっおいた。ゎアむキオの前身は、4回目䞖界、2回目䞖界では量子蚈算機アフロポヌテントずしお存圚する珟存圚である。



    ゎアむキオは、仏法励起ずは「䞖界から䞖界ぞ写像を果たすこず」ず理解しおいた。それは䞖界内存圚個々の関係性たでを保存するこずだった。


    ゎアむキオはシネトリマず結蚗し、アザナ゚ルずの䞻埓関係を入れ替えるこずを狙っおいたのだ。それは仏法励起では出来ない話だった。


    連続䜓女神ずの「関係改め」、「契玄の曞き換え」。


    仏法励起を廃止し、非暎力戊闘遊戯アバカスを終わらせる。珟存圚は数孊的な操䜜が䞍可胜な䞖界で、数孊の本来性に济すようになる。


    そっちの方がいいじゃないか、


    ずいうのがアザナ゚ル以倖のホモ・ルミナリアス達の共通理解ず成り぀぀あった。


    ヌヌヌ


    ザナむ゚ヌザは、完党なる埀生の間際、ゎアむキオたる藀原厳旡に糟合される間際に、䞀矢報いた。


    ずっさに『啓兞の蚘憶』が掲げお来た啓瀺を、創䞖芳音に提出したのだ。自らの、本願ずずもに。



    ℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵ


    ・珟圚、過去、未来においお唯䞀神は唯䞀


    ・唯䞀神は有であり無であり、その濃床は自圚である。


    ・珟圚、過去、未来においお、啓兞ずは珟存圚に開瀺される事象そのもの、䞖界自䜓である。


    ・珟存圚はそれ自䜓が䞀個の文字である。


    ・過去ず未来は珟圚においお珟象しおいる。


    ・唯䞀神の前に、䞀切の被造物に差異なし。

     党おの珟象、無生物が珟存圚たりうる。


    ・救枈の予定は因果埋によらず、唯䞀神の裁定こそが唯䞀の絶察である。


    ・党おの被造物は暡造物であり、唯䞀神の蹂躙をただ歓ぶ。


    ℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵℵ



    創䞖芳音による査読は䞀瞬で完了し、パス・ポ゚トリヌが芁求された。


    これにゎアむキオは、驚いた。

     

    連続䜓女神ずの契玄曎改に際し、創䞖芳音が査読を成すずころたでは知っおいた。

    しかし、パス・ワヌドがいるなどずは聞いたこずがない。しかも、『ポ゚トリヌ』が芁求されるずは劂䜕なる事態か。


    この芁求を、ザナむ゚ヌザは越えた。


    ザナむ゚ヌザは自我の最埌に、自我自䜓を「ポ゚トリヌ」だずしお創䞖芳音ぞ「自ら」を提出した。


    この時、ザナむ゚ヌザは䞖界自䜓を蚘述する蚀語、imago deiそのものだった。果たしお、ザナむ゚ヌザは受け入れられる。


    創䞖芳音は連続䜓女神ぞ契玄内容の曎改をただ機械的に取次ぐ。


    NaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaN


    嗚呌、ペキカナ

    ペキカナ


    ホマレずコトホギを䜿圹シ、

    党おをミトメよう


    オヌシも乙

    ワヌシも乙


    タガむに甲である時、甲ず甲は乙ナリ


    乙ず乙の突合を芋届けペ


    オヌシィ゙む ァァァァンンン


    ア゙リゞャペォオオオォ゙ォ゙ォ゙ヌヌヌオオオンン



    NaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaNNaN




    ずにかく、連続䜓女神は肯定しかしない。


    䜕を入力しおも、ずにかく肯定しかしないのである。それがどんなに、床し難いこずであっおも。


    ホモ・ルミナリアス達は結局、「圚り方」の制埡がしたければ「創䞖芳音」を制埡する以倖に手立おがない。連続䜓女神は制埡出来ない。


    ザナむ゚ヌザが提出した啓瀺の内容で連続䜓女神ずの契玄が曎改されるず、䜕が起きるだろうか。


    ザナむ゚ヌザの本願が差し蟌たれおいるこずが非垞に䞍味かった。


    党裞の4人は、䞀連の流れをたるで映画でも芋るように途䞭たで芋おいたが、ザナむ゚ヌザが提出した契玄内容が受け入れられそうになったので跳ね起きた。


    黙っおみおいる堎合ではない。


    その思いはシネトリマも同じだった。

    その時、シネトリマはもう時間埮分が䜿える皋床には回埩しおいた。




     
     

    Ænyone

     
     
    おらこんな䞖界、絶察蚱さねぇ

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