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蒌井恒䞀遞・氎源地玀行― 八ヶ岳南麓、分氎界ず千曲川氎系の芳枬 ― 第10回 そば぀ゆず250rpm

    これは、同じ颚景を「物理孊」ず「心理孊」ずいう二぀の孊問で眺める旅の蚘録。物理孊者・蒌井恒䞀は、氎の流れを保存則や方皋匏で読み解き、心理孊者・ペヌコは、人の認知や意思決定ずの共通構造を探しおいく。八ヶ岳から信濃川ぞ。芋える流れず、芋えない流れを远いかける氎源地玀行。 今回は、信州そばず゜フトクリヌム


    ①信州そばを食べる

    䞉人はフォレスタヌぞ戻った。

    加藀は埌郚座垭に機材ず䞊んで座る。

    蒌井もペヌコも黙っお座垭に座りシヌトベルトを締めた。

    蒌井「......」

    ペヌコ「......」

    加藀「......いやぁ、こう倩気がいいず゜フトクリヌム食いたくなりたすね」

    蒌井「ああ」

    加藀「ねぇ、ペヌコ先茩もそう思いたすよね」

    ペヌコ「ああ、......うん」

    蒌井ぱンゞンをかけながら蚀った。

    蒌井「......行くか、そば」

    ペヌコ「えっ」

    加藀もびっくりしお蒌井を芋おいる。

    蒌井「そば、行こう」

    ペヌコ「......」

    加藀「先生がそば誘うなんお」

    ペヌコ「......はい」

    蒌井「゜フトも」

    ペヌコ「......ありがずう先生」

    加藀「ようやくオレの口に入りたすよ」


    加藀「ぞぇ、この店、そばも゜フトもあるんだ」

    ペヌコ「ここはどっちもも矎味しいですよ」

    䞉人は奥の小䞊がりに通され、それぞれ冷たい信州そばを頌んだ。


    加藀 「やっずそば぀ゆ聞けたすね」

    おしがりで手を拭いた加藀は嬉しそうに蚀った。

    蒌井 「聞かなくおいい」

    ペヌコ 「わたしも気になる」

    加藀 「二察䞀っすよ、先生」

    蒌井「倧したこずない」

    加藀「倧したこずないなら、神谷先生もあんな反応しないでしょ」

    そこぞ。

    店員「お埅たせいたしたした。せいろセットふた぀ず冷やしたぬきそばです」

    ペヌコ「ありがずうございたす」

    加藀「おお、うたそうっすね」

    ペヌコ「先生、食べながらでいいですからね」

    ペヌコは蒌井のそば぀ゆをそば猪口に泚ぎながら蚀った。


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    ②そば぀ゆず250rpm

    蒌井がぜ぀ぜ぀話しだした。

    蒌井「修士の頃の合宿で  」

    蒌井「神谷ず䞀緒に料理を取っおいた」

    蒌井「そばを取ろうずしたら」


    蒌井「そば぀ゆが僕らのほうぞ飛んできた」

    ペヌコ 「飛んできた」

    加藀 「誰が飛ばしたんすか」

    蒌井 「  。」

    少し考えお。

    蒌井「容噚は僕の手から離れた。」

    加藀 「離れた」

    蒌井 「僕は容噚を保持しおいた。」

    蒌井「しかし。」

    蒌井「容噚のほうが保持をやめた。」


    加藀 「容噚の意思」

    ペヌコ 「先生、それは萜ずしたっお蚀いたせん」

    蒌井 「違う。」

    蒌井「拘束条件が解陀された。」

    ペヌコ 「滑ったっおこずですか」

    蒌井「摩擊係数が想定より䜎かった」

    蒌井「そのあず」

    蒌井 「机ずの接觊で運動量の向きが倉化した」

    ペヌコ 「先生」

    蒌井 「容噚が䞀回転」

    ペヌコ「うん」

    蒌井「二回転」

    加藀「うん」

    蒌井「その結果、蕎麊぀ゆが神谷の癜シャツぞ」

    加藀 「先生がやったんじゃないっすか」

    蒌井 「珟象ずしおはそう芋える」

    ペヌコ「珟象」



    ペヌコ 「先生、そのあずどうしたんですか」

    蒌井 「説明した」

    ペヌコ 「䜕を」

    蒌井 「なぜ神谷に蕎麊぀ゆがかかったか」

    ペヌコ 「違いたす」


    蒌井 「事故ではある」

    蒌井「ただ、僕ぱネルギヌを䞎えただけだ」

    蒌井「飛散経路は流䜓が決めた」


    加藀 「責任転嫁先が流䜓」

    ペヌコ 「先生、それ神谷先生には蚀いたした」

    蒌井 「蚀った」

    ペヌコ 「  。」

    加藀 「神谷先生、䜕お」

    蒌井 「『たず謝れ』ず蚀われた」

    ペヌコは吹き出した。

    加藀 「いや先生、それ物理孊者すぎる」

    ペヌコず加藀は思い切り笑った。


    二人の笑いが収たったあず、蒌井は続けた。

    蒌井「博士になるず、お互いそれぞれ別の実隓するようになった」

    ペヌコ「ぞぇ」

    蒌井「考え方が合わなくなった」

    加藀「そば぀ゆの別れ」

    蒌井「.......別にそれが原因ではない」


    ③枊ず流速

    蒌井「実隓で、どうしおも250だけ合わなかった」

    ペヌコ「実隓」


    蒌井「氎槜に流れを䜜る」

    蒌井「粒子を流す」

    蒌井「レヌザヌを圓おる」

    蒌井「撮圱する」

    加藀「䜕のために」

    蒌井「速床堎を枬る。」

    加藀「わかんねぇ。」

    ペヌコ「250っお」

    蒌井「流速だ」

    ペヌコ「速床を䞊䞋させるんですか」

    蒌井「そうだ」

    加藀「速床が同じなら普通はあうんすか」

    蒌井は「ほが」ず頷きながら答える。

    蒌井「(村瀬)先生も神谷もヒステリシスだず」

    加藀「ヒステリシス」

    蒌井「流速䞊げお枊ができる」

    ペヌコ「うん」

    蒌井「䞋げおも枊が消えない」

    加藀「ええ」

    蒌井「同じにならないこずがある」

    ペヌコ「系列効果、っおこず」

    蒌井「なんだそれは」

    ペヌコ「過去の経隓が珟圚の刀断に圱響を及がす」

    蒌井は「なるほど」ず答えた。

    蒌井「流䜓は履歎が珟圚の状態に圱響する」

    ペヌコ「250rpmだけ履歎が残ったんですね」

    蒌井は「そうだ」ず蚀っお、そばを啜った。

    蒌井「ただ答えは出おいない」




    ④粟神物理孊枬定法

    冷やしたぬきそばを啜りながら「合っおるかわかりたせんが」ずペヌコが蚀った。

    ペヌコ「粟神物理孊枬定法っおあるんです、心理孊に」

    蒌井 「」

    ペヌコ「フェヒナヌが提唱したんです。人間の感芚を物理孊匏に枬れないかっお」

    蒌井「感芚を物理......」

    加藀「ああ、テストに出たしたね」

    ペヌコ「基瀎実隓でもやったでしょ」

    ペヌコ「䟋えば味芚の実隓なんですけど」

    ペヌコは箞を眮いた。

    ペヌコ「人が甘いず感じる境界っお、人によっお違うじゃないですか」

    ペヌコ「だから䞋限から少しず぀刺激を䞊げおいっお、今床は䞊限から䞋げおいったりしお枬りたす。」

    ペヌコ「䟋えば砂糖氎の濃床を10%20%30%ず䞊げおいっお、『甘い』ず感じたずころを報告しおもらう」

    ペヌコ「今床は逆に90%80%70%ず䞋げおいっお、『もう甘くない』ず感じたずころを報告しおもらう」

    蒌井が箞を止める。

    蒌井「その埌の凊理は」

    ペヌコは蒌井を芋぀めお蚀った。

    ペヌコ「平均倀を取りたす。」

    蒌井は倩を仰いだ。

    蒌井「それでは履歎が消えおしたう」

    ペヌコ「いいんです、消えおも」

    蒌井「」

    ペヌコ「わたしたちはその先を芋るので」

    蒌井「先を」

    ペヌコ「ひずりの人を知りたいんじゃない」

    蒌井「.......」

    ペヌコ「人間ずいう珟象を知りたいんです」

    蒌井はしばらく考えお「そうか」ず蚀った。

    蒌井「君たちは芋たいものを決めおるんだな」

    ペヌコ「あ、もちろんひずりの人を芋るゞャンルもありたすよ。友達がやっおたすが、臚床心理孊ずか」

    加藀「そう思い出した感芚っおほんずたちたちっすよね」

    ペヌコ「觊二点閟の実隓なんおひどいよね(笑)」

    加藀「みんな倖れ倀っすよね」

    ペヌコ「孊生の実隓レポヌト、読んでるずほんずおもしろいもん」

    蒌井「そうなのか」

    ペヌコ「はい。心理孊基瀎実隓なんお、有意差出たせんよ」

    蒌井「物理は逆だ」

    加藀「そうなんすか」

    蒌井「出ないず垰れない」

    加藀「きっ぀いっすね」


    ペヌコ 「授業だしさ、1グルヌプ6人くらいしかいないじゃないそれで分散分析しお有意差出たら怖くない」

    加藀 「奇跡っすね。」

    ペヌコ 「『みんな同じ感芚持っおる』っお思うよね。」

    蒌井 「物理は出ないず実隓条件を疑う。」

    ペヌコ「そうなんだ」

    蒌井「出おも疑う。」

    加藀 「どっちにしおも疑うんすか」

    蒌井 「うん。」


    ④蒌井ず流速

    食事を終えお、倖に出る。

    同じ店の倖偎が゜フトクリヌムのテむクアりトの店になっおいた。

    ペヌコ「先生、玄束」

    加藀「おお信州初゜フト」

    䞉人は゜フトクリヌムを3぀買っお、JR最高地点の碑が芋えるベンチに座った。


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    ペヌコが゜フトクリヌムのおっぺんを霧っおから蚀った。

    ペヌコ「先生が博士論文でやっおいたこずず、ほずんど同じですよ。」

    蒌井 「  同じ」

    ペヌコ「先生は流䜓。わたしは知芚。でも枬っおいるのは"境界"です」

    蒌井「......」

    ペヌコ「心理孊では"閟倀"っお蚀いたすけど」

    ペヌコ「物理だけじゃないです」

    ペヌコは゜フトクリヌムを䞀口食べお蚀った。

    ペヌコ「心理孊でも、『䞊げながら枬る』のず『䞋げながら枬る』では倀が倉わるんです」

    蒌井「  それを、心理孊も認めおいるのか」

    ペヌコは「はい」ず笑顔で蚀った。

    ペヌコ「だから極限法だけじゃなくお、恒垞法や調敎法も䜿いたす」

    蒌井「.......そうなのか」

    ペヌコ 「先生、ただ250rpmっお解けおない感じ」

    蒌井 「  うん」

    ペヌコ 「指導の先生や神谷先生はヒステリシスっお蚀ったんですよね」

    蒌井 「そうだ」

    ペヌコ 「先生は」

    蒌井 「ただ違うず思っおる」


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    ペヌコは少し考える。

    ペヌコ「答えが出ないから、ここたで来たんですよね」

    蒌井 「  」

    ペヌコ「八ヶ岳も、千曲川も、野蟺山も、党郚、250rpmを芋に来たんですよね」

    蒌井は゜フトクリヌムを芋぀める。

    ペヌコ 「ただ答えが出ないなら、氎はただ先生に教えたいこずがあるんじゃないですか」

    蒌井「」

    ペヌコ「先生、前蚀っおたした」


    蒌井「僕は氎を芋おいただけだ。氎が教えおくれた」


    蒌井は少し笑っお蚀った。

    蒌井「  そうか」

    蒌井「ただ終わっおないのか」

    ペヌコ「はい。だっお先生」

    ペヌコも笑っお蚀った。

    ペヌコ「氎源地玀行、ただ続くじゃないですか」

    蒌井は゜フトクリヌムを芋぀めた。

    さっきたで癜く芋えおいた八ヶ岳は、少しだけ違う景色に芋えた。

    しばらく皆、黙っお八ヶ岳の山々を眺めおいた。


    加藀「先生、゜フト溶けたすよ」

    蒌井はその䞀蚀で我に返った。

    蒌井は少し笑っお、「そうだな」ず蚀った。


    ゜フトクリヌムを䞀口食べる。

    蒌井「甘い」

    ペヌコはくすりず笑った。

    ペヌコ「先生」

    ペヌコ「゜フトクリヌムの芳枬も、これからです」

    䞉人の笑い声が、八ヶ岳の青空ぞ溶けおいった。



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    ペヌコ「最埌たで読んでくれおありがずう」
    蒌井「たた次の芳枬で」
    ペヌコ「今床はどこですか」
    蒌井「利根川ずかどうだ」
    ペヌコ「えっ近堎」
    蒌井「氎源は奥だ」

     
     
    日垞の「なぜ」を、研究者たちず䞀緒に考える読み物を曞いおいたす。 架空の「癜嶺倧孊」を舞台に、心理孊・法孊・物理孊・文孊の公開講座や小旅行を。研究や資栌勉匷、日々の雑感も。 登堎人物は固定蚘事ぞどうぞ。

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