友だちに会いに行くはなし
友だちといつものチェーン店で食事をしていた。
ちょっとしたケンカでもしたのか、友だちが先に出てしまった。
次の日、またその店に行ったが友だちはカウンター席で食事をしていた。
「なんでそっちなんだよう、寂しいじゃん」
少し馴れ馴れしすぎたか。無視されたし、その日も友だちは先に出た。
しかし困った。喧嘩の原因を覚えていない。友だちの態度を見る限り、すごく怒らせるようなことを言ったのだろうが、何ひとつ心当たりがない。
次の日も友だちはカウンターに先にいた。
なんと声をかけるのが正解か分からなかったので、無言で隣の席に座った。
友だちが先に出ようとしたとき
「なんで先に行っちゃうの?ちょっと待ってよ、置いてかないでよ。寂しいんだよ」
と言葉が勝手にあふれてきた。
友だちは少し悲しそうに笑って
「あなたがそんなだから、私は成仏できないんだよ、元気でね」
と言って店を出てしまった。
ああそうか。私が引き留めてしまったのか。
あの子は最期に会いにきてくれていたのに、寂しそうな私のせいで、最後にできなかったんだ。
ケンカしたわけでも、怒っていたわけでもなかった。それはよかった。よかったが、よくない。
私は店を飛び出して友だちを探した。
成仏ってなんだ、私のせいで天国に行けないというのか。
そんな文句を言うために私に会いにきたのか。
友だちは見つけられなかった。
そして、もう会えない気がした。
昔から大事なことは後でさらっと言う子だった。
これが最期だったんだろう。
その日は思いっきり泣いた。声が一切出なかった。