
『婚活必勝法を教えてあげる』
「そう、つまり…四十代男の価値はゼロ円なのよ!!」
イトコの姉さんの言葉に、その場にいた男5人の目が見開いた。
ど、どういうことだろう…?
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婚活!!
それは己の遺伝子をかけた人生バトル!!
選ばれなかった者は敗者となる!!
これは、男たちの尊厳と遺伝子をかけたDNAデスゲーム…じゃなかった、婚活バトルである!!
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ばあちゃんの法事で集まった、デカい家。
たくさんの親戚が集まったけど、今このリビングにいるのは…
今年から社会人の22歳の男、俺と。
兄と、イトコの兄さん姉さんたちとその子供、イトコの兄さんと高校生男子。
親が歳の離れた4人兄弟なので、イトコの年齢差がすごい。
他はみんなショッピングモールに出かけてしまった。
リビングで一番姉さんの子供たちと旦那さんと高校生がゲームをしていて。
長男家の兄さん40歳と、姉さん35歳と33歳と、次男家の兄さん34歳、三男家の俺の兄26歳と俺が微妙な距離で雑談する感じだった。
勝田洋介(かつたようすけ)…40歳の兄さんが、「婚活」をしているらしい。
俺にはピンとこないが、アプリで男女がテキトーに好み入れてマッチングするやつ。
昔は結婚相談所とかいう所に通わなければならなかったようで死ぬほどめんどくさそうだ。
勝田左之助(かつたさのすけ)…34歳の兄さんも結婚願望があるが、何もしていないらしい。
口ぐせは「俺みたいなブサイクが…」だ。別にブサイクじゃないけど、顔のアザを気にしているらしい。
モッサリした髪型で隠したいのだろうけど、隠せてない中途半端な感じだ。
勝田文人(かつたあやと)…26歳の兄はモテる。
高校の時くらいから彼女がチラホラ。
今は仕事に集中したいと言っていた。
勝田二識(かつたにしき)…俺は、今は彼女なし。
大学生の時に2人かな。
マッチングアプリってやつは、俺ら世代はあまりやらない。
どーせ変なのが来るってわかってるからな。
勝田一護(かつたいちご)…高校生のイトコは婚活だの彼女だのの話に入りたいらしく、こっちに来た。
爽やかで愛嬌もある普通の男の子だ。
そこで、例の問題発言をしたイトコ姉妹の姉のほう。
等志井沙鞠(ひとしいさまり)。
美人だけどすげー気が強い。
あと、なんか変な人だと思う。
自分の兄にも強気に話すし、ハキハキものを言う。
けど、面倒見はよくて優しいと思う。
子供たちがとても賢くて素直で、いい子なんだ。
旦那の等志井さんは遊び人っぽいけど普通の、筋肉ガチムチゲーマー男らしい。
ずっと子供たちとゲームしてる。
うまい。
妹のほうの引分美冬(いこるみふゆ)さんは、ゆるふわOL?という感じの見た目だ。
新婚だけど、旦那さんは仕事が忙しいから、さっき飛行機に乗っていった。
ということで、一番年上の兄さんと二番目兄さんが婚活の話をしてて、俺たち兄弟が聞いている感じだったんだけど。
「高望み女が多くて」
「口ばかり達者で」
「うん…女の人…怖いっす…」
「自分の年収は棚に上げて」
「いきなり専業主婦希望とか」
「家事育児折半とか」
「たいして美人でもないくせに」
「行き遅れババアが」
などと、兄さんが饒舌になってきて、まるで男子会のような雰囲気になってきたところに、皿洗いを終えた姉さんがきた。
「兄さん、ちょっと言葉がよろしくないよ?」
「いやいやだってオマエ、婚活の女なんてほんとにクズばっかりで」
「クズ?じゃあ兄さんは?」
「え、俺は…そりゃ、普通の…モゴモゴ…」
そこで34歳兄さんが口を開いた。
「イトコで結婚してるの…姉妹さんだけっすもんね…」
今度は妹さんが笑いながら言う。
「そおなの〜!あたしはマチアプ一年で卒業!女の婚活はイージーモードよん」
「そ、そうだ、女の婚活なんてイージーモードなんだよ!俺より遅く婚活始めたくせに…」
一番兄さんのセリフが終わる前に妹さんが続ける。
「たーだーし、タイミングを間違えればハードモードよん」
そこへ一番姉さんが口を開く。
「まぁ、タイミング間違えて激烈ハードモードになるのは男性だけどね」
「げ…激烈ハードモード…」俺は復唱してしまった。
姉さんは、テーブルに置いてあるばあちゃんのメモ用紙を1枚ピリッと破いて、ペンを持つ。
「なんだなんだ?」と俺たちは覗き込む。
姉さんはしゃべりながら折れ線グラフのようなものをを書いた。
「人の魅力って千差万別だけど、容姿、お金、性格、若さ、将来性…まぁだいたいそれくらいでしょ。でも、お金とか性格を抜きにして純粋に肉体の価値のみで表すと…こうなるのよ」
そのグラフの高いほうの山には「女」、低いほうには「男」と書かれた。
ゼロ歳地点ではほぼ男女同じなのに、女のほうは20歳で100まで上がって、40歳でも50あって、あとはくだる…。
男のほうは、20歳で55どまり、あとは下降して40歳ではゼロ、あとはマイナスになっている。
「倫理的に問題あるグラフになっちゃったけど、実際はこんなものよ」
さすがにひどくないか…姉さん。
男だってもっと価値が…お金とか、性格とか…パワーとか?いや、これは異性から見た肉体的魅力の話か。
「小学校の社会科で、日本人の人口やったよね?あれ、ゼロから60歳くらいまでは男のほうが少し多かったでしょ、どの世代も」
…な、なるほど!
てことは全ての女子が同い年の男子と結婚してくれたとしても男がたくさん余る!!
姉さんは俺のほうをチラリと見る。
「気づいた?じゃあ、同世代から余った男はどこを狙う?」
「下か上。だけど、勝率を考えると下はダメだ、低すぎる。
となると、余った二十代男性は三十代女性にいくのが最適…?」
「そう!」
「え〜俺なら下を狙うけどなぁ」
「兄さんバカなの?」
「え…いや、ほら、若いほうがいいのは本能というか」
「女性の出産適齢期は24歳がピークだけど、20〜36まではほとんど変わらなくて、その前後は危険である。らしいよ」
「へぇ〜!」俺は感嘆する。
「ちなみに男の生殖能力は19歳がピークであとはひたすら下がって、35以降は急降下」
「う…」なんとなく股間を攻撃された感じがする。
「だから、人間の価値を数字にするなんて下品なことはしたくないけど、したくないけど〜(笑)、あえてお金とかにするなら、20歳の女の子が100万円としたら、40歳の男はゼロ円なの。需要としてね」
…ということで、5人の男は絶句した。
怒るでもなく。
「あはははは!おねーちゃんひどい!けどさすがぁ!私だったらお金払ってでもオジサン避けたいもーん」
妹さんが笑う。
まぁ、わかる。
誰にいくら出すか。一緒にいるためにお金を出すなら、誰にいくら出すか。それを考えたらこのグラフは妥当だ。
しかし一番兄さんは文句を言っている。
「男の価値が低すぎじゃないか…?結局、女だって一緒にいるなら男がいいはずだから価値は同じなんじゃないのか…?」
「兄さん、ほとんどの女は女と一緒にいたいよ」
「わかるぅ〜結婚コドモ関係なしなら私も女の子選ぶ〜」
「えっ…」
一番兄さんはショックを受けてる。
この三兄妹でそういう話をするのが初めてっぽいのがなんかおもしろい。
一番姉さんの過激な持論、もうちょっと聞きたいな。
「私はこの世界の男尊女卑を知ってるけど、最終的に選ぶ権利があるのは女。そこはずっと変わらない事実なの」
うーんまぁ、数が少ない側に選ぶ権利があるだろうし、出産する側だしな。
そもそもなんで男のほうが多いんだ?
「生物の授業でやったでしょ?胎児は最初は女、ある程度育つと男に変化する胎児もいる」
Y染色体ってやつで男になるんだっけ?
女がXXで男がYXなら、男のほうが特別に2種類持っててお得なのか?
「つまり生物の本体はメスなのよ。そのメスの決定権と主導権を覆そうとして男尊女卑をやってるのが人間のオス」
俺の兄が「なるほど、腕力や権力、財力ですね」と相槌をうつ。
高校生の一護くんはずっと興味深そうに聞いてる。
「まぁ、一護くんはオバサンが何か言ってる〜くらいの認識でいいよ!」
と一番姉さんが冗談ぽく笑ったら、一護くんは…
「すげー!姉さんまじすげー!俺、絶対に結婚したいし子供もたくさんほしいと思ってたけど、まずは自分が選ばれる男にならなきゃと思った!!」
「あ、うん…ども」
姉さんも、以外だったようだ。
まさか高校生に響くとは。
一番兄さんは「でもなぁ」「これはどうかなと」とブツブツ言っている。
いや確かに酷い暴論だけど、このグラフは真実だ…誰も言わないホンネがつまってる。
俺だってオジサンよりはオバーサンのほうがいい。
もちろん、同世代の女子が一番好きだけど。
ここから更におもしろかったのが、一護くんと姉さんの会話。
「そうだ、姉さん…俺、絶対に絶対に結婚したいんでアドバイスお願いします!!」
「あ、うん…まあ一護くんまだ若いし、結婚だけが全てじゃないからね、人生って」
「そんなことないですよ!結婚が一番と言っても過言じゃないです!!…ん?でも何で沙鞠姉さんは婚活に詳しいんですか?もう10年前に結婚してるし、恋愛結婚だったのに」
「ん…と、あー…えっと…」
そこで二番目姉さんが爆笑しながら言う。
「あはははは!言っちゃいなよお姉ちゃん!今ってぇ、婚活がエンタメなのよ〜!」
「婚活がエンタメ!?」と5人の男が口を揃えて驚く。
「そう!テレビでもビーチューブでもメトフリでも…SNSでも、他人の婚活はエンタメなのぉ!特に、子持ち主婦の間でね!!」
な、なるほど…頭頂し終えた山の上のホテルでジュース飲みながら、登山者を見る感覚なのかな…。
「そ、そうなの。まさかこの歳になってそんな下世話なエンタメにハマるとは思わなかったけど…おもしろいのよ!」
一番姉さん、ちょっと顔赤い。
「お前、趣味悪いぞ…」
一番兄さんの発言。
まあ、趣味良くはないかもしれないけど、母さんも「あんたが小さい時は、動画とSNSとケータイゲームしかできなかった」て言ってたし。
今はダンス教室とかボランティアとか、楽しそうにしてるけど。
そういえば、母さんもテレビで「カップル成立するのか!?」みたいな番組見てたな。
「うーん、でも…お姉さんの知識はホンモノってことですよね」
と、俺の兄。
兄は学歴や偏差値にうるさいけど、ちゃんと他人を認める男だ。
俺のことはバカにするけど。
あ、いいこと思いついた!
「お姉さん、俺も…一応、結婚願望とかあるんでアドバイスあったらしてほしいです」
言ってみた。
「あ…?いいよ、もちろん!!」
「じゃあ、俺も」と兄。
「…俺も…お願いします…」と二番目兄さん。
「くそ…じゃあ俺もだ、沙鞠!」
一番兄さんが悔しそうに言う。
「兄さんはまず白髪染めとダイエットと筋トレね、あと服!」
「俺だけいきなりダメだしかよ!」
「当たり前でしょ!?あとヒゲの剃り残しも!」
姉さん、強い。
ここの兄妹がなんか普通とは違う感じなのは、お母さんの影響らしい。
一番姉さんこと沙鞠さんにアドバイスをもらえることになった。
その後、ここにいる男5人はそれぞれの婚活をすることになる。
結論から言ってしまえば…4人は、結婚できた。
そこにいくまで、色々あったんだ。
一番兄さんが姉さんに三時間説教されたり、二番兄さんが盲目の美女と付き合ったり、俺の兄が俺の彼女にホレたり、高校生一護くんをめぐって女子2人が大喧嘩したり。
最終的に結婚できなかったのは誰かって?
それは……まだ秘密だ。
一番姉さんのアドバイスでみんな良いように変わっていって、それぞれ幸せになったと思う。
本当に変な人だけど。
感謝。
一番兄さんは、少し年上の女性と、二番兄さんは心優しい女性と…おっと、兄についてはまだ書けないな。
一護くんは同級生と…。
これは勝田一族の男たちが、一人の変人姉さんに感謝するお話だ。
一番兄さんが結婚した時、一番姉さんは「価値ゼロなんて言ってごめんね」と謝ったらしい。
後々わかったんだけど、この人たちのお母さんが裏で関わってたらしい。俺から見たら叔母さんにあたる人は、元被虐待児で複雑な家庭出身ゆえに普通の家庭をめざしていた。そして一番兄さんが結婚できるように一番姉さんに頼んだとか。
家族の愛情や思惑を見てしまったよ。
でも…ちょっとデスゲームっぽさがあるよな、結婚って。
女子には絶対に言えないけどさ、数が多い側の男から見たら椅子取りゲーム要素があるんだよ。
でも、「イスやゲームに例えるなんて!」て怒られるから、女子には絶対に言っちゃいけないんだ。
俺と結婚して一緒に幸せになる子は、ただ一人のプリンセスで女神様なんだから。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
創作大賞に応募しようとしたドラマ脚本的な文章です。
婚活をデスゲームのようにエンタメ化するという、青年誌好きの私らしい試みでした。
結婚したい人は結婚して幸せになろうね〜!
結婚したくない人はしなくてもいいんだよ!
個人的には、こういう考えです。
もし、この身も蓋も無い小説を元に何か作品を作ってもらえたら…嬉しいですね。
12話くらいのいいドラマになると思いますよ。
それぞれのキャラクターにはモデルがいて、いい感じの結末もありますので。
クリエイター様から、もっと面白くするためのお声がけなどいただけたら光栄です。
部分抜粋とか、無断使用もやぶさかではないですが、一声欲しいな。
イラストも漫画も小説も、私の顔写真すらも、パクられ無断転載されたことがあるので。
いっそ「おもしろいからパクったよ!」でもいいです。見に行きます。
