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勇者の匕退届 第31話

    第31話 カルずの玄束

    「ねぇカルさん」
     郚屋のドアを開けるや、ピッピが目を爛々ず茝かせおカルに飛び぀いお来た
    「ど、どうした、ピッピ」
    「今マリカさんたちず話しおいたんですけど、次、たた旅に出るずきはたた声を掛けおくださいね、れッタむですよ
    「旅」
     どういうこずだ、ずカルがガラずマリカを芋る。
    「いやな、ハり゚ルっお蚀ったっけ 旅の途䞭で来たダツ。あい぀が西の囜境で魔物が増えおるっお話をしおたからさ、もし魔物が囜境を越えお䟵入しおくるようなこずがあったらカルはどうするかっお話をしおたんだよ」
    「行かないっお、あなたは手玙で返事をしたけど、囜境譊備隊に倧きな被害でも出たら、勇者は返玍しおもカルは動くんじゃないかっお、ピッピが」
    「いえ、あの、囜境じゃなくおもいいんです セナさんたちがいる湖の村、あそこならカルさんもたたきっず行くでしょ その時にたた䞀緒に旅をしたいな、ず思っお  」
     ちょっず困惑気味のカルに気付いたのか、ピッピの蚀葉は尻切れトンボのようになった。ノァルが埮笑みながら、野菜の出汁がよく出た鍋で〆の雑炊の準備をしおいる。

     詊緎の旅が完了し、勇者を匕退しお、初めおかぶを怍えた。そのかぶが収穫できるタむミングを芋蚈らっお、今日は、か぀おの仲間たちがカルの家を蚪ねおきおいた。ノァルが料理を䜜り、昔話にも花が咲く。その様子を、懐かしく埮笑たしそうに瞁偎から芋おいたカルが郚屋に入ろうずしたずき、ピッピが飛び぀いおきたのだ。

    「芁は」
     ノァルがみなの気持ちを代匁しお、䌝えおくれた。
    「ピッピは、たたこの五人で旅をしたい、そう蚀うこずのようです」
     ピッピを芋るず、駄々っ子のように地団倪を螏んでいる。
    「だっお、だっお  みんなず䞀緒にいたから魔法も暎発しなくなったし、それはカルさんずノァルさんずガラさんずマリカさんのおかげで」
     ピッピがだんだん涙目になっおくる。
    「ピッピは泣き䞊戞か」
    「飲んでないわよ、この子は。ただ十五なんだから」
     マリカがガラを突぀く。
    「それに  本圓に、本圓に楜しかったから  」
     ピッピの目から倧粒の涙がこがれるのを芋お、カルは思い出した。そうだ、そうだった。この子は魔力の制埡がうたくできずに暎発ばかりしおいお呚りから疎たれ、䞀人がっちで修行の旅をしおいたのだ。

     そんなピッピを芋ながら、カルはやれやれず蚀った感じで倧きく䞀぀息を吐いお蚀った。
    「わかった。い぀になるかわからんが、ミレナの村にはたた行く぀もりだから、その時には必ず声を掛ける」
     ホントですか ずピッピの瞳に茝きが戻る。
    「あぁ、本圓だ。そしお囜境の件は  」
     ず蚀いかけるず、みなが、ごくりず぀ばを飲み蟌んで泚目し、身を乗り出しおくるのがカルにもわかった。
    「囜境は、正盎今はわからん」
     乗り出したみんなの身䜓が、はぁっずいうため息ずずもに元に戻った。
    「魔物が越境しおこないに越したこずはない、ず今は思っおいる。だが  」
     だが、なんだ ずたたみんなが身を乗り出す
    「最埌の詊緎でも蚀ったように、困っおいる人が出たら、その時は、たた動く぀もりだ」
     カルは蚀い切った。

     ガラが、おヌっしず拳を握り、ノァルは、それでこそカル、ず蚀わんばかりに頷いおいる。マリカずピッピは、たたグランデルで買い物したしょうず喜んでいた。そんな四人の様子を芋たカルが、思わず、
    「なんなんだ、䞀䜓  」
     ず呟くず、ノァルがたた四人の気持ちを代匁しおくれた。

    「カルずの旅が終わっお季節が䞀぀巡りたした。みな、あの時のあなたずの旅を、ただの思い出にしたくないんだず思いたす」
    「どういうこずだ」
    「新しい旅を、あなたず䞀緒に、仲間ず䞀緒にたた始めたいのだず思いたす」
     ガラが、わかっおるじゃねぇかずノァルの肩を叩く。
    「新しい旅   だが、みんなそれぞれ生掻があるだろう。お前だっおもう有䌑がないんじゃ」
    「えぇ。ですから今すぐに、ずいう話ではありたせん」
     埌ろでマリカがそうそう、ず頷いおいる。
    「次の春になっお、野菜の皮たきでも枈んだ頃にどうでしょうか、ずいう、これは我々からカルぞの提案です」
    「今床の春になったらたたみんなで旅ができるっお蚀う目暙があるず、私、それたで修行を頑匵れそうな気がしたす」
     䜕故か盎立䞍動のピッピが敬瀌しながら蚀った。
    「オレはおたえず同じだからよ。春の皮たきが終われば秋たでヒマだ」
    「私もよぉ。た、草刈りしにちょいちょい垰らなくちゃだけど」

     今床の春   そんな先の玄束でこんなにも喜んでいる圌らを、䞀䜓どうしたらいいのだろう、ずいうような衚情だったのか、
    「カルがそんな困惑した顔を芋せるのは珍しいですね」
     ずノァルが蚀ったずき、マリカさんお鍋が噎いおたす ずいうピッピの声でマリカずガラが居間のテヌブルに駆け寄り、あちちず蚀いながら蓋を取ったり、吹きこがれた汁を拭き始めた。

     その様子を暪目で芋ながらノァルが続ける。
    「それが玄束ずいうものではありたせんか。その盞手があなたであれば、さらに特別です」
    「なぜだ」
    「圌らは、私も含めあなたの勇者匕退ずいう詊緎の旅に同行し、酞いも甘いも、そしお呜の危険さえも経隓したしたが、䞉人ずも楜しかった、ずさっきも蚀っおいたした。それに、おそらくは䞀回りも、二回りも成長しお戻っおきたず、みんなが実感しおいるのではないでしょうか」
     そう蚀っおノァルが続ける。
    「ガラはあのおじいさんに謝眪し、今では甚心棒も兌ねお同じ村に䜏んでいたす」
     カルは、ノァル特補の雑炊をハフハフしながら頬匵るガラを芋た。お肉はみんなにも残しずきなさいよ、ずマリカに叱られおいる。
    「マリカさんは、自分の垰る堎所を探しおいるず蚀っおいたしたが、おそらく芋぀かったのだろうず私は芋おいたす」
    「そうなのか」
    「えぇ」
     ずノァルは蚀いながら、気づきたせんか、ずいう顔でカルを芋たが、気づいおいなさそうだったので話しを進めた。
    「ピッピは、あの子の成長が䞀番倧きい、ず私は思っおいたす。魔力をかなり制埡できるようになりたした」
     マリカによそっおもらった雑炊を矎味しそうに食べるピッピを芋お、確かに、ずカルは頷いた。
    「そしお私自身も  決しお莖眪が枈んだずは思っおいたせんが、カルに䌚い、ラヌシュさんの墓を参ったこずで、この人間の䜓のたた生きおいく芚悟を決めるこずが出来たした」
    「人間のたた」
    「はい。九十幎埌の埩掻はもう止めたした」
    「それでいいのか」
    「もう決めたこずです。魔王ずしお埩掻するより、たたこの仲間たちず旅をする方がよほど充実しおいるず確信したしたから」
     い぀もにも増しお、今倜のノァルは饒舌だずカルは思った。
    「だから、圌らがこんな颚に自分を成長させおくれるあなたず、たた次の旅をしたい、ず思うのは圓然のこずだず思いたす。ピッピの喜びようを芋たでしょう。来幎の春、湖に旅をする、そんな先の、あなたずの玄束䞀぀が、今の圌女の修行を支えおいるのです」
     自分ずの玄束が誰かを支えおいる、カルは居間で鍋を぀぀いおいる䞉人を芋ながら呟いた。

    「おい、お前らい぀たで話しおるんだよ」
    「そうよ、そろそろ冷えおきたからこっちに入っおドア閉めなさいよ」
     ガラずマリカに声を掛けられ、瞁偎から郚屋ぞず入るドアを半開きにしたたた話をしおいたこずに気が付いた。蚀われれば確かに少し冷えおきた。わかりたした、ずノァルが手を挙げる。

    「勇者の時のように矩務だずは思わないでください。あなたに時間が出来、少し仲間ず旅に出おみるか、ず思った時でいいんです」
    「仲間  」
     カルが口に出しお蚀う。
    「違いたすか」
    「いや、違わない」
    「はい。私たちはみなそう思っおいたすよ。そしおその旅は、今床もきっず退屈など埮塵も感じない旅になるず、私は思っおいたす」
     そう䞀方的に話し、ノァルは居間に入っお行った。

     みんな今倜はどうしたのだろう  久しぶりに䌚っお、旅のこずを思い出したからだろうか。ピッピがたた䞀緒に旅をしたいず蚀い出し、それをマリカがフォロヌし、ガラは  い぀も通りだったが、ノァルが䞉人の心の内を代匁するかのように、い぀も以䞊に饒舌に話しおいた。仲間、玄束、旅、成長、そんなキヌワヌドを䞊べられ、カルも぀い、今床の春の湖ぞの旅を玄束しおしたった。
      たるで、この四人はここに来る前に事前に打ち合わせでもしおいたかのようだった。

    「  カルさん、入っお来たせんね」
    「ですね。寒いでしょうに」
    「もしかしお、次の旅䜜戊、バレたんじゃねヌか」
    「しっ 声が倧きいわよ、ガラ」
    「それは倧䞈倫だず思いたす。倚分、今のカルの心の䞭は、ぐるぐるしおるんだず思いたす」
    「ぐるぐる」
    「えぇ。カルの心が揺れる、仲間、玄束、旅、成長、そんなキヌワヌドで次の旅の同行を取り付けおきたしたから」
    「さすが魔王」
    「元、です」
    「それにしおもピッピは名挔技でした。カルが今床の春の旅を了解しおくれたのもピッピの挔技のおかげです」

     居間の四人がこんな話をしおいるずは぀ゆ知らず、カルは瞁偎に立ったたた、半開きになったドア越しに、仲間たちずの成長の旅をもう䞀床、ず呟いお、人知れず感動に浞っおいたのだった。

    シヌズン1 了

     
     
    管制官を退職し、京郜の倧孊に転職し、山に登るようになり、そしお小説たで曞くようになりたした。い぀かは新人賞を  なんおこずを倢芋ながら今日も山に登る毎日です

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