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江戸の金融当局、「相場を増やせ」で市場を作り直した話①― すべては“銭が集まらない”ことから始まった ― 嘉永七年(1854年) #61

    江戸の市場は、うまく回っていなかった。

    理由は単純で、しかし致命的だった。

    👉 銭が集まらない。


    ■ 原文はこう書いている

    まず、問題ははっきりしている。

    「市中江銭集り兼候故」

    👉 市中に銭が集まらない。

    画像
    『市中取締續類集』[166] 両替之部,[1---] [写]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2588693/1/16  (参照 2026-04-24)

    さらに、

    「相場所壱ケ所ニ而者、無仕法難行届候」

    👉 一つの相場では、どうにもならない。


    そして結論はシンプルだ。

    「五ケ所相増」

    👉 相場を増やす。

    画像
    『市中取締續類集』[166] 両替之部,[1---] [写]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2588693/1/17  (参照 2026-04-24)

    ■ 何が起きているのか

    これは単なる“お金が足りない話”ではない。


    • 銭が特定の場所に偏る

    • 取引が成立しない

    • 価格が安定しない


    👉 市場そのものが機能していない。


    当時の取引は「相場立所」という拠点で行われていた。

    しかし、

    👉 拠点が少なすぎた。


    その結果、

    • 人と銭が一箇所に集中する

    • あるいは、まったく集まらない場所が出る


    これは現代風に言えば、

    👉 流動性が偏在している状態

    である。


    ■ なぜ“一箇所”ではダメだったのか

    前掲の史料で、はっきり言っている。 

    「壱ケ所ニ而者、無仕法難行届候」


    👉 一箇所では、どうにもならない。


    これは重要な認識で、

    👉 市場は“自然に均一化しない”

    ということを意味する。


    • 人は偏る

    • 銭も偏る

    • 価格も歪む


    だから、

    👉 構造を変えるしかない。


    ■ 解決策はシンプルだった

    「五ケ所相増」


    👉 相場を増やす。


    一見すると単純だが、

    これは実質的には

    👉 市場設計の変更

    である。


    • 拠点を分散させる

    • 銭の流れを分ける

    • 取引を成立させる


    つまり、

    👉 “場所”を変えて市場を立て直す

    という発想だ。


    ■ もう一つ重要な点

    この施策は、

    単なる商売の工夫ではない。


    同じ史料にはこうある。

    「御奉公筋与相心得」


    👉 これは“役目”として行われている。

    画像
    『市中取締續類集』[166] 両替之部,[1---] [写]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2588693 (参照 2026-04-24)

    つまり、

    • 両替屋は自由に動いているのではなく

    • 制度の一部として機能している


    ここに、

    江戸の金融の特徴がある。


    ■ まとめ

    この時点で見えているのは、シンプルだ。


    • 銭は集まらない

    • 一箇所では回らない

    • だから増やす


    👉 市場は自然には成立しない。


    だからこそ、

    👉 設計する必要がある。


    このあと江戸の市場は、

    さらに一歩進む。


    👉 相場が複数になったとき、
    👉 「どの価格を使うのか」という問題に直面する。


    ■ 次回予告

    相場は増えた。

    だが今度は、

    👉 価格がバラバラになる。


    参考資料

    画像から読み解きをサポートしてくれるツール 
    「ふみのは」


    例文が豊富です。典型的な言い回しに慣れるには良いと思います


    最初の頃は不要ですが、解読に慣れてきたら辞書が必要です。まだ辞書の力をいかせていない気がします・・

    *Amazon のアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています*


     
     
    金融機関で海外拠点管理、リスク管理、オペレーション領域のマネジメントに従事。江戸期の金融制度・市場構造を対象に、古文書をもとに制度リスクと信用形成のプロセスを分析しています。 経営修士(専門職)/証券アナリスト ※本記事は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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