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「古文書カメラ」vs 東大史料編纂所!AIが読めない「2割」に隠された歴史の面白さ。 対決の舞台は天保十二年(1841年)の町触  ~古文書奮闘記~ #53

    最近の私の解読に欠かせないのが、トッパンが提供しているくずし字解読アプリ「ふみのは:古文書カメラ」。


    スマホをかざすだけで一瞬にして翻刻案を出してくれる、まさに「令和の三種の神器」の一つです。 あと2個はなんだろう 笑


    しかし、ふと思いました。 「便利だけど、これってどこまで正確なんだろう?」

    そこで今回は、AIの実力を測るべく、最高峰の専門機関である東京大学史料編纂所の翻刻データと「ガチ比較」の真剣勝負を挑んでみました。

    📜 今回の対決の舞台:天保十二年『市中取締類集』

    題材に選んだのは、国立国会図書館デジタルコレクションに収蔵されている『市中取締類集』。
    時代は天保十二年(1841年)。老中・水野忠邦による「天保の改革」が始まり、江戸の町に緊張感が走っていた時期の第一級史料です。

    下馬所での商売禁止と女性商人の取り締まり に関する文書です。

    画像
    『市中取締類集』[109] 町觸申渡之部,写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2572135 (参照 2026-04-11)



    検証Step1
    この文書を「ふみのは」のくずし字解読アプリ「古文書カメラ」 
    スマホをかざして画像を読み解き、文字の検討をつけます。

    検証Step2 得られた翻刻文をGeminiに分析してもらいます。


    検証Step3 Step2で整理した内容が、東京大学史料編纂所が公表している翻刻文との合致を分析します


    答えのデータはこちら


    🔍 検証結果:AIが得意なこと、苦手なこと

    結論から言うと、「文字単体としての判別スピードは圧倒的だが、歴史の文脈とレイアウトにはまだ壁がある」ということが浮き彫りになりました。

    1. 驚異のスピードと「8割」の的中率

    本文の整った行に関しては、驚くほどの精度を見せました。

    画像

    『市中取締類集』[109] 町觸申渡之部,写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2572135/1/20 (参照 2026-04-12)

    「大手桜田両下馬所江近来火気相用候商人共…」

    といった町触の定型文に近い部分は、ほぼ完璧に翻刻。
    全体の約8割は、スマホをかざした瞬間に解決します。この「下読み」としてのスピード感は、独学者の強い味方であることは間違いありません。


    2. AIがスルーしてしまった「2割」の正体

    一方で、東大のデータと比較して分かった「AIが落としたポイント」が非常に興味深いものでした。

    • 「隙間」と「人名」に弱い: 史料の追記で隙間に書かれた「遠山左衛門尉(金さん!)」や「矢部左近将監」といった当時の超重要人物の署名を、AIはレイアウトの関係で読み飛ばしてしまいました。

    画像
    『市中取締類集』[109] 町觸申渡之部,写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2572135/1/22 (参照 2026-04-12)
    • 文脈を読み解く「一字」の重み: 天保の改革のキーワードである「風俗の弛(ゆるみ)」を、AIは「記」と誤読。形状は似ていますが、歴史的背景を知る人間から見れば、ここは絶対に「弛」でなければならない場所です。


    • 「赤字」や「追記」の無視: 行間に小さく書き込まれた「仍(よって)」などの接続詞。これもAIにとっては「ノイズ」として処理されがちです。


    💡 結論:AIを「相棒」にし、人間が「探偵」になる

    今回の検証を通じて、自分なりの「令和の解読スタイル」が見えてきました。

    AIは「最強の下書き担当」として使い倒す。 人間は、AIが無視した「2割」に隠された歴史のドラマ(人名や時代背景)を救い出す「探偵」になる。

    AIが8割の作業を肩代わりしてくれるからこそ、私たちは残り2割の「歴史の深掘り」に時間を割くことができます。

    東大史料編纂所のデータベースという「正解」にアクセスできる現代。ツールを過信せず、かといって遠ざけもせず。この「いいとこ取り」のハイブリッド戦法こそが、古文書解読をより楽しく、より深くしてくれるのだと確信した検証でした。

    皆さんは、AIの誤読に「おっ、そうきたか!」とニヤリとした経験はありませんか?



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    勉強始めたばかりでは不要です。が、必要な時が来ます!!

    *Amazon のアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています*

     
     
    金融機関で海外拠点管理、リスク管理、オペレーション領域のマネジメントに従事。江戸期の金融制度・市場構造を対象に、古文書をもとに制度リスクと信用形成のプロセスを分析しています。 経営修士(専門職)/証券アナリスト ※本記事は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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