私たちの半分は罪に染まっていて
夕暮れは、いつも少しだけ遅かった。
制服の袖に雨の匂いが移る。
誰にも見つからないような顔で笑うことばかり上手くなって、
そのたびに、どこかが少しずつ汚れていく。
罪なんて大袈裟な言葉じゃない。
返さなかった「ごめん」とか。
気づいていたのに見て見ぬふりをした横顔とか。
救えたかもしれない夜とか。
そういう、小さなもの。
私たちの半分は罪に染まっていて、
残りの半分は、そのことを忘れるために朝を迎える。
雨が降る。
アスファルトは何度濡れても昨日の跡を隠せない。
コンビニの明かりはやけに白くて、
誰も救わないくせに、
誰でも入れる顔をしている。
十八歳は永遠じゃなかった。
それでも、
永遠じゃないことに気づくには、
少し若すぎた。
人を好きになるたび、
人を傷つけるたび、
昨日までの自分が少し死んでいく。
その死骸を、青春と呼ぶ人もいる。
私たちは歩く。
靴底をすり減らしながら。
嘘を増やしながら。
名前を忘れながら。
いつか大人になって、
「仕方なかった」と笑える日が来るのだろうか。
もし来るのなら、それは赦されたからじゃない。
諦めただけだ。
私たちの半分は罪に染まっていて、
残りの半分は、
まだ誰かを信じたいと思っている。
だから今日も、夕暮れだけが、何も知らないふりをして街を染めていく。