
企業博物館プロジェクト 任天堂館 第9話 リアルなマリオが話しかけてくるらしい
「もし君が任天堂の社長になったら何を作る?」
息子に聞いてみた。
「子供が楽しむもの。新しいゲーム機」
なるほど。
では、その新しいゲーム機にはどんな機能をつけるのだろう。
「みんながやりたいと思うゲーム機。リアル感が出るようにする」
どうやら息子が考える未来のゲーム機は、よりリアルな体験ができるものらしい。
さらに聞いてみた。
「マリオの新作を作るなら?」
「新しいアイテムを作る。リアルなマリオが出てきて画面に話しかける」
リアルなマリオ。
最初に私が思い浮かべたのは、昔流行った『シーマン』だった。
知らない人のために説明すると、シーマンとは、人間の顔をした魚と会話を楽しむゲームである。
……改めて書くと、なかなか狂気を感じるシュールな設定だ。
私は当時、なぜか『シーマン語録』という本まで買っていた。
なぜ流行ったのか、今でもよく分からない。
もしシーマンのマリオ版が発売されたらどうなるのだろう。
朝起きると、
「オハヨウ! 今日モ学校ガンバッテネ!」
と、リアルなヒゲのおじさんが話しかけてくる。
少し怖い。
いや、かなり怖い。
しかし、AI技術が急速に進化している今、20年後には本当にそんなゲームが登場しているかもしれない。
面白かったのは、息子の答えが一貫していたことだ。
「子供が楽しむもの」
「みんながやりたいと思うゲーム機」
どの質問をしても、結局はそこに行き着く。
任天堂の社長になったら、まず自分が儲かる仕組みを考えるのかと思ったが、そうではなかった。
子どもにとって会社とは、誰かを楽しませるために存在するものなのかもしれない。
任天堂は130年以上前から、花札やトランプ、おもちゃ、ゲームを通じて「遊び」を作り続けてきた。
息子が考える未来の任天堂も、やはり「みんなを楽しませる会社」だった。
意外と、任天堂の社長に向いているのかもしれない。
つづく