
平成の巌窟王(あとがき)
いま思い出しても不思議なことがある。開業した年とその翌年、外回りの途中でかつての同僚たちである「奴」の事務所の男性職員6人全員に1回ずつバッタリ会ったのである。
登記所付近で顔見知りの司法書士や司法書士事務所の従業員と偶然会うこと自体は別段不思議ではないかもしれないが、私は殆ど経験がない。それなのに、あんな辞め方をした事務所の職員と比較的短期間のうちに何度も遭遇するとは。しかも会わなかった人はいないし、2度以上会った人もいないのである。外回り要員だけでなく、登記所へはそれほど行かない窓口担当を含めた全員と一度だけ。そこに何かしら因果めいたものを感じずにはいられない。
そのときどんな会話をしたのか具体的にはまるで覚えていないが、誰とも別段険悪な感じではなかったと思う。とはいえ、その後も交流が続いたなんていうこともなく、全員とそれっきり。今はどこでどうしているのかもわからない。