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歩幅が合わない夏を、恋愛小説みたいに生きてしまう話| #シロクマ文芸部

    サンダルで…行けばいいじゃん。
    なんて、君は言うけど…。

    本当に真夏まで一緒に歩いてくれるのかな。

    桜の花びら、秋の落ち葉も、冬の雪も。
    二人で色んなとこに行った。

    もう無理だよ。

    私はあなたと歩く道が好き。
    春の匂い、秋の匂い、冬の匂いも。

    あなたに少し強くひかれる手、
    ごめんねって心配顔のあなた。

    でも、時々、私の背中越しに視線を感じる。
    近くを通りすぎていく子のこと
    見てるの知ってるよ。
    特に茶髪で元気そうな子。

    私が油断すると、声をかけてることがあるよね。

    そんな姿を見るたび、
    何で?そっち行ったらダメだよ!って、
    二人の繋がりを確かめて、
    そこから離そうとしてしまう。

    いつも心臓がドキドキする。

    貴方を信用できない私が悪いの?
    そんな事ばかり考えて、少しだけ胸が痛む。

    それでも、足を止めて小さな花があるよって
    私に教えてくれるのは好き。

    でも、夏の気配を肌に感じだすと、
    あなたと行けない場所が増える。

    あなたとは強い陽射しの下では、
    一緒にあまりいられない。

    私がどんなに心配して、尽くしても
    あなたの期待には応えられない。

    あなたは夏に弱いから。

    夏は自然と風が流れる場所に行く。
    自分の居心地のいい場所に流される。

    気がつくと、あなたは誰かの横にいる。

    季節が身体の奥に居続ける。
    呼吸が熱を帯びてゆく。

    揺らぐアスファルト。
    二人の足元から奪われていく時間。

    あなたの自由な時間が減っていく、
    それでもいいからって、
    私の手を引っ張っていくあなた。

    らしさがわからない。
    最近読んだ恋愛小説に影響されてる私。
    それを知らない、あなた。

    私は先に涼しい服に着替えて、
    真新しいサンダルを準備する。

    どちらともつかぬ妄想をつぶやきながら、
    彼にもお気に入りのネッククーラーを準備する。
    私が選んだ服は、あまり着てくれないから。

    涼しい場所で寝ている、
    彼の名前を呼ぶ。

    背中越しに嬉しそうな顔で、
    私に近づいてきてくれるのがわかる。

    言葉でなくても、
    あなたの息遣いで。

    そして、クーラーで甘やかされた
    “あの子”に手づなをつける。

    少し察した顔。
    今日は凄く踏ん張るなぁ。

    彼女ごっこを楽しんでる私と
    はやく行きたい”あなた”

    これが私たちの初夏の風物詩


    →今回も参加させていただきました。
    暑さを肌にじんわりと感じるようになりました。
    ご自愛くださいませ。

    お題:サンダルで

     
     
    主にホラーを書くのが好きですが、ジャンルに縛られてません。ホラー小説を買って読んだのは、鈴木光司さん、貴志祐介さん。お二人の作品は映像が浮かび、日常や人間の怖さに引き込まれます。 はじめた書いた長編ホラーの『廻りもの』という作品を時間のあるときに読んでもらえたら嬉しいです。

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