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「更地」に想う

    唐崎夜雨

    先日、吉祥寺シアターで演劇「更地」を観劇してきました。

    「更地〔さらち〕」は大辞泉によると
    1 手入れがされていない空き地。
    2 建物がなく、すぐにも建物を建てることのできる宅地や工業用地。
    とある。

    今回の記事はこの2番の意味にあたる。
    これから住宅が建てられて、そこに暮らす人々の新たな物語が始まるのだろう。

    と言っても、この演劇「更地」はこれから育まれる物語ばかりではない。

    更地となる前にも住宅が建っていた可能性はある。山野を切り拓いて宅地化された場合もあるが、人々の営みがあった建築物が取り払われて更地となっていることも少なくない。

    この演劇はどちらかというと、更地となった土地に暮らしていた人々の物語である。

    登場人物は男女二人。子供が10人近くわさわさと出入りするけれど、ほぼ、夫婦と思われる二人の会話で進行する。

    この夫婦、更地を訪ねてきて思い出話をはじめるが、生きている人なのか、死んでる人なのか判然としない。
    最後までわからないままだ。

    もっと言えば、さっきの場の夫婦と、今の場の夫婦と同じ人物の設定かどうかもわからない、とも言える。

    繰り返されてきた人々の営みが更地にはある。そしてこれからも繰り返されるであろう。

    基本的な構造は、なかなか興味深い。チョイとスピリチュアルな要素もあるか。

    一方で、抽象的な雰囲気になっているので、正直なところ私の好みとは言い難い。もう少し物語が感じられるほうがいい。

    例えば、さりげない会話の中に人間の本質というか本性のようなものが、ドロっとにじみ出てくるような芝居などが好き、かなぁ。

     
     
     
    文は人なり。ただの通りすがりのものです。

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