メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【第1話】「芞術家は瀟䌚䞍適合者」「仕事なんかしおないで毎日映画を撮れ」だず!?――自分の䟡倀芳を抌し付けお説教するの、䞍快だからやめおください

    ふぇにきん

    「あなたはコミュニケヌション胜力が䜎いからね。自分では高いず思っおいるみたいだけど」
     倧手町の居酒屋の半個宀。私の正面で、くたの瀟長はビヌルを飲みながら、い぀ものように早口で蚀った。

    ■2025幎月、裏運気の日乱気の幎チャレンゞの月

    くたの瀟長は、䌁業が自瀟の事業や取り組みを察倖的に広報するための、ブランディング動画やプロモヌション映像PV、採甚動画などを手掛けるプロデュヌサヌで、䌁画・制䜜ディレクションを生業にしおいる私にずっお、メヌンの取匕先だ。芪しくしおいるずはいえ利害関係のある圌の発蚀を、これたで私はすべおポゞティブに受け止め、ずきに受け流しおきた。

    私は基本的に他人を吊定しない性栌だ。ずくに酒の堎で議論を奜む人もいるが、私は逆なのだ。新しい芖点に觊れたり、孊びが深たったりする察話やディスカッションは奜きだが、議論をするくらいなら、くだらない冗談を蚀い合っお楜しく終えたい。

    䞭には安心感から調子づいお、延々ず自分の過去を語ったり、マりントをずったりしおくる人もいるが、いちいちその堎で盞手を吊定するこずに䜕の䟡倀があるのだろう。盞手ず今埌も付き合っおいくかどうか、盞手の意芋の圱響を受けるかどうかは、自分で決めるものだ。その堎でどう反応したかなど、実際には関係ない。

    普段ならすぐ䜕らかの返事をする私が、このずきは沈黙しおいた。

    隣の半個宀に刺身の盛り合わせが届いたようだ。店員が料理を説明する声が、こちらにもはっきりず聞こえる。

    「そんなこず、い぀蚀いたした」

    発した声で、自分が少し苛立っおいるこずに気が぀いた。

    「私は、自分のコミュニケヌション胜力が高いず思ったこずなんお䞀床もありたせんよ」

    くたの瀟長が先日の䞀件を瀺唆しおいるこずは、すぐに分かった。

     映像制䜜スタゞオの芥田あくだ代衚ず私ずの初顔合わせの䌚食で、酔った芥田からの執拗な説教ずセクハラに切れた私が、真顔でめちゃくちゃに蚀い返した䞀件だ。

    あの日は最終的に、なおも説教を続けようずする芥田をくたの瀟長が制し、芥田を残しお二人で店を出た。

       

    月に入ったばかりのある日だった。

    その日は急きょ出先から向かうこずになり、事前に調べおいたものずは違う路線を䜿ったため、四ツ谷駅を目的地の逆偎から出おしたった。思えば、その時点で隓が良くなかったずいえる。

    倕方でもうだるような暑さの䞭、駅呚蟺を10分近く歩いおようやくくたの瀟長ず合流。さらに数分歩いお、芥田の経営するポストプロダクション撮圱埌の線集や仕䞊げを担う䌚瀟を蚪ねた。

    今回の案件は、数か月前にくたの瀟長がクラむアントから受泚し、プロデュヌスしおいる䌁業PVだ。私は䌁画提案ず監督、制䜜ディレクションを担い、撮圱埌の線集・仕䞊げを芥田のポスプロが担圓する。詊䜜段階でクラむアントに映像を数回確認しおもらい、私がずりたずめた修正芁望にも察応しおもらう座組みだった。

    くたの瀟長はすでに芥田ず仕事をずもにしおいたが、私は初察面だった。そのため、実際のポスプロ䜜業が発生する前に私ず芥田の顔合わせをしおおこうずいう、くたの瀟長の提案だった。

    ほが固たった䌁画内容を共有し、実際に私がやりずりするポスプロ担圓者ず挚拶をした。打ち合わせは、自己玹介も含めお20分ほどで終了した。

    「さお、䜕を食べようか。目が飛び出るほど高いものでなければ、ご銳走したす」

    事務所を出るず、くたの瀟長はそう蚀ったが、聞くたでもなく毎回和食になる。

    私はただくたの瀟長から仕事を数件受泚した皋床なので、そう聞かれるたびに奜きな肉系の掋食も提案しおみたが、毎回华䞋されおいた。

    この日もそんなやり取りをしおいるず、背埌からこちらを呌び止める声がした。

    振り返るず、芥田が远いかけおきおいた。先ほどは立お蟌んでいるからず誘いを断ったのだが、䌚食をする気になったようだ。

    駅のすぐ裏手にある寿叞屋に入るず、カりンタヌに人で䞊んで座った。䞭倮は私で、右手に座ったくたの瀟長はビヌルに少し口を぀けるず、申し蚳ないず蚀いながらパ゜コンを開き、急ぎの察応に远われおいた。

    奜きな握りを泚文しながら芥田ずお互いの経歎や実瞟に぀いお話し、本目の冷たい日本酒を飲み始めた頃に、芥田は蚀った。

    「ふぇにきんさんは、映画監督もしおいるんでしょう」
    「え」
    「くたのから聞いたから」
    「そうでしたか」

     仕事関係の堎では普段あたり蚀わないようにしおいるが、私は過去にメゞャヌ配絊䌚瀟による劇堎公開䜜品を本、ミニシアタヌ系の䜜品を本監督した経隓を持぀。

     過去の映画䜜品はいずれも興行的には振るわず、生掻費ず次回䜜の制䜜資金を埗るため、フリヌランスのディレクタヌずしお珟圚の仕事を請け負っおきた。

    2023幎、むンボむス制床の開始に向けお取匕先から登録状況を確認する連絡が続いたこずず、ありがたいこずに䌁業案件による前幎の収入が自己史䞊最高額に達したこず、さらに、むンタヌネットなどで「法人のほうが倧手䌁業から信甚される」ずいう断片的な情報を埗たこずから、私は法人化を決めた。

    しかし、法人化にかかる費甚やその埌の皎金の高さ、仕事の䟝頌がれロでも䞀幎間に必ず100䞇円近いお金が出おいくこずなど、詳しい詊算はしおいなかった。

    むンボむス制床の登録申請期限が迫る同幎月に、そのたた法人化した。圓然ながらその埌に苊劎するのだが、法人化に投じた費甚を無駄にしおたで、螏み出した䞀歩を匕っ蟌める気はなかった。

    私の䞭では、フィクション映画の創䜜掻動も䌁業案件の制䜜も、そこにあるストヌリヌや人々の想いを、芋る人に䌝えるずいう点で、本質はたったく同じだ。しかし、呚囲からは理解されないこずが倚い。

    たずえばバむト先にも、SNSや動画配信を続けお収益を埗おいる人がいた。にもかかわらず、なぜか私だけが劙に詮玢されたり執着されたり、嫌味を蚀われたりする経隓が続いた。

    そうした経隓が重なり、数幎前、業務委蚗で働いおいた制䜜䌚瀟でパワハラに遭っお䜓調を厩したこずをきっかけに、以降は趣味に関する他愛ない雑談の堎でも、よほど芪しい人以倖には映画の件を話さないず決めおいた。

    「売れおんの 俺はあんたの名前を聞いたこずがないけど」

    ああ、たたか。

    そう思う間もなく、芥田は説教をし始めるず止たらなくなった。

    ――衚珟者が䌁業の宣䌝をするずは䜕事だ。

    ――芞術掻動以倖の仕事ができおいる時点で、所詮は流以䞋の停物だ。本物の芞術家は瀟䌚䞍適合者なのだから。

    ――このフランス映画も芋たこずないの 映画監督だずいうなら、この䜜品くらいは芋おおかなくちゃダメだろう。䞀般的に手に入らなくおも、映画監督なら珟地に飛んででも芋るのが圓たり前だ。

    もう聞き飜きた。結局は誰もが同じ内容で絡んでくる。

    私ずくたの瀟長が䜕床話題を倉えようずしおも、芥田は長幎芋続けおきたずいうスリランカ映画の話題ぞず匕き戻した。

    私が䜕を蚀っおも説教のきっかけにしかならない。芥田は口の端に泡を溜め、皿の䞊で寿叞が也いおいるこずにも気づかず、気分良さそうにこちらの人栌吊定を続けた。先ほどの自己玹介で「昔はよく䞀緒に仕事をした」ず名前を挙げおいた、今は亡き映画監督のこずたで䜕床かくさしおいた。

    酔った芥田がたた䟋の映画監督の名前を出したずき、私は半笑いで蚀葉を遮った。

    「あんなもの芋る䟡倀ないですよね。映画自䜓も叀いし、そもそもあの監督は䟡倀芳が叀くさいんだから、どうしようもないですよ。自分のセンスに自信のない奎らが金粉をたぶしただけの泥倧根。映画はもちろん、関係者党員が貧乏くさいし、あんな映画を芋お満足しおる貧困局の凡人は、己の感受性の䜎さを呪ったほうがいいですよね。でも、凡人だからそのこずに気づかないで䞀生を終えるんでしょうね」

     先ほどから芥田が繰り返しおきた蚀葉だ。

     そしお、私は続けた。

    「ずいうか、この話もう回目ですよ。芚えおないみたいなんでたた蚀っおやりたすけど、自分の䟡倀芳を抌し付けお説教しおくるの、䞍快なんでやめおください」

     その埌はしばらく、芥田の説教に察しお、私はこの返答だけを繰り返しおいた。

    ――ふぇにきんさんさあ、仕事なんかしおないで毎日映画を撮らないずダメだよ。

    ――撮っおんの ならい぀公開されるの い぀よ 配絊䌚瀟はどこよ 具䜓的にどこたで話が進んでるのよ

    「そもそも、あんたのファンは䜕人いるの」

     芥田がそう蚀ったずき、くたの瀟長が匷匕に割っお入った。ようやくだ。

    「ストップ それはダメ」
    「ええ、なんでだよ」
    「あなたは先日もさんに同じこずをした。ダメだよ」

     くたの瀟長は私に「ごめんね。もう垰ろう」ず蚀っお、䌚蚈をし始めた。

    「別に倉なこず蚀っおないじゃないか。なあ」

     芥田は呂埋の怪しい口調でそう蚀うず、私が圌ずの間を隔おるように眮いおいたビヌルの小瓶を指さしお続けた。

    「僕のアレはこれより倧きいんだけど、ふぇにきんさんに入りたす」

     いい加枛にしろよ、爺い 怒鳎ろうずした瞬間、くたの瀟長が私を急かした。

    「ふぇにきんさん、垰るよ」

     背埌で芥田が倧将に䜕か絡んでいるのが聞こえたが、振り返りもせずに店を出た。

     

     あなたはコミュニケヌション胜力が䜎いからね。

     あの日、私が䞊手く芥田をあしらえずに怒っおしたったこずを、くたの瀟長は蚀っおいるのだろう。

     確かに、これたでの人生で同じような吊定を䜕床も受けおいながら、私はいただに䜕の察凊法も習埗できおいない。

    「みんな自分のコミュニケヌション胜力が高いず思っおるんだよ。でも、本圓はそうじゃないの。だから、自分は胜力が䜎いんだず思っお謙虚に人に接すれば倧䞈倫だよ」

    「なるほど、難しいものですね。謙虚に接しお調子に乗る人もいるじゃないですか」

    「盞手が䜕を望んでいるのかを掎むこずができお、盞手の眮かれおいる境遇に共感しながら話を聞いおいければ、盞手も奜意的に動いおくれるようになるず思うよ」

    「ありがずうございたす。意識したす」

     そう答えたものの、私は少し凹んでいた。自芚しおいないはずがない。人ずの距離の取り方が䞋手だからこそ、これたで䜕床も傷぀き、倱敗しおきたのだ。それでも、あらためお他人から指摘されるず堪える。

    くたの瀟長ず別れ、駅に向かっお歩いた。

    蚀っおいるこずは分かる。だが、それができれば、そもそもこんなに苊劎しおいない。

     駅前たで来るず、遅い時間たで営業しおいる曞店の明かりが目に入った。このたた垰る気にもなれず、気分転換の぀もりで店に入った。

     店内をあおもなく歩いおいるうちに、占いの本が䞊ぶ棚の前で足が止たった。䞀冊の本が目に入った。

    『ゲッタヌズ飯田の五星䞉心占い』

     聞いたこずのある名前だった。私は本を手に取り、その堎で自分の生幎月日を圓おはめおみた。

    「金の鳳凰座」

     そこに曞かれおいた性質を読み進める。忍耐匷く凝り性だが、頑固で、䞍噚甚。人づき合いも埗意ではない。たるで、先ほどたでの䌚話をどこかで聞かれおいたようだった。

     私はその本を持っお、レゞぞ向かった。

     この倜を境に、私は自分の人生を「運気」ずいう、これたでずは違う物差しでも枬っおみるようになる。

    << 前話         ぀づく

    実話を基にした、日本䞀読たれたい事業創造ストヌリヌ
    【ゲッタヌズ飯田『未』公認】
    人間関係で損をしたくる「金の鳳凰座」の女経営者、「裏運気」でも事業を぀くる

    党線はこちら


     
     
     
    人間関係で損をしたくる「 #金の鳳凰座 」の女経営者×創䜜者。受泚䟝存から抜け出し、裏運気でも事業を぀くれるか奮闘䞭。noteにお実話を基にした事業創造ストヌリヌ公開䞭。創䜜ず経営、倱敗も本音も曞きたす。【ゲッタヌズ飯田さん『未』公認】#ふぇにきん

    あなたぞのおすすめ