【ショートエッセイ】AIが止まらない
おはようございます。
伊藤です。
読書の秋。
初めてエッセイを書いてみた。
秋をテーマにした短いエッセイ
楽しかったのでもう一度書いてみた。
現在秋の読書イベントをやっています
秋の夜長のお供に素敵な記事をいかがでしょうか?
参加したい方は主催のお二人の記事を貼っておきます。
『画面の向こうの君』
私が子供の頃、父が床屋に行くたびに、その後をついて行った。
別に、私が散髪をするわけではない。
目的は、その床屋の待合スペースに置いてあった漫画だった。
父が髪を切っている間、漫画棚から好きな漫画を引っ張り出して読む。
それが楽しみだった。
当時、私が夢中になって読んでいたのが、
桂正和先生の『電影少女』だ。
知らない人のためにざっくり説明すると、
冴えない主人公が借りたビデオテープを再生すると、テレビ画面から美少女が出てきて、主人公とイチャコラするラブコメ漫画である。
例えるなら……
明るい貞子みたいなもの?
もちろん当時の私は、桂正和先生の名前なんて知るわけもなく、
「可愛い女の子が出てくる漫画」
くらいの感覚で読んでいた。
当時の私には、ちょっと過激に感じる表現も多く、
「これ、読んでて大丈夫なのかな……」
なんて思いながらページをめくっていた記憶もある。
でも、それ以上に衝撃だったのが、そこに描かれていた女の子たちだった。
とにかく絵が綺麗で、可愛くて、ものすごく魅力的だった。
それまでは可愛い女の子はニチアサ系くらいしか知らなかった私にとって、
『電影少女』の女の子たちは、かなりの衝撃だった。

『電影少女』を読み終わった私が、次に手に取ったのが、
赤松健先生の
『A・Iが止まらない!』
大人になってから知ったのだが、この漫画は、あの『魔法先生ネギま!』の赤松先生のデビュー作らしい。
知らない方のためにざっくり説明すると、
冴えない主人公が作った美少女AIがパソコンから飛び出してきて、主人公とイチャコラするラブコメである。
例えるなら……
明るい貞子みたいなもの?
……あれ?
さっきも同じ説明をしたような気がする。
どうやら子供の頃の私は、
「画面から美少女が出てくる」
というシチュエーションが大好きだったらしい。
『A・Iが止まらない!』は、もう30年くらい前の作品だ。
最近になってKindleで久しぶりに読み返してみたのだが、これが今読むと妙に面白い。
当然、描かれているのは今のAIとは全然違う。
パソコンもインターネットも、今とはまるで違う時代だ。
私自身もほとんど知らない、インターネット黎明期の空気。
そんな時代を舞台にしながら、
AIと会話して、
AIと一緒に暮らして、
AIに相談して、
AIに振り回されながら日常が進んでいく。
それが30年ほど経った今読むと、不思議なくらい身近に感じる。
古いパソコンや、昔のインターネットの空気にはものすごくノスタルジーを感じるのに、
そこで起きていることは、どこか今の私たちの日常に近い。
たぶん私は子供の頃、
可愛い女の子が出てくるラブコメとして楽しみながら、
このちょっと先の未来みたいな世界観にも惹かれていたんだと思う。
つまり、まとめると。
私は――
『貞子』が好きなのである❤️

可愛い女の子の絵が好き❤️
画面の中の美少女が好き❤️
どうやら私は、子供の頃から何も変わっていない。
そして、その原点をたどっていくと、
全部あの床屋に行き着く。
そう。
この床屋のせいで、私の性癖は歪んでしまったのである。
大きくなった私は、さすがに父について床屋へ行くこともなくなった。
それでも地元に帰るたび、
駅前に今も残る、すっかり古くなったあの床屋を見る。
そして心の中で呟く。
『お前のせいだからな!』

