コードネーム
仕事中。
突然、長渕主任に呼び止められた。
「チームミーティングじゃ」
「なんすか? まだ仕事中っすけど」
「重田、全員を集めるんじゃ」
なんだよ、急に。
言われた通り、愛、とも、はるかを呼んで事務所に集まった。
長渕主任を囲んで4人で座る。
「今後のバンドの方針についてミーティングを行う」
「急ですね」
愛が言った。
「まずは自分達の音楽と向き合うんじゃ」
「レジの歌と、品出しの歌と、おかしの歌とかですかね」
はるかが指折り数える。
「なんかしょぼいね」
ともが言った。
確かに。
「親しみやすい内容が多いんじゃが、英語で早口じゃし、何を言っとるかワシにはわからん」
「パンクスだからね☆」
「ワシもロックじゃからのお」
たぶん話が噛み合ってない。
「最近は覆面バンドが流行っとるらしいから、お前達も覆面バンドで活動するのが良いと思うんじゃ」
「なんか、急ですね」
はるかが言った。
「マスカラスみたいな」
愛が言った。
なんでその例えがすぐ出てくるんだよ。
「これからは、それぞれコードネームで呼び合うんじゃな」
勝手に話が進んでいく。
「まずは重田。お前は桃子だからPEACHだな」
「ダサっ」
「次は高木。お前は愛だからLOVEだな」
「ダサっ」
「次は佐藤。お前は友子だから、友達でFRIENDじゃ」
「ええー。ちょっと変えてFRENDA(フレンダ)が良いなぁ」
「なんでも良いぞ」
なんでも良いんだ。
「最後、金目。お前ははるかだからFARじゃ」
「ダサっ」
こうして、
PEACH。
LOVE。
FRENDA。
FAR。
という、絶妙にダサいコードネームが決まった。
「早速じゃが、仕事を持ってきた」
「!?」
まだあるの?
「今度、店舗のテーマソングを決める社内コンペがあるんじゃけど、そこに応募した」
嫌な予感しかしない。
長渕主任は私たちを見渡して言った。
「頂点取ってこい」
「!?」
何の頂点だよ。
次回
社内コンペ
頑張れ!
戦う!販売員!
