
DJなんて誰でもできる。
たまにXやThreadsで、
「DJなんて誰でもできるやろ。」
そんな投稿を見かけます。
自分の答えはシンプルです。
その通りです。
サウンドやDJ、セレクターなんて誰でも始められます。
機材を買えば今日からでもできます。
曲を流すだけなら誰でもできるし、簡単なミックスも難しくありません。
サッカーもボールを蹴るだけなら誰でもできます。
料理も包丁を持つだけなら誰でもできます。
ギターもカメラも同じです。
でも、それでプロになれるかと言えば話は別です。
知れば知るほど奥が深く、難しい世界だと分かります。
プロは曲を流しているんじゃありません。
その場の空気を作っています。
お客さんの表情。
フロアの温度。
次に何を求めているのか。
それを何百回、何千回という現場経験の中で読み取り、その場で判断しています。
一曲で空気が変わることもある。
一言のMCで会場が一つになることもある。
逆に、たった一つの判断ミスで、それまで積み上げた流れが一瞬で崩れることもあります。
だからDJは「再生ボタンを押す仕事」ではありません。
その場にいる人たちの感情を動かす仕事です。
さらに深く知れば、その違いはもっと分かります。
同じ曲を流しているように見えても、選曲にもミックスにも個性があります。
自分だけのリミックスを作る人もいる。
オリジナルのビートを制作する人もいる。
何年もかけてDUBを録り、自分だけの武器を作る人もいる。
トップDJやトップサウンドになれば、自分でプロデュースした楽曲だけで1時間、2時間のライブを成立させることもあります。
表面だけ見れば「曲を流しているだけ」。
でも、その裏には何年、何十年という積み重ねがあります。
もし本当に曲を流しているだけで何千人ものお客さんを集められるなら、みんなやっています。
同じ機材を使っても、
同じ曲を持っていても、
同じ結果にはなりません。
だから面白いし、だから奥が深い。
お客さんは曲だけを聴きに来ているわけじゃありません。
そのDJ、そのサウンドだからこそ生まれる空気。
その時間。
その体験。
それを味わいに来ています。
だから俺は、「DJなんて誰でもできる」という言葉に反対はしません。
その代わり、一つだけ付け加えたい。
「DJなんて誰でも始められる。でも、誰でも続けられるわけじゃない。」
そして、もっと難しいのは、
「誰でも始められる。でも、誰かに選ばれ続けるDJにはなれない。」
プロは機材で選ばれるんじゃない。
技術だけで選ばれるんでもない。
積み重ねた経験で選ばれる。
積み重ねた信頼で選ばれる。
俺はそう思っています。