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最後だとわかっていたなら

    という詩をご存知だろうか。

    これは、アメリカ人女性が10歳の息子を
    亡くし、その悲しみを綴った詩である。

    9.11同時多発テロの追悼集会でこの詩が
    朗読され、とても大きな反響を呼び、
    瞬く間に世界中に拡散されたのである。

    だいぶ前になるけれど、私は
    ちょうどこの時期、とある中学校に
    教育実習に行っていた。

    中学社会と、高校地歴の教員免許を
    取得するために。

    実習も終盤に差し掛かった時、
    当時の担当教諭が

    「題材は何でも良いから、
    1回オリジナルの授業をやってみよう」

    と提案してくださった。

    てっきり教科書に則った授業をするのだと
    思っていた私は困惑した。

    自分なりに、
    当時担当していた中学校2年生の子たちに
    私が伝えたいことは何かということを考えた。

    その結果、この詩を題材に、
    アメリカ同時多発テロについて考える授業を
    しようと思った。

    大きな模造紙にこの詩を書き写した記憶がある。

    テロが起きた背景や被害の大きさの事実も
    知ってほしかった。

    間接的に、命の大切さ、
    新しい毎日が来ることの尊さ
    についても感じ取ってくれたら、と思った。



    この詩をみんなで朗読した時に、
    何人も涙を流している子がいて、
    中学生という多感な時期の感性に、
    この詩は確かにダイレクトに響いていた。

    この時期になると、いつもこの詩を思い出す。

    日常に忙殺されがちで、
    周りにいる人や景色が
    当たり前ではないことを忘れてしまう。

    当たり前では、決してないのだ。
    いつこの日常が奪われるかもわからない。

    大好きな人、物に
    「ありがとう」「大好きだよ」「ごめんね」と
    伝えるのは今だよ、
    とこの詩はいつも教えてくれている。

    「最後だとわかっていたなら」
    作・ノーマ コーネット マレック / 
    訳・佐川 睦

    あなたが眠りにつくのを見るのが
    最後だとわかっていたら
    わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
    神様にその魂を守ってくださるように
    祈っただろう

    あなたがドアを出て行くのを見るのが
    最後だとわかっていたら
    わたしは あなたを抱きしめて キスをして
    そしてまたもう一度呼び寄せて
    抱きしめただろう

    あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
    最後だとわかっていたら
    わたしは その一部始終をビデオにとって
    毎日繰り返し見ただろう

    あなたは言わなくても
    分かってくれていたかもしれないけれど
    最後だとわかっていたら
    一言だけでもいい・・・
    「あなたを愛してる」と
    わたしは 伝えただろう

    たしかにいつも明日はやってくる
    でももしそれがわたしの勘違いで
    今日で全てが終わるのだとしたら、
    わたしは 今日
    どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

    そして わたしたちは 忘れないようにしたい

    若い人にも 年老いた人にも
    明日は誰にも約束されていないのだということを
    愛する人を抱きしめられるのは
    今日が最後になるかもしれないことを

    明日が来るのを待っているなら
    今日でもいいはず
    もし明日が来ないとしたら
    あなたは今日を後悔するだろうから

    微笑みや 抱擁や キスをするための
    ほんのちょっとの時間を
    どうして惜しんだのかと
    忙しさを理由に
    その人の最後の願いとなってしまったことを
    どうして してあげられなかったのかと

    だから 今日
    あなたの大切な人たちを
    しっかりと抱きしめよう
    そして その人を愛していること
    いつでも
    いつまでも 大切な存在だということを
    そっと伝えよう

    「ごめんね」や「許してね」や
    「ありがとう」や「気にしないで」を
    伝える時を持とう そうすれば
    もし明日が来ないとしても
    あなたは今日を後悔しないだろうから

    サンクチュアリ出版サイトより

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