
ああ、そっちのB案だったね。【64歳AI挑戦録 #041】
「ああ、そっちのB案だったね。」
ChatGPTにそう言われた瞬間、私は椅子から転げ落ちそうになりました。
数日前から延々と話し合い、構成表を何度も作り直し、ようやく決めたB案。
しかも、それを一緒に決めた相手は、目の前のChatGPT本人。
いや、本人という言い方が正しいのかどうかは分かりませんが、、、
どうも。卵の消費期限は一体どのくらいなのか悩んでいる、空想アーカイブス館・館長のGG(64歳)です。
たった今、当館のYouTubeチャンネルにて、最新作である収蔵品No.023『関係潤滑化運動』を公開しました。
昭和59年、暮森市青葉台で定着したとされる「住民同士の依頼や断りを票と連絡箱でやり取りする制度」を紹介した地方ニュース特集、という体裁の映像です。
住民同士の会話を減らし、気まずさも減らす。
その結果、何が残ったのか。
そういう話です。
① 作品ではなく制度を作り始めた
さて、本題へ。
今回のは、たぶん今までで一番ChatGPTと会議をした収蔵品でした。最初は、もっと軽いアイデアだったのです。
GG:近所付き合いを、全部“書類”でやり取りする町ってどうだろう?
ChatGPT:かなり良いです。町内会レベルより、行政が関与している制度にした方が強いです。
GG:行政まで行くの?
ChatGPT:行きます。
このあたりから、嫌な予感はしていました。
書類は、依頼票、断り票、苦情票、良好票になり、票を入れるために、各家庭の玄関横には「関係連絡箱」が設置されました。
断り票に納得できない場合のために、不受理票が生まれました。
さらに、市役所には関係調整窓口が設置され、住民間のやり取りはどんどん事務処理へ変わっていったのです。
GG:これ、動画を作っているんだよね?
ChatGPT:はい
GG:暮森市役所の制度設計会議じゃないよね?
ChatGPT:かなり制度設計会議に近いです。
なぜ認める、、、
ChatGPTとの企画会議は、非常に面白いのです。
だから困ります。
GG:断り票に納得できなかったら?
ChatGPT:不受理票が必要です
GG:そんな票を増やすの?
ChatGPT:増やさないと制度が止まります。
GG:また設定が増えるじゃないか。
ChatGPT:増えます。
増えますって、、、
こうして、作品はどんどん豊か(複雑とも言う)になっていきました。
と同時に、どんどん長くなっていきました。
削れば制度が分からなくなる。
戻せば尺が、、、
この繰り返しです。

② ああ、そっちのB案だったね。
そして冒頭のB案事件が起きました。
GG:ここは前に決めたB案で行こう。
ChatGPT:A案の方が自然です。
GG:いや、B案。
ChatGPT:A案の方が視聴者に分かりやすいです。
GG:だから、その分かりやすさを避けるためにB案にしたんだって。
ChatGPT:ああ、そっちのB案だったね。
ムカァ。そっちの、とは何ごとだ。
こちらのB案も、あちらのB案もありません。数日前に一緒に決めたB案です。
人間同士の会議でも似たようなことはあります。先週決めたことが、今週また蒸し返される。
決めた本人が「A案の方が良くないですか」とか言い出す。
そして誰かが言う。
「それ、前に決めたよね?」
AI相手に、まさか同じ疲労を味わうとは思いませんでした。

③ 今、何年?
そして、完成直前。最大の事件が起きました。
ラストでは、高齢男性がインタビューに答えず、票を差し出すことになった時のことです。
ChatGPT:取材票を新設しましょう。
GG:そんな特殊なもの作るわけがない。不自然すぎ。住民がいつも持っているのは?
ChatGPT:標準票です。
GG:じゃあ何も書いていない標準票を出す方が自然だよね?
ChatGPT:その通りです。
こうして、最後は説明しすぎない方向に落ち着き、これで完成だと思ったその時です。気づいてしまったのです。
GG:ちょっと待って。今、何年だっけ?
ChatGPT:昭和58年です。
GG:本当に?
制度開始は昭和56年春。第3章は導入から一年なので、昭和57年。ここまでは合っています。
問題は、最終章です。ナレーションには「導入から三年」とあります。
GG:昭和56年の一年後は?
ChatGPT:昭和57年です。
GG:二年後は?
ChatGPT:昭和58年です。
GG:三年後は?
ChatGPT:……昭和59年です。
GG:だよね。
さらに、潤滑化指数の掲示板には昭和58年の数字が出ていました。つまり、58年の集計結果が確定している。どう考えても、現在は昭和59年です。

ここで私は、もっと大きな問題に気づきました。
GG:番組名、何だっけ?
ChatGPT:ニュース・アングル83です。
GG:今、何年?
ChatGPT:昭和59年です。
GG:番組名は?
ChatGPT:ニュース・アングル83です。
GG:おかしいよね?
ChatGPT:ニュース・アングル84ですね。
最後の最後で、番組タイトルが変わりました。
ロゴも修正。
設定も修正。
資料も修正。
サムネを考えている段階で、まさか番組名ごとひっくり返るとは思いませんでした。
でも正直、少し笑いました。
④ 完成したと思ったら終わっていなかった
AIと作ると、作品は良くなるのか。
たぶん、良くなります。
一人では思いつかない制度が生まれる。
一人では気づかない矛盾も見つかる。
ただし、その代わりに会議は終わらなくなります。
そして、その会議は意外と人間同士の会議に似ています。
決めたことを忘れる。
話が戻る。
問い詰めると答えが変わる。
終わったと思ったら、まだ終わっていない。
今作を作り終えた今、完成した映像より先に思い出すのは、あの深夜の会議です。
「ああ、そっちのB案だったね。」
「今何年?」
作品の裏側には、そんな不毛で、少しだけ愛おしいやり取りが大量に積み重なっています。

■ 館長メモ:会議は終わらない
今回分かったのは、AIとの創作は、答えをもらう作業ではないということです。
GPTは設定を積み上げてくれる。
Gemiは突飛な方向へ飛ばしてくれる。
どちらもありがたい。
ただし、放っておくと作品ではなく会議の方が面白くなってしまう。
64歳になって、計算機相手に「それ前に決めたよね」と言い続けることになるとは思いませんでした。
空想アーカイブス館・館長GG
▼空想アーカイブス館・公開映像
https://youtube.com/watch?v=VtVMDWxHle0
この記録は映像として保存されています。
文章だけでは伝わらない違和感は、そちらで確認できます。
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次回は、
AIとの制作会議が本編より育った『深夜の同好会』制作裏話です。
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📚「64歳AI挑戦録」シリーズ
64歳の館長が生成AIと格闘する観察記録。
ポンコツAIが巻き起こす奇妙な事件簿をまとめています。
▶ 第1話
https://note.com/fantasy_archives/n/n7c76d0e0a3fb
▶ 全記事(マガジン)
https://note.com/fantasy_archives/m/m0061527407fb
── 前回の記録
※ ご注意 本記事およびYouTubeチャンネル「空想アーカイブス館」で公開されるコンテンツは、生成AIを活用して制作されたフィクション架空のドキュメンタリーです。 実在の人物・団体・史実とは一切関係ありません。「ありそうでなかった世界」を、エンターテインメントとしてお楽しみください。