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第12話|知らない道へ曲がると、なぜ少しワクワクするのか。

バイクで走っていると、ときどき
気になる道があります。

いつもの幹線道路を走っている途中。

ナビはまっすぐを示している。

目的地も、そのまま進めば着く。

なのに、横に一本だけ伸びている
細い道を見ると、
「この道、どこへ行くんだろう…」
と思ってしまう。

車だったら、そのまま通り過ぎていたかもしれません。

でもバイクだと、
不思議と曲がってみたくなる。

もちろん、毎回曲がるわけでは
ありません。

道が狭すぎたり、路面が悪そうだったり、「これはやめておこう」と思うことも
あります。

それでも、知らない道の入口を見ると、
僕の中の何かが少し動く。


☝️今日は、その理由について考えて
みたいと思います。

「知らない…」
というだけで、少し面白い。


以前の僕は、ツーリングというものは
目的地を決めて走るものだと
思っていました。

ここへ行く。

そこで何かを見る。

美味しいものを食べる。

写真を撮る。

そして帰ってくる。

それが普通だと思っていたんです。

でも、バイクに長く乗っているうちに
少し変わりました。

目的地より、
途中の道のほうが面白くなってきた。

特に気になるのが、

「知らない道」です。

「この先に何があるのか分からない。」

ただ、それだけ。

絶景がある保証なんてありません。

有名なお店があるわけでもない。

もしかしたら何もないかもしれない。

それでも僕は、

「ちょっと行ってみようかな。」

と思ってしまうんです。


心の科学①

人は「分からないもの」に
惹かれる。


人の脳には、新しいものや未知のものに
注意を向ける性質があります。

心理学では、こうした働きを
「新奇性」や「好奇心」という視点から
考えることができます。

全部分かっていることより、

「何だろう?」

「どうなっているんだろう?」

という少しの未知があるほうが、
僕たちの注意は向きやすい。

考えてみれば、知らない道も同じです。

地図を見れば、その先がどこにつながっているかは分かるかもしれません。

でも僕が惹かれているのは、
地図上の答えではない。

実際に自分で走って確かめたい。

たぶん、その感覚なんです。

大人になると、
「初めて」が減っていく。


子どもの頃は、毎日のように初めてが
ありました。

初めて行く場所。

初めて会う人。

初めて見る景色。

初めて食べるもの。

知らないことだらけだったから、
世界そのものが大きかった。

ところが大人になると、少しずつ
変わります。

仕事にも慣れる。

生活する場所も決まる。

いつもの店。

いつもの道。

いつもの人。

もちろん、それは悪いことでは
ありません。

むしろ安心できる生活を作ってきたということだと思います。

でも、ときどき思うんです。

「最近、初めてって何回あっただろう。」


新しい経験は、時間を濃くする。


同じような毎日が続くと、

「もう一週間経ったのか。」

「今年も早かったな。」

と感じることがあります。

一方で、旅に出た一日は妙に長く感じる
ことがある。

朝から走って、

知らない道を通って、

初めての店に入って、

知らない景色を見て、

夕方になって振り返ると、

「今日一日で、ずいぶんいろんなことが
あったな。」と思う。

新しい経験では、普段より多くのことに
注意を向け、記憶にもさまざまな情報が
残ります。

だから僕には、

「初めて」がある日は、人生の時間が
少し濃くなるように感じられるんです。


バイクに乗ると、僕は少しだけ
冒険できる。


僕は別に、冒険家ではありません。

危険な場所へ行きたいわけでもない。

無茶なことをしたいわけでもありません。

むしろ歳を重ねるほど、安全について
考えるようになりました。

「今日はやめておこう。」

そう判断することも増えました。

それでも、

いつもの道から一本だけ外れてみる。

知らない店に入ってみる。

見たことのない海岸へ降りてみる。

山の向こう側まで走ってみる。

僕にとっては、
それくらいがちょうどいい。

大人になった僕にできる、
小さな冒険です。


心の科学③

好奇心は、
「行ってみよう」を生み出す。

好奇心は、単に知識を得たいという
気持ちだけではありません。

未知のものを自分で確かめようとする
探索行動にもつながります。

バイクとの相性がいいのは、
ここだと思っています。

車より身体が外に近い。

道の匂いも感じる。

気温も変わる。

道路の傾斜も身体で分かる。

景色との距離が近い。

だから、

「この道、面白そうだな。」

という小さな心の動きが、そのまま行動につながりやすい。

ウインカーを出して、

一つ曲がる。

たったそれだけで、

数分後には、さっきまで知らなかった
世界の中を走っている。

僕は、この感覚が好きなんです。

そして、当たりばかりではない。


もちろん、

知らない道へ曲がれば、毎回素晴らしい
景色が待っているわけではありません。

行き止まりだったこともあります。

道路が荒れていて引き返したこともある。

「なんでこっち来たんだろう。」

と思ったことだってあります(笑)。

でも、不思議なんです。

そういう失敗も、後になると
結構覚えている。

完璧なツーリングより、

迷ったこと。

道を間違えたこと。

雨に降られたこと。

変な場所に出てしまったこと。

そんな出来事のほうが、

何年経っても仲間との話のネタに
なったりする。

人生も少し似ている気がします。

僕は、いつから「間違えない道」を選ぶようになったのだろう。


あるとき、一人で走っていました。

特に急いでいるわけでもありませんでした。

すると、山のほうへ入っていく細い道が
見えました。

ナビが示している道ではありません。

「こっちじゃない。」

頭では分かっています。

でも、

なんとなく気になった。

少し迷って、

ウインカーを出しました。

何もなかった。

しばらく走りました。

山の中へ入っていく。

民家も少なくなる。

道も細くなっていく。

「これ、本当に大丈夫かな。」

少し不安になってきました。

そして最後に出た場所は…

別に有名な絶景スポットでもなければ、

観光地でもありませんでした。

小さな田舎道。

畑。

古い家。

遠くに山。

それだけです。

正直に言えば、

何もありませんでした。


でもエンジンを止めたとき、

風の音が聞こえました。

鳥の声がした。

誰もいない。

僕はヘルメットを脱いで、
しばらくそこにいました。

そして、

「こういうのも、悪くないな。」

と思ったんです。



心の科学④

結果ではなく、
「自分で選んだ」という感覚。


このとき僕が嬉しかったのは、

素晴らしい景色を発見したからでは
なかったのだと思います。

自分で、

「行ってみよう。」

と決めたこと。

そして実際に走ったこと。

人には、自分で選んでいるという
感覚=自律性が、満足感や動機づけに
深く関係すると考えられています。

つまり僕が楽しんでいたのは、

目的地ではなく、

「自分で選んだ」という経験そのものだったのかもしれません。

大人になると、
「正解」を選ぶことが増える。

仕事では失敗しないほうがいい。

お金も無駄にしないほうがいい。

時間も効率的に使ったほうがいい。

家族や周囲のことも考えなければならない。

大人になるほど、

「間違えないこと」

が求められるようになります。

僕自身も、そうやって生きてきたところがあります。

だからいつの間にか、

「正しい道」

「効率のいい道」

「失敗しない道」

を選ぶ癖がついていたのかもしれません。

でもバイクに乗っていると、

時々それを忘れられる。

「間違えても、戻ればいい。」


知らない道へ入る。

違ったら戻る。

行き止まりならUターンする。

景色が良ければ止まる。

気に入ったら、もう少し先へ行く。

ただ、それだけ。

そのとき、ふと思いました。

人生も、本当はもう少しこうでいいの
かもしれない。


もちろん、人生には簡単に戻れない
選択もあります。

何でもやり直せるわけではありません。

それでも、

すべての選択を最初から正解にしようと
しなくてもいい。

行ってみなければ分からない道もある。



心の科学⑤

好奇心は、年齢ではなく
「姿勢」なのかもしれない。


若いから好奇心がある。

歳を取ったから冒険しなくなる。

以前は、どこかでそんなふうに思って
いました。

でも今は少し違います。

好奇心とは、

特別なことをすることではなく、

「これは何だろう?」

と思えることなのかもしれません。

そして、

「ちょっと行ってみよう。」

と思えること。

それなら、何歳になってもできる。

むしろ僕は今、

若い頃よりも一つ一つの「初めて」を
面白く感じるようになりました。

残された時間が無限ではないことを、
少しずつ分かってきたからかもしれません。

僕は、まだ知らない景色を見たい。

日本には、

僕が走ったことのない道が、
まだいくらでもあります。

知らない町がある。

知らない海がある。

知らない山がある。

知らない店がある。

まだ会ったことのない人もいる。

そう考えると、

少し嬉しくなるんです。

「まだ、こんなに知らないことがある。」

若い頃は、

知らないことが恥ずかしいと思うことも
ありました。

今は逆です。

知らないから、

行ってみたい。

知らないから、

見てみたい。

知らないから、

まだ人生には続きがある。


STORY RIDER
僕がバイクから教えてもらったこと。


僕がバイクに乗り続けている理由は、

速さだけでも、

格好良さだけでも、

目的地へ行くためだけでもありません。

もしかすると、

「まだ知らない自分」に会いに行っているのかもしれません。

知らない道へ曲がる。

知らない景色を見る。

初めての場所に立つ。

そのたびに、

「自分は、こういう景色が好きなんだ。」

「こういう時間が落ち着くんだ。」

「まだこんなことでワクワクできるんだ。」

と、自分のことを少し知る。

だから僕は、

知らない道を見ると、今でも少し
ワクワクします。

そして、これからも安全を第一に
しながら、ときどき予定から
外れてみたい。

歳を重ねても、「初めて」はまだ作れる。

そして僕には、

まだ走ったことのない道がある。

それだけで、

これからの人生が少し楽しみになります。


【あなたへの問い】

最近、あなたが経験した「初めて」は
何ですか?

大きな挑戦でなくていいと思います。

初めて通った道。

初めて入った店。

初めて見た景色。

そんな小さな「初めて」が、

止まりかけていた心を、少しだけ動かしてくれることがあります。


次回|第13話

なぜ、バイク仲間とはすぐに話せるのか。

年齢も違う。
仕事も違う。
住んでいる場所も違う。

それなのに、サービスエリアや道の駅で、

「それ、何年式ですか?」

その一言から、いつの間にか話し込んでいる。

次回は、僕自身がバイク仲間との
出会いで感じてきたことから、
「共通体験」「社会的アイデンティティ」
「仲間とのつながり」を
心の科学で考えてみます。



STORY RIDER|編集部おすすめの一品

第12話のおすすめ

バイクツーリング用アクションカメラ

知らない道へ曲がったとき。

そこに必ず絶景があるわけではありません。

何もない田舎道だったり、
小さな漁港だったり、
名前も知らない山道だったりする。

でも、不思議なことに、

そんな場所ほど、あとになって
思い出すことがあります。

今回の第12話を書きながら、
僕が選びたいと思ったのが、

アクションカメラです。

僕が欲しいのは、派手な映像を撮るため
だけのカメラではありません。

走っているときに見つけた景色。

初めて通った道。

ふと立ち寄った場所。

「あのとき、こっちへ曲がって
よかったな。」

そんな瞬間を残しておくためのものです。


📷 なぜ第12話にアクションカメラなのか。

スマートフォンを取り出して写真を
撮るのもいい。

でもバイク旅には、

止まった場所だけではなく、
そこへ向かう途中にも物語があります。

山道を抜けた瞬間に突然見えた海。

木漏れ日の中を走った細い道。

知らない町へ入っていく瞬間。

そういう景色は、そのときは何気なく
通り過ぎてしまいます。

だからこそ、

「走った時間そのものを残す」

という楽しみ方があってもいいと
思うんです。


僕なら、こんな基準で選びます。

Amazonで探すなら、

* バイクに取り付けやすい
* 手ブレ補正がしっかりしている
* 防水・防塵性能がある
* バッテリー交換または長時間撮影がしやすい
* ヘルメットや車体へのマウント方法が豊富
* スマートフォンへ映像を転送しやすい

このあたりを重視します。

特にツーリングでは、画質だけではなく「操作のしやすさ」と「振動への強さ」も確認したいところです。

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STORY RIDER編集部より

歳を重ねると、

「初めて」は少しずつ減っていく。

だから僕は、バイクでまた探しに行く。

初めて走る道。
初めて見る景色。
初めて立ち寄る町。

そして、その日の映像を何年か経って
見返したとき、きっと思うはずです。

「あの日、知らない道へ曲がって
よかったな。」

目的地だけが、旅じゃない。

僕にとってアクションカメラは、

「どこへ行ったか」ではなく、
「どんな道を走ったか」を残す道具。

第12話には、そんな紹介の仕方が
一番しっくりきます。


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