第16話|バイク旅は、なぜ人生の記憶に強く残るのか?
何年も前のことなのに、
なぜか鮮明に覚えているツーリングがあります。
どこを走ったのか?
どんな景色だったのか?
途中で何を食べたのか?
誰と話したのか?
突然降ってきた雨。
ヘルメットを脱いだときの空気。
そして、
目的地へ着いた瞬間に見た景色。
不思議なのは、
その前の日に何をしていたのかは、
ほとんど覚えていないことです。
一週間前の昼飯だって、
思い出せないことがある。
なのに、
何年も前にバイクで走った一日は、
まるで昨日のことのように思い出せる。
僕は、ときどき思います。
なぜ、バイクで走った日の記憶は、こんなにも強く残るのだろう…
そこには、
単に「バイクが好きだから」だけでは説明できない、
人間の記憶の仕組みが関係しているのかもしれません。
【目 次】
バイク旅は、なぜ人生の記憶に強く残るのか。
1. この記事で考えたいこと
2. 僕たちは「毎日」を全部覚えているわけではない
└ 心の科学①|「エピソード記憶」は、人生の出来事を残していく
3. 初めての道は、なぜ記憶に残りやすいのか
└ 心の科学②|「新奇性」が脳の注意を引きつける
4. 楽しかったことだけが、記憶に残るわけではない
└ 心の科学③|「感情」が記憶に印をつける
5. 匂いや音だけで、昔の旅が突然よみがえる
└ 心の科学④|「手がかり」が記憶を呼び戻す
6. 旅の全部ではなく、「強い瞬間」が残っている
└ 心の科学⑤|「ピーク」と「終わり」が体験の印象をつくる
7. 「鮮明な記憶=正確な記録」ではない
└ 心の科学⑥|記憶は、思い出すたびに「再構成」される
8. バイク旅は、「自分の人生の物語」になっていく
└ 心の科学⑦|「自伝的記憶」が、自分という物語をつくる
9. 歳を重ねるほど、「どこへ行ったか」より大切になるもの
10. STORY RIDER|僕がバイクから教えてもらったこと
11. あなたへの問い
12. STORY RIDER|今回のおすすめ「Insta360 X5」
13. 次回|第17話「なぜ、歳を重ねるほど『一人で走る時間』が大切になるのか。」
今回は、「バイク旅と記憶」について、
心の科学から考えてみます。

僕たちは「毎日」を全部覚えているわけではない。
考えてみると、
人間の記憶は不思議です。
「昨日の仕事」
「いつもの通勤」
「いつもの食事」
「いつもの買い物」
「いつもの道」
毎日たくさんのことを経験しているのに、
そのすべてを覚えているわけではありません。
むしろ、
ほとんどの出来事は、
時間とともに曖昧になっていきます。
でも、
『初めて走った道』
『初めて見た景色』
『旅先で起きたトラブル』
『仲間と大笑いした出来事』
そういう日は、
何年経っても残っていることがあります。
なぜなのでしょう。
心の科学①「エピソード記憶」は、人生の出来事を残していく
人間の記憶には、さまざまな種類があります。
その中に、「エピソード記憶」と呼ばれるものがあります。
簡単に言えば、
「いつ・どこで・何を経験したのか?」という、
自分自身の出来事に関する記憶です。
たとえば、
「海は塩水である」
という知識と、
「去年の夏、バイクで海まで走った」
という記憶は違います。
後者には、
「場所があります」
「時間があります」
「景色があります」
そして、
『そのときの自分がいます』
バイク旅には、
この「出来事として記憶される材料」がたくさんあります。
だから、
ただ知っていることではなく、
「自分が生きた一日」として残りやすいのかもしれません。

初めての道は、なぜ記憶に残りやすいのか。
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