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『第14話』「今日は乗らない」という判断も、ライダーの成長なのか。朝、目が覚める。カーテンを開けると、雨は降っていない…

バイクと心の科学 Season②


第14話

「今日は乗らない」という判断も、
ライダーの成長なのか。

朝、目が覚める。

カーテンを開けると、雨は降っていない。

空も、それほど悪くない…

せっかくの休み…

昨日までは、

「明日はバイクに乗ろう…」

そう思っていました…

でも、身体が少し重い…

寝不足なのかもしれない…

なんとなく集中できない…

天気予報を見ると、
午後から少し崩れそう…

それでも昔の僕なら、

「せっかくの休みなんだから。」

「雨が降る前に帰ってくればいい…」

そう言って、
ヘルメットを持っていたと思います。

でも最近は、

バイクを見ながら、

「今日は、やめておこうかな?」

と思えるようになりました。

これは歳を取ったからなのか?

臆病になったからなのか?

それとも…

少しだけ、ライダーとして
成長したということなのか?

今回は、
そんなことを考えてみたいと思います。

【目 次】

1. この記事の目的

2. 「乗りたい」と「乗れる」は違う。
   * 心の科学①|「今の自分」を外から見る

3. 昔の僕は「せっかくだから」に弱かった。
   * 心の科学②|「ここまで準備した」が判断を縛る

4. 雨より怖いのは、「無理できる」と思っている自分かもしれない。
   * 心の科学③|「怖がる」と「危険を理解する」は違う
   * 「引き返す」という選択ができるようになった

5. ここから有料|ある日、僕はガレージを開けたまま帰った。
   * その日、僕はエンジンをかけなかった

6. 「やらないことを選べる」のも、自由なのかもしれない。
   * 心の科学④|「自分を止める」という自己調整

7. 今日の100kmより、これからの何万km。
   * 歳を重ねたからこそ、分かることがある
   * 心の科学⑤|「やらない判断」も成長なのかもしれない

8. 人生にも「今日はやめておこう」があっていい。

9. 僕がバイクから教えてもらったこと。

10. あなたへの問い

11. 次回|なぜ、遠くまで走ると自分の悩みが小さく見えるのか。




「乗りたい」と「乗れる」は違う。


バイクが好きなら、乗りたい。

これは当然です。

天気が良ければ尚更。

エンジンをかけて、

走り出して、

風を感じたい。

僕だってそうです。

でも最近、

「乗りたい気持ち」と
「安全に乗れる状態」は別なんだと
思うようになりました。

「身体が疲れている」

「睡眠が足りない」

「頭がぼんやりしている」

「仕事の事で考え事をしている」

「天候が不安定」

そんな日はあります。

バイクは、アクセルを
開ければ走ってくれる。

でも、

自分自身の状態までは、バイクは
判断してくれない。

最後に判断するのは、自分です。

心の科学①
「今の自分」を外から見る


心理学にはメタ認知という
考え方が有ります。

簡単に言えば、

「今の自分が、どんな状態なのかを
自分で認識すること」

です。

「今日は集中できている。」

「少し疲れている。」

「今、イライラしている。」

「判断が雑になっているかもしれない。」

自分の気持ちの中にいるだけではなく、

もう一人の自分が少し離れたところから
自分を見るような感覚。

バイクに乗る前にも、これは大切だと
思っています。

昔の僕なら、

「乗りたいから乗る。」

それだけだったかもしれない。

今は、

「今日の僕は、本当に安全に
走れるだろうか?」

そこまで考える様になりました。


昔の僕は
「せっかくだから」に
弱かった。

これは僕自身、結構ありました。

「せっかくの休日」

「せっかく予定を空けた」

「せっかく仲間と約束した」

「せっかく準備した」

だから、

「多少無理してでも行こう…」となる。

特にツーリングの予定を立てていると、

中止するのが勿体なく感じるんです。

楽しみにしていたし、

仲間にも悪い気がする。

でも考えてみれば、

「せっかく」という理由で無理をして、

何かあったら何の意味もない。

今はそう思います。

心の科学②

「ここまで準備した」が
判断を縛る


人は、すでに使った時間や労力を無駄に
したくないと感じる事が有ります。

「予定を立てた」

「準備した」

「朝早く起きた」

「ガソリンも入れた」

だから、

「ここまでやったんだから行こう…」

と思ってしまう。

経済学や心理学では、
こうした判断に関連してサンクコストと
いう考え方が有ります。

でも、本当に考えるべきなのは、

昨日までにどれだけ準備したかではなく、今日、安全に走れるか?

なんですよね。

準備した時間は戻らない。

でも、

今日乗らなくても、

バイクは明日もそこにある。


雨より怖いのは、
「無理できる」と思っている自分かもしれない。


雨の日に乗ること
自体が悪いとは思いません。

雨でも走らなければならない事はある。

ツーリング途中で
降られることも有ります。

問題は、

自分の技量や状態以上に「大丈夫」と
思ってしまう事。

以前なら、

「これくらいなら平気」

と思っていた場面でも、

最近は一度考えるようになりました。

「タイヤはどうか?」

「路面温度はどうか?」

「風は強くないか?」

「疲れて居ないか?」

「帰る頃の天候はどうか?」

暗くなる時間は…

少し面倒なくらい考える。

でも僕は、

それでいいと思っています。

心の科学③

「怖がる」と
「危険を理解する」は違う


リスク認知とは、

危険がどの程度あるのかを認識し、
判断する心の働きです。

ここで僕が大事だと思うのは、

「怖いから全部やめる」事では
有りません。

逆に、

「自分なら大丈夫」と
全部進むことでもない。

危険を理解したうえで、

「今日は行く」

「今日はやめる」

「ここから引き返す」

「この道は避ける」

そうやって選べること。

僕は、それが大人のライダーの
強さなのではないかと思っています。

「引き返す」という選択が
できるようになった


ツーリングに出てから天候が
変わる事も有ります。

空が急に暗くなる。

風が強くなる。

山の上に黒い雲が見える。

以前なら、

「ここまで来たんだから。」

と、そのまま目的地まで
行こうとしたかもしれません。

でも今なら、

「コンビニに停まって雨雲を確認する」

「ルートを変える」

「目的地を諦める」

「場合によっては帰る」

以前の僕には、

「引き返す=負け」

みたいな感覚が
少し有ったのかもしれません。

今は違います。

無事に帰れば、また来られる。

それでいい。


ある日、
僕はガレージを開けたまま帰った。

ある休日の朝。

天気は悪く有りませんでした。

僕はいつものように着替えて、

ジャケットを着て、

ガレージへ行きました。

シャッターを開ける。

バイクを見る。

今日はどこへ行こうか?

そこまで考えていました。

でも、

なんとなく身体が重かった。

前日の疲れが残っていたんだと思います。

「走り出せば大丈夫だろう…」

一度はそう思いました。

キーを手に持った。

ヘルメットもある。

あと数分で出発できる。

でも、そのとき、

自分の中に小さな違和感が有りました。

「今日、本当に乗りたいのか?」

乗りたい。

でも、

「今日は乗らない方がいい…」

もう一つの自分が、
そう言っている様な気がしました。

その日、
僕はエンジンをかけなかった。


少し迷いました。

「せっかく準備したのに…」

「天気も悪くないのに…」

「休日なのに…」

それでも、

キーを戻しました。

ジャケットを脱いで、

ガレージを閉めた。

正直、

少し勿体ない気持ちは有りました。

でも同時に、

妙に落ち着いた気持ちも有りました。

「今日はこれでいい…」

そう思えたんです。


「やらないことを選べる」のも、自由なのかもしれない。


心の科学④
「自分を止める」という自己調整


心理学では、目標や状況に合わせて自分の行動や感情を調整する働きを自己調整という視点から考える事が有ります。

やりたいからやる。

それも大切です。

でも、

やりたいけれど今日はやめる。

その判断もまた、

自分で自分の行動を選んでいる。

僕は以前、

自由とは、

「やりたいことをやれる事」

だと思っていました。

でも最近は、

少し違います。

「やらないことも、自分で選べる事。」

それも自由なんじゃないかと思います。

今日の100kmより、
これからの何万km。


僕は、これからもバイクに乗りたい。

「来年も」

「5年後も」

「10年後も」

できる事なら、その先も。

そう考えると、

一日一日のツーリングより、

「長く乗り続ける事」の方が
大切になってきました。

今日、無理して100km走る事より、

何年も安全に走り続ける事。

その為なら、

今日は休む。

それもバイク人生の一部です。


歳を重ねたからこそ、
分かる事がある。


若い頃のような体力は、

少しずつ変わっていく。

反応速度も、

集中力も、

疲れ方も、

ずっと同じではありません。

それを認めることは、

以前なら少し悔しかったかもしれない。

でも今は、

変化した自分に合わせて乗り方を
変えていけばいいと思っています。

「休憩を増やす」

「距離を短くする」

「無理な時間帯を避ける」

「雨なら予定を変える」

「疲れていたら乗らない」

それは、

バイクを諦める事では有りません…

むしろ、

バイクと長く付き合う為の乗り方を
覚えていく事。

僕はそう考える様になりました。

心の科学⑤
「やらない判断」も
成長なのかもしれない。


若い頃は、

成長と言うと、

「速く走れる…」

「長距離を走れる…」

「難しい道を走れる…」

「大きなバイクに乗れる…」

そんなふうに、

「出来る事が増える」事だと
思っていました。

でも歳を重ねて、

もう一つあることに気づきました。

「今日はやめる」

「ここで休む」

「引き返す」

「誰かに任せる」

「無理をしない」

つまり、

「やらない判断が出来る様になる事」も
成長なのではないか?

これはバイクだけの話ではない気がします。


人生にも
「今日はやめておこう」が
あっていい。


「仕事でも」

「人間関係でも」

「人生の色々な場面でも」

僕たちは、

「もっと頑張らなければ…」

「ここまで来たんだから…」

「せっかくだから…」

と、自分を前へ押す事が有ります。

勿論、

前へ進む事は大切です。

でも、

いつでも前へ進めば言い訳ではない。

「休む」

「戻る」

「延期する」

「一度立ち止まる」

それによって、もっと長く続けられる
こともある。

バイクに教えてもらったこの感覚は、

今の僕の人生にも、少しずつ重なっています。

僕がバイクから
教えて貰った事。


以前の僕なら、

バイクに乗らなかった休日を、

「もったいない一日」

と思っていたかもしれません。

今は違います。

今日は乗らなかった。

だから、

次に乗る日を楽しみにできる。

バイクは逃げない。

道も逃げない。

行きたかった場所だって、

また行けばいい。

一番大切なのは、

次もバイクに乗れる自分で帰ってくる事。

だから、

「乗らない判断も」

「引き返す判断も」

「休む判断も」

僕にとってはバイク人生の一部です。

速く走れる事だけが、

上手なライダーではない。

遠くへ行けることだけが、

経験豊富なライダーでもない。

今の僕が思うのは、

「今日はやめておこう…」

そう言えるようになった事も、

僕なりの
成長なのかもしれないと言う事です。

そして、

また走れる日に、思い切り走ればいい。


あなたへの問い


あなたは最近、

「本当はやりたかったけれど、あえてやめた」

という選択をした事が有りますか?

それは、

諦めだったでしょうか?

それとも、

もっと大切なものを守るための判断だったでしょうか?

バイクに長く乗り続けたいから、

今日は乗らない。

そんな日があってもいいと、

僕は思っています。


次回|第15話

なぜ、遠くまで走ると自分の悩みが
小さく見えるのか?

出発するときには、

「仕事の事」

「人間関係の事」

「これからの事」

頭の中に色々なものを抱えている。

ところが何時間か走って、

遠くの海や山を眺めていると、

ふと、

「まあ、なんとかなるか?」

と思えることが有ります。


次回は僕自身がツーリングで
何度も感じてきたこの不思議な感覚を、
心理的距離・認知的再評価・視点の変化
という「心の科学」から考えてみます。



STORY RIDER

今回のおすすめ

エーモン エアゲージ スタンダードグレード 8821

第14話を書きながら、
改めて思った事が有ります。

バイクに乗る前に確認するのは、

バイクの状態だけでは有りません。

「今日の自分は、
本当に安全に走れる状態なのか?」

疲れていないか?
集中できているか?
無理をしようとしていないか?

そんな自分自身の点検も
大切だと思う様になりました。

そして同じ様に、

バイクにも出発前に
確認しておきたい事があります。

その一つが、タイヤの空気圧。

そこで今回選んだのが、

エーモン エアゲージ
スタンダードグレード 8821です。

タイヤ空気圧の日常点検用として設計され、最大500kPaまで測定でき、測定値保持機能と減圧調整機能、360度回転する口金、約430mmのホースを備えています。専用ソフトケースも付属します。

僕がこの第14話で、この商品を選びたい
理由は単純です。

「走り出す前に、一度確認する。」

それはタイヤも、

自分自身も同じだからです。

バイクは大丈夫か。

そして、

今日は自分も大丈夫か。

そこまで確認してから走り出す。

以前の僕なら、

「せっかくの休日だから。」と、

とにかく走り出すことを考えて
居たかもしれません。

でも今は、

安全に帰って来て、

また次も乗れることの方が大切です。

タイヤの空気圧を測る数分も、

僕にとっては、

長くバイクに乗り続けるための時間。

そんなふうに考えるようになりました。

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※本記事にはAmazonアソシエイトリンクを含みます。適正空気圧は車両・タイヤによって異なるため、必ず車両メーカー等の指定値を確認してください。


STORY RIDER編集部より

乗る前に、タイヤを見る。

天気を見る。

そして、自分を見る。

何か一つでも、「今日は違うな?」と

思ったら、立ち止まって考える。

それも、

大人のライダーに
必要な技術なのだと思います。

今日の100kmより、これからの何万km。

長く乗り続けるために、

まずは走り出す前の小さな点検から。


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