
優しい時間に雨は降る
散々散歩 ブックカバー
近くの商店街でご主人が一人、革製品を作っておられる。
レザー。
カッコイイ響き。
商店街を歩く度、痩身のご主人が背中を丸めて手を動かしてるのが見える。
見てるこっちの肩が凝る。
その先のお肉屋さん。
油ぎった店内に貫禄のあるおばちゃんがせっせこせっせこ揚げ物フライヤー。
店もおばちゃんも油の染み込んだ様相。
罷り間違っても、おばさんではない。
おばちゃん。
何かの間違いで生まれ変わっても、おばさまやご婦人ってタマじゃない。
口が滑っておばさまなんて呼ぼうものなら、グローブみたいな張り手が飛んできそう。
しわがれた"ありがと"
"が"にアクセント。
"り"じゃない。
この地域の訛り。
コロッケが先頃三十円から四十円に値上げした。
三個買ってもお釣りが来る。
なんて素晴らしい!
昭和のまんまのお肉屋さんだったのに。
それでも安い。
ありがたい。
美観地区の真ん中のコロッケなんて、一個三百円だか四百円する。
比べる必要はない。
それはそれ、これはこれ。
誰かが喜んで買い、誰かが儲かる。
それを否定しちゃいけない。
だがしかし、怒るでしかし。
同じ商店街の大判焼屋さんなんて、数年前は一個五十円だった。
人知れず七十五円に。
それが今じゃ百三十円。
それでも長蛇。
さすが観光地。
まだ商店街の通りにあるから、なんだかんだで人が往来。
一本外れた通りのお団子屋さん。
去年出来たお団子屋さん。
看板らしい看板も出してないから、知る人ぞ知るお団子屋さん。
人なんて通らない。
でも美味いんだよ、みたらしも胡麻味噌も餡子も。
二本買ったらお茶が付いてくる。
日本茶。
ここのおばちゃんは景気の良い声でありがとうございま〜す!
どうか潰れないでくれ。
どこもかしこも値上げ。
仕方ない。
とはいえなんだかんだでコロッケも大判焼も買う。
団子はたまにだけど。
はてさてブックカバー。
革製品のご主人から買った。
何種類もある革から選んで、黄土色にした。
いつ買ったんだろ?
日記に書いてるはず。
膨大な日記。
自分で書いておきながら。
また捲る時なんか来るんだろうか?
しみじみ思い出して感傷に浸る日なんかあるんだろうか?
日記は書いたら完了。
私はそう。
読み返す為に書いてない。
書く為に書いている。
だから、いつかのブックカバー。
この頃経年変化でいい感じにテカってきた。
革は艶を増す。
手の油でいい感じになる。
もしも肉屋のおばちゃんが本読みだったら。
なんの油だか分からない。
あっという間にテッカテカ。
下手したらブックカバーまでこんがり狐色。
革だけに美味しいかも。
昔そんな絵本があったっけ?
革靴食べるお話。
この頃読んでる本。
『さむけ』ロス・マクドナルド
次に読もうと思う本。
『三つの棺』ジョン・ディクスン・カー
共にハヤカワ文庫
!!!
ご主人のブックカバーに収まらない。
文庫が数mm大きい。
惜しい。
残念。
悔しい。
折角文庫を読むのに、ブックカバーに入らないなんて。
そんなのありか?
無理して入れようとした。
思い止まった。
本にダメージ。
それはご勘弁。
規格統一されてない文庫。
ちょっとだけ背伸びした文庫。
文庫なのに千円以上する文庫。
そんなこと書いてるくせに、ホントはブックオフで五百五十円+税で買ってきた文庫。
ブックオフの値札シール貼ったままの文庫。
シール取ろうとしたら、ベトベトになるのが怖い文庫。
ハードカバーと違って手軽に読めるのが嬉しい文庫。
なのに文庫面しなくなった文庫。
気安く文庫なんて呼んだらしょっぱい顔してくる文庫。
でもやっぱり呼んじゃう文庫。
でもやっぱり読んじゃう文庫。
オーダーメイドでハヤカワ文庫用ブックカバー。
奮発してハードカバー用までオーダーメイド。
夢がある。
金は無い。
読書。
本読むだけ。
確かに。
でも、それだけじゃない。
本に纏わるエトセトラ。
もっと本が好きになる。
もっと本読んでる私を好きになる。
ムフ❤️
ムフフ❤️
グフフフ❤️
本は含み笑いがよく似合う。
そんな私の手が撫でる。
愛しのブックカバー❤️
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