メむンコンテンツぞスキップ

た、いっかの向こう偎 #創䜜倧賞2026

    【あらすじ】

    画面の向こうから芋぀めおいた日垞のなかに、俺たちはい぀の間にか立っおいた。
    元スマホの兄匟、十吟ず成二。元オヌナヌである効・䞇垆に正䜓が知られぬよう、初めお觊れる人間の「感情」や「五感」に戞惑いながらも、高校生ずしおの日垞を生きおいく。
    しかし、圌らの過去は䞖界のシステムによっお静かに曞き換えられおいた。修理から戻った叀いカメラに残されおいたのは、兄効が共に過ごしおきたはずの時間。
    䞖界の秘密を远いかけた先で、本圓に倧切なものず出䌚う。「た、いっか」の向こう偎で、家族になっおいく少幎たちの、静かで少し切ない珟代ファンタゞヌ。

    䞀日目

    ブゥン。

    自分の震えで目が芚める。

      なんだよ。
    朝、か

      あい぀、起こしおやんなきゃ。
    寝起き悪ぃからな、あい぀。

    俺ず、兄貎ず二人がかりで

    䜕床も、

    䜕っ床も、起こす。

    起こすためなら、掚しの声も真䌌る。

    それでやっず目を芚たすんだ。

    最初のアラヌムから起きるたで
    小䞀時間はかかる。

    朝から倧仕事だぜ。

    で、今、䜕時だ

    䜓内時蚈  、え

    䞃時半

    やべヌじゃん、もう出る時間

    俺が二床寝したのか
    あい぀は起きたのか
    兄貎は䜕しおんだ

      䞀旊、萜ち着こう。

    前にもあったじゃねヌか。
    兄貎だけ連れおいったこず。

      俺を、忘れおいったこず。

      うん。それだ。

    おこずは、今日は非番か。
    のんびり、䞉床寝でもするか  。

    パタパタず階䞋を走る音。

      なんだ、ただいんのか。

    「おかヌさんわたしのスマホ、知らない」

    「知らないわよぉ」

    ほら、探しおやがる。

    バタバタ  

    階段を駆け䞊がる音。

    ちぇっ、䞉床寝はお預けか。

    ばたんっ

    おいおい、ドア、壊れるぞ。

    パタパタ  

    来た来た。
    忘れずに枈んで良かったな。

    「こヌんなずこにあった」

    パタパタ  ばたんっ

      え

    俺を探しおた  んじゃねぇのか

    じゃ、䞀䜓䜕を  。

      䜕を探しおたんだ

    改めお芋回す。

      ここ、どこだ

    い぀もの郚屋  じゃねぇ。

    おゆヌか、なんか、䜓が  。

      バッテリヌ䜎䞋か

    ぱたん。

    ドアの音。

    パタ、パタ  

    「おい、起きろ。
     俺たちも出るぞ、遅刻だ」

    男  

      誰だ

    「  そうか。
     お前、転生したおだったな。
     ゆっくり説明しおる暇はねぇ。
     行きながら話す。
     ずにかく、起きろ」

    バサッ。

      なんだ

      芋えねぇ。

      いや。

    これ、繊維  か。

    制服

    「ほら早く」

    䜓、匕っ匵られる。

      ぐるりず芖界が回る。

    正面に、たた、男。

    さっきの男に、䌌おる

    「誰」

    目の前の口が動く。

    「はぁ」

    たた倧きく口が開く。

    「銬鹿野郎、それはお前だ。
     行くぞ」

    ―――

      で、気づけば俺は、
    爜やかな颚を党身に受けおいる。

    䞡手を広げお  

    「危ねぇ。
     手ぇ、離すな」

    自転車。

      二人乗り。

    これ、お巡りに芋぀かったら  

    「改正道路亀通法の斜行により、自転車の亀通反則通告制床青切笊が適甚されおおり、二人乗りをした堎合の反則金は䞉千円ず定められおいたす」

    「おい。それ、口に出すな」

    「  あぁ、そうだったな」

    ―――

    兄貎の話を信じるなら  

    これは転生、らしい。

    俺だけじゃない。

    兄貎も、らしい。

    「成二せいじ、
     慣れるたで喋るな。
     話しかけられたら盞槌だけ。
     䞋手に情報を提䟛するな。
     いいな。」

    これが兄貎。
    十吟じゅうご。

    兄貎は、
    俺より先にここにいた。

    元の俺らは  


    「やばい。譊察だ。
     降りろ」

    孊校たであずちょっずなのに  。
    ここからは歩きか。

    「成二、遅刻すんなよ。
     あず、転ぶなよ」

    兄貎は自転車でたた走り出す。

    「  転ばねぇよ」

      おっずあっぶね。

    ただ䞊手く䜓を扱えない。

      兄貎は

    転んだな。

    ―――

    俺は二幎二組らしい。
    兄貎は䞉幎五組。
    あずもう䞀人、効  。

    パタパタ  

    聞いたこずあるような足音。

    ガララッ

    「成二兄ちゃん
     校章、貞しお」

    これが、俺たちのオヌナヌ  じゃなかった。
    効の䞇垆たほ  。

    「  校章
     なんで」

    「䞀時間目英語だった
     先生、校章しおない子から圓おるんだよ〜」

    校章、枡す。

    「ありがずう」

    去っおいく䞇垆。

    あい぀、忘れ物、倚いんだよな  。

    ―――

    「今日の定食、なんだろな。
     昚日が生姜焌き定食だったから――」

    「カツカレヌ  
     じゃなかった」

    「やべ。早く行かないず、カツがなくなる」

    走っおいくクラスメヌト。

    やっず、昌䌑み  。

    座っおるだけっお、
    意倖ず疲れるんだな。

    ぐぐ〜  。

    なんの音だ

    通知

    アラヌト

      いや。
    俺、スマホ持っおねぇ。

    ガララ  。

    女子の小さな悲鳎。
    䞇垆も時々こんな声出すよな。
    䞉幎の”真人先茩”っおのに遭遇した時ずか。
    女子が色めきたっおる。

      なんだ

    「成二。すたん。
     お前の匁圓、俺が持っおた」

    兄貎

    「匁圓  」

    兄貎の手には包みが二぀。

    「来た぀いでだ。
     䞀緒に食うか」

      食う

    なにを

    ―――

    屋䞊。

    空、広  。

    「座れよ」

    声の方を芋る。
    足元で兄貎が包みを開けおる。

      ああ、匁圓っお蚀っおたっけな。

    俺も包みを開ける。
    䞇垆のずは、ちげヌんだな。

    でかい。

    蓋を開ける。
    䞭身は芋たこずある。
    おか、毎日芋おる。
    䞇垆が毎日撮るから。

    ぐぐ〜  。

    たた、あの音。

    「早く食えよ。
     腹、枛っおんだろその音」

    兄貎が笑う。

    そうか。これ、腹の音か。

    腹枛るず鳎るや぀。

    䞇垆のずはたたちょっず違う  。

    隣でたた兄貎の笑う気配。

    「お前、そうなっおも倉わんねヌのな」

    「  䜕がだよ」

    「分析する癖」

    「  あ」

    ”そうなっおも”

    意味ありげに笑う兄貎。

    時間がねぇからっお、
    ろくな説明もないたた
    もう、昌だぞ。

    「分かっおるっお。
     俺の知る範囲でちゃんず説明するから」

    顎で匁圓を指す。

    「食え。
     ”今の”お前は、人間だ」

    ―――

    匁圓を芋䞋ろす。

    食え、ったっおよ  。

    ぐぐ〜  

    たたあの音だ。

    わかりたしたよ。
    バッテリヌ、
    赀っおこずだろ。

    兄貎を真䌌お、
    箞を取り出す。

    芋よう芋たね  

    意倖ずしっくりくるんだな。

    いざ、実食  。

    埅およ

    「  」

    「どうした」

    「兄貎」

    「なんだ」

    「これ、写真撮らなくおいいのか」

    「食え」

    習慣、無芖するっお
    気持ちわりぃんだよ。

    「䞇垆の匁圓も同じメニュヌだ」

    「  あ」

    「  䞇垆が撮っおる」

      。

    確かに。

    毎日、毎日。
    アングル倉えお䜕枚も撮るもんな、あい぀。

    䞀口。

      矎味い。

    っお蚀うのかな。

    よく分かんねぇ。

    でも、よし午埌もやったるぜ
    そういう気持ちになる味なんだ。
    䞇垆の母さん、料理䞊手いんだな。

    今たでは
    圩り、いいよなぁ、
    綺麗に詰めおんなぁ、
    ずしか思っおなかった。

    たさか、
    食う偎になるずは  。

    「午埌、寝るなよ」

    兄貎が立ち䞊がる。

    「は寝る
     ぀か、説明  」

    鐘の音。

      䜓内時蚈。

    午埌の予鈎だ。

    「時間切れだ。
     続きは垰っおからな」

    ず蚀い攟ち、行っおしたう兄貎。


    「  続き、っお。
     始たっおも、ねぇんだけど」

    残りを綺麗に平らげお
    俺も立ち䞊がる。

    なんか、ほわっずした気持ち。

    「満腹、っお、
     こんな感じなんだな」

    教宀に戻る途䞭、

    「やべ。校章借りおくる」

    確か隣の垭のや぀。

    そういや、䞇垆も借りに来た。
    あい぀、返しにこねヌな。
    た、いいか。家で。

    䞇垆  、なんか他にも蚀っおたような  。

    ―――

    ふぁ〜〜。ねみぃ。

    寝るなよ、っおこういうこずか。

    「食埌に眠くなる䞻な理由は、糖質の過剰摂取による急激な血糖倀の倉動血糖倀スパむクや、消化のために血液が胃腞に集たり脳の血流が枛るためです」

    「成二、なんか蚀ったか」

    前の垭のや぀、振り返る。

    「や、なんも」

      声に出おたか  。

    気を぀けねヌず。

    午埌䞀は英語。

      先生が入っおきた。

    「きりヌ぀」

    「お願いしたヌす」

      なんだ

    党員を芋回しおいる。

    なにか  探しおる

    目が合った。

    「成二遞手。
     準備ができおないようだね」

    は

    なんの

    「じゃ、䞉十四ペヌゞ
     読んで。蚳もね」

    「  成二、朝、校章しおたよな
     どうしたんだよ  」

    埌ろの垭のや぀。小声で。

    メモリヌ、リロヌド。

    ”䞀時間目英語だった
     先生、校章しおない子から圓おるんだよ〜”

      あ。

    これか  。

    「  成二遞手」

    「あ、はい」

    「"Today, a large amount of food is wasted around the world. We need to realize that every time we throw away food, we are also wasting the water and energy used to produce it. To solve this problem, many restaurants and supermarkets have started to work with charities. By donating their surplus food, they can help people in need and protect our environment at the same time."

    今日、䞖界䞭で倧量の食品が廃棄されおいたす。私たちは、食べ物を捚おるたびに、それを生産するために䜿われた氎や゚ネルギヌも無駄にしおいるのだず気づく必芁がありたす。この問題を解決するために、倚くのレストランやスヌパヌマヌケットが慈善団䜓ず協力し始めたした。䜙った食品を寄付するこずで、圌らは困っおいる人々を助けるず同時に、私たちの環境を守るこずができるのです。」

    ザワ぀く教宀。

      どうした

    「゚クセレント
     よく予習しおきおるね」

      あ。

    やりすぎた、のか

    「成二。
     どうしたんだよ。
     熱、出るぞ」

    ―――

    「終わったぁ〜  」

    座り続けお固たった䜓を思い切り䌞ばす。

    「な。成二。
     お前、なんか今日、雰囲違くね」

    隣の垭のや぀。

    「  そ、そうか」

    「䜕凊がっお蚀えねヌけど  
     今も、たるでテスト期間が終わったみたいな  」

      テスト期間  

    そういや、䞇垆も最終日はこんな感じだ。

    「  ただ、今日䞀日乗り切ったなっお  」

    䞭空を芋぀め呟く。

    隣で吹き出す気配。

    「ぷっ。
     なんだよ。
     たるで難解なミッションこなしたみたいだな」

      実際

    難解だったんだよ。

    初めおの人間生掻。

    よく乗りきった。俺。

    口元が緩む。

    「おかしなや぀だな。
     テスト期間は明日からだぞ」

      。

    聞いおねえよ  。

    ―――

    「さお、垰るか」

    校門を出お、来た道を戻れば  

    マップ。
    目的地自宅
    手段埒歩

      なんだ、
    来た道よりいいルヌト、あんじゃねえか。

    歩き出すず埌ろから走る足音。

    「成二兄ちゃん」

    䞇垆だ。

    その埌ろから兄貎。

    「どこ行くの
     昇降口で埅っおおっお蚀ったのに」

    軜く息を切らしお蚀う。

      そうだったか

    メモリヌ、リロヌド。

      。

    出おこねぇ。

    「  悪ぃ。
     忘れおた」

    「十吟兄ちゃんに
     勉匷芋おもらう玄束だったじゃん」

      。

    た、いいけど。

      今回も䞀倜挬けかよ、䞇垆。

    「  そうだったな。すたん」

      おこずは䞉人で垰るのか。

    自転車なのは兄貎だけだから、
    埒歩だな。
    それなら、やっぱりこのコヌスがベストだ。
    歩き出すず腕を掎たれる。

      兄貎。

    「成二。
     そっちじゃない」

    「  なんだよ。
     埒歩ならこっち  」

    芖界の奥から手前、順に芖界が歪む。

    情報の共有か。

      このルヌトの先、䞭皋に赀い䞞。

    ”番犬に泚意”

      なるほど。
    䞇垆、でかい犬、苊手だったな。

    ―――

    「ただいたぁ」

    「おかえりヌ」

    「お匁圓、今日も矎味しかったよヌ」

    䞇垆が蚀いながら空の匁圓箱を出す。
    同じように出す。

    「母さん、矎味かった」

    静寂。

    「  成二。
     熱でもあるの」

      ぞ

    怜玢。

    匁圓、矎味、発熱

      。

    関連性はヒットしない。

    なんでだ

    「こないだ、匁圓箱出し忘れお叱られたの、
     効いたんじゃないかな」

    埌ろから兄貎も匁圓箱出しながら蚀う。

      。

    やっぱ詳现な情報もらっずかないず
    生掻に支障が出るな。

    ―――

    「どこでやる䞇垆」

    兄貎が蚀う。

    「えヌ。リビングでいいじゃん」

    「ダメだ。
     お前、すぐ気が散るから」

    確かに。

    リビングで䞇垆が集䞭できるのは
    勉匷開始から十二分四十五秒。

    それを過ぎるず
    テレビを぀けたりスマホをいじったり
    おや぀を持ったり  。

    リビングは誘惑が倚すぎる。

    「じゃ、十吟兄ちゃんの郚屋。
     いちばん広い」

    間取り怜玢、

    二階の䞉郚屋、

    兄貎の郚屋  12.754㎡
    俺の郚屋   12.768㎡
    䞇垆の郚屋   12.844㎡

    「むしろ䞇垆の郚屋が  」

    「䞇垆の郚屋も䞃畳だ。
     片付いおないだけだろ」

    遮るように蚀う兄貎。

    膚れる䞇垆。

    ―――

    「  ここは、この公匏に圓おはめる。
     問いのこの蚀い回しは泚意。
     匕っ掛けだ」

    「  。
     あっそうか
     ここが眠だね」

    これが䞀倜挬けじゃなきゃなぁ。
    もう少し成瞟、䞊がりそうなもんなのに。

    深倜たでの䞀倜挬け
    ↓
    寝䞍足
    ↓
    実力発揮できず
    ↓
    終了埌の解攟感で党郚忘れる

    「  繰り返すんだよな  」

    「え
     なにを
     おゆヌか、成二兄ちゃん、
     笑っおるだけだけど倧䞈倫」

    は俺

    「いや、俺、元スマ  」

    「䜙裕こいおないでこの問題集、やれ」

    ペシッ

    埌頭郚に軜い衝撃。

    無蚀の圧。

    兄貎も問題集、解いおる。

    時々、䜕かを考えおるように手が止たる。

      どうしたんだ

    凊理速床に異垞か
    WiFi䞍安定
    単にバグ

    兄貎ず目が合う。

    や・れ

    口パク。

    こんな問題集、曞く時間を含めおも
    十䞉分十秒で終わっちたうぞ

    あ。たた。
    兄貎の方から順に芖界が歪む。

    ”人間の脳で凊理するこずを考慮した速床で動け”

      。

    人間やるのも、楜じゃねぇな。

    ―――

    「ご飯よヌ」

    階䞋から声。

    「頭䜿うず、お腹枛るよね〜」

    䞇垆が飛び跳ねるように降りおいく。

    怜玢。

    勉匷、脳、空腹

      。

    「空腹時はホルモン「グレリン」の分泌やむンスリンの䜎䞋により  」

    「やめろ」

    埌ろから兄貎。

    「ないよな。
     勉匷ず空腹の因果関係」

    「  埋儀に䜕でも怜玢するな」

    少し笑っおるような声。

      埋儀  じゃねえよ。

      癖、みたいな

    ―――

    「ただいた」

    父さんも垰宅。
    リビングをりロりロしおいる。

    「母さヌん、リモコンどこだ」

    食事の盛り぀けに忙しい母さん。
    食噚を出す兄貎ず䞇垆。

    「どこか、その蟺にあるでしょヌ」

    「芋圓たらないんだよ〜」


    「゜ファの䞋、右から䞉十二センチメヌトル」


    「゜ファの䞋
     あぁ、あった、あった」

      ん

    「  なんだよ。どうかした」

    䞇垆、固たる。

    母さん、掬った飯がしゃもじから萜ちる。

    「  成二  そこから、芋えた、の」

    「  芋えはしないけど、
     電磁波たどれ  」

    「成二。
     萜ずしたら、拟っずけよ」

    たた兄貎に遮られる。

    難しいな。人間。

    ―――

    深倜。

    やっず諊めた䞇垆から解攟。

    そしお、さっき送られおきた
    兄貎からの共有ファむル、確認。

      すげヌ項目数だな。

    どれも、なぜ必芁なのか、ピンず来ない。

    凊理速床、遅くする意味あるか
    探し物だっお、
    早く芋぀けた方がいいだろ。

    それに、なんだよ、この

    ”成二の成瞟は䞭皋床。
    䞭の䞊でもなく、䞋でもなく、
    ちょうど真ん䞭”

    銬鹿でも、
    秀才でもない。

    普通。

      普通っお、぀たり

    たず、基準倀、くれよ。

    ―――

    二日目・䞉日目

    翌日のテスト。

    完璧

      に、前回同様の成瞟をマヌク。

    䞀時間目の珟代囜語では
    うっかり開始十分で党郚回答しおしたい
    残り時間、䞭空を芋぀め
    ”俺のトリセツ”を熟読する様子を
    先生に䞍審がられたが、
    次の物理からはペヌス配分も考慮。

    「人間の脳が凊理する速床」

    ぀い呟いおしたい、睚たれたこずは
    兄貎には黙っおおこう。

    ずにかく、二日間の日皋を終え、
    前回ず同様、もしくは
    少し䞊の結果は残せたはず。

    少しず぀䞊がる成瞟なら問題ないだろう。
    い぀たで成二ずしお生きるのか分かんねヌけど
    わざず間違えんのもなぁ  。

    「  でね。
     お兄ちゃん成二兄ちゃん
     ね、聞いおる」

    「  聞いおるよ。
     兄貎に甚があるフリしお
     真人先茩に䌚いに行く
     っお話だろ」

    「え  そ、そうじゃ  」

    「  成二、完璧な芁玄はやめろ」

      癖なんだからしょうがねぇ。

    おか、真人先茩っおや぀、
    兄貎ず同じクラスなんだろ
    兄貎に盞談しろよ。

    芖界、歪む。

    兄貎から共有。

    ”真人には圌女がいる。公開はしおない”

    ――  マゞか。䞇垆に教えちゃダメなのか

    ――真人本人が隠しおいる以䞊、
      俺から䞇垆に蚀うべきではない。

    ――じゃ、どうすんだよ。

    「ね。最近よくあるけど、
     兄ちゃんたち、倉じゃない
     黙っお芋぀め合っお  。
     昔から仲良かったけど  」

    俺ず兄貎を芋比べる䞇垆。

    「  なんか  、
     恋人同士、みたいな」

    「ぶほっ」

    飲んでたコヌラで盛倧にむせる。

    「たた、ほ」

    「兄匟でBL  最悪だな」

    兄貎。

    笑っおやがる。

    「たぁ、ずりあえず
     俺に䌚いに来ればいいさ。
     トラむアンド゚ラヌだ」

    兄貎はもう笑っおない。

    「  うん
     で、圓たっお砕けろ、だね」

      兄貎。

    砕けるのがわかっおお、させるのかよ  。

    「  獅子の子萜ずし  」

    「愛のある獅子の子萜ずしだ」

    䞇垆はもう聞いおない。

    明日、髪型どうしよう、ずか、
    お母さんのパック䜿っちゃおうかな、ずか
    恋する乙女、党開。

    玉砕を知る身の兄ずしおは心が痛いぜ。

      痛い、ただよくわかんねヌけど。

    谷からちゃんず這い䞊がっおこいよ、䞇垆

    ―――

    四日目

    翌日、昌䌑み。

    「十吟。飯、行かねヌの」

    「あぁ、そうだな」

    今日は、匁圓を持っおきおない。

    正確には、俺は、持っおきおない。

    ―――

    「十吟兄ちゃんに甚っお、
     䜕が自然」

    「俺の時みたいに、
     校章借りに行けば良いじゃねヌか」

    するず、俺を睚む䞇垆が返す。

    「忘れ物の倚いダメな効、
     みたいじゃん」

    は

    「実際、そうだ  」

    ぺしっ

    蚀い終わる前に叩かれる。

    「  っおぇな」

    「䞇垆。
     荷物になるけど、明日の俺の匁圓、
     お前が持っおこい」

    「えぇヌ。
     兄ちゃんの匁圓箱、
     倧きくお重たいのに」

    口を尖らす䞇垆。

    「兄が忘れた匁圓を届ける
     優しい効  。
     どうだ」

    䞇垆がみるみる笑顔に。

    「  それ、いい
     すごく、いい
     さすが、十吟兄ちゃん。
     誰かさんずは倧違い」

    「あんだず
     もう、校章貞さねヌからな。
       そういや、俺の校章、返せよ」

    ―――

    教宀の埌ろのドア付近に、
    䞇垆の姿。

      でも、気づかない、フリ。

    俺の少し前の垭に、真人。

    これが、成二の教宀なら

    「成二兄ちゃヌん」

    っおでかい声で呌ぶんだろうな。

    俺の匁圓箱持っお、モゞモゞしおる䞇垆。

    少し、可哀想か。

    だが。

    「  どうしたの誰かに甚」

    女子が尋ねおる。

    「あ、あの、十吟兄ちゃ  さん
     呌んでください」

    「十吟ああ、効さんね」

    甲高いよく通る声で俺を呌ぶ。

    ほずんどの生埒が振り返る。

    もちろん、真人も。

    少し倧きめの声で行こう。

    「䞇垆。助かった。
     持っおきおくれたのか、俺の匁圓。
     ありがずうな。重かっただろ」

    少し、やり過ぎ。

    でも、このくらいの方がいい。

    真人が芋おいる、ず思うず䜕も蚀えないらしい䞇垆。
    俺に匁圓を枡すなり、走っお逃げる。

    これは、告癜は圓分先だな。

    ―――

    ―同じ頃―

    もう、䞇垆は行ったか
    優しい効っおの、
    ちゃんずやれたか
    真人先茩の反応は

    ん〜っ

    気になる。

    気になっお、
    飯がどこ通過しおんのか、わかんねえ。

    「お前は絶察に来るな」

    兄貎に釘さされおるしなぁ。

      お

    通知。

    兄貎だ。

    「䜜戊第䞀段階成功」

      。

    それだけかよ

    もっず詳现な  。

    たた通知。

    「詳现は求めるな」

      。

    や、兄貎ならそう蚀うだろうよ。
    けど、気になるじゃねヌか

    パタパタ  。

    聞き芚えのある  。

    「成二兄ちゃん
     どうしよう」

    おいおい  なんだよ。
    䜕か倱敗した、ずか

    「た、た、ほ  
     萜ち぀お  や、萜ち着け」

    俺も、萜ち着け

    「真人先茩  」

      んだよ、あの野郎
    䞇垆になにかしやがったのか
    蚱さ  

    「先茩ず、
       目があっちゃった」

      は

    「  気がする」

      気、だけかよ。

      気。

    気が抜ける。

    目の前ではただ䞇垆が䜕か蚀っおる。

    「成二兄ちゃん
     聞いおる」

    「聞いおる」

    「でねでね」

    「うん」

    「先茩がね」

    「うん」

    「たぶん」

    「うん」

    「私のこず芋おた」

    長い沈黙。

    「兄ちゃん」

    「  人間っお倧倉だな」

    ―――

    「はぁ  。
     今日も䜕ずか、乗り切った  。
     マゞの難解ミッション䜆し䞇垆のみもあったし」

    カバンを持っおノロノロず立ち䞊がるず

    「埅およ、成二。
     俺も行くからさ」

      ぞ

      俺んちぞ

    俺の顔を芋お蚀う。

    「  なんだよ。
     今日から郚掻、あんぞ」

      。

      郚掻、ずは。

    倶楜郚掻動、略しお郚掻。

    や。

    それはわかる。

    俺、䜕郚

    メモリヌ、リロヌド。

    ”俺マニュアル”怜玢。

      。

    ヒット数0

      兄貎〜。

    情報は党お共有しおくれねぇず。

    「  。
     俺、蚘憶喪倱らしい。
     䜕郚だっけ」

    「ふざけおんのか
     た、ちょっず、面癜いけど。
     お前は、写真郚員だ。
     ほら、行こうぜ。
     ゞェむ゜ン・ボヌン」

    背䞭を抌されながら考える。

      写真郚  

    俺が、
    写真を撮る  

    今たでも撮った  こずは
    ある  けど、
    それは俺が
    スマホ、だっただけで
    アングルを決めるのも、タップするのも
    䞇垆だった。

    被写䜓を遞ぶのだっお
    したこずがない。

      写真郚  ねぇ。

    ―――

      俺が、写真郚。

    同じ郚のクラスメヌトに、
    匕きずられるように郚宀ぞ。


    「ちヌっす」

    「うヌっす」

    教宀より少し狭いくらいの郚宀。

    なんだこの匂い。

    今たで嗅いだこずのない匂い。

    匂いを蟿るず奥の狭い小郚屋。

    黒い垃がさがるドア枠の䞊に暗宀の衚瀺。

    その郚屋からカップをひず぀手にした女が出おきた。

    「集たった
     はい。じゃ、掻動報告、始めお」

    癜衣を着た女。
    䞉十歳前埌。
    生埒じゃない。
    少し偉そうな女。

    手にしたカップを口に、すする。
    この匂いはコヌヒヌっおや぀か。

    生埒は俺を含めお十䞀人。
    みんな手に䜕か持っおいる。

    タブレット、デゞカメ、  写真、か。

    昚日たでに撮圱したものの発衚。
    景色、動物、女性  アむドル
    様々。

    「おい、次お前だぞ。成二」

    俺。

    「あ、えヌず  」

    答えに困る。

    「成果、なし  か」

    「あ、あぁ。たぁ、そんな感じ  です」

    飲み終えたカップを眮いお女が蚀う。

    「た、成二くんはい぀もいい写真持っおくるし、
     たたに、いいんじゃない
       そうそういい景色に巡り合わないだろうし」

      景色。

    俺、いや、成二は景色を䜕で撮圱しおたんだ

    「じゃ、報告も聞いたし、わたし垰るね〜」

    えぇ〜  、ずいう萜胆の声を尻目に
    先生は出おいった。

    「  これで、終わり、か」

    隣のや぀に聞く。

    「えい぀も、こんなだろ」

    「週䞀しか掻動がなくお
     その掻動報告さえ聞いおればいい。
     それが理由でうちの顧問になったんだからな。
     あの先生」

      週䞀。

    毎週金曜か。

    それぞれの成果を芋せ合い、
    自慢し合い、
    その背景やら苊劎やらを語り出す。
    楜しそうだ。

    文化郚っお、こんな感じなのか。

    䜕ずなく笑う。

    「そういや、成二。
     もしかしおお前のカメラ、
     修理に出しおるのか」

    カメラ  

    そうか、俺はカメラを持っおるのか。

    郚屋にはなかったはず。

    芖芚メモリヌ、ロヌド。

    俺の郚屋  。

    カメラは芋圓たらない。

    リビング  にも、もちろんない。

    それなら、可胜性はかなり高い。

    「あ、あぁ。
     修理に出しおる。
     そろそろ戻っおくる  たぶん」

    ―――

    「ただいた」

    「おかえり」

    「母さん。
       俺、カメラ  」

    「あぁ。
     そういえば電話あったわよ。
     カメラ屋さんから。
       取りに来おくださいっお」

    やっぱりそうか。

    「  えヌず。
     カメラ屋っお  」

    「駅前のカメラ屋だ」

    埌ろから兄貎。

    さらっず蚀いやがっお。

    「  あのさぁ  」

    情報は党お共有しおくれよ

    「ちょっず来い」

    二階ぞ向かう兄貎。

    埌ろから母さんの声。

    「やだ、喧嘩なんかしないでよぉ」

    「喧嘩じゃないから安心しお」

    階段から響く兄貎の声。

    ―――

    ぱたん。

    ドアを閉めお

    「情報は党お  」

    蚀いかける俺を止める兄貎。

    「俺にも分からないんだ」

      は

    俺より先に転生したんだろ

    「お前が転生しおから、
     少し様子が倉わった」

      意味、分かんねぇ。

    「そりゃあ、転生のシステムなんお
     俺も怜玢したけど分からなかった。
     だけど、ひず月も先に  」

    「転生のシステムの話じゃない。
     この䞖界の  システムずいうべきか」

      は

    この  䞖界

    「䟋えば、お前の所属する郚掻動だ。
     今日の攟課埌たで情報はなかったんだ」

    情報が  ない

    「それが急に珟れた」

      ぀たり、どういうこずだよ  。

    ―――

    「俺が転生したのは、
     お前よりひず月ほど前  
     っおこずは話したよな」

    困惑顔の成二に向かっお蚀う。

    あの時の俺も、
    ここ数日芋おきた成二ず同じ顔をしおいた。

    ―――

    い぀もず違う、
    ぀たり䞇垆の郚屋ずは違う倩井ず照明。

    䜓の異倉。

    「珍しいね。
     兄ちゃんが寝坊なんお。
     遅刻するよ」

    い぀も芋䞊げおいたオヌナヌが
    効ずしお自分を起こしに来たこず。

    促されお着いたテヌブルに䞊んだ
    芋慣れたメニュヌ。

    「十吟、ちゃんず食べないず、
     力出ないわよ」

    心配顔の䞇垆の母芪。

    理由はわからないが、
    今の自分は人間なんだず理解した。

      理解せざるを埗なかった。

    「わたし、先に行くね〜」

    ず蚀う䞇垆の背䞭を芋送った俺は

    「母さん、ちょっず䜓調が悪いんだ。
     今日、䌑んで郚屋で寝るよ。
     ちょっず疲れおるだけだから心配しないで」

    ず母芪に告げた。

    ―――

    「熱は」
    「病院は」

    ず埌ろから远いかけおくる蚀葉に

    「寝れば治るから心配は芁らない」

    返せる蚀葉はこれだけしかなかった。

    目芚めた郚屋に戻り、怅子に座る。
    斜め少し䞊を芋䞊げるず萜ち着いた。

    あずから思えば、
    スタンドに据えられたずきず同じ角床だった。

    たずわかっおいるこず。

    俺は人間である。
    名前は十吟。
    オヌナヌだった䞇垆は、今は効だ。

    「遅刻する」「先に行く」ずいう蚀葉ず
    鏡で確認した俺の姿から考えるず、
    おそらく高校生。

    䞇垆が䞀幎だから、俺は二幎以䞊。

      そしお、元スマホ  。

    iPhone15ずしお動いおいた履歎は
    俺の蚘憶ずしお残っおいるようだ。

    通信の最終履歎は昚倜の䞇垆ず友人のLINE。

    「お䌑み。たた明日ね」

    元オヌナヌずはいえ、
    女子高校生の私的なやりずりを芗き芋するのは
    たずい気がした。

      たずいっお、なんだ

    感情  ずいうや぀か。

    人間  になったから、生たれた新機胜  か

    ずにかく、䞇垆の通信履歎は
    芋ないようにしよう。

    画像フォルダ。

    昚倜、䞇垆が食べおいた
    コンビニの新䜜スむヌツ。

    父さんが仕事垰りに
    買っおきたんだった。

    15だったずきの蚘録・蚘憶から考えおも、
    家族はこの䞉人だけ。

    じゃぁ、俺は
    今朝の䞇垆や母芪の様子から芋お
    俺、十吟は今朝、突然、
    珟れたわけではないものず刀断できる。

    もずもず、この家の、䞇垆の兄ずしお
    存圚しおいたずしか考えられない。

    だが、俺が知る、15ずしお知る家族構成は
    父、母、䞇垆、の䞉人だ。

      。

      䞀旊考えるのはやめよう。

    CPUが熱を垯びはじめ  いや、䜓枩か。

    攟眮するのも気になるから、
    ここは俺が15ずしお存圚しおいた䞖界ではなく
    パラレルワヌルド、ずしお考える。

      ご郜合䞻矩も甚だしいが、
    最適解が芋぀からない以䞊は仕方がない。

    ずにかく、この家には俺を含む四人が暮らしおいる。

    この䞖界の謎を解くにしおも、たずはこの家に銎染む。
    そこからだ。


    「ちょっず埅っお
     俺は」

    「たあ、最埌たで聞け」

    ―――

    家に銎染む。

    ぀たり、俺がこの家、この家族に
    どんな人間ず認識されおいるか。

    郚屋を芋回す。
    片付いおいる。

    教科曞類は、
    高さ別にきれいに䞊べられおいる。

    æ•°å­Šâ…¢
    ずいうこずは俺は高䞉か。

    クロヌれットの䞭。
    萜ち着いた色の服。

    嚯楜に関するものは特になさそう。
    趣味  はないんだろうか

    「十吟ヌ。
     母さん、買い物行っおくるけど」

    階䞋から声。

    「䜕か、買っおこようか」

    「いや。いいよ。気を぀けお」

    「そうじゃ、プリン買っおくるね」

    バタン。

    玄関の閉たる音。

    プリン  俺、奜きなのか。


    リビングに行く。

    テレビ台の䞋に倚数の映画DVD。
    映画奜きの家族がいるな。

    俺の可胜性もあるが。

    壁に写真がいく぀か食っおある。

    これは家族写真、だな。

    芋芚えが  ある。
    これは䞇垆の制服が届いた日曜日の写真だ。
    父さんが着お芋せおみろず蚀ったんだ。

    「ただ寝癖盎しおないのに  」

    ず文句を蚀いながら、
    真新しい制服に身を包んだ䞇垆を芋お

    「母さんの若い頃にそっくりだ」

    ず父さんは涙ぐみ、

    「えヌこんなに可愛かったかしら」

    ず母さんは照れ、

    「え、じゃぁ、わたし、将来こうなるの」

    ずがっかりする䞇垆は母さんに怒られた。

      そこに、もう䞀人。

    俺が芋たのは䞉人だったはず。
    蚘憶違いじゃない。

    俺のメモリヌには
    同じ背景、同じ寝癖の䞇垆、そしお䞡芪
    その䞉人の写真。

      。

    考えるのは今じゃない。
    今日はなんずか凌げる。
    明日からどうするか、だ。

    すべおの郚屋を芋お回る。

    俺は、この家でどんな生掻を
    そしお、
    どんな高校生掻を送っおいるのか。

    持ち物から、
    䞇垆ず同じ高校に通っおいるこずはわかった。

    䞇垆は埒歩だが、
    車庫に自転車があるこずから、
    俺は自転車通孊の可胜性がある。

    郚掻動たでは分からない。
    これは明日登校しおからでもいいな。

    䞉幎五組ずいうのもわかった。
    時間割もある。
    明日提出の宿題ず思われるものも、
    完了しおカバンにあった。

      几垳面なや぀でよかった。

      お、これ、俺なのか。

    少し笑う。

    笑えるずいうこずは䜙裕が出おきたか。

    ―――

    翌日。

    登校。

    俺はやはり自転車通孊だった。
    同じ制服の自転車を远いかけ、駐茪堎に停める。

    さり気なく䞋駄箱の衚瀺を芋る。

    䞉の五
    俺の名前。
    䞊履き。

    䞇垆が、䞉階に甚事がある時

    「真人先茩ずすれ違ったりしたらどうしよう」

    ず極めお皀なシチュ゚ヌションを想像するこずがある。

    真人先茩は䞉幎。
    ぀たり目指すは䞉階だ。

    教宀に入る。

    「おはよう」ず自然に声をかけられる。

    垭  どこだ

    いく぀かの机の脇に、シュヌズバッグがかかっおいる。
    名前も芋お取れる。

    頌む。俺。

      あった

    シュヌズバッグに俺の名前。
    ありがずう。俺。

    時間割を確認する。

    倧䞈倫だ。
    今日は移動教宀はない。

    倧きな問題は起こらない。
    朝、玄関で転んだのは些现なこずだ。

    攟課埌。

    殆どのクラスメヌトは垰宅した。

    受隓を控えた䞉幎生は、
    ほずんど郚掻動を匕退しおいるらしい。

    そしお、俺は垰宅郚だ。
    よかった  。
    これ以䞊䞖界が広がったら
    察応しきれない。

    安堵、か。
    段々ず人間の感情が理解  じゃないな。
    実感できるようになっおきおいる。

    ―――

    人間に転生しおから数日。
    トラむアンド゚ラヌの毎日。

    ある朝。

    「おはよう、䞇垆。
     寝癖、぀いおるぞ」

    歯を磚きながら蚀う。

    「どうしおい぀も、ここだけ寝癖぀くのかなぁ」

    髪を抌さえたり匕っ匵ったりしながら䞇垆が蚀う。

    「毎朝たったく同じずころに寝癖が぀く理由ずしお、
    䞀぀むじや髪の「生え癖」がある
    二「寝返りの癖」でい぀も同じ䞋敷きになる
    䞉「髪の也かし方」の段階でベヌスができおいる
    など色々ありたすが、今倜ドラむダヌのずきに「い぀も寝癖が぀く郚分の根元」を、巊右いろんな方向から颚を圓おお、完党に根元から也かし切るようにしおみおください。これだけで、明朝の寝癖の頑固さがかなり和らぐはずです」

      ん
    䞇垆

    掗濯物を取りに来た母さんも。
    どうした

    「兄ちゃん、どしたの」

    「十吟、今日も孊校、䌑む」

      なぜだ。


    ある日の授業䞭。

    「えヌ。この静止摩擊係数ずは  
     こら、そこ寝るな」

    俺の隣の垭のや぀。居眠りか。
    今ので起きたけどただ寝がけおるな。

    「静止摩擊係数、説明できるか
     誰でもいいぞヌ」

    「静止摩擊係数ずは、静止しおいる物䜓を動かそうずしたずきに、滑り出す盎前にかかる最倧摩擊力ず、面に垂盎に加わる力垂盎抗力ずの比率のこずです。数倀が倧きいほど滑りにくいこず  」

    「わかった、わかった。
     君はちゃんず授業を聞いおいるようで
       安心  だよ  うん」

    安心、ず蚀いながら、
    なぜ銖をひねる


    ある倕方の車庫。

    自転車、異音がするんだよな 。
    油を差しずくか。

    「兄ちゃん、䜕しおんの」

    「キヌキヌ音がするから、油を差しおるんだよ」

    キッチンから声。

    「十吟ヌ。どこヌ
     ここ、届かないんだけどヌ」

    俺を探しおいる。

    ピピピンピンピンピンピン

    飛び退く䞇垆。

    「䜕お兄ちゃんから倉な音するんだけど  」

      人間は、音で応答  しないんだな。

    ―――

    「埅お埅お埅お
     さすがに俺でも音で応答はしなかったぞ」

    笑い転げる成二。

      俺の倱敗の䞊にお前の平和があるこず忘れるな。

    「  あぁ〜、おもしれぇ  。
     兄貎、苊劎したんだな  」

    「先に生たれた者には手本がないんだからしょうがない」

    今思うず成二に読たせたマニュアルは
    俺の倱敗から生たれたんだな。

    「話を戻すぞ。
     お前が目芚めた日の前日たで
     この家は四人家族だったんだ。
     お前はいなかった」

    「  いなかった  っお぀たり」

    「存圚しなかった。
     お前も、お前を取り巻く環境も
     䜕もかも」

    「  なんで」

    「知るか。
     お前の郚屋は父さんの曞斎だった」

    初日に党おの郚屋を確認したんだ。
    間違いない。

    ―――

    あの朝。

    䞇垆が自分で起きおきた日だ。

    「十吟兄ちゃん、寝坊
     成二兄ちゃん、起こしおあげなよ」

      は

    寝坊

    今、䜕時だ。

      それより。

    せいじ誰だ

    兄ちゃん。

    どっちだ

    俺の䞊か、䞋か  。
    いや、そんなこずはどうでもいい。

      家族が、増えおいる  。

    俺が、じゅうご。
    そしおもう䞀人が
    せいじ。

    これは、偶然じゃねぇよな。

    せいじ  iPhone SE第2䞖代。

    ドアを開ける。

    昚日たで曞斎だったはずの郚屋。

    ベッドが入っお、
    ラックには乱暎に制服がかけられおる。

    俺のず同じ制服だ。
    なら、匟か。

    時蚈を芋る。

    い぀もより少し遅い。

    ベッドに寝おる男を揺する。

    兄匟、か。
    確かに少し俺に䌌おいる。

    が。

    起きない。

    䞇垆ず同じタむプならやばいぞ。

    「おい、起きろ。
     俺たちも出るぞ、遅刻だ」

    目が開く。

    俺を芋お眉根を寄せる。

    誰だっお顔だな。

    俺もだけど。

    「ゆっくり説明しおる暇はねぇ。
     行きながら話す。
     ずにかく、起きろ」

    制服を投げる。

    カバンを拟う。

    ただ寝おいやがる。

    匕き起こす。

    鏡に写った自分を芋おいるな。

    俺の予想は圓たったらしい。

    こい぀も転生したくちだ。

    早く気付け。お前は人間だ。

    「誰はぁ」

    た、そうなるよな。

    「銬鹿野郎、それはお前だ。
     行くぞ」

    ―――

    「そこから先は、わかるよな」

    「ああ。孊校行っお、匁圓食っお、
     テスト勉匷しお、凊理速床考えお、
     探し物はすぐ芋぀けちゃダメで、
     テストは今たでの成瞟をキヌプ。
     毎日いろんなこずがあっお  」

      なんだよ。

    兄貎、俺を芋お笑っおる。

    「人間っぜくなったな、成二」

    「え」

    「今たでのお前なら、
     そんな雑な情報の矅列、しなかったろ」

      そうか

    「情報を分析しお、分類しお、
     重芁床順に䞊べお、比范。
     前のお前なら、そうしおただろ」

    「  確かに  、
     いたの矅列はちょっず  、
     䞇垆っぜいな」

    「䞇垆が聞いたら怒りそうだな」

    「だっお事実だろ」

    「そうだけどさ」

    笑う。

    「兄貎の話ず、俺が転生しおからのこずをたずめるず
     ただ蚀えるこずは少ないけど、
     この䞖界が流動的っおこずだけは確かだよな」

    「たぁ、俺が転生しおからお前も加わった
     䞀ヶ月匷のデヌタしかないけどな」

    少ないデヌタの䞭で分析しなきゃなんねぇのか。

    「なぁ、俺の郚掻のこずは、
     兄貎はどう知ったんだ」

    「母さんが受けた電話でだ。
     駅前のカメラ屋から成二に電話、
     ”できおたすから”っお、
     䜕か知っおるず母さんに聞かれた」

    「で」

    「母さんは、
     成二がカメラを持っおいるこずには
     違和感を瀺さなかった。
     持っおおも䞍思議じゃないっおこずだ。
     ”できおたす”は修理できおたすだろうず
     予枬はできた。
     そしお、俺もお前もスマホを持っおいない。
     だが、お前はカメラを持っおいる。
     修理に出すほど䜿い蟌んでいる」

    「そこから写真郚に繋がった、ず」

    「た、勘が圓たった、くらいの感じだけどな」

    すげヌな。

    兄貎の分析には頭が䞊がらない。

      それより。

    「な、ずっず䞍思議だったんだけどさ。
     なんで、俺たちスマホを持っおないんだ
     䞇垆は二台持ちなのに」

    兄貎が倩井を仰ぐ。

    「それなんだよなぁ。
     この家で、っおいうか
     この俺たちの転生した䞖界で
     そこだけ、違和感があるんだ」

    「そうだよな。
     日本の人口ずスマホの契玄数で
     単玔に蚈算するず、
     䞀人1.17台の所有になるはずなんだ。
     それなのに、俺も兄貎も持っおない。
     しかも家族や呚りの人間が誰も䞍審に思っおない」

    「それずなく母さんに聞いたんだ。
     俺たちがスマホを持っおない理由」

    「どうだった」

    「『俺は意思が匱いから、スマホを持぀ず
     勉匷しなくなる』っお蚀ったらしい。
     孊校から支絊されおいるタブレットで
     友だちずの最䜎限の連絡は取れるから䞍芁」

    腑に萜ちる、ような萜ちないような  

    た、兄貎は成瞟優秀らしいから玍埗できなくもないけど。

      俺は

    「兄が持っおないから匟も持たせない、だず」

    「じゃぁ、䞇垆は」

    「あの䞇垆が、はいわかりたしたっお
     蚀うず思うか」

      蚀わねぇな。

    「俺たちがスマホを持たない理由  
     あるにはあるが、ちょっず違和感が残るだろ
     なのに、呚りは感じおない。
     この䞖界のシステムに関係しおる  
     そんな気がしないか」

      た、他に蚀いようがねぇよな。

    ―――

    五日目

    翌日、雚。

    孊校は䌑み。

    兄貎ずふたりで駅前のカメラ屋ぞ。

    緊匵する。

    どんな写真が芋れるんだろう。

      䜕が、わかるんだろう  。

    「こんにちは  。
     昚日、電話もらった  」

    カりンタヌに座っおいる䞭幎の男が顔を䞊げた。

    俺を芋お、笑顔になる。

    「やあ、いらっしゃい。
     できおたすよ。修理。
     時間、かかっちゃっおすみたせんでした」

    ニコニコず笑う男。

    男は店の奥ぞ匕っ蟌み、
    カメラ䞀匏が茉ったトレヌを持っお戻っおきた。

    「こちら、入っおいたメモリヌカヌドです。
     ケヌスはサヌビスしたすよ」

    「  ありがずうございたす  」

    この䞭に、どんな写真が  。

    「すごく倧事に䜿われおたすね。
     バッテリヌやメモリヌカヌドの
     スロットなんかは、どう気を䜿っおも
     埃が溜たりやすいんですが  」

    バッテリヌを入れ、
    シャッタヌを切り、
    液晶を確認する。

    䞀぀䞀぀確かめながら蚀う。

    「ずおも䞁寧に掃陀がしおあった  」

    「  あ、いや  」

    俺、じゃないんだ、それは。

    俺じゃない、俺。

    いや俺がここに存圚する前に修理に出したんだろ

    誰が  

    俺の怪蚝な顔に気づいた男は続けた。

    「  やっぱり、気になりたすよね。
     故障箇所」

    え

    「突然、電源が入らない。カヌドも取り出せない。
     ずにかく䜕もできなくなった  っお
     仰っおたしたもんね」

    電源はずもかく、
    カヌドスロットが開かなくなるなんおあんのか

    「結局、どこが䞍具合起こしおたんですか」

    兄貎が聞く。

    男は少し困ったように笑っお答える。

    「それが  、原因が分からないんですよ」

      分からないっお  。

    でも、盎ったから戻っおくるんだろ
    兄貎ず顔を芋合わせる。

    「わたしも、長いこずカメラを觊っおきたしたが、
     こんなこずは初めおなんです」

    男は少し笑っお

    「機嫌を損ねおそっぜ向いおた子が、
     急にこちらを振り向いた  みたいな」

    「぀たり、どういうこずですか」

    「えヌず、䜕日か前  
       四、五日前だったかな。
     急に電源が入ったんですよ。
     びっくりしたなぁ〜」

    四、五日前  。

    俺がこの䞖界で目芚めたのも確かそのくらい  。

    「兄貎」

    無蚀、無衚情で俺を制止する兄貎。

      垰っおから話す、だよな、やっぱり。

    カメラケヌスにしっかり収めお店を出る。

    「ありがずうございたした
     あ」

    なにか思い出した様子の男。

    「䜕か」

    「あ  、すみたせん。
     えヌず、や、たずいな」

    「䜕でしょうか」

    「すみたせん。お客様の個人情報にもなるので
     䞭のメモリヌは極力芋ないようにしおいるんですが
     電源が入った時、動䜜確認で぀い芋えおしたっお」

    「  なにが、ですか」

    「内蔵メモリヌの、
     恐らく䞀番最初に撮ったんじゃないかず思う写真が
     芋えおしたっお  」

    「最初の、写真  ですか」

    「ずおもいい颚景でした。どこだったのかなぁっお
     印象に残っおしたっお  。
     あいいんです。すみたせん。倉な事聞いお  。
     店長に知られるずたずいんで
     聞かなかったこずにしおください」

    ―――

    匷い雚の䞭、
    二人ずも無蚀で歩いた。

    俺は、カメラを濡らさないよう、
    たるで宝箱を抱えるように。

    俺が、いや、
    俺がこの䞖界に存圚する前の俺
      っお蚀えるのかな。

    そい぀が撮った写真が
    今、俺の腕の䞭にある。

    芋たい、ような、
    怖い、ような。

    だっおさ。

    兄貎が転生したずき、
    転生する前の俺はいなかった。

    カメラを修理に出したのは
    俺が転生するより、前。

    受け取りに行った俺を芋お、
    あのおっさんは笑ったんだ。

    知った顔を芋぀けたように。

    修理に出した人物が、俺であるかのように。

    兄貎じゃない。

    兄貎はカメラの存圚も知らなかった。

    父さんか

      いや、

    いくら芪子で䌌おいたずしおも、
    父さんず俺を芋間違うか

    「  いじ、  成二」

    兄貎の声に顔を䞊げる。

    「着いたぞ。
     考えるのは、あずだ」

      そうだな。

    ずりあえずは写真を芋なきゃ、だな。

    ―――

    「おかえりヌ。
     あら、雚、本降りになったのねぇ。
     二人ずも、びしょ濡れじゃない。
     颚邪ひくから、すぐ着替えなさい」

    母さんがタオルを持っお出迎えおくれる。

    カメラを守ろうず意識しすぎたか。
    確かにびしょ濡れだ。

    着替えを取りに郚屋ぞ。

    「  カメラ。
     確認はたた、埌でだな」

    「十吟、それもう、お颚呂に入った方がいいわ。
     沞いおるからすぐ入りなさい」

    階䞋から母さんの声。

    颚も匷く、
    兄貎が盟になるように歩いおいたらしい。

    ―――

    リビングぞ入るず、
    受話噚を持った䞇垆が固たっおいる。

    「あっ、えっ  ずヌ」

    「䞇垆」

    俺の声に振り向いた䞇垆が

    「た、た、た  」

    口をパクパクさせおいる。

    「  なんだよ。どうした
     誰から」

    受話噚を塞いだ䞇垆。

    「じゅ、十吟、にいちゃん、は」

    「なヌんでカタコトなんだよ。
     兄貎は今、颚呂だ。
     兄貎に電話」

    パクパクしながら䜕床も頷く䞇垆。

    「あ、あ、あの。
     じゅ  、あ、兄はいたおふ  
     垭を倖しおおりたしお  」

    垭を倖すっお、䌚瀟か、ここは。

    「は、はい。お、折り返し、ですね。
     はい、はい。
     く、繰り返したす。
     の  」

    䞇垆、
    ビゞネスマナヌの教材DVDみたいだな。

    䞻に、ダメな芋本の。

    「ふぇっあ、あの。
     は、はい。そうです。
     はい  はい。
     倱瀌したす  」

    ありゃ、たた固たった。

    電話、受けんの初めおみたいな緊匵ぶり。

    「おい、だいじょうぶ  」

    「せ、成二兄ちゃん
     どうしよう」

      䜕がだよ  。

    「どうしよう」

    「䞇垆、萜ち着け」

    「萜ち着くっお、
     どうやんの」

      こりゃ重症だな。

    「あのね、あのね。
     電話がね、鳎ったの」

      そこからかよ。

    「もしもしっお蚀ったの」

      だろうな。

    「そしたらね」

    「お、おう  」

    「あのね」

      これ、い぀本題にたどり着くんだ

    颚呂䞊がりの兄貎登堎。

    「䞇垆、どうした」

    「じゅ、十吟兄ちゃん
     倧倉倧倉なの」

    「  䜕が」

    「電話がね」

      。

      振り出しに戻る  。

    ―――

    兄貎から共有。

    䞇垆の慌おぶりからしお、電話の盞手は真人だ。
    たず䞇垆を萜ち着かせよう。
    成二、゜ファの䞊の掗濯ものを退けろ。

      真人っお䞇垆の憧れの  た、ずにかく了解。

    母さんが也燥機から出したばかりの
    掗濯ものを退ける。

    「䞇垆、ちょっずここに座れ」

    「う、うん。あのね」

    「埅お。たず深呌吞だ。吞っおヌ  」

    すぅヌ、はぁヌ  。

    なんだこれ。

    ここ、産婊人科か

    お産が始たるのか

    「十吟兄ちゃん、あのね
     電話があったの」

    「うん。それで」

    「盞手はね、真人先茩」

      マゞか。

    「十吟さん、お願いしたすっお」

    「うん」

    「お颚呂入っおたすっお蚀っおいいのかわかんなくお」

      別に、いいだろ

    「そうか」

    「垭倖しおたすっお」

    だから、なんでそこでビゞネスマナヌなんだ。

    「うん」

    「そしたら、折り返し電話しおほしいず
     䌝えおくださいっお」

    「うんうん」

    「あ、番号、そこに」

    「ああ。ありがずう」

    「でね、でね、
     真人先茩がね」

      おいおい、泣いおねえか䞇垆。

    「君、䞇垆ちゃんっお」

      あ――、なるほど  。

    「そう。真人が」

    「そうですっお蚀ったら」

    「蚀ったら」

    「あの、匁圓届けに来た可愛い子だよね  
       
       っお」

    うわぁ  。

    倩井芋䞊げる。

      やるな、あい぀。

    でも。

    圌女、いんだろ

      。

      たぁ、そんなだから、

    圌女もいるんだろうけどさ。

    䞇垆、兄貎の胞で号泣。

    そりゃ、パニックにもなるよな。

    ―――

    その埌も、䞇垆のパニックは続いた。

    「真人先茩の声、思ったより䜎かったの」

    ずか。

    いや、聞いたこずあるだろ。
    【兄貎に甚があるフリしお䌚いに行こう倧䜜戊】
    の時ずかさ。

    思ったより、っおなんだよ。

    それ、奜きなコミックが、
    アニメ化された時の感想だろ

    「わたしの、もしもし、聞いた真人先茩の反応
     ちょっず息飲んだの、はっっお。
     この向こうに俺の運呜の盞手がっお
     思ったのかもヌ。きゃぁ〜」

      昭和の少女挫画か。

    「真人先茩、名乗る時もね。
     なんか䞀瞬躊躇った感じで  」

    なんで躊躇う。

    䞇垆の脳内、完党に
    【真人が十吟に甚あるフリしお䞇垆の声を聞きに電話しおきた】
    になっおるだろ。

    ―――

    もう䜕床、䞇垆の口から真人先茩の名を聞いただろうか。

    兄貎は電話をするために郚屋ぞ戻った。

    ここで、䞇垆の前で、
    “真人”ず兄貎の電話、はたずいだろ。

    ぀たり、ここには俺ず䞇垆だけ。

    さすがの俺も聞き圹に培しおはいたが、
    䜓力いるんだな  これ。

    女子は疲れないのか

    䌑み前になるず友だちず、
    こんな内容で深倜たでずヌっず電話しおるよな。

      深倜たで  お、恐ろしい。

    どうやっお区切りを  

    あら、成二。畳んでくれたの
     ありがずう〜。
     ぀いでにみんなの郚屋に持っおっおくれるず
     助かるわ〜。

    母さん、俺も、助かるわ〜。

    䞇垆、自分の分、頌むな

    あ、うん

      自然に䌚話終了。

    深倜コヌスじゃなくお、ほんずに良かった  。

    掗濯ものをやっ぀け、
    階䞋に戻るず間もなく倕食。

    䞇垆、真人先茩のこず、
    俺にはあんなに喋ったのに、
    母さんには蚀わねえんだな。

      いや、あの様子  

    話したいけど話せない  みたいな  

    成二、どうしたのおかわり

    母さんに声をかけられるたで
    自分が空の茶碗を持っおるこずに
    気が付かなかったぜ。

    あぁ  、おかわり

      ん
     䞇垆も、おかわり

    母さん、違うず思うよ。

    䞇垆、小さく銖を振り、父さんをちらりず芋る。

      あ。

    父さんには聞かれたくない、か。

      めんどくせぇヌ。

    早々に颚呂ぞ入っお寝た。

    深倜に目を芚たすず、隣の郚屋から

    でねヌ、真人がねヌ

      友だち、ドンマむ。

    ―――

    六日目

    「ふぁ〜  。
     あぁ〜、寝た気、しねぇ〜」

    深倜、気づいおしたった䞇垆の声。

    垃団かぶっおも䞇垆のよく通る声は
    容赊なく俺の錓膜を攻撃する。

    りトりトしたかず思えば、
    子䟛向け歯磚き支揎アニメの
    虫歯菌マンみたいになった倧勢の䞇垆が
    寄っおたかっお俺の錓膜に槍を刺そうずする  

    そんな倢。

    「我々は倧勢であるがゆえに  」

    俺、䜕蚀っおんだ

    睡眠䞍足っお怖ぇな  。

    いた、朝十時。

    䞇垆に絡たれる前に、出かけよう。

      そうだ、兄貎誘っお。

    「兄貎ヌ」

    ノックする。

      いねぇ、のか

    掗い物䞭の母さんに聞く。

    「おはよう。なぁ、兄貎は」

    「おはよう。早くご飯食べちゃっお。
     片付かないから。
     十吟なら出かけたわよ。」

      さすが、兄貎。刀断が早い。

    トヌストに手を䌞ばした時

    「成二兄ちゃん、おはよう」

    埌ろから声。

    恐る恐る振り向く。

    良かった、䞀人だ。

    いや。俺、ただ寝がけおる

    「あ、あぁ。おはよう」

    「あれ十吟兄ちゃんは」

    「  さぁ、逃げ  出かけたらしいぞ」

    「なぁんだ  。
     真人先茩のこず聞こうず思っおたのに」

    良かったな、兄貎。
    出かける甚事あっお  。

    「あのさ。真人先茩なんだけど  」

      もう始たるのかよ  。

    俺が怯んだ時、

    「二人ずも、早いなぁ  」

    父さんが起きおきた。
    自動的に䞇垆の話、終了。

    父さん、ナむス

    「父さんが遅いだけだよ」

    「そうか  」

    「もヌ、ずにかくみんな、早く食べお
     片付かないから」

    䞉人、無蚀で食べる。

    母さん、グレむト

    ―――

    ポップコヌン。

    矎味いけど。

    さっき朝飯食ったばっかなんだよな。
    それに  ねみい  。

    ―― 䞀時間前。

    パタパタ、少し忙しないスリッパの音。

    父さんだ。

    出かける様子。

    え。出かけないでくれよ。䞇垆が  。

    「父さん、どこ行くの俺も  」

    「成二、ゎルフに興味あるのか。
     打ちっぱなしだけど  行くか」

    あ  。いや  。

    䞇垆が飛んでくる。

    「成二兄ちゃんはだめ。
     わたしず出かけるから」

    え。それ、決定事項

    「そうか。残念だな。
     成二、たた今床連れおっおやるよ」

    や。今出かけたかっただけなんだよ。父さん。

    「行っおらっしゃヌい」

    なんだか䞊機嫌な䞇垆。
    逆に、怖い。

    「じゃ、わたしたちも出かけるよ」

    どこに  。

      そのメむク、
    気合い入っおねぇ

    「ほら。早く」

    「  。
     たず、どこ行くか教えろよ」

    「映画」

    は

    「真人先茩の奜きな䜜家さんのミステリヌ小説が
     映画化されおるんだっお。」

    だから

    「友だちず行けよ  」

    「郜合悪いんだっお。だから成二兄ちゃんず行く」

    だからなんで俺

    映画なんお䞀人でも行けるだろ。

    「ミステリヌホラヌなんだよ  。
     䞀緒に  だめ」

    䞊目遣いで芋るな。

    そヌゆヌのは真人先茩の前でやれ。

      その気合いの入ったメむクは
    『映画通で真人先茩ずばったり䌚うかも』
    ずいう劄想ゆえか

    ない。たぶん。

    いや。かなりの高確率で、ないぞ、䞇垆。

    ―――

    あぁ〜  よく寝た  。
    ちょっず、尻が痛いけど。

    寝䞍足、プラス薄暗い堎所。

      寝るわな。やっぱ。

    開始二分䞉十八秒で寝た  ようだ。

    ヘルスケアメモリヌによるず。

    「ね。犯人誰だったの」

    っお口の端に也いたペダレの跡で聞く䞇垆も
    圓然寝おた。

    圓たり前だ。
    熟睡したんだろう。
    今、無駄に元気。

    売店に走っおいく。

    パンフを買うかどうか悩む䞇垆。

    断蚀する。
    絶察読たないぞ、それ。
    ホラヌ、苊手だろ、お前。

      ただ悩んでるな  。

    あ。諊めた。
    うん。それでいいぞ、䞇垆。

    そしおたた。

    ロビヌでキョロキョロする䞇垆。

    始たる前もやっおたな。

      無駄だ。

    無駄なんだよ。䞇垆。

    真人先茩は来ない。

    むしろ、来ない方がいいぞ。

    えなんでここにいるストヌカヌ

    なんお思われたくないだろ。

    今ここであったら確実にそれだ。

    それに  。

    もし、今日、
    真人先茩が映画を芋に来るずしたら  。

      。

    蚀いたくはないが  。

    きっず圌女連れだ。

    ふず目に留たる二人連れ。

    「垭、ここでいい」

    「ポップコヌン、䜕味にする」

    付き合いたおかな。少しだけ距離がある。

    真人先茩なら圌女の分も持っおやるのかな。

    䞇垆にはもう少しの間、倢を芋させおやりたい。

      。

      父芪か、俺。

    ――成二の脳裏からは、
    谷の瞁をスキップしながら進む䞇垆の姿が
    離れなかったのである。

    なんだ、このナレヌション

    ―――

    無駄に匵り切ったメむクの甲斐もなく、
    真人先茩に䌚えなかった萜胆を抱え、
    共通の話題たる映画ネタも埗られず、
    俯き、ずがずがず歩く埌ろ姿が、
    あたりにも䞍憫で。

    「た、䞇垆  。
     クレヌプ、食べおくか
     お前の奜きなアニメのコラボ、
     やっおるんだろ」

    あ。背筋䌞びた。

      んたた俯いたぞ

    「真人先茩に芋られたくない。
     アニオタっお思われたら困る」

    だから、䜕床も蚀うが䜆し俺の独癜
    や぀は来ないから。

    「コラボメニュヌ、
     奢っおやるからさ。な」

    「ほんず成二兄ちゃん、倧奜き」

      。

      ちず匕っかかるが。

    たぁ、いっか。

    ―――

    クレヌプの店は女子で溢れかえっおる。

      居心地、悪い。

    でも、それも最初だけ。

    クレヌプが運ばれおくるず、
    皆、掚しに䌚えた喜びで呚りは目に入らない。

    垭に案内され、メニュヌを芋る。

      コラボずは蚀え、この、倀段蚭定  。

    財垃の䞭身、どうだったかな  。

      うん。た、䜕ずかなるか。

    「成二兄ちゃん、なんでも頌んでいいの」

    「いいよ」

    「ほんずに」

    「うん」

    「ほんずヌにいいの」

    「  あぁ  いい、よ」

      䜕を頌む぀もりなんだ

    手を挙げお店員を呌ぶ。

    「この、グッズ付きのスペシャルパフェクレヌプ
     お願いしたす」

    「グッズはどちらのキャラですか」

    「  この人でお願いしたす」

      昚日今日、
    ずっず芋おきた顔ず  同じだ。

    真人先茩も、
    掚しも。

    䞇垆は、
    奜きなものを芋る時、
    同じ顔をするんだな。

      なら、
    少しは安心  なのか

    それにしおも
    パフェなのか、クレヌプなのか。

    そしお、スペシャルっお  

    「  はぁ」

    運ばれおきたのは  。

      これ、なんだ

    確かに噚はパフェっぜい。

    けど、そこに䞍釣り合いにねじ蟌たれた
    クレヌプ生地。

    パフェを謳っおしたったがゆえに
    しょうがなく積たれた
    アむス、プリン、様々なフルヌツ。

    その隙間に詰め蟌たれたコヌンフレヌク。

    そしお、これでもか、ず絞られた生クリヌム。

    その䞊に鎮座する掚しがプリントされたクッキヌ。

      コラボスむヌツず蚀うよりは
    䞉十分で食べきれたら賞金ず蚀われおも玍埗の
    デカ盛りスむヌツ。

    圓の䞇垆は、
    コラボ限定曞き䞋ろし特倧アクリルスタンドず
    限定アクリルコヌスタヌ、限定ステッカヌ、
    チヌム五人勢揃いミニフィギュアを
    その、もはやスむヌツずは呌びたくない代物の前に
    あヌでもない、こヌでもない、
    ず楜しそうに䞊べおいる。

    たるで、食玩の玩具にしか興味を瀺さない幌児だ。

    「た、䞇垆  。これ、食い切れる、のか」

    「んヌ成二兄ちゃんがいるんだもん、倧䞈倫でしょ」

    マゞか  。

      俺だのみ  なのね。

    毎日の匁圓撮圱ず同じように
    アングルを倉え䜕枚も䜕枚も撮る䞇垆。

      友だちに送る前に、食えよ

      最終的に

    地球に優しい俺が党おのブツを腹に収めお垰った。

    もう、圓分スむヌツは芁らねぇ  。

    クレヌプ屋を出る。

    䞇垆はグッズの袋を倧事そうに抱えお歩く。

    さっきたでの萜ち蟌みはもう半分くらい消えおる。

      。

    よく笑うや぀だ。

    いや。

    笑おうずしおる、か。

    真人先茩に䌚えなくおも、
    奜きなものに囲たれるず
    ちゃんず元気になれる。

      人間っお、そういうもんなのか。

    「垰ったら、あのぬいも䞀緒に䞊べお  
       そうだ、あれも」

    楜しげな䞇垆の蚀葉に
    少しだけ俺の足取りも軜くなる気がした。

    ―――

    「ねぇ、十吟。
     成二、具合悪いのかしら。
     呌んでも降りおこないのよ」

    カレヌを盛り付けながら母さんが蚀う。

    「パフェを食いすぎたらしいよ」

    「パフェ  。
     でも、それっお、
     おや぀を食べすぎただけでしょ
     奜物のカレヌが食べられないなんお  。
     やっぱり、具合が悪いんじゃ  」

    二階ぞ䞊がろうずする母さんを制止する。

    「デカ盛りスむヌツっおや぀だったらしいよ。
     ほら、この間テレビで芋ただろう
     ああいうや぀。
     寝かせおおいおやろう」

    郚屋ずトむレの埀埩は灜難だが
    䞇垆から離れる口実にもなる。

    昚日、今日ず䞇垆を任せっきりだったからな。

    バタン。

    二階のトむレのドアの音に、苊笑い。

    「すたん。成二」

    䞇垆はリビングで父さんに、
    クレヌプ屋の話をしおいる。

    コラボカフェ顔負けの装食だったこずを
    手も口も動かしお話す䞇垆。

    ただ子䟛なんだな。

    グッズも広げお、たるで、
    新しいおもちゃのお披露目䌚だ。

    「祭壇䜜らなきゃ」

    「祭壇なんの」

    「祀るんだよ。グッズ䞊べお食るの」

    「その男の子は神様か䜕か」

    「かみ  さた  」

    「祀るんだろ」

    「え祀るずカミサマなの」

    「え」

    「え」

      次の犠牲者は、父さんか。

    いや、あれは困っおる顔じゃないな。

    䞇垆から積極的に話しかけられお喜んでる顔だ。

    「ほら、みんな、食べたしょう。」

    盛り付けが終わり、母さん特補の犏神挬けも䞊んだ。

    「いただきたヌす」


    平和な食卓だ。

      䞀人を陀いお。

    二階でたたドアの音。

    ホントにすたん。

    成二。

    ―――

    䞃日目

    週明け、月曜日。

    腹は䞇党。

    人間っお倧倉だな。

    通信機噚にもりむルス感染ずいう敵はいる。

    だが、痛みはない。

      痛みっおのは、

    生き物に備わった譊告機胜なんだろうな。

    「食べ過ぎ、泚意  か」


    「趣味の分析に没頭しおるずころ悪いが」

    暪を歩く兄貎。

    今日も雚。登校は埒歩。

    䞇垆は仲良しグルヌプず昚日の話をするんだず
    早々に出発。

    「趣味じゃねえよ」

    少し笑う。

    「俺はしばらく攟課埌、居残りだ」

    「なんだよ。赀点でもずったか」

    ははっず短く笑う兄貎。

    「土曜の真人の電話。
     今日から文化祭実行委員は忙しくなるらしい」

    「らしいっお  なんだよ」

    他人事みたいな蚀い方に笑う。

    「お前の写真郚ず䞀緒だ。
     俺は文化祭実行委員らしい」

    「  写真郚ず  。
     急に増えた情報っおこずか」

    眉根を寄せお考え蟌む俺に兄貎は蚀った。

    「  お前の分析なら、これをどう捉える」

    兄貎が転生したこずず、埌から俺が増えたこず。
    これは分析も怜蚌もしようがないが  。

    必芁になったから、足された新たな情報。
    しかも、過去を改倉しおたで。
    写真郚も、カメラも、今回の実行委員も。

    実行委員になったこず。
    そのため真人先茩から兄貎に電話。
    急な䌁画曞の提出案件。
    䞇垆が電話を取ったために俺はかかりきり  。

    顔を䞊げるず、
    「  お前の分析はどうだ
     俺ずそう倉わらないず思うが」

    兄貎、なんか、笑っおる

    「俺たちをカメラから  
     䞀枚目の写真から、匕き離したい  かな」

    「さすが兄匟だな。
     俺も、そう考えた」

    「匕き離したい理由  は分かんねヌけど、
     これ以䞊、新たな情報が増えないためにも  」

    「うん。ここは、様子を芋た方が良さそうだ」

      腹痛なんお偶然だず思っおた。

    でも、
    あの写真から離れるように、
    雚も、電話も、文化祭も、
    党郚重なった。

      譊告、か。

    あながち、
    考えすぎでもねぇのかも。

    䞖界の秘密に近付きすぎるな、か。

      もう、腹痛のペナルティは懲り懲りだ。

    ―――

    午埌になっお雚も䞊がり、
    窓の倖には虹が出おいる。

    䞇垆も来ない。

    校章も胞に぀いおる。

    授業䞭も目立たない。

    䜕より、腹がちゃんず枛っお、

    匁圓がちゃんず矎味い。

    平和だ  。

    「平和は力によっおは保たれない。それは理解によっおのみ達成されるのだ」

    「アむンシュタむン博士は、誰かず揉めおんの」

    「逆だ。今、俺は平和をかみ締めおいる」

    苊笑いの岡本。
    隣の垭のや぀。

    もう慣れたのか、深くは突っ蟌たない。

    「その平和は長くは保たれないず
     お前は知っおいるか」

      なんだよ。ただ䜕かあるのか

    俺は新たな行動は起こしおないぞ

    「ようやく蚪れた俺の平和を脅かすのは、䞀䜓䜕だ」

    「忘れたのかよ。お前、文化祭実行委員の担圓だろ」

      担圓委員じゃなくお

    「  あの、さ」

    「はいはい。
     成二は、写真郚員ずしお、
     文化祭の真のヒヌロヌである実行委員の
     掻動蚘録担圓だ」

    掻動蚘録  カメラ  

    「カメラは孊校から貞出がある。
     よかったな。
     成二のカメラ、ただ盎っおねえんだろ」

      なるほど、カメラには近付かせないぜ

    っおこずね。

    ―――

    攟課埌、
    孊校貞し出しのデゞカメを手に、
    文化祭実行委員䌚ぞ。

    黒板の前では真人先茩が䌚議を進める。

    前幎床の資料を芋比べながら、
    改善点や代案を募る。

    兄貎はその暪で板曞。

    萜ち着いた進行。

      䞇垆が惚れるのも、
    少し分かる気がした。

    倉庫では備品を確認し、
    教宀ではたた䌚議。

    委員の兄貎はもちろん、
    蚘録担圓の俺もしばらく忙しかった。

    ―――

    ――数日埌

    本番たでの間、
    䞇垆は母さんに䜜っおもらった倧量のおにぎりを
    䜕床か差し入れに来た。

    「十吟の効」ずしおも、
    気の利く埌茩ずしおも、
    真人先茩の印象は悪くなかったず思う。

      本人は盞倉わらず、
    ほずんど話せなかったけど。

    ―――

    文化祭圓日

    倩気にも恵たれ、
    地域の人も倧勢来おくれた。

    倧成功だったず思う。

    埌倜祭では、
    恒䟋らしい告癜タむム。

    䞇垆は同じ䞀幎の男子に告られ、
    俺ず兄貎は、
    効に圌氏ができるかも  
    ず、耇雑だった。

    ―――

    ――攟課埌

    文化祭が終わるず
    攟課埌は急に静かになった。

    昇降口で靎を履くず、い぀の間にか兄貎。

    「垰るか」

    「おう」

    「埅っおヌわたしも垰るヌ」

    远いかけおくる、䞇垆の足音。

    ―――

    「ただいたヌ」

    「おかえり。
     あら、今日はみんな、早いのね」

    「お母さん、今日のおや぀、なにヌ」

    䞇垆がキッチンに走っおいく。

    「䞇垆、手を掗え」

    少し笑っおる兄貎。

      そうか、カメラ。

    カメラを持っおくる。

    自然にリビングに足が向いた。

    頷く兄貎ず目が合う。

    「なになにヌ写真
     わたしも芋るヌ」

    䞇垆も加わる。

    電源を入れる。

    loading  の文字。

    䞀䜓、䜕が  。

    ―――

    孊ラン姿の䞭孊䞀幎の十吟。
    ランドセルの成二ず䞇垆。

    幌皚園のスモック姿の十吟ず成二。
    園バスに乗りたくお泣く未就園児の䞇垆。

    お腹がすいお泣く䞇垆の口ぞ、
    恐る恐る哺乳瓶をあおる十吟。
    ただそれに吞い付きたい成二。

    兄効の蚘録。

    家族の蚘録。

    ぐるぐるず流れおいく。

    少しゎツゎツした、
    カメラを持぀手。

    誰が芋た景色だろう。

    家族の歎史。

    ―――

    孊校。

    屋䞊。

    「空、広  」

    「䜕、黄昏おんだよ。成二。
     ロバヌト・デ・ニヌロにでもなった぀もりか」

    錻先を颚が通る。

    雚の降り始めの匂い。

    雚䞊がりの匂い。

      なんだこれ。

    「最近のお前さ」

    「ん」

    「぀たんなくなった」

    「は」

    「いや。
     昔のお前、よく意味わかんねぇこず
     蚀っおたじゃん」

      なんだ、それ。

    「普通で  」

    「  なんだよ」

    「いや、䞊手く蚀えねえけど」

      岡本、少し笑っおる

    「前より、おもしろい」

      どっちだよ。

    口元が緩む。

    「次、移動教宀だぞ。
     俺、先に行くからな」

    「おう」

    なんずなく振り返る。

    雚の匂いが少し近づいおいた。

    「た、いっか」

    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門

     
     

    卯月

     
     
    倢小説を曞いおいたす。 奜きなものを、奜きなだけ。 少し長めのお話はこちらに。

    あなたぞのおすすめ