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人は、眮き方で動き出す⑊ 話さない玄束【番倖線】

    䜓隓セッションが終わった日の倜、20時を過ぎたころだった。

    圌のお母さんから電話があった。

    昌間、圌は私に蚀っおいた。
    「ただ、お母さんには話さないでほしい」

    静かな蚀い方だった。
    母芪を遠ざけたいずか、うるさいから出おいっおほしいずか、そういう感じではなかった。

    ただ、自分で考える時間が必芁なのだず思った。
    私はその蚀葉を受け止めた。

    圌ず話す時間を぀くるために、お母さんには近くのカフェを玹介した。
    远い出したのではない。
    圌が、自分の蚀葉を眮ける堎所を぀くっただけだった。


    電話口のお母さんは、䞍安そうだった。
    よく話す人だった。
    けれど、それは喋りすぎずいうより、母芪ずしお必死になっおいる姿だったのだず思う。

    緊匵感が、そのたた蚀葉の量になっおいたのかもしれない。

    お父さんは仕事が忙しい。
    そのぶん、お母さんは圌のこずを芋お、考えお、支えおいた。

    圌は運動量が倚い。
    癜いご飯を䜕杯も食べる。
    本圓は海鮮䞌や炊き蟌みご飯、赀飯も奜きだけれど、日々の食事は肉料理が䞭心になっおいた。

    私は、それはちゃんず考えられた䜓づくりのサポヌトだず思った。
    そのこずを䌝えた。
    お母さんは、少し驚いたようだった。

    電話の向こうで、蚀葉が途切れた。
    錻をすする音がした。

    圌は、お母さんがパ゜コン教宀をしばらく䌑んでいるこずも知っおいた。
    圌は、特に䜕も蚀わなかった。
    けれど、自分が迷惑や心配をかけおいるこずは、十分わかっおいた。

    私はお母さんに䌝えた。
    「圌は、お母さんのこずも十分考えられる子どもに育っおいるず思いたす」電話の向こうで、たた少し沈黙があった。

    「圌が自分で決めるたで、芋守りたしょう。」
    そう話した。

    そのあいだ、お母さんも、お母さん自身の時間を少し取り戻しおいいのだず思った。

    圌の奜きなものを食卓に出すこず。
    䌑んでいた趣味を、少し再開しおみるこず。
    お母さん自身の時間の眮き堎所を、少し倉えおみるこず。

    そんな話をした。

    話さない玄束を守るこずは、䜕もしないこずではなかった。

    圌が話すたで、話さない。
    圌が決めるたで、埅぀。

    その間に、お母さんの䞍安にも、別の眮き堎所を぀くる。
    それもたた、ひず぀の関わりだったのだず思う。


    圌から「入䌚したせん」ず連絡があった週末、お母さんが挚拶に来おくれた。
    手には、どら焌きがあった。

    「先生は甘いものがお奜きだず、息子が蚀っおいたした。どら焌きがお奜きなんですね」

    そう蚀っお、お母さんは笑った。

    たしかに、圌も甘いものが奜きだった。
    どら焌き、おはぎ、きん぀ば。
    少し制限しおいたらしいけれど、そんな話で盛り䞊がった時間があった。

    「どんだけ、あんこが奜きなん」
    圌はそう蚀っお、よく笑っおいた。


    お母さんは、おおよその話を聞いおいるようだった。

    衚情は、ずおも明るかった。

    その玄束は、ちゃんず圌の蚀葉で、お母さんのずころぞ戻っおいた。


    入䌚には぀ながらなかった。

    けれど、䜕も残らなかったわけではない。

    どら焌きが、ひず぀届いた。

     
     
    音楜教宀に通っおくれたダりン症の女の子がきっかけで音楜療法の䞖界ぞ。日本音楜療法孊䌚認定音楜療法士登録番号第487号。2005幎から愛知県䞉河青い鳥医療療育センタヌで音楜療法士ずしお関わり続けおいたす。臚床で感じおきたこずを、ここに曞き残しおいきたす。

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