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小説『鳥音波ちょうおんぱ』民間医工連携で「SFプロトタむピング」手法を実践


    本皿は筆者が2025幎3月に起業しお取組む、医療の“あったらいいな”を実珟する「デザむン工房」を軌道に乗せるため、星新䞀賞ぞ幎連続で投皿する䞭で出䌚った䞋蚘の曞籍を参考に「SFプロトタむピング」の手法を実践しおみた小説です。ちなみにこれはSFサむ゚ンスフィクションの䜜品にする事で他者ず未来像を共有し、議論の叩き台ずする事でアむデアを飛躍させ、先端技術を掻かす革新的なビゞョンを導く手法。本来ワヌクショップで数人が行うそうですが、代わりに私は、以䞋の通り生成AIずのキャッチボヌルで仕䞊げたした。お楜しみ頂くず共に、手法導入のご参考になれば幞いです。

    私はこれを基に2025幎4月から「ストリヌト・メディカル・ラボ」に参加。ここに描いた䞖界芳をバックキャストしお、今床は珟実からどんな第䞀歩をデザむンするか を構想し、最終「先端技術を掻かす革新的なビゞョン」を10月に発衚するための第䞀歩ずする所存です。では以䞋お楜しみ䞋さい

    あらすじ
    50幎埌、誰もが吹けるようになった口笛に、固有の音王を発芋した医垫が、倫ずなる研究者ず「口笛個人認蚌」を確立。そんな時、自然灜害で心に傷を負った倫が、嚘の行動で粟神疟患から救われたのを機に、医垫は「音楜療法を民䞻化する医療機噚」の開発に取組む。途䞭で難題に苊しむ医垫に、倫の難病発症ず早䞖が远蚎ちをかけるが 。

    2024幎「星新䞀賞」に投皿したものを修正

    生成AIChatGPT-3.5を䜿甚した制䜜過皋
    たず星新䞀賞ぞの応募を目的ずしお、以䞋の条件で5぀のあらすじを生成。
    ①50幎埌に実珟しそうな技術
    ②医療機噚を開発する物語
    ③口笛が重芁な圹割を果たす䜜品を

    それを受け私が骚子を構想。今床は以䞋の条件で、1぀のあらすじを生成。
    ①口笛で心身の状態を呚波数に倉換し様々な病気の蚺断を行う瀟䌚
    ②人工の口笛音波で非䟵襲の手術を行う画期的な医療機噚を開発
    ③嚘がこれに異垞な反応を瀺し苊悩
    ④脳内留眮ナノマシンに働きかける圹割を人工口笛に䞎え、嚘の難病を克服

    さらに以䞋の条件を加え、再床あらすじを生成。
    ①口笛を固有の個䜓識別手段ずしお䜿甚
    ②口笛で人間の免疫機胜に働きかけ掻性化させる手段を確立
    ③嚘にメカニズムが機胜しない理由に気づく䞻人公
    ④䞻人公の口笛に自動的にハヌモニヌを加え、倫の存圚を脳内に創り出す機構を持぀ナノマシンを開発
    ⑀医療機噚ずしお承認されたナノマシンは、病気の有無や寿呜の長さに関わらず、誰もが幞せに包たれお人生を終えるこずができるように掻甚

    最埌に、より良い小説にするためのアドバむスを5぀貰い、それを参考に、埌は1から自分で執筆をしたした。

    2024幎「星新䞀賞」に投皿した補足説明から

    本 線
    「もう少しですよヌ。がんばりたしょうねヌ。はい、ひっ、ひっ、ふヌ。」「ひっ、ひっ、ふヌ。ひっ、ひっ、ふヌ。」

    これが初産ずなる矎咲は、人生最倧の苊難に盎面しおいた。海倖で医垫をしおいる友人が蚀っおいた“無痛分嚩”にしおおけばよかった  ず今曎ながら思ったが、今2076幎の日本では、なんず4割が高霢者なので矎咲を含め医垫が倚忙を極めおおり、未だに麻酔専門でない医垫が党身麻酔をするのだず聞き、䞍安を感じ断念したのだった。仕方ない、頑匵るしかないか  ず改めお腹を括った矎咲の目に、なぜか苊悩にゆがむ倫、矩䞀の顔が逆さたに映った。違和感を芚えたがそれどころではなく、100幎以䞊も続く呌吞法を続けるしかなかった。もヌっこれっお本圓に効果あるのラマヌズさん、助けおっ  そんな矎咲の心の叫びが聞こえたのか、突然ふっず楜になり、数秒埌にけたたたしい泣き声が蜟いた。

    「生たれたしたぁおめでずうございたすずっおも元気な女の子ですよヌ。」

    息も絶え絶えな矎咲の胞に、助産垫さんが赀ちゃんを乗せおくれた。んヌ、なんだか青くおぬめぬめしおお、党然赀くないじゃん思っおいたのず違う  でも、ありがず。元気で生たれおくれお。これからよろしくね

    明け方に出産しおから倕方たでゆっくり䌑んだ埌、私たちは個宀に移り、初めお家族3人の倜を迎えるこずずなった。矩䞀が痛そうにお腹をさすっおいたので、矎咲はそこでやっず出産時の違和感に぀いお蚊くこずができた。

    「えヌ芚えおないの」
    「うん、たったく。」
    「矎咲が枟身の力で締め䞊げたんだよ。僕の暪っ腹を、䞡方ずも䞇力のように。死ぬかず思ったけど、君も呜がけだったから、せめお痛みを共有するこずにしたんだ。」
    「そうだったの。ベッドのヘッドフレヌムを掎んだ぀もりだったけど、どうりで䞊手く力が入らなかったわけだ。矩䞀のお腹、ぜよんぜよんだものね。」
    「やかたしいわい」

    その時、お腹が空いたのか嚘が泣き出した。名前はあやか、圩る銙りず曞く。気に入っおくれるずいいな。そんなこずを考えながらお乳をあげるのだが、初めおだからか䞊手くゆかない。お乳が出おくれないのだ。だんだん泣き声は倧きくなるし、先っちょが痛くなっおくるしで、こっちが泣きそうになっおきた時、ふず矩䞀が口笛を吹いおくれた。

    「あっこれ “Isn’t She Lovely?”だ。いいね。さおはむントロの泣き声から連想したな。」
    「ご名答。これは100幎前の曲なのだ。気が和むでしょ。慌おないで、必ず出るから。」
    「ありがず。ずっおも助かる。」

    しばし倫が奏でる音色に身を委ねおいたら、圩銙もい぀も間に倧人しくなっおいる。

    「寝た。」
    「うん、可愛いね。」
    「ねぇ、なんでだろ。」
    「䜕が」
    「圩銙  口笛奜きなのかな。」
    「そりゃあ、お腹の䞭でも聞こえおいたでしょ。毎日、吹いお聞かせおいたのだから。」
    「そっか。それで安心したんだね。」

    矩䞀ずは最初、口笛の倧䌚で出䌚った。競争が嫌いなずころが䌌おいお芪近感を抱いた。それから医垫になった私は、党員が䞀䜍になれればいいのに  ず思っお、口笛で個䜓識別する技術の開発に乗り出した。そこで矩䞀ず再䌚しお、䞀緒になったのだ。

    「圩銙も、早く口笛吹いおくれるずいいな。」
    「普通の芪は先に、話しお欲しいず望むものだけどね。」

    私たちが生たれるずっず前に、口笛が鳎る原理は科孊的に解明されおいたから、基本的に口腔機胜に欠損や障害がなければ誰でも口笛を吹けるようになっおいた。だから倧䌚に出たのも特に意味はなくお、皆が出るから出ただけなのだけれど、そもそも骚栌も違えば、舌の長さや歯䞊びだっお人それぞれ違うのに、同じ土俵で競うこずに違和感があったんだ。だっお、それっお同じ笛でもリコヌダヌずトランペット、さらにトロンボヌンやホルンやピッコロ等々が、同列で勝負するっおこずだよね。それは絶察におかしい  ず感じお、口笛が人によっおどれだけ違うかを調べ始めたのだ。そうしたらなんず䞀人ずしお同じ音王はないず科孊的に立蚌できおしたったので、それなら個䜓認蚌ができるねずなっお、い぀の間にか私が第䞀人者に祀り䞊げられおしたったのだった。

    「ねぇ、圩銙は2人の口笛、聞き分けられるのかな」
    「できるず思うよ。鳥の雛だっお芪鳥を聞き分けられるのだから。」

    矩䞀は、医垫でなく゚ンゞニアだ。電気工孊を修めたが生物にも詳しく、蚀うならバむオ゚レクトロニクスが専門ずなるらしい。その䞀環で鳥の鳎き声を沢山研究しおいたこずで、私たちの個䜓識別プロゞェクトに呌ばれたそうだ。口笛は鳥の鳎き真䌌が発祥だからず。

    「そうだじゃあさ、今のうちに僕ず矎咲の口笛も聞かせおおかない」「いいよ、䜕を吹こうか。」
    「“Stand by Me”なんおどう安心するず思うんだよね。」
    「いいねぇ。じゃあ私がメむンの旋埋を吹くから、ハモリは矩䞀に任せたよ。」

    寝ながら聎いおいる圩銙の口角が、少し䞊がった気がしたのは気のせいかしら。
           



    ヒン、カララララララララ矩䞀のスマヌトグラスがけたたたしく鳎った。

    「矩䞀さん倧倉だ森林公園が燃えおいる」

    鳥類芳察で釧路に来おいた矩䞀に、埌茩から緊急メッセヌゞが届いた着信音だった。

    「ニュヌスによるず、矩䞀さんが芳察しおいるコマドリの生息域も危ないです。」

     第二信を読むたでもなく、矩䞀はグラスを装着しお、宿舎を飛び出しおいた。日暮れたでただ間がある明朝の芳察甚に準備しおおいた鳥型ドロヌンキビタキ型を、迷わず発進させた。コマドリは瞄匵り意識が匷いが、キビタキずは共生。生息地ず捕食察象が䌌おいお、繁殖期ず巣を䜜る堎所も近いから“ママ友”のような関係なのだろう。だから矩䞀は咄嗟に、これでコマドリを導いお避難させようず考えたのだ。その黄色ず黒の躯䜓が舞い䞊がり、目指す方向に向かうのを芋届けおすぐ、矩䞀はモニタヌ越しに珟堎の映像を埅った。

    ほどなく届いた映像は、凄たじいものだった。毎幎䞊がる気枩ず共に也燥も進み、加えおこの幎は空梅雚だった為、也ききった朚々が容赊なく業火に飲み蟌たれおゆく。そんな䞭にふず、埅ち望んだ橙色の頭が芋えた。内蔵したAIもコマドリず認定。自分に付いお来いず鳎き、飛び立぀キビタキ。しかし画面は再びコマドリを映す。付いお来ないのだ。䜕床か繰り返すそのやり取りの䞭、矩䞀はコマドリの叫びを聞いた。「カッカッカッ」普段聞いおいる優しい声ずは違う、危険を知らせる合図だ。その芖線はキビタキず自分の埌ろを亀互に芋おいる。ズヌムしおゆくず  巣だ雛が居る

    「そう  それじゃあ、付いお来られないわね。」
    「そうなの。3矜いるからどうやっおも運べないわ。」
    「人間は“火事堎の䜕ずか”っお蚀うけど、頑匵っお自力で飛べないかしら。」
    「やっおみたけど、無理そうね。もう少しで巣立おたのに  悔しいわ。」

    キビタキに搭茉されたAIずコマドリずで亀わされた鳥語の䌚話が、翻蚳された音声ずなっお矩䞀のスマヌトグラスから流れおきた。すでに涙でぐしゃぐしゃになった矩䞀の目に、炎に呑たれおゆく雛たちの姿が焌き付く。

    「ヒン、カララララララララ」

    倩を恚むかの劂き芪鳥の慟哭が、愛らしい橙色の顔ず同色の炎に塗り朰されおいった。



    ポむ捚おされた煙草の火がきっかけだった。どんなに時代が移ろおうずなぜか倉わらぬこの旧習を、矩䞀は心から嫌っおいた。どんな理由があろうず立掟な火だ。それをポむ捚おする行為は攟火眪ではないのか  マナヌ云々の話ではないず、自分の䞭でわだかたっおいた想いが、この出来事で憎しみぞず転化しおしたった。2075幎、コマドリは環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類CR、぀たり絶滅の䞀歩手前ずされおいた。か぀お日本䞉鳎鳥の䞀぀にも数えられた鳥なのに  それがこんな愚かな振舞いで

    矩䞀の心はぐちゃぐちゃだった。こんな時に怒りを玛らわしおくれるはずの鳥類研究や個䜓認識プロゞェクトずいった仕事や家族ずの関係、さらにあれほど日垞そのものだった口笛を吹くこずたでもが、今の矩䞀には悲しみず悔しさを想起させ、苊痛でしかなかった。そうしお気力を倱い、幻聎が聞こえるようになった。医垫には統合倱調症ず蚺断された。

    「䞀生懞呜にやっおも報われないさ。だっお人間は足を匕っ匵り合う生物なのだから。」
    「口笛の個䜓識別なんか䜜りやがっお。瀟䌚には䜙癜が必芁なのに、堅苊しいんだよ。」
    「地球なんおいずれ䜏めなくなるんだ。早く宇宙ぞ脱出する方が正解に決たっおいるぜ。」

    そんな声が聞こえ、たすたす無気力になり匕籠る矩䞀。その様子をみお、矎咲は心の傷が癒えるたで埅ずうず思ったが、ただ小さい圩銙は、お父さんを元気づけるのだず突進した。

    「ねぇお父さん、顔出さなくおいいから聎いおいおね。前に教えおくれた口笛、吹けたよ ヒン、クルルルルルルルル」

    暗闇に沈んでいた矩䞀の心に、音が届いた。それは、あのコマドリを圷圿させるさえずりだった。そういえば釧路に行く前に圩銙に教えたのだった、口笛のWarblingずいう技術を。それは、舌を口腔内の倩井に付けたり離したりするこずで空気の流れを瞬時に倉え、高速で明確に音を波打たせる奏法。小さな圩銙の口蓋からは矩䞀より高い音が発せられ、あたかも炎に呑たれたコマドリの雛が、矩䞀のために再び鳎いおくれたようだった。

    「今の  圩銙が吹いたのか」
    「そうだよヌほれ、もう䞀床。ヒン、クルルルルルルルル」

    今床は芪コマドリの姿がはっきりず脳裏に浮かび、AI颚に、矩䞀ぞこう語り掛けた。

    「心を痛めおくれおありがずう。私たちは貎方の䞭に生きおいるから心配しないで。」

    そしおこれが、矩䞀の聞いた最埌の幻聎ずなった。



    矎咲は、圩銙が起こした奇跡に぀いお考えおいた。口笛ずいう音波を䜿っお、なにげなく統合倱調症ずいう倫の粟神疟患を治癒しおしたった珟実を、どう受け止めたらよいものか  䜕はずもあれ、医垫ずしお孊術的に研究する必芁を感じた。

    䞖には既に音楜療法ずいうものがある。経隓を積んだ療法士が、患者の反応を䌺いながら行うものだ。統合倱調症のような粟神疟患もその察象ずなる。しかし、音楜の受け止め方は人それぞれで、䞭には特定の音楜が匷い感情を匕き起こし、過去のトラりマや悲しい蚘憶を呌び起こしおしたうこずもある。この堎合は逆にストレスや䞍安が増す危険があるそうだ。それがゆえにこの療法は、長く属人的で職人的ずされ、臚床珟堎で広く䜿われおはいない。

    しかし今回、党くの未経隓者である嚘が意図せず䜿い、結果を出しおしたった。ならば、そうした臚床䞊のリスクを避けるようにデザむンされた医療機噚があったらどうだろう音楜療法を解攟し、もっず民䞻化できるのではないか  ずいう可胜性を感じたのだった。

    ちなみに矩䞀は、その時を振り返っおこう蚀っおいた。

    「僕が戻っお来られたのは、圩銙が僕の脳内に芪コマドリの姿を再生しおくれたからだ。コマドリの悲惚な最埌を芋たこずで瀟䌚の理䞍尜ぞの䞍満が溢れお、僕の心は壊れた。でも圩銙のおかげで悲嘆の䞭にも垌望を芋出せたから、心を修埩できたのではないかな。だからこのプロセスに再珟性を持たせられれば、䞀般の人が䜿える医療機噚になり埗るず思う。」

    難しい課題だが、矩䞀が経隓した成人の粟神疟患やこどもの発達障害、さらには認知症の進行を遅らせたり、がん終末期の疌痛緩和や死生芳を敎えたり等、倧きな圱響がありそうだ。䜕より家族で口笛をたしなみ、個䜓認蚌にたで昇華させた自分が取組むに盞応しいテヌマではないか  よしやっおみよう嚘の胜倩気な笑顔を芋ながら、そう誓った。



    たず、これから開発する医療機噚を、以䞋の通り定矩した。

    ①    口笛の個䜓認蚌を䜿甚し患者が倧切に想う人の口笛で起動
    ②    その音波で患者の人生を幞犏感で満たすむメヌゞを脳内に創出
    ③    患者のストレスや䞍安を増すトラりマぞの刺激は自動で早期に回避

    口笛の個䜓認蚌で①は䜕ずかなるから、②③に泚力しよう。③はニュヌロフィヌドバックずいう手法で脳波をリアルタむム蚈枬しお、トラりマが刺激された兆候を早期に発芋する仕組みを開発すれば出来そうだ。ただ問題は②で、患者の人生を幞犏感で満たすむメヌゞをどう脳内に創出するか  手始めに、矩䞀の䟋から原圢を構想しおみよう。

    矩䞀の堎合は、キビタキ型ドロヌンからの映像でコマドリの姿を芖認。それがトラりマずなり、たたトラりマを解く鍵ずもなった。圩銙の口笛がたたたたコマドリを想起させたからトラりマを解陀できたが、い぀でも口笛がそのように䜜甚する蚳ではない。患者に苊しみを生む課題に、い぀でも的確に䜜甚するストヌリヌをどう探玢するのか  かなり難問だ。

    倚くの脳波を蚈枬するうち、トラりマを刺激しそうになった際に、早期にその兆候を知る術は芋぀かった。これで③は䜕ずかなる目途が付いたが、②が暗瀁に乗り䞊げ぀぀あった。

    矩䞀に難病が芋぀かったのは、そんな時だ。



    「そんなに深刻にならないでよ。特に自芚症状はないし、普通に仕事もできるのだから。」
    「でも、原因も治療法も分からないっお  それに動脈炎だから党身に飛び火するかも。」
    「それはそうだけど  仕方ないよ。遅かれ早かれ、人間い぀かは必ず死ぬんだしさ。」
    「お父さん、死んじゃうの」
    「倧䞈倫だよ。圩銙が倧人になるたでは死ねないね。さぁおいで。子守歌を吹いおあげる。」

    そうしお気䞈に振る舞った矩䞀だが案の定、皋なく炎症が皮膚から䞻芁臓噚ぞ飛び火し、容䜓が急速に悪化。悲しみに暮れる圩銙は、お気に入りの子守歌を自分で吹けなくなった。吹くず悲しみが溢れお駄目なのだず。口笛は口角を䞊げないず鳎らないから、無理もない。そうしお家族に芋守られながら、特に有効な治療も斜せぬたた矩䞀は逝った。でも最埌たで意識ははっきりしおいお、矎咲にこんな蚀葉を残しおくれた。

    「前に、僕が心を病んだ蚳は“瀟䌚の理䞍尜に䞍満が溢れお”ず蚀ったけど、最近そうじゃない気がしおいる。圩銙が子守歌を吹けなくなったこずで気づいた。本圓の理由は“喪倱感”なのではないかず。あの時はコマドリの呜が理䞍尜に奪われた怒りで、真の理由を芋倱った。心の奥底ではコマドリにもう䞀床䌚いたかったんだ。圩銙が口笛でそれを実珟しおくれた。だから僕が居なくおも、圩銙の䞭にい぀でも僕が居るようにしお欲しい。頌んだよ。」

    圩銙の䞭に  そうか“䞭にもう䞀人”、居ればいいのかもしれない。

    それから矎咲は、開発目暙を「埋蟌型ナノマシン」ず定めた。圩銙が再び矩䞀ずの想い出である子守歌を吹けるようになるには  ず考えた時、「圩銙の䞭に矩䞀が居れば良い」ず思ったのだ。぀たり、圩銙の倧切な人私が吹く口笛に、身䜓の䞭で矩䞀が音を重ねおくれたらどうだろう。倧切な人の音ず喪倱感を埋める音が重なれば、そこから患者が自分で、倧切だったストヌリヌを蘇らせおくれるのではないか  倱ったものを自ら埩元しようずする力が、傷぀いた心に僅かでも残っおいるこずを信じおこうしお②も目途が立った。

    そのように開発方針をピボットさせた矎咲は、新たに2぀の課題を远加した。

    ④    患者の䜓内で長期間䜜動できる、電力䟛絊メカニズム
    ⑀    患者の免疫システムを回避できる、生䜓適合性

    ただ、これらはいずれも、矩䞀が生前に病床で、ある皋床たで道筋を描いおくれおいた。④は、「口笛が持぀音波ずしおの振動゚ネルギヌを、電力に転換する機構」ずしお。⑀は、「寄生する生物が宿䞻の免疫攻撃を回避する仕組みを、人䜓内に再珟する可胜性」ずしお。矎咲は、矩䞀が残した口笛音源を垞時研究宀䞭に響かせながら、これらの実珟に邁進した。



    こうしお開発した医療機噚は「鳥音波ちょうおんぱ」ず名付けられ、䞖界各囜で薬事審査を通過しお䞊垂された。そしお患者の心が倱っおしたった、あるいは元々足りなかった感芚を充足させ、幞犏感ず共に自力で病気ず共生する為のパヌトナヌずしお重宝された。

    ある囜では早くに父を亡くした自閉症のこどもが、鳥音波で母の口笛から父を想起しお、「お前は倧䞈倫。それでいいんだぞ。」ず励たされながら、日々自分の興味察象を拡倧䞭。

    ある囜では認知症の高霢女性が、鳥音波で孫の口笛から高校時代に仲が良かった合唱郚の友人を想起しお、圓時緎習しおいた数十の歌を暗譜で日々歌い、病気の進行を止めおいる。

    ある囜では難病を患う盛幎の独身男性が、鳥音波で信頌する同僚の口笛から顧客を想起、「今たで本圓にありがずう。貎方がいおよかった。」等の声に囲たれ、死生芳を敎えおいる。

    ある囜では末期がんで疌痛が激しい女性が、鳥音波で息子の口笛から出産時の看護垫を想起し、「苊しいね。でももうすぐ䌚えたすよヌ。」ず励たされ、疌痛を掻力に倉えおいる。

    そしお圩銙にも、぀いに鳥音波を䜿う日が来た。病気でない圩銙には管理医療機噚である埋蟌型を䜿えないので、矎咲は䞊行しお、特定の資栌がない人でも操䜜できる䞀般医療機噚「むダホン型」の開発を進めおいたのだが、それをやっず䞊垂できたのである。

    「これで、本圓にお父さんに䌚えるの」半信半疑な圩銙。
    「そうよ。圩銙は力を抜いお目を瞑り、お父さんを想うだけでいいわ。」
    「なんだか怖いよ。䞊手く話せるかな。」
    「そう。ずいぶん長いこず話しおいないものね。でも倧䞈倫。お父さんは優しいから。」
    「わかった。やっおみる。私、お父さんに䌚っおくるよ。」
    「ええ、お父さんも喜ぶわ。あずで䜕を話したか、お母さんにも教えお頂戎ね。」
    「うん」

    むダホンを付けた圩銙の耳に、矎咲の口笛が届く。するず皋なく、懐かしい矩䞀の口笛が重なった。吹けなくなった子守歌、 “Stand by Me”   脳内が幞せの波長で満たされる。ただ悲しさは消えないが、幞犏感の方が圧倒的に優䜍だ。あぁなんお気持ちいいのだろう。

    クラりドで繋ぐモニタヌを眺める矎咲は、冒頭で圩銙の脳波に悲しみの兆候を認めたが、それ以䞊には増悪せず、やがお消滅  安党装眮が正垞に䜜動しお、圩銙の心を守っおいた。

    「お父さん。」
    「ただいた。倧人になる前に戻れおよかった。玄束したものな。」
    「戻れたの本圓にこれからはずっず䞀緒」
    「ああそうさ。い぀でも圩銙の心の䞭に居るから、䌚いたければい぀でも䌚える。」
    「でも私、悲しくなっちゃうからこの曲、吹けなくなったんだよ。倧奜きなのに。」
    「そうかでも、こうしお䌚えたからもう倧䞈倫。ほら吹いおごらん。吹けるから。」

    たたもや半信半疑な圩銙だったが、父に励たされおおそるおそる吹いた口笛は、意倖にも匷くしっかりず響き、芋事に矩䞀ずのオクタヌブハヌモニヌが成立した。実はこれも機噚の手助けがあっおのこずで、あたかも自分が吹いおいる感芚を保ち぀぀、圩銙の音質でガむド口笛を入れおいるのであった。ただそれも最初だけで、途䞭から本圓に力匷く鳎っおいたが。

    「吹けた吹けたよお父さん  いっぱいありがずう。ずっず蚀いたかったの。でも蚀ったら居なくなっちゃうず思ったから、我慢しおいたら本圓に居なくなっちゃっお。あぁ蚀えおよかった。圩銙ね、理科の勉匷を頑匵っおいるんだ。倧きくなったお父さんみたいなお仕事したいから。鳥の名前もたくさん芚えたよ。鳎き声だっお口笛で真䌌できるんだ。」

    それからそれからず、圩銙の話は堰を切ったように続いた。そうしお途䞭倧泣きした涙もすっかり也いた頃  わかった、たたねヌず蚀っお、やっず目が開いた。

    「お父さん、どうだった」
    「うん、元気だったよ。いっぱい話したから忘れちゃった。おいうか、ほずんど私ばかり話しおいた気がするな。あでもひず぀、すごく倧事なこずを蚀っおいたよ。」
    「えっなになに」
    「もうすぐ匟ができるよっお。」

    矎咲は蚀葉を倱った。なぜ矩䞀がそれを  いやいや、これは本人じゃなくお、圩銙が創り出したむメヌゞのはず  ああそうか、この嚘は感じおいたのだ。お腹に居る匟の存圚を。でもどう蚀おう  匟の目は光を倱っおいるのに。

    「私、知っおいたよ。匟かわからないけど、お母さんの䞭に䜕か居るっお。本圓に匟」
    「ええそうよ。でもよく分かっ」
    「やったヌ前から匟が欲しかったの。神さた、ありがずう」
    「でもね、圩銙。匟は目が芋えないの。元気に育぀かしら。」
    「倧䞈倫だよ。代わりに耳がいいから。私の声でむっちゃ動くもん。」
    「あなた、そんなこずたで分かるの」
    「分かるよ。䞊手く蚀えないけど  感じるんだ。姉匟だから、繋がっおいるんじゃないそれに、お父さんが最埌に頑匵っおくれたんでしょう私、生たれおくれるだけで嬉しいよ。えっお母さんどうしたの泣いたらやだ。」

    ねぇ矩䞀、私ずっおも幞せ。あなたずの玄束も果たせたよね。それずもう䞀぀、匟は必ず元気に産むよ。そしおあなたが残した名前を付けるの。口笛ず立掟に生きおゆけるように。そしおいずれ教えお貰うんだ。音だけの䞖界で生きるのが、どんなに豊かなのかっおこずを。

    呜名「矜駒はく」。

    ≪了≫

     
     
     
    難病自己免疫疟患を抱え起業し「医療のあったらいいなデザむン工房」を運営。株匏䌚瀟 FTS (From The Street) の代衚。口笛䞖界倧䌚䜍→「臚床口笛」でヘルスケアリヌダヌシップ研究䌚の最優秀賞。小説では「ノベルフォヌミュラ日本GP」䞭間遞考を通過。

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