
【エッセイ】渋みはうまみ
みんな、お茶は好き??
別にいいんだけどなんとなく鼻につく冒頭になってしまいました。どうも、日常のエッセイだよ。
私は買い物が早い方だ。パン屋に入れば「今日はこれとこれ」とスムーズに決めるし、スーパーのアイスコーナーでも、冷凍棚の冷気に震えながら何分も迷うような真似はしない。自分の食べたいものは、自分が一番よく分かっているつもりだ。
そんな中、最近ある傾向が見えてきた。パン屋であろうと、スーパーのアイスコーナーであろうと、私の右手は、毎回のようにある特定のジャンルへと、まるで磁石のように吸い寄せられてしまう。 惣菜パンや華やかなフルーツデニッシュ、あるいはアイスの王道である王道のバニラや濃厚なチョコレートといった、お菓子界の生え抜きエリートたちがいくら魅力を振りまいていようとも、私が最終的にガシッと掴んでしまうのは、いつも決まって茶色や緑色のやつらなのだ。
そう。「コーヒー」「紅茶」「抹茶」、そして「ほうじ茶」。 私は、気がつくといつも「飲み物味の食べ物」ばかりを指名買いしている。
冷静に考えてみてほしい。彼らはもともと、コップや湯呑み、あるいはマグカップに収まって、人間たちの喉を潤すために生まれてきた「液体」のはずだ。それなのに、なぜか小麦粉と出会ってパン屋でふっくら焼き上げられたり、スーパーの冷凍棚の奥で乳脂肪分と混ざり合ってカチコチに凍らされたりしている。 その、本来の役割を半分捨ててまで固形物の世界に殴り込みをかけてきた、元水分たち、通称元スイの放つ独特の引力に、私はどうしようもなく胃袋を掴まれてしまうのだ。(元カレ、元カノみたいに言うな)