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おひとりさまの老後|介護するとき 介護されるとき③|退院後の生活

    ほうこ

    「地域包括支援センター」

    名前すら、聞いたことがなかった。

    介護保険のことは、とりあえずココに相談にいくらしい。

    入院中に、退院後の生活を決めなければならない。
    その相談をするために、父と向かった。

    何もわからないまま、
    話を聞きに行っても、意味がわからないだろう。
    市のホームページや介護のサイトで、
    多少の予習をして向かった。

    それでも、何を聞けばいいのか、
    何を決めなければならないのか、
    全体像すらつかめないまま、扉を開けた。


    担当の方の説明を聞きながら、隣をちらりとみる。
    父はちんぷんかんぷんな顔をしている。
    一番身近な話のはずなのに。

    父が介護のしくみについて「知らない」ということを
    知ってしまった。

    わたしがしっかりしなきゃ。

    そして、ふと思った。
    父の時は、わたしがひとりで動くことになるんだろう。
    今回は、その予行練習みたいなものだ、と。

    他人事ではない。
    いつか必ずやってくる、自分ごととして。


    確認したのは、介護認定の手続きのこと、退院後の生活のこと。

    当時、伯母の介護認定は「要支援2」だった。

    「要支援」だとか「要介護」だとか、それまで聞いたこともなかった。
    介護施設の種類もわからなかった。

    担当の方から教えてもらったのは、
    「要支援」と「要介護」では
    受けられるサービスが、大きく違うということ。

    特に、「要支援」で入所できる施設が少ないこと。
    リハビリの回復次第で認定結果は変わるので、
    現時点ではなんともいえないとのことだった。

    93歳という高齢で、リハビリを頑張れるのだろうか。
    車いす生活ということも、十分ありうると思った。

    急性期は介護認定の見直しができず、状態が安定してから見直しになるという。その結果が出るのは、退院前ギリギリのタイミングになりそうだった。

    このときから退院後の生活を、わたし自身の生活も含めて、シミュレーションしはじめた。


    自宅は段差があり、安全対策が必要。
    荷物が散乱してゴミ屋敷のような状態。
    遠方に住んでいるわたしが仕事を辞めて、
    自宅で介護をするのも現実的ではない。

    地域包括支援センターの担当の方も、同様の意見だった。

    残る方法は、施設入所。

    でも、伯母は、施設入所もかたくなに拒んでいた。

    「介護施設に入ったら、車いすにのせられる。
    そうなると、すぐにぼけてしまうから、施設には入らない」と。

    リハビリ次第では、
    退院するときには車いすが、必須の状態かもしれない。

    そうなれば、多少は本人も覚悟をしてくれるかもしれない。
    そうあってほしくはないけれど。

    あるいは、認知がすすんでしまって、
    本人の意思を確認すること自体が難しくなるかもしれない。

    どう転ぶかわからない。

    いずれにしても、
    ポイントは、本人が魅力を感じるかどうかだと考えた。

    認定調査の結果がでるまでに、
    施設を探すことをわたしのミッションとした。



     
     
     
    50代おひとりさま。ポンコツ街道まっしぐら。 小さなおうちで、シンプルな暮らしと庭時間を楽しんでいます。 過去の自分に会いに行くエッセイ「あの日のわたしに会いに行く」、人生の後半戦を綴る「おひとりさまの老後」を中心に、暮らしや心の記録、くすっと笑える短編エッセイを綴っています。

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