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おひとりさまの老後|あちらとこちらの間|お墓のこと

    「あ~うまくまとまらない。
    なんか変。…ごめん。」
    と苦笑いをして、手を合わせる。

    「はぁ、もうあんたは…」
    と、母の嘆きが聴こえてくる。

    「こうやって足を運んでいるんだから、勘弁して。」
    そういって、後にする。
    いつものお墓参り。


    学生の頃、お墓に連れてこられるたびに、
    「ここには、いないのに」
    そうつぶやいていたわたし。

    そんなわたしに不満だらけの母。

    でも、「千の風になって」が流行したとき
    「いい歌だ。好きだ」
    と、母はいった。

    わたしは、ここぞとばかりに
    「ほらね、お墓にはいないって歌ってるやん」
    と勝ち誇ったように言ったことを覚えている。

    そんな会話を思い出しながら、今は、足しげく通っている。
    花を生けるのは下手くそだけど。


    墓じまいをしたところがぽつぽつと増えていく。
    そんな時代に、わたしはお墓を守ろうと思った。
    でも、いつかわたしが墓じまいをすることにはなるのだろう。

    この場所は、祖母が決めたという。
    高台の最前列。
    一望できるからという祖母のこだわりだったらしい。

    死んでしまったら、もっと高いところから見れるのに。

    子どもの頃からそう思っていた。

    でも今は、ここから眺める変わっていく風景の中に
    変わらないものを見つけるのが好きだ。

    風に吹かれながら思う。
    ここは、あちらとこちらをつなげる場所になっているのかもしれない。



     
     
     
    50代おひとりさま。ポンコツ街道まっしぐら。 小さなおうちで、シンプルな暮らしと庭時間を楽しんでいます。 過去の自分に会いに行くエッセイ「あの日のわたしに会いに行く」、人生の後半戦を綴る「おひとりさまの老後」を中心に、暮らしや心の記録、くすっと笑える短編エッセイを綴っています。

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