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【看護師の処方箋】|認知症病棟には、愛しいエピソードがあふれている

    認知症のおじいちゃんやおばあちゃんは、本当に愛おしい存在です。
    「目上の人に“愛おしい”なんて失礼じゃない?」と思われるかもしれませんが、ここだけの話として聞いてください。

    みなさんは認知症にどんなイメージを持っていますか?
    多くの人は「大変そう」と答えるでしょう。私もそう思っていました。

    でも実際に関わってみると、心をわしづかみにされる瞬間が何度もあったのです。

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    ありのままの私を見てくれる


    認知症の方は記憶が続かないため、さっき話したこともすぐ忘れてしまいます。
    だから、会うたびに同じ言葉をくり返す。

    「えらいね」
    「かわいいね」
    「お肌つるつるしててきれいね」

    同じ言葉のはずなのに、不思議と嫌な気持ちはしなくて、そのたびに私の自己肯定感は爆上がりします。

    食事のときもそう。プリンを前にして「こんな美味しいもの初めて!」と満面の笑みを浮かべる。
    それは3個で120円のプリン。でも、彼らにとっては心からの感動なんです。

    お菓子の包み紙だって宝物のように大事にしています。
    大切にしているのに、私が隣に座ると「これ、あげる」と差し出してくれます。

    “忘れてしまう”という事実の中でも、変わらない優しさがそこにあります。

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    「今」を生きる力


    私たちは成長するにつれて、社会でうまく生きていくために感情を抑えたり、相手に合わせて振る舞ったりします。

    でも、認知症が進むとその“抑えるスキル”が少しずつ難しくなっていきます。

    だからこそ、嬉しいときは満面の笑みを浮かべ、悲しいときは素直に涙を流す。
    まるで幼い子どものように、ありのままの感情を見せてくれるんです。

    昨日も見た花を「なんてきれいなんだろう!」と感動し、さっき食べたお菓子を「わぁ、初めて!」と喜ぶ。

    当たり前だと思っていた日常に、これほどまでに喜びを見出す姿。

    私は日常にありふれる幸せを再認識させられて、何度も心を揺さぶられてきました。

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    認知症は失うことばかりじゃない

    認知症は確かに大変な側面もあります。
    でもその向こうには、「私たちが忘れかけていた大切な心のあり方」があります。

    記憶は薄れても、人を想う気持ちは残る。
    褒め言葉ひとつで、人は救われる。
    忘れてしまっても、「今ここで一緒にいる」ことが大事。

    そう気づかせてくれるのです。

    ⸻

    介護や看護の現場は、決してきれいごとだけではありません。
    日々忍耐を強いられ、精神的にも身体的にも厳しい現実があります。

    それでも、認知症の方と過ごす時間の中には、私たちが学べることや、心が温かくなる瞬間がたくさんあるんです。

    どうか、希望を見失いそうになったときに、少しでもあなたの心を癒すきっかけになりますように。

    最後まで読んでいただいて本当にありがとう。

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