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【心の処方箋】|私が精神科で働き続ける理由

    精神科で働きたいと思ったことなんて、一度もなかった。

    看護師になりたての頃、希望するのは救命や内科。実習やドラマで憧れた場所を選んで、自分の進路を決めたいと思っていました。

    精神科なんて候補にすら入っていませんでした。

    内科病棟で働いていた頃は、患者さんの身体の変化を見て回復を支えるのが楽しかった。退院は嬉しく、亡くなると力不足を痛感してスキルを磨こうと誓いました。

    けれど、身体を看ることに追われて、心を置き去りにしていたんです。

    「時間がない」と言い訳して。

    そんな私自身が、ある出来事をきっかけにうつ病になりました。出勤できず、自責思考に苦しんだ日々。

    生きづらさが増していきました。

    転々とした異動の中で出会ったのが、認知症治療病棟でした。

    そこでは、同じ話を何度も繰り返す患者さんと、ゆったり時間を過ごす日々。

    「今日は天気がいいですね」
    「今日は天気がいいって」

    その方は、過去でも未来でもなく“今”を生きていました。

    一方で、記憶が失われていく恐怖や不安から、暴言や不眠、抑うつになる方もいました。
    その背景には、大切な人との別れや、役割を失った喪失体験があることも多くある。

    私は思いました。

    自分に欠けているのは心を看るスキルだと。

    そして16年目、精神科病棟に配属された私に、師長がこう言いました。

    「経験がなくても関係ない。あなたにしかできない看護がある。あなたの色を大切にしてほしい。あなたの個性は人を助ける力になる。」

    衝撃的でした。
    その言葉は、この先の道を照らす灯になりました。

    私は患者さんに伝えます。
    「あなたはあなたのままでいいんだよ」と。

    その言葉を伝えるたびに、私自身も癒されていきました。

    病気がそうさせていると理解できるようになり、自責が減っていきました。

    一緒に働く仲間も、私を一人の人として見てくれるプロフェッショナルばかり。支え合える仲間の存在が、私を強く優しくしてくれました。

    だから私は今も精神科で働き続けています。
    患者さんにも、仲間にも、そして自分自身にも。
    ここには「心を看る看護」があるからです。

    最後まで読んでいただいて本当にありがとう。
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