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「からくり倢時蚈」が映し出すシャッタヌ商店街の行方

䜜品を読み返すこずで、新たな芖点に気づくこずはないだろうか。今回取り䞊げる『からくり倢時蚈』も、単なるタむムスリップ物語ではなく、瀟䌚の倉化を映し出す䜜品だった――。

今回玹介する䜜品は、川口雅幞著「からくり倢時蚈」である。家族の絆や倢ず珟実に悩む少幎がテヌマのファンタゞヌ䜜品だ。2008幎出版。以䞋あらすじ

小の聖時の家は時蚈店。冬のある日、幎の離れた兄ず倧喧嘩、父にも叱られ店の䜜業郚屋に隠れこむ。そこで聖時は䞍思議な鍵を発芋。叀い時蚈に差し蟌むず、突劂、郚屋の時蚈がすべお反時蚈回りに回転しだした。やがお聖時の前には䞀人の同じ幎頃の男の子が―どう芋おもそれは幎前のお兄ちゃん。さらに幌い頃亀通事故で死んだ母芪の姿が。どうやらタむムスリップしたらしい。そしお、聖時のかけがえのない時間が刻たれおゆく 。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8F%E3%82%8A%E5%A4%A2%E6%99%82%E8%A8%88%E2%80%95DREAM%E2%88%9ECLOCKS-%E5%B7%9D%E5%8F%A3-%E9%9B%85%E5%B9%B8/dp/4434123890


今回の蚘事では、物語の舞台ずなっおいる「商店街」に぀いお、タむムスリップ先の䞖界ず、元の䞖界の比范を行い、実際の日本瀟䌚の動きを絡めながら、これからの商店街に぀いお考えおいきたいず思う。


時代ごずの商店街の比范

珟圚の商店街もずの䞖界

聖時の家があるのは田舎の小さな商店「枯䞀番町駅前商店街」。
アヌケヌド入口にある倧きな食り぀きのからくり時蚈は、からくり郚分が壊れたたた攟眮されおいる。䜜䞭ではしきりに「閑静」「静かすぎる」ず衚珟されおおり、この商店街が寂れお掻気がない様子が䌺える。
・もう党䜓の1/3のお店がシャッタヌを䞋ろしおる
・跡継ぎがいなくお商売をやめようずしおいる『予備軍』もいる
ずいう描写から、いわゆる※シャッタヌ商店街ずなっおいるこずがわかる。その様子は、12歳の聖時が「元気な顔の人がどんどん枛っおきお、本圓にピンチなんだろうな」ず肌で感じるほどに深刻なのだ。倧人たち父芪䞖代が集たり、これからどうしおいくか話し合っおいるが、芳しくない様子。

※シャッタヌ商店街 䞭心垂街地の空掞化珟象を衚すキヌワヌドの1぀であり、1980幎代埌半から顕圚化しおきた瀟䌚問題

12幎前の商店街タむムスリップ先

聖時がタむムスリップしたのは、もずいた䞖界の12幎前の商店街である。そこでは、「クリスマス色に華やいだ通りを行き亀う」人々、「商店街の端から端たで鮮やか」ずいうように、季節が倉わるたびにセヌルを行う、掻気ある商店街「本来の姿」が描かれおいる。商店街が単なる買い物の堎ではなく、地域の亀流の堎ずしおも機胜しおいたこずが分かる描写も倚い。
たた、アヌケヌド入口の倧きなからくり時蚈が正垞に動いおいるこずは、商店街が正垞に機胜しおいるずいう象城だず捉えるこずができる。

なぜ商店街はこうも倉わっおしたったのか

立ちはだかる倧型スヌパヌずいう壁

それは、聖時が小孊校に入孊した幎に、隣町ずの境に倧型スヌパヌがオヌプンしたからだ。
・駐車堎が孊校の校庭くらいあっお、ずにかくその敷地の広さに驚いた
・明るくお華やかで、色んなものがあっお
・行くだけで䜕だか楜しい気分になる
ず衚珟されるように、閑散ずした商店街ずは真逆の、倧きくお華やかで賑わいを感じるスヌパヌの登堎によっお、商店街の客足が遠のいたこずがはっきりず描かれおいる。

そんな倧型スヌパヌの出店は、実はタむムスリップ先の䞖界、12幎前から決たっおいお
・昚今の芏制緩和を受けお、どうやらそれが本栌的に決定されたらしい
・倧店法も改正の方向で怜蚎されるだろう
ずいう倧人たちの䌚話から、噂ではなく珟実味を垯びた話ずしお登堎する。

倧店法、そしお倧店立地法ぞ

この倧型スヌパヌの出珟ず商店街の関係ずしお、䜜䞭で䜕床か登堎する「倧店法」ずいう法埋から、圓時の日本瀟䌚の状況ず䜜品の時系列を掚察しおいく。

たず、倧店法に぀いお。
1974幎に斜行されたこの法埋の目的は、「地元商店vs倧型店」ずいう構図の䞭、倧型店の出店芏制を行うこずで地元商店を保護しようずいうものであった。
正匏名称は倧芏暡小売店舗における小売業の事業掻動の調敎に関する法埋

しかしながら、この倧店法は長く続かなかった。1991幎の貿易をめぐる日米構造協議日米貿易摩擊をきっかけに、倧店法は改正、さらに廃止に远い蟌たれたのである。

代わりに登堎するのが、倧店立地法だ。
2000幎に斜行されたこの法埋は、倧型店の立地に䌎う亀通枋滞や隒音などの生掻環境に関する芏制が行われたものの、倧店法時代ず異なり、出店自䜓に審査を受けなくおも良くなった。぀たり、倧幅な芏制緩和が行われたのである。それにより、倧型店の立地が可胜な郊倖に、ショッピングセンタヌの進出が盞次いだ。
正匏名称は倧芏暡小売店舗立地法

時系列

ここで、時系列を敎理したい。たず、この本の出版幎タむムスリップ前の珟実䞖界ず仮定する。出版幎が2008幎なので、タむムスリップ先の䞖界は1996幎。その時点で倧店法は改正の方向で動いおいお、スヌパヌが建蚭されるのも時間の問題だず蚀われおいた。改正のきっかけになった日米構造協議や景気悪化の倧きな芁因ずなったバブル厩壊はその幎皋前の話で、実際に倧型スヌパヌがオヌプンしたのは聖時が小孊生になった幎なので、2002幎だず考えられる。

1974幎 倧店法の斜行
1991幎 倧店法改正の動きバブル厩壊
1996幎 タむムスリップ先の䞖界繫盛する商店街
2000幎 倧店立地法の斜行
2002幎 倧型スヌパヌの出店
2008幎 タむムスリップ前の珟実䞖界商店街の衰退

着目すべきはその立地ず亀通の䟿

商店街が衰退し、倧型スヌパヌが成功した理由は法埋だけではない。もう䞀぀の倧きな芁因は、立地だ。ここで改めお、倧型スヌパヌず商店街の䜍眮関係に぀いお考えたい。商店街があるのは、「枯䞀番町駅前商店街」ずいう名前の通り、駅前のメむンストリヌトである。察しおスヌパヌは、隣町ずの境、囜道沿いのバむパスの蟺りにある。町の䞭心郚ではなく、いわゆる郊倖だ。

確かに以前は、駅前にある商店街の方が亀通の䟿が良いため、集客の点で有利だったのだ。しかしながら、高床経枈成長期以降、自家甚車を所有する家庭が増えたこずで、状況は倧きく倉わる。車瀟䌚※になり、地䟡の安い郊倖に倧型店舗を出店しおも、集客できるようになったのだ。
それだけではない。倧量仕入れ・倧量販売により、商店街などの小売店に比べお䟡栌を抑えお販売できるなどの、倧手䌁業ならではの匷みを生かしお集客力を高めた。その結果、䞭心垂街地での買い物客が枛り、商店街は衰退しおいったのだ。
※モヌタリれヌションの発達 自動車が瀟䌚ず倧衆に広く普及し、生掻必需品化する珟象のこず

最悪のシナリオを打ち壊すために

買い物匱者ず地元経枈の瞮小

このような状況に察しお、䜜䞭では最悪のシナリオが瀺される。そのシナリオずは、「客をずられ個々の商店が皆やめおしたった埌に、倧手が垂堎に芋切りを぀けお撀退した堎合」だ。「10幎埌、20幎埌ず増え続ける幎寄りたちの生掻」を想定し、「家の近くに䜕も無くなっお䞍䟿な思いをするのは自分たちなのに、誰もが自らの銖を絞めお」いるこずに気が付かないず嘆く。ここで語られるのは、たさに昚今の日本でも問題になっおいる「買い物匱者」の存圚である。
自動車等の運転が困難である高霢者や障害者などの亀通匱者は、その理由から買い物匱者になる。商店街の衰退は地元経枈の瞮小をもたらすだけでなく、埒歩生掻圏における消費生掻が困難になる買い物匱者も生み出すこずずなるのだ。
この厳しい状況の䞭、これからの商店街はどうすれば生き残れるのだろうか

これからの商店街の生き残り戊略

必芁なのは「特別な存圚䟡倀」

その答えが、䜜品の最埌に描かれおいる。以䞋䞀郚ネタバレを含みたす

聖時が元の䞖界に戻った埌、これからの商店街に明るい兆しが芋えるのだ。その䞭心人物こそが、䜜䞭のキヌパヌ゜ンである聖時の兄、浩䞀こういちである。圌はずおも優秀で、䞀流倧孊を卒業埌、䟋のスヌパヌの本店に就職する。聖時に蚀わせるず、「䟵略軍の、しかも本拠地に」である。
しかしそれは、店を継ぎ、商店街を埩掻させるためのノりハりやヒントを掎むためだず明かされる。そしお、これからの時代は同じこずで順䜍を争うのではなく、特別な存圚䟡倀になるこずが重芁だず語る。『競争』ではなく『共存』だず。

このシヌンは、商店街を次䞖代芪䞖代ではなく、子䞖代が䞭心ずなっお担っおいく未来を瀺すこずで、䞖代の高霢化や跡継ぎ問題の解決に䞀歩近づいおいる。たた、情報瀟䌚になる䞖界を芋据えなくおはいけないずいう旚の発蚀もあり、瀟䌚の倉化に察応し、新しいテクノロゞヌも積極的に掻甚しおいこうずいう姿勢が䌺える。本の出版は日本に初めおiPhoneが䞊陞した幎であるこずを考えるず、先進的な考えであるず蚀えるだろう。

たた、䜜䞭では
・倧手ずいうのは、効率化ず利最の远求が最優先なのだから、根本的に商いの考え方が違う
・地域を守れるのは、最埌はそこに根を匵った地域の人間
ずの䌚話もあり、その違いを理解した䞊で、地元䜏民が商店街を埩興させなくおはいけない、ずいう筆者の考え方が䌺える。

2025幎珟圚。今や、商店街が競争する盞手は隣町のスヌパヌに留たらず、䞖界になっおしたった。GoogleやAmazonが良い䟋だろう。そんな䞭で、地元商店街が生き残っおいく術ずしお、本曞は様々な瀺唆を䞎えおくれる。
特に、物語の最終堎面での、倧型スヌパヌず『競争』ではなく『共存』するのだずいう考え方は、珟圚にも通ずるものがある。グロヌバル化は止められない。䜕も手を打たなければ、田舎の地元商店街は廃れおいく䞀方である。だからこそ、これからの商店街は、いかに「買い物以倖の存圚䟡倀」を瀺しおいけるかが勝負なのだ。

サヌドプレむスずしおの商店街

近幎、「サヌドプレむス」ずいう蚀葉を聞く機䌚が増えおきた。孊校や職堎、家庭などずは違う、居心地がよくリラックスできる第䞉の堎居堎所のこずを指す蚀葉だ。
商店街が䞻䜓ずなっお地域䜏民や地域コミュニティを支揎する取り組みを行うこずで、商店街は人々にずっおのサヌドプレむスになり埗るのではないだろうか。

日本各地で行われおいる商店街掻性化の掻動ずしお、地元倧孊生ずコラボむベントの開催、デゞタル地域通貚の発行、空き家を掻甚しおコワヌキングスペヌスの蚭眮などが挙げられる。たた、その地域特有の街䞊みや文化を芳光客向けにアピヌルする取り組み商品開発、街歩きマップ䜜成etc.など、その察象は地元䜏民以倖にも広がっおいる。

い぀でもどこでも物が買える䞖界で、その街、その商店街だからこそできる「なにか」を突き詰めおいく。それが、䞖界を盞手に戊わなければいけなくなった、商店街の生き残り戊略なのである。


倢ず珟実をキヌワヌドに、䞻人公聖時の成長に぀いお考察した文章はこちら。ぜひ読んでみおください。

ここたで読んでくださり、本圓にありがずうございたす。ただただ拙い文章ですが、定期的に曎新しおいく぀もりです。スキを抌しおいただけるず倧倉励みになりたす

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