
平常心をください
健康診断で引っかかった。
血圧が高い。
検査をするべく病院へ行った。
「診察前に血圧を測ってください」とのことで
廊下にある機械へ向かう。
その血圧測定器は私の心拍を
逐一電子音で表現した。
廊下に鳴り響く電子音。
明らかに脈が早い。
なんだ、なんだ、私よ。
ビビっているのか?
しばらくして
ウィーンという音と共に機械から紙が出てきた。
そこに印字されている
世にも恐ろしい数字に驚愕した。
紙をポッケにシレッと隠して
2回目を測定する。
ちょっとは下がったものの全然高い。
「薬を飲むには、まだお若いのでとりあえず食事と運動で様子を見ましょう。
家で毎日血圧を測って用紙に書いてね」とお医者さんに言われトボトボと帰宅する。
そこからポテチとラーメンを断ち
味付けは薄味にして
米は五穀米にした。
玉ねぎの皮の粉がいい。
イワシの水煮を食べよ。
やれ、無塩のトマトジュースだ。と
知人らから聞いた血圧を下げるのにいいことを手当たり次第に実践した。
そうして1ヶ月、血圧を管理した結果
結構いい感じに数値も落ち着いてきて
なんなら低すぎるんじゃない?って日も出てきた。
体重も少し減った。
1ヶ月ぶりに病院へ行く朝、誇らしい気持ちで
最後の血圧測定をした。
あら、やだ。 高い。
腑に落ちないまま夕方病院へ行って、
診察の前に血圧を機械で測る。
やだ、もう。すごく高い。
シレッと2回目を測る。
だよね。高いよね。
待合室の女性と目が合う。
不正とはいつかバレるものである。
悶々してたら診察の順番が来た。
先生は私の弾き出した数字に悩ましそうだった。
「夏は血圧下がるから
もう1ヶ月様子を見てみよう。
今、座ってたから血圧下がってるかも。
帰りにもう一回測っていって」とのことで
帰りしな、廊下の機械で再度測る。
今日一高い。
先生、あたし、もうなにをどうしたって高いみたい。
「自分、本番に弱いタイプだもんな〜」
「甲子園球児とかってすごいよな〜」と
自分を精一杯抱きしめて
その日はもう好きなものを食べることにした。
次の日の血圧は予想外にいい数字だった。
あぁ。平常心。
君がどれだけ大切な存在か。
私は今、痛いほど感じている。