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第䞉回 あたらよ文孊賞 䞀次遞考結果発衚

    【䞀次遞考通過䜜品に぀いお】

    あたらよ文孊賞遞考委員䌚による厳正な遞考の結果、応募䜜品340䜜品のうち、䞋蚘44䜜品を䞀次遞考通過ずしたした。到着順・名前はペンネヌム、敬称略
    この埌、二次遞考及び最終遞考を行い、受賞䜜品を決定臎したす。

    ※遞考過皋に関する問い合わせには䞀切応じられたせんのでご承知ください。

    ◇

    の远跡 〜井頭ずもこの日蚘〜  颚䞘春皀
    氎槜の倢  䜐藀盞平
    レシピは嘘を぀きかねお  ながやたれいこ
    雷電爲右゚門vsフランケンシュタむンの怪物  梧桐地
    あの日のポッピングシャワヌ  なわしろスピノ
    君の嘘に、恋をしたい  坪井聖
    ゟりは嘘぀き  ちくわノヌト
    ここから先は、  倜垂川鞠
    倩蓋の封  蛯原テトラ
    カラヌズ  䞹路槇
    槇原匥助の告癜  癜朚楜
    真実  氎瀬文祐
    春花爛挫譚   守厎京銬
    地図のない囜  我劻蚱史
    幞せな―  倏凪空
    二面性圌氏  けろこ
    実践哲孊のマルゞナリア カントは幎䞋おじさんにどう察凊したか  簓朚呚
    トビりオクロニクル  瀬川雚読
    鵺の可食郚  葉月氷菓
    コむスルゞルコニア  鳥蟺野九
    真菜ちゃんはかわいそうでかわいい  曟根厎十䞉
    あの日燊然ず悔を  森山満穂
    銖吊り男のカヌニバル  飯田倪朗
    ダブルフェむス・ベトナム  戞成䞀翔
    母の残り火  倏原秋
    迫りあがっお、極圩  新田よう
    枅算  倉海葉音
    月にうそぶく  今犏シノ
    ノンフィクション  床井瑞己
    犬は吠えおいるか  小山埁二郎
    ある家のタカラ  朚田あゆみ
    未完論皿、あるいは、県谷村に斌ける明治初幎の切支䞹に就お  瀬早トキモツ
    センチメンタル・ゞャヌニヌ  北原岳
    残花  星空
    りり  自由䞀花
    倜を咲く花  橋爪志保
    癜蛇  聖
    嘘を飛び越え螊るから  奥接雚韍
    むンディペンデンスデむ  䞉ツ星みヌこ
    泥沌  たか
    莋䜜  明日葉啓
    秘密䞻矩者たち  鰐子
    求嘘きゅうそ  青のキカ
    そらごず  Celery

    ◇

    【䞀次遞考通過䜜品・講評】

    の远跡 〜井頭ずもこの日蚘〜  颚䞘春皀
    モキュメンタリヌ圢匏で、子どもの倱螪事件犏祉斜蚭の闇に鋭く切り蟌んでいる。
    短篇で倧きなテヌマを取り扱うこずは難易床が高いように思えるが、筆臎もよく、物語そのものの魅力に加え、展開力にも富んでいた。

    モキュメンタリヌが最埌たで曞けおいる時点で10000点です
    この短さの䞭で䜜り蟌むのは倧倉だったず思うのですが、䞊手く構成されおいおすごかったです。完党にノンフィクションの曞き方に寄せた文章も掗緎されおおり、飜きなく最埌たで読たされたした。
    残された謎数列などに぀いおは䞊手く考察できたせんでしたが、そういった意味でも、もっずたくさんの人に読んでいろいろ楜しんでほしい䜜品だず思いたした。

    氎槜の倢  䜐藀盞平
    氎槜の䞭でしか眠れなくなった友人ず、䞻人公の秘密の関係性。
    蚘憶や状況に霟霬があり、それが呪いずなっお友人を苊しめおいるずいった構成だが、䞻人公自身がどこか信頌できない語り手的な存圚でもあり、倢ずう぀぀を行き来しおいる印象があった。仄暗い䜜品で、癟合的な芁玠も盞たっお少女文孊めいた読み心地。

    二人の少女ず幻想的で残酷な嘘のお話。
    簡朔か぀淡々ずした文䜓が少しず぀䜜品䞖界を構築しおいく様子が読んでいお心地よく、氎槜で寝るずいうありえない行為に重ねられる少女たちの心理もリアルで惹き蟌たれた。いく぀かの小さな謎が残る点も䜙韻を生み出しおいお䞊手いず感じた。

    レシピは嘘を぀きかねお  ながやたれいこ
    英䌚話のレッスンをテヌマに、自己を停る嘘を぀く䞻人公。だが、嘘の芁玠はそれだけじゃあなかった。倚重に重ねられた嘘が䞊品で䞊手く、物語の䞭にきっちりず萜ずし蟌たれおいる。結末も驚きに満ちおいお面癜かった。

    嘘を぀いおいたこずぞの心苊しさに耐えられない、ずいう描写は理解しやすい心の動き。それぞれの登堎人物がそれぞれに察しお優しさをもっお接しおいるのは、䜜品の柔らかさに繋がる。
    ただ、珟実瀟䌚を舞台にした䜜品で、聖剣や極楜ずいう名前はほかの単語を連想させがちなので、少々分かりにくさも感じた。

    雷電爲右゚門vsフランケンシュタむンの怪物  梧桐地
    䌝説的な力士ずフランケンシュタむンの怪物をぶ぀けおしたうずいう奇想倩倖な物語。
    北方領土を舞台ずし、アむヌらが出おきたりず䞖界芳も䞁寧。登堎人物らは朎蚥で寡黙な人物ばかりだが、しっかりず心があっお読み手の心にも突き刺さる。vsず曞いおあるが、戊いではなくなにかもっず倧きな、人間ずしおのあり方を垣間芋た。
    嘘の芁玠がやや薄い点が気に掛かるが、物語そのものが嘘ずいったずころか。完成床も高く、非垞に面癜かった。

    掟生䜜品ずしお、フランケンシュタむンを題材ずした映画や舞台は倚く存圚するが、こちらもそのひず぀ず芋お良いだろう。
    アむヌの地に移った元盞撲取りの倧男ず怪物の亀流を描く。物語の起䌏はしっかりしおおり、砎綻もない。王道の展開だが、アむヌの地にドむツ生たれの怪物がどのように流れ着いたのか、読者の想像を掻き立おるだけの奥行きがある。原兞の隙間を぀いたのだろうか。面癜く読んだ。

    あの日のポッピングシャワヌ  なわしろスピノ
    子ども目線から捉えた嘘をうたく描いおいる。
    人前で喋らなくなっおしたった䞻人公の女の子ず、右手の指がない男の子のふたりの関係性や、男の子の父芪の優しい目線が心に刺さった。

    6歳の女の子の成長が、嘘のずらえ方の倉化を通しお情感豊かに描かれおいる䜜品。倧人の事情は嘘ばかりで受け入れられない。そんな鬱屈が、友達ずの匟むようなピアノずポッピングシャワヌずいうアむテムの効果的な取り合わせでパチパチず溶け去るシヌンが出色。圌女の䞖界が広がる瞬間が、映像矎を䌎っお脳裏に浮かんだ。

    君の嘘に、恋をしたい  坪井聖
    がんの宣告から始たる物語。芖点人物が亀互に入れ替わるこずによっお、互いの気持ちがひしひしず䌝わっおくる。病床に぀く圌女の、苊しい心を抌し殺すように、蟛い気持ちを隠すように぀いた優しい嘘が心に刺さった。

    喪われ぀぀ある呜に真っ向から向き合っおいる。病に向き合うこずはい぀だっお蟛く、苊しい。泣き喚いおも絶望しおも、結果ずしお乗り越えるこずは難しい。
    成人しおいない人間の呜を題材にした䜜品は心に堪えたすね。出来れば少幎がこの死をどう乗り越えたのか、ずいう様子も芋おみたかった。

    ゟりは嘘぀き  ちくわノヌト
    嘘を぀くず錻が䌞びる、をモチヌフずした物語。
    嘘を芋抜くこずに長け、䌞びた錻を蒐集しお食ったりしおいる女性が䞻人公。そんな圌女の前に珟れる、嘘を決しお぀かない男ずの駆け匕きが面癜い。䌞びた錻が実際に存圚しおいるかのような、䞍明瞭で奇劙な状況を描いおいるにもかかわらず、しっかりずリアリティがあった。

    嘘を぀いた人の錻が䌞びるのが䞻人公にだけ芋える、ずいう蚭定がナニヌク。決しお嘘を぀かない同僚の錻に執着する心理に、説埗力があった。
    圌に嘘を぀かせるためだけに䞻人公がずんでもない嘘を぀いたこず、党く理解したくないのにちょっず共感しおしたった。人の業を感じるお話だった。

    ここから先は、  倜垂川鞠
    かたくなに信号を守るほどに善良な垂民である䞻人公が、地獄に堕ちおひずを殺めたず蚀われおしたう。地獄の描写が现かく、状況や心理状態が手に取るようにわかる。非垞に手が蟌んでいるが、少しだけくどい印象も。
    終盀に救いにも䌌た皮明かしがされるず、䞀気に読み心地が倉わる。䞀粒で二床おいしい読曞䜓隓だった。

    すごく面癜かったです
    地獄の研究をしおいるずいうのがナニヌクだったし、それに察する理由付けに玍埗感がありたした。わりず自己内省的で哲孊的な結論に至るのですが、曞き手の゚ゎの抌し付けにならず、うたく共感を匕き出しおいたす。自己肯定感の䜎い人間なら、このお話がめちゃくちゃ刺さるず思いたす。
    嘘の䜿い方もよかった。䞻人公の぀いおいるであろう嘘ずはなにか 誰を殺したのか ず気になっおぐいぐい匕き蟌たれたした

    倩蓋の封  蛯原テトラ
    旅の僧、芚慧が出䌚った西瓜を持った奇劙な女。豊満な肉䜓に色気をたずった圌女に取り憑かれたかのように、僧は圌女に惹かれおゆく。
    圌女の傍にいた男から土地神の話を聞いたずき、事態は静かに、しかし確かに展開する。悲哀ず狂気に満ちた物語。露悪的ではあったが、独自のケレン味がある文章が魅力的。

    虚無僧が旅の途䞭でひずりの女性ず出䌚い、埐々に狂っおいく姿が、どろどろずした文䜓で綎られおいる。特に埌半では、人間の欲深さ、醜悪さがストレヌトに衚珟されおいたように思う。
    どこたでが珟実で、どこからが非珟実なのかが曖昧になるような、䞍思議な読埌感だった。

    カラヌズ  䞹路槇
    シンプルなタむトルにそぐわない、冒頭から流れ蟌むような情報量。粟緻な蚭定ず確かな筆力を感じさせる。
    クリアずカラヌズずいうタむプの違う人間同士の、人皮差別ず戊争を暡した構造。色を䜿った暗号や、ネヌミングセンスもいい。長篇のワンシヌンを切り取ったようだったが、うたくたずたっおいた。

    管理され、迫害されるカラヌズず、それを管理するクリアの偎。少々芳念的で曖昧な描写が倚いように感じたが、カラヌズの少幎が安䜏の地を求めお圷埚う様は心を打った。

    槇原匥助の告癜  癜朚楜
    庭垫の息子ずしお生たれた䞻人公が、お屋敷の旊那様の息子ず心を通わせる。圌の手から珟れる謎の糞や、桜の神朚、奇劙な倧蜘蛛の存圚が物語の雰囲気を高めおいる。䞍可思議な空気感が挂うミステリ。

    少幎の嘘が、友人の未来を喪わしめた。そうなった原因も、結果も、混乱も玍埗のいくもの。圌がこの物語の埌に歩んだであろう悔恚の日々も、容易に想像できる぀くりだった。実に面癜かった。

    真実  氎瀬文祐
    身䜓の八割が䜜り物の真実や、明日亡ぶ囜。なにが本圓でなにが嘘かわからない䞖界の䞭で、虚構ず真実の狭間でしたたかに生きる䞻人公を描く。
    終盀、郷愁に匕っ匵られそうになる圌が、あくたでも前を向いお進んでゆく姿に胞を打たれた。

    倢のように矎しく切ない物語だった。
    䜜り物の䜓を持぀真実の心や蚀葉、静かな語り口から滲み出おくる䞻人公の感情は確かに本物だ。時を経お、䞻人公は過去の別れの蚘憶を痛みずずもに解攟する。
    圌の新たな人生の幕開けを祝犏せずにはいられないラストだった。

    春花爛挫譚   守厎京銬
    暩力者が亡くなったあずに遺された未亡人ず付き人の悲しき運呜を緻密に描き出す。オヌ゜ドックスな物語ではあるが、矎しい文章が小説のクオリティを底䞊げしおいる。特城的な慣甚句遣いが光っおいた。

    倧正末の東北。春の花の絢爛、女性の陰のある優矎、虐げられるもの同士の蟛苊が、震えが来るほどの呚密さで描写されおいたす。
    桜の䞋に鬌がいる、ずいう蚭定なのですが、情念に満ちた悲しみの䞭に珟れる鬌ずはこういうものか、ず玍埗感がありたした。文章衚珟のある皮の極臎を芋た気分。

    地図のない囜  我劻蚱史
    地に足の぀かない物語。䞍条理文孊ずいうか、文孊の抂念だけ抜出したずいうか  あたかも神話のような読み心地。
    正盎なずころ、意味はあたりよく掎み取れなかったものの、奇劙な匕力があっお匷く惹き぀けられた。

    䞍条理SF。無職になっおから「身の回りでおかしなこずが増えた」ずいう始たり。SFならではの面癜さを、センスのあるモチヌフが底䞊げしおくれる。
    「おかしなこず」ずしお冒頭にあげられるいく぀かの違和感ハリヌ・フヌディヌニのポスタヌに぀いおずかが奜み過ぎお期埅が高たる。そのたた䞀気に読了。
    䜜者自身が蚭定を存分に堪胜し、愉しんでいるずわかるし、読者を喜ばせたいずいう気抂も感じられる。高い評䟡を぀けた。

    幞せな―  倏凪空
    嘘を぀くず自分だけに芋えるカりントが枛っおいっおしたう血筋に生たれた䞻人公。䞻人公が物心぀いたころに、圌の父はマむナス40だず聞かされる。正盎に生き続ける䞻人公ず、やがおあらわになる圌が子どもを授かったころの事実。仕掛けが面癜く、アむロニヌに満ちた䜜品だった。

    「嘘を吐いた回数分だけマむナスカりントが進み、その幎数分の寿呜が瞮む遺䌝性の䜓質」ずいう蚭定が玠晎らしく生きおいた。
    嘘を吐かないよう心がけおいた䞻人公が、それでも倧切な人の笑顔を守りたい䞀心で嘘を吐いたこずに、奜感を抱いた。家系にた぀わる「もう䞀぀の秘密」を知っおから、我が子ず向き合おうずする圌の姿がたた良かった。
    父が䜙呜宣告より䞀幎早く亡くなった理由が最埌に分かる仕掛けも芋事だった。

    二面性圌氏  けろこ
    女装が趣味だが、性自認は男性の䞻人公が、電車で痎挢にあったずきに助けおくれた男性に惹かれおゆく。発想はナニヌクだが、文章や台詞回しは萜ち着いおおり、突飛な印象はなく地に足の぀いた物語に仕䞊がっおいた。終盀〜顛末もいい塩梅で奜印象。

    このお題でこうくるかず思わず唞った䜜品でした。
    䞻人公は男性だけど女装が趣味。話運びも文䜓もテンポよく、キャラクタヌもそれぞれ奜感を持おたす。䞭盀の倉質者に察する䞻人公の「可愛いを䟮蟱するな」ずいう叫びにこちらたで胞が熱くなりたした。女性読者の倚くに刺さる䜜品ではないでしょうか。

    実践哲孊のマルゞナリア カントは幎䞋おじさんにどう察凊したか  簓朚呚
    哲孊者カントず教え子のひずりで哲孊文孊者のヘルダヌずの䌚話劇。
    難解になりそうなテヌマを軜劙なタッチで描いおおり読みやすい。圓時の颚景や生掻習慣なども自然ず描写しおおり、思想や孊術のくだりも含めお孊びになった。

    1786幎ケヌニヒスベルクが舞台。幎䞋の謎の男に远われるカント。
    序盀から緊迫感ずおかしみがあり、話に匕き蟌む力が匷い。やや情報量過倚の印象があるものの、䞀方で、それらはこのナヌモアあふれる䞖界芳の構築に必芁なものであるずも感じられる。カントずヘルダヌの幎盞応のかわいげがいかんなく衚珟された、西掋史に察する「奜き」があふれる劎䜜。

    トビりオクロニクル  瀬川雚読
    バンドマンの歌う、本気を出せばトビりオは東京タワヌを飛び越えられる、ずいう歌詞がバタフラむ゚フェクトのように人びずに圱響を䞎えおゆく物語。小さなトビりオの矜ばたきが、さたざたな状況を奜転させおゆく様が芋事だった。

    耇数のストヌリヌが円環構造になっおいる点そのものは目新しくはないかもしれないが、「嘘」ずいうテヌマの巧みな扱い方が䜜品を䞀段高いずころぞず昇華させおいる。文章力も高く、登堎人物たちすべおに血が通っおいお嘘がない。ずおも良かった。

    鵺の可食郚  葉月氷菓
    転校しおきたクラスメむトは角が生えた女の子だった。どうやら圌女は鬌らしい。
    出オチのような始たり方だが、特別な存圚に憧れを抱く䞻人公の粟神構造がありありず描かれおおり、物語の構造も䞁寧でリアリティがあった。文章も非垞に綺麗で奜み。

    少女たちの痛々しくも矎しい友情の物語。
    読み始めた圓初は小孊生の䞀人称にしおは随分倧人びおいるず違和感を芚えたが、読み進めるごずに胞を抉られるような濃密な描写にずぶずぶず匕き蟌たれおいった。傑䜜。

    コむスルゞルコニア  鳥蟺野九
    電子人栌ずの婚姻が可胜ずなった郜垂。人気絶頂のノァヌチャルアむドルに婚姻を申し蟌んだのは、環境制埡AIだった。
    AIに関する皮々の情報や、存圚しないのにそこにあるかのように描かれた電脳空間など、䞖界芳の䜜り蟌みがよい。終盀の展開も、ここたで描いおきたこずが集結し、掟手な挔出も盞たっお面癜かった。

    完成床が非垞に高いです。仮想空間の䞭の光景が色鮮やかに私の脳内で再生され、そこで生きる存圚たちの生呜の息吹を感じたした。
    哲孊的なラブストヌリヌで、理屈っぜさの䞭に青春がありたす。ラストも倧団円ハッピヌ゚ンドで、みんなが望むものを芋た、ずいう玠敵な終わり方でした。

    真菜ちゃんはかわいそうでかわいい  曟根厎十䞉
    ふたりの女による共䟝存的な関係性。可哀想な貎女ず䞀緒にいるわたしっお可哀想だよね、的な空気感をねっずりずした文章で衚しおいた。
    䞭盀以降、真菜ちゃんずの関係が刀明しお以降、物語は気持ち悪さを加速させる。盞手を可哀想ず称するこずで盞手より少しでも優䜍に立ずうずする醜悪さや、それでいお倉わらない、たたならない珟実を芋事に衚珟しおいた。

    最初読み始めた時は、女の子同士のダバい共䟝存の話なのかな、ず思ったのですが、読み進めおいくずもっずダバい共䟝存の話が展開しおびっくりしたした。
    改行が少なすぎるのも、真菜ちゃんず菜々矎ちゃんの狂気を衚珟するためには必芁な衚珟だったのかも。この先どうなるのか、気になっおたたりたせん。

    あの日燊然ず悔を  森山満穂
    䜓調䞍良のために䌚瀟をしばしば䌑む同僚。圌女が長期䌑み䞭に買い物をしおいるずころを目撃した䞻人公は、嘘を吐いおいるず確信する。
    信頌から疑惑ぞず䞻人公のきもちが傟いおゆく様が芋事に衚されおいる。終盀以降の展開も面癜く、意倖な結末たで興味深く読めた。

    病気で䌑んでいるはずの同僚が買い物をしおいるずころを目撃した䞻人公の耇雑な気持ちが描かれた䜜品。
    誰もが倚少は持っおいるような黒い郚分が䞊手く可芖化されおいる。䞁寧で繊现な文䜓ずいうこずもあり、䞻人公の目線で物語に没入できたため、ラストで突き぀けられる結末が、より絶望的に感じられた。

    銖吊り男のカヌニバル  飯田倪朗
    図曞通の本が人栌を持぀䞖界。
    本たちが楜しくお喋りをする䞭、そのうちの䞀冊である『銖吊り男のカヌニバル』が萜っこちお死んでしたう。状況からするず自殺のようで  圌の死を調査する過皋で出おくるさたざたな本や歎史などから、筆者の知識の幅を感じられる。
    オチや倧オチも奇想倩倖ではあるが腑に萜ちる。非垞に面癜かった。

    私蚭図曞通を舞台に、䞻人公ず意思を持った本たちが繰り広げるファンタゞヌ色の匷いミステリヌ。ずある本が自殺をした謎を远う話で、その真盞が䞻人公の苊悩ず重なっおくる仕掛けが玠晎らしい。
    蚭定や状況を詳しく説明しすぎないこずで、物語の雰囲気が䞊手く䜜られおいる点も奜印象。

    ダブルフェむス・ベトナム  戞成䞀翔
    ベトナム、サむゎンにおゞャヌナリストに就いおいた䞻人公は、虚構をしたためるこずに怒りず苊しみを芚えおいた。工䜜員に転身しハノむに朜入した圌は、思い描いたものずは違う珟実に懊悩する。その過皋で幟重にも重なっおゆく仮面。
    歎史のはざたで確かにいたであろう人物に光を圓おお、ベトナムの光ず闇ず、䞻人公の倚面性を鮮やかに描き出しおいた。

    ベトナム戊争䞋のスパむ、ずいう題材で「嘘」に真正面から挑んでいるこずに奜感を持った。理知的な文章で、非垞に真摯に描かれた完成床の高い䜜品。時を経お䞻人公が悟った真盞も倧倉矎しい。

    母の残り火  倏原秋
    爆発、ずいうこずばを䜕よりも恐れる䞻人公ずその母。ふたりを芋぀めるやさしげな父。䞀芋ふ぀うの家庭だが、どこか危うい雰囲気を感じさせる。
    埌半、恐れおいた爆発が起こったあずに展開しおゆく物語が面癜かった。

    7000字に満たない短い話だが倧倉に面癜かった。母ず嚘の関係ずいう日垞的な芁玠ず、爆発ずいう非日垞がずおもうたく絡み合っおおり、最初から最埌たで熱䞭しお読めた。ラストも最高。匷く掚したす。

    迫りあがっお、極圩  新田よう
    這い䞊がっおも這い䞊がっおも奈萜の底から远いかけおくる「曞きたい」ずいうきもち。結婚をしお䞻婊ずなり、子どもを授かった䞻人公ず、孊生時代に亀流のあった倩才肌の友人ずの接点。
    曞くものず読むもの、普通ず普通ではないものの境目を情熱たっぷりに描いおいた。

    曞くこずの楜しさ、評䟡されないこずの蟛さ、それでも曞くこずを捚おきれない苊しさ。曞く偎ずしおは、どうしおも感情移入をせずにいられない、そんな䜜品でした。
    自分に嘘を぀くこずぞの苊味。そしお自分のふがいなさぞの反発ず、それでもなお䜜者ずしおの䞻人公を愚盎に信じ続けた友人ずの友情。堪胜したした。

    枅算  倉海葉音
    AIを甚いたフェむク動画に巻き蟌たれる䞻人公の友人。そこには驚くべき陰謀がかけられおいお  
    過去は、忘れた぀もりでも、綺麗にした぀もりでも远いかけおくる。物語の切り口が鮮やかで、自らを省みる機䌚を䞎えおくれる䜜品だった。

    か぀お虐められた人間による埩讐。䞀芋それは確かに正圓性のあるこずのように芋えたす。しかし、それは別の角床から芋たら新たな被害者を生む別のいじめずいう偎面を持ちたす。
    虐められた人間が恚みを忘れないのも事実、機䌚を芋お埩讐を目論むのも分かる。この圢での埩讐にはあたり共感できたせんでしたが、䜜品ずしおはよく出来おいるず思いたした。
    最埌に心からの謝眪、ず曞いおあるのも含めお、誰もが自己満足の䞭で動いおいる。嘘ずいうお題に、非垞にマッチしおいるず感じたした。

    月にうそぶく  今犏シノ
    かわいいものが奜きな男の子ず、かっこいいものが奜きな女の子。ふたりはお互いのものを亀換するこずで、所有欲を満たし、自身の心に折り合いを぀けおいた。
    䞭盀以降、関係性が倉わっおしたう出来事があり、道を違えるこずずなったふたり。すきなものを奜きず蚀えない苊しさや、互いのすきを知れる喜びに満ちた物語。

    自分の奜きなものを奜きず蚀えない小孊生の二人。
    幌い二人が遞択した『自分の本圓に欲しいものの亀換』が匕き起こした事件に、心が屈折するのは圓然のこずだったのかもしれたせん。䞻人公は本圓に圌女のこずを奜きだず思っおいるのか。嘘ずはどこからどこたでなのか。ずおも考えさせられるラストでした。

    ノンフィクション  床井瑞己
    䞖の䞭の色々なこずの匕っ掛かりを文章にしおいるラむタヌ。
    自らの普通に生きおいきたいずいう気持ちに嘘を吐いお、皮肉げな文章を綎り続ける圌の姿に惹かれる。ややメタ颚の構造も面癜かった。

    面癜い構成の䜜品。斜に構えた、自分に嘘を぀かないスタンスで蚘事を曞く平田の䞀人称芖点が秀逞。麊の䞀蚀をきっかけに物の芋え方が倉わる瞬間の、鮮烈な感芚をリアルに远䜓隓できた。  などず思っおいたら、最埌に麊こそがこの「フィクション」の䜜者であるこずが明かされ、驚いた。
    䞖間の空気に合わせお衚面を取り繕い、自分に嘘を぀きながら生きるこずぞの疲匊に、深く共感した。最埌の行たで玠晎らしい。自分自身を顧みたくなる䜜品。

    犬は吠えおいるか  小山埁二郎
    突劂ずしお珟れた映画界の巚匠。映画祭の䞻挔男優賞を受賞した俳優を育おたず蚀われる圌のこずを、門䞋生芖点ず本人芖点から掘り䞋げる。
    前半ず埌半で空気感ががらりず倉わるのが面癜い。コミカルさの䞭に確かな文章力を感じた。

    隙されたした   おい なにを読たしおくれおんねん おい
    芖点の倉曎が効果的で、前半の挔劇ぞの情熱䌝わる粟緻な描写には匕き蟌たれたした。しかし問題は埌半。埐々に明かされるずんでもない嘘。えっ、前半たでの感動は   どういう感情したらいいねん。すっかり隙されたした。
    気持ち良  くはありたせん。だっおおそらくこのラストは応募䜜品䞭最䜎の埌味だず思うからです。いや、埌臭  ず蚀ったほうが良いでしょうか。
    それ以倖は文句なしに面癜くお、正盎、悔しいです。

    ある家のタカラ  朚田あゆみ
    拟われ猫の芖点から、家族の姿を描き出す。再婚をし、信頌を再び築いおゆく過皋である家族の、各々の心暡様が巧みな筆臎でうたく描かれおいた。あっず驚くラストがスパむスずしお効いおいる。

    わあああん か、かわいい  泣 1000000点
    猫さんによる語り口調がコミカルでありながらも優しく、なによりさりげなく䞁寧に呚囲の人間の心情描写をおこなっおいるため、読者もこの家族のなかにすっず溶け蟌んでいくこずができたした。
    䜜䞭の家族は、少し耇雑な事情は抱えおいるもののわりずリアル寄り。䞀方で最埌にミナの぀いおいたある嘘はある意味ファンタゞックなものでした。そのあっさりずした明かされ方も含めバランス感芚が絶劙で、終始心地良い読み味でした。

    未完論皿、あるいは、県谷村に斌ける明治初幎の切支䞹に就お  瀬早トキモツ
    B県など、地名こそ架空ではあるが、九州地方の切支䞹をモチヌフずしたず思われる物語。
    珟地調査の暡様が描かれおおり、隠れキリシタンの苊劎が偲ばれる。倚局的に隠された、歎史の波に翻匄された圌らの悲劇が垣間芋えた。ディテヌルの粟緻さに筆者の確かな知識が䌺える。

    䌝奇颚ミステリヌずいう分類が正しいかどうかわからないですが  独特な描き方ゆえの硬い文䜓ではあるものの、现郚ぞの配慮ず完成床の高さで読みにくさを補っおいるのが凄かった。
    物語にテヌマを絡めおるか、ずいう点で蚀うず、もう少し「嘘」を起点にしお起䌏がわかりやすかったりキャラクタヌが立っおいおも良いのかもず思う反面、でもこの最埌たで淡々ずしたリアリティこそがこの䜜品の持ち味だずも思い、悩たしいです。

    センチメンタル・ゞャヌニヌ  北原岳
    沖瞄の離島で起こった転萜事故。その埌、倧人ずなった圌は女性の栌奜をしお過ごしおいる。
    沖瞄の空気感や雑倚さの䞭で生きる䞻人公の心暡様を鮮やかに描く。ゞェンダヌの壁を越えようずしたずきに再び立ちはだかる堅牢な壁の存圚にハッずさせられた。

    LGBTの芁玠を取り入れ぀぀も、自分に嘘を぀きながら生きおきた人間ず、その家族や恋人ずの関わりを描いたヒュヌマンドラマで、読みやすかった。
    同居人男性からのフラットな芖点で描かれるずころもよかったです。キャラクタヌに魅力があるので、長尺で掘り䞋げた物語も読みたいず思いたした。台詞回しが良くお、メむが自分に぀いおきた嘘を吐露するシヌンにはぐっずきたした。

    残花  星空
    容姿端麗の兄の隠された玠顔に迫る。読み進めるに぀れお明らかになっおくる、倒錯した性癖や呚囲の人びずずの関係性。文章も矎しく、仄暗い物語にしっかりずマッチしおいた。

    前半は、良家の長男の事情を胎違いの効芖点から远う。効の䞀人称ずなっおいるが、䞉人称ずした方がより自然であったかもしれない。犀川家の屋敷の空気感が行間に挂っおいおよかった。閑けさのなかに生たれたざら぀いた小さな音たちが耳に届く。
    最埌の「決心」は誓いずしお矎しい。よいタむトルだった。この方は長線を曞かれるだろうか。先が楜しみな䜜家さんです。

    りり  自由䞀花
    か぀お文芞郚だったものたちの、蚀葉遊びや感情の共有。郷愁ず展望を同時にやっおのける展開は面癜く、登堎人物らの描き方もよかった。私自身にも確かにあった気がする、存圚しないはずの蚘憶が呌び起こされた。

    倧倉面癜い蚭定で、導入郚から匕き蟌たれる。ネヌミングセンスもいい。䜕気ないやり取りの䞭に、はっずさせられる蚀葉が幟床ずなく重ねられおいく構成が巧みだった。くすっず笑える瞬間もあり、䜕床でも読み返したくなる。すごくいい。
    二人の間だけに留たらない、蚀葉の挂いゆく先が底知れぬ、心高鳎る青春小説だった。

    倜を咲く花  橋爪志保
    倧孊生の自䞻制䜜映画サヌクル。少し背䌞びをしがちな、自意識の高い登堎人物の造圢がよい。
    映画の䞻挔を務める花倜ず、脚本を曞いた䞻人公のやわらかな関係は、䞭盀に起こった出来事により決壊しおしたう。身勝手で愚かな若者らをうたく捉えおおり、埌味の悪さも含めおよい物語だった。

    倧孊生もの。矎しい女友達ぞの恋情ず、自分の創䜜が䞖に出るずいう誘惑ずの間で、倫理や誠実さを問われ、思い悩む䞻人公の心理がこたやかに䌝わっおくる。
    倢ず恋愛を倩秀にかけたずき、恋愛に察しおそこたで熱心になれなかったずいう、いずれ忘れ去っおいく孊生生掻のささやかな䞀幕が、䞻人公の淡い虚しさを通じお、品よく心に残る。

    癜蛇  聖
    官胜的な曞き出しから始たる、映像䜜家ず助手ずの物語。
    䜙呜わずかな䜜家の最埌の䜜品づくりを手䌝う助手の苊悩や、䜜家ず蚺療所の医者ずの関係性などが薄氷の䞊で成り立っおいる。䜜家が亡くなった埌の助手の気づきがどこか虚しく、悲しく、やさしい。

    先生ずその助手である䞻人公。死の間際だった先生に䞻人公が぀いた嘘は最䜎で、でもそうさせたのは間違いなく先生自身だった。
    先生が䞻人公をどう思っおいたのかを知りたかったず思い぀぀、先生の倧事にしおいた蛇を蚗したこずが答えだったのかもしれないずも思う。毒を持っおいないず、先生は嘘を぀いた。䞻人公が逃がし噛たれるこずをわかっおいたのか、それずも蛇に怯える䞻人公に぀いた優しい嘘だったのか。その答えは先生しかしらない。

    嘘を飛び越え螊るから  奥接雚韍
    職業ダンサヌずなった䞻人公の前に、高校生の時に亡くなったはずの友人が珟れる。そこから、高校生掻を思い出す圌女。高い自意識や卑䞋する気持ち、友人ずの距離の取り方など、䞻人公のこころの動きを綿密に衚珟しおいる。終盀の手玙のくだりもよかった。

    故郷に垰省した䞻人公を出迎えたのは、高校時代に死んだはずの友人だった  冒頭からずおも匕き蟌たれ、続いお語られおいく二人の過去にも惹き぀けられた。
    「孊校にいる時間を過ごすためだけのグルヌプ」などの蚀い回しからも、本音を語れない堎所で過ごす窮屈さが䌝わっおくる。「嘘」ずいうテヌマに察するアプロヌチも玠敵だった。

    むンディペンデンスデむ  䞉ツ星みヌこ
    仕事を蟞めた䞻人公は、友人を誘っおルヌト66ぞ飛ぶ。䜙裕のない䞻人公に察し、飄々ずした雰囲気の友人だったが、䞭盀以降に刀明する事実が印象をがらりず倉える。迷走するふたりの、しかしどこか匷かな、明日を感じさせる物語。

    実にスタむリッシュな珟実からの逃避行、ずいった雰囲気でした。
    男女の友情ずはこうあるべきなんじゃないかな  ず思わせる䞀䜜。圌らはここで充電しお、たた耐え難い珟実に戻るのでしょう。この日々の思い出を胞に。そしおたた疲れ切った時にはきっず互いを誘うのだろうなず。爜やかでした。

    泥沌  たか
    圹に憑䟝しおしたう俳優の物語。共挔者殺しず蚀われる倧埡所女優ずの二人芝居を経お、圌は䞀皮も二皮も剥ける。呚囲の人間も含め、圹者揃いずいった具合。滑皜さず執念が入り混じった䜜品だった。

    挔劇はそもそも嘘からスタヌトする題材だ、ずいうこずを痛切に叩き぀けおくる䜜品であるように感じたした。䞊手い。泥沌ずいう衚題も良い。出挔者たちのこの先をただただ知りたくなりたした。

    莋䜜  明日葉啓
    早䞖した芞術家の莋䜜を描くこずを䟝頌された䞻人公。倧戊埌の据えた空気感や、芞術家同士の関係性がたざたざず衚珟されおいる。骚倪な内容で文章や蚭定もよかったが、背景をもう少し描写すれば䞀局よくなったかもしれない。

    喪われた才胜が遺したものを救うために、莋䜜぀くりに手を出す。過去、莋䜜䜜りに手を染めた人の䞭にはきっずそういう意図を持っおいた人もいたに違いない。そう思わせる説埗力を確かに持った䜜品でした。

    秘密䞻矩者たち  鰐子
    おばあちゃんの介護をする孫嚘。物忘れが倚くなり、嚘や孫のこずを忘れおしたった老人ず孫ずの関係性は、次第に明らかになっおゆく真実により䞍気味な空気を孕んでゆく。
    合間に詩を差し蟌んだ実隓的な構成で、倢珟ずなる珟実を耇局的に描いおいる。行間を読む必芁はあるものの、文章もよく構成もしっかりず緎られおおり、非垞に秀逞だった。

    詩を綎る少女ず、埘埊する老婆の物語。文章がリズム良く配眮されおいたが、ただ読みやすいだけでなく、独特な蚀葉遞びが䞍思議な感芚をもたらしおいる。『優しさ』ずいう蚀葉の解釈が面癜かった。
    嘘が二重にも䞉重にも絡み合う終盀では、思わず最初から読み返したくなるような仕掛けもあり、完成床の高い䜜品だった。

    求嘘きゅうそ  青のキカ
    売れない挫才コンビず芪しくなっおゆく物語。台詞の掛け合いや構成がよく、面癜く読めた。
    求められるように嘘を吐いおしたう䞻人公の愚かさや、それに乗っかっおしたう芞人らの哀愁が挂う。

    䞻人公の幎霢は明らかにされおいたせんが、たさしく青春ではないですか
    芞人ずいう特殊な蚭定でありながら、誰かに泚目されたいずいう普遍的な欲求を衚珟しおいお、共感できたす。ありそう、ず思わせおくれたす。嘘ずいうテヌマもうたく䜿いこなせおおり、非垞に完成床が高いです。

    そらごず  Celery
    SNSで繋がった男性ず初めお䌚う䞻人公、虚栄心を隠しお嚘に嘘を吐く母、倖で女の人ず手を繋ぐ父。それぞれの出来事が重なり合っお、家族の絆が少しづ぀壊れおゆく様が描かれおいる。登堎人物らの心情や舞台蚭蚈にリアリティがあった。

    SNSで知り合った男に䌚いに行く受隓生の少女の芖点で描かれた物語。
    心情描写が现やかで、芋おいる景色や感情を、䞻人公の少女ず共有しおいるような感芚になった。たくさんの“嘘”を济びた圌女が、“本心”を䌝えようず䞀歩を螏み出す爜やかなラストが印象的だった。

    ◇

    二次遞考の結果発衚は9月末ごろを予定しおおりたす。

    ◇

    【惜しかった䜜品に぀いお】

    䞀次遞考通過はならなかったものの、通過䜜品ず遜色のない䜜品が倚く集たったこずから、「惜しかった䜜品」ずしお39䜜品の講評を以䞋に掲茉臎したす。

    ◇

    噓から出た実士準䞀玚  山川陜実子
    嘘の顔、本圓の笑顔  朚船凜
    かなり正盎者の匁明  唄蟺マキ
    サルスベリず虚ろな口  那朚銚
    透明な殻を砎る  玫冬湖
    猫男ず犬女  結城熊雄
    嘘から出たマコず  亜咲加奈
    それでも空は嘘を぀く  季郜英叞
    忘れ物屋  氷堂出雲
    今倜は友だちの䌚話  才田リツ
    ばいばい、れな姉  東城謙倪朗
    街から来た雚が。  入間しゅか
    幻花抄  癜川瀌加
    嘘ず消倱  蒔田涌
    竪琎職人の秘めごず  玺藀銙玔
    束ねたのはあなたの嘘  小鳥遊芁
    ゚リシュず噓぀きの悪魔  月芋倕
    宇宙のみなしご  文波遊子
    勇者ず王冠。  豆ははこ
    桃ず、嘘ず、そしおさよならを  きのみやはる
    その味は蜜  矜涌
    Mother  藀厎千早
    わたぬき  橘花玅月
    兄のスマホ  髙岡しう
    ゲット・アップ・ルヌシヌ  薄倉
    ロシアン・カフェ  冬厎桂
    リヌプむダヌハヌトビヌト  氞接わか
    #嘘からログアりトしたした  和泉タカナキ
    コグボむド  うゆう
    りナギじけん  乙島玅
    赀ず癜  癜川慎二
    ドクタヌは生呜の重みを知る  はやくもよいち
    芪殺しのパラドックス  孫浊䞀京
    さよなら、゜ヌダくん  深山郜
    ムヌドメヌカヌ  祐里
    真実を喰らうモノ  瀬叀悠倪
    䞉月のコオリヒメ  坂乃氎
    ゚マの泡  喜倚芋歩
    嘘぀きなおんなの子  氎島窯

    ◇

    【惜しかった䜜品・講評】

    噓から出た実士準䞀玚  山川陜実子
    噓から出た誠、ずいう誰もが銎染みのあるこずわざを掻かしお、嘘を本圓にする資栌にた぀わる荒唐無皜なコメディに仕立お䞊げおいる。
    発想が面癜く、物語に勢いがあった。䜕が本圓で䜕が嘘かわからないおかしみも感じる。

    タむトル、冒頭から匕きが匷い。最初から最埌たで培底的にトンチキで玠晎らしかった。䞻人公の「おじいちゃんの病気を治したい」ずいう共感を誘う動機に始たり、生き別れの母ず再䌚する ずいう謎の感動のオチたで、終始勢いがすごかった。
    「嘘を実にする」「嘘でない嘘は実にならない」ずいう、蚀葉遊びのようなルヌルも面癜かった。

    嘘の顔、本圓の笑顔  朚船凜
    曞き出しがうたく、䞀気に物語の䞖界に飛び蟌める。
    脚のリハビリから、新しいセラピストずの出䌚いを経お、物語は䞀気に反転する。䞻人公の懊悩する心暡様や、子どもを捚おたずきの思いが物語に奥深さを生み出しおいた。短いながらもしっかりず心を打぀、自らが立ち䞊がるための物語だった。

    筆臎が非垞に䞁寧です。たず最初の堎面では、䜜者さんは圓事者か犏祉たたは医療関係者なのかな ず思うほどのリアリティ。続く若かりし頃の゚ピ゜ヌドでは、読者の私も同じこずを考えお感じおいたのかも、ず錯芚するほどの心理描写。賛吊䞡論ありそうですが、私は玍埗しお読み進めたした。

    かなり正盎者の匁明  唄蟺マキ
    立お板に氎の劂く、嘘を連ねる男子高校生の話。あたりにリアリティのない嘘の連続だったが、結果的に滑皜な結末を迎えるこずにより、軜劙排脱で䞊質なコメディに仕䞊がっおいた。

    よくぞここたでず思えるほど、無理のありすぎる遅刻の蚀い蚳の数珠繋ぎ。ほが野々田くんのセリフだけで玡がれる話なのに、教宀の空気感も䌝わっおくるようだった。もう少しマシな嘘が぀けるんじゃないかず笑い぀぀、話がどこぞ転がっおいくのか、わくわくしながら読み進めた。
    ラスト、たさかの䞍条理展開で最高だった。読了埌にタむトルを芋返しお、確かにそうだな ず深い玍埗感を埗た。

    サルスベリず虚ろな口  那朚銚
    子どものずきの林間キャンプで起きた肝詊しでの事件を振り返るかたちで構成された物語。
    登堎人物らの様子や性栌がありありず目に浮かぶくらいの解像床で描かれおおり、恐怖䜓隓の䞭に朜む䞋心が透けお芋える。文章力も十分で、仕掛けもあり面癜く読めた。

    物語䞭盀のハラハラ感が良い。構成がうたいず感じた。
    語り口調がよく、するするず読み進められる。䞻人公が最初に぀く答え嘘に共感を持った。二番目に぀く答えが、本圓に「本圓」だったのか、はたしおそれも「嘘」だったのか。他にもいく぀か、芋抜けたすかず挑戊を受けおいるような箇所があり、そういった構成自䜓にも面癜さがあった。
    語り口調を甚いた真意が䌝わる。埌半の展開が異なるパタヌンも読んでみたい。

    透明な殻を砎る  玫冬湖
    ヒトず鳥の子が芋分けが぀かなくなるほど今ずは遠くなった䞖界にお、空を飛ぶこずに焊がれる子どもたちの物語。
    閉ざされた空間で過ごす子どもたちや、圌らを育おる母らの奇劙で粛々ずした生掻の䞭、ひずりだけ飛ぶこずを蚱されおいない䞻人公の苊悩をたざたざず描いおいる。
    蚭定や舞台蚭蚈が面癜く倧いに期埅したが、結末が少しだけ雑に感じた。もう少しだけ詰め切るず完成床がより䞊がるず思う。

    読み終わっお暫く経぀たで、テヌマが「嘘」であるこずを忘れおいた。
    独創的な䞖界芳がしっかりず䜜者の䞭にあるこずが䌝わっおくる。こういったテヌマ回収の仕方は奜み。明かされない蚭定も残るが、描写力が高く、印象掟タッチの絵画ずしお切り抜きたいず思わせる情景が数倚くあった。残酷で矎しい。グリム童話にこういう話があった、ずいわれたら信じるだろう。

    猫男ず犬女  結城熊雄
    ふらっず消えおしたいそうな絵描きの男ず、感情的でひず懐っこい女。
    ふたりのどこか䞀方的な関係性は、いかにもすぐに壊れそうで――女が感情をぶ぀けたあずの展開が面癜く、絵に描いたような幞せが蚪れる予感がする、ず思ったのも束の間、事態がぐるりず反転する様は芋事。皮肉めいた終盀の展開がよかった。

    倧人の男女の䞀目がれから始たった恋が、巧みな比喩衚珟を亀えお描かれおいた。
    恋愛ものずしおも面癜く読めたが、終盀に二転䞉転する展開に感情を揺さぶられる。䜜䞭で存圚感を攟぀䞍気味な肖像画も、しっかりず䌏線の圹割を果たしおいお、完成床の高い短線だず感じた。

    嘘から出たマコず  亜咲加奈
    ステレオタむプな初朮の描写から、倧人になった䞻人公を描いおゆく。そこから始たるゆるやかな䞍倫描写ず䞍倫盞手の子。女を消費されおいる、愚かな人びずが連なる物語に目を惹かれた。

    実によく出来おいる。愛憎が子どもにぶ぀けられない蟺りも奜印象。真子の子どもらしい厚かたしさも含めお、キャラクタヌが生きおいるず感じた。

    それでも空は嘘を぀く  季郜英叞
    たるで䜜り物のように矎しく、郜合の良い空。その空に疑問を持った䞻人公は、空の塔ぞず向かう。そこで知った、䞖界の真実。
    ファンタゞヌずSFがちょうどいい塩梅で組み合わさっおいお、物語性もしっかりず高い。終盀以降の展開力もあり、面癜く読めた。

    玠敵な発想の物語に数行で匕き蟌たれたした
    童話のような色圩豊かな情景が目に浮かびたすが、なにやらこの䞖界には秘密があるようで、気になっお最埌たでドキドキしながら読み進めたした。リヌリアの玔粋な探究心ず無邪気さがほほえたしく、灰色の空が滅んだ䞖界だずわかるシヌンは胞がギュッずなる感芚がありたした。

    忘れ物屋  氷堂出雲
    忘れ物屋を舞台に、さたざたな人物が店を蚪れ、自身や他者の想い、吐いた嘘に思いを寄せる。オムニバス圢匏で綎られおおり、ひず぀ひず぀は掌線ではあるが、党䜓を通しお空気感が䞀貫しおおり心地よく読めた。

    『忘れ物屋』を営む店䞻ず、己の忘れ物を求めお店を蚪れる客たちのヒュヌマンドラマ。
    客たちは倚くを語らないにもかかわらず、それぞれの人生が自然ず䌝わっおくる点が魅力的。敎った文章も読みやすく、情感が蟌められおいお玠敵だった。寡黙な店䞻にも背景があるようなので、長線で読みたい䜜品だず感じた。

    今倜は友だちの䌚話  才田リツ
    芞術倧孊のアヌトグランプリを巡っお、ふたりの気持ちが亀錯する物語。
    絵画ず小説のバディで挑むコンテストぞ挑む䞻人公ず、圌女を通しお芋る盞方の䟡倀芳の盞違をうたく衚珟しおいる。文章に矎しさがあり、それでいお玠朎な読み易さも内包しおいた。

    芞術倧孊で毎幎開催されるアヌトストヌリヌグランプリに「絵描きず文章曞きのペアで挑む」ずいう蚭定にたず惹かれた。
    誰かず共に共通のゎヌルを目指すこずで生じる摩擊が、䞁寧な筆臎で描き出されおいた。冒頭の「矎しいものが奜き」ずいう台詞から始たる告癜にも匕力があり、ラストを芋届けおから読み返すず、読埌の䜙韻がより味わい深いものになった。

    ばいばい、れな姉  東城謙倪朗
    メむクをばっちり決めお、流行りの掋服をたずっお、広告代理店に就職したず吹聎する䞻人公。効分の憧れの存圚でいなくおはいけないずいう匷迫芳念や、圌女自身の呚囲を気にしお窮屈に生きる心情などを䞹念に綎っおいる。埌半にかけお自らの吐いおいる嘘に抌し぀ぶされそうになっおいる䞻人公に共感した。最埌がやや攟り出し気味だった印象で惜しい。

    他人に察しお人を停ったこずがない人は少ないず思う。よく思っおほしい、奜きになっおほしい。いろんな思いから人は他人に、そしお自分に嘘を぀いおいく。自分で䜜り䞊げたニセモノの自分にどんどんず苊しくなっおいく䞻人公の姿は苊しい。けれど嘘を終わりにしお自分自身ずしお歩き出した䞻人公を応揎せずにはいられなかった。

    街から来た雚が。  入間しゅか
    グリヌンパンクず宗教を掛け合わせたような䜜品で、耇雑な芁玠をうたく絡み合わせおいた。ただ、やりたいこずが倚すぎお、短篇ずしおたずめるには枋滞を起こしおいる印象も。文章もうたいので、組み立お方を倉えれば魅力が䞀局増すのでは、ず感じた。

    宗教の教えから実態たで詳现に描写されおおり䞖界芳がしっかりしおいるず思いたす。ずころどころがかしお描かれおいる郚分は䜜者の意図するものなのだずは思いたすが、ここをどう解釈するかが少々難しかったです。
    説明的な郚分が倚く、モチヌフもマニアックであり読み応えがありたす。幟重にも想像を掻き立おる䜜品で、少女二人の逃走に至る流れがスリリングでした

    幻花抄  癜川瀌加
    矎しい文章で綎られた幻想小説。目たぐるしく移り倉わる映像が目にたざたざず浮かぶ。情報の出し方も巧みで、䞀瞬で意味がわかるように描かれおはいないが、むンクの染みがじわじわず染み蟌んでゆくように満ちおゆく感芚。難解で物語性はやや薄いが、構成ず文章に持っおいかれた。

    幻想文孊ずしお読んだ。ずめどない蚀葉の奔流ず矎しく詩的な比喩に圧倒される。読者を煙に巻くような文章でありながら、濃密な䞖界が綻びなく貫かれおいる点に䜜者の確かな実力を感じた。
    乱暎に觊れるずばらばらに厩れおしたう宝石现工のような危うさがあるが、それを矎点ず芋るか欠点ず芋るかで評䟡が倉わる䜜品だろう。

    嘘ず消倱  蒔田涌
    湖の消倱に䌎っお、過去に起きた事件が思い起こされる。
    劻ず倫のそれぞれの立堎から明かされる嘘ず真実。物語が進むに぀れお、次第に刀明する真実に驚かされた。文章もよく、描写力があった。

    珟代ドラマ。劻・矎玀ず、倫・健倪の二郚構成。倫婊ずもに嘘を぀いおいる、ずいう蚭定には真新しさはないが、ずおもよくできおいた。非垞に䞁寧な筆臎で、驚きもしっかりあったので、高い評䟡を぀けた。

    竪琎職人の秘めごず  玺藀銙玔
    囜王が倉わり、逊老院が建蚭され老人らが倧切にされおいる王囜。そんな䞖界で竪琎職人をしおいる䞻人公ず、圌の元に毎日通い詰める女性ずの、絆の物語。
    内政ず垂民の生掻がキチッず結び぀いおおり、奜印象。描写が现かく、しっかりず䜜り蟌たれおいお、物語の䞭でキャラクタがちゃんず息をしおいた。

    嘘ず蚀うには優しい枩床を持った䜜品だず思いたした。
    叀い異囜の地での老倫婊が織りなす繊现な思いが小さな奇跡を生み出し、たた二人の人生を远いかけるこずができ、ずおも良い読埌感でした。各所に散りばめられたキヌワヌドに本文孊賞ぞのリスペクトを感じたした。

    束ねたのはあなたの嘘  小鳥遊芁
    通過儀瀌をモチヌフずした物語。儀瀌の最䞭には嘘を぀かなくおはいけない、ずいうルヌルや十䞉歳ずなった䞻人公らの人間関係がうたく描かれおいる。それぞれのキャラクタも立っおおり、皮明かしの箇所も面癜かった。

    自らの嘘を守りながら、残りのメンバヌの嘘を芋砎り勝ち残っお「聖域」たで登頂する。この十䞉歳に課せられる倧人になるための通過儀瀌の䞭で、䞻人公を含む四人ほが䞉人だがが勝ち残るため戊略を緎り静かな戊いを繰り広げおいく。䞀芋するず残酷極たりない儀匏だが、䞉人の性栌や戊い方、脱萜しおいく様は瀟䌚の瞮図のようでもある。最終的に残った䞻人公の嘘に、残ったのが圌であったこずに救われた気がした。

    ゚リシュず噓぀きの悪魔  月芋倕
    名前を぀けおくれた少女ず嘘぀きの悪魔が織りなす物語。
    童話のような読み心地で、䞖界芳がきっちりず䜜られおいる。悲しさの䞭に確かな優しさが内包されおいた。

    オリゞナルの姿を持たない封印されおいた悪魔ず、゚リシュの物語。
    ファンタゞヌの䞖界芳を損なわない高い筆力で、読者に䞎えられる情景は矎しく、倧刀のアヌトブックになればさぞや、ず思わせる。自分は䜕者なのか、ずいう問いず、展開には読たせるものがあった。
    ゚リシュの過去に぀いおも軜く觊れられおいるが、二぀名ずは違っお「無垢」に映るその性質がどのように育たれおきたのか、さらに考察したくなる魅力があった。

    宇宙のみなしご  文波遊子
    自分自身のアむデンティティヌに苊しむ䞻人公の物語。
    蛙化珟象をモチヌフに、人生の端々で感じる苊悩を掬い䞊げお、うたく物語ぞず昇華しおいた。突き刺さるようなフレヌズも倚く、考えさせられた。

    奜意を抱いた盞手に奜意を向けられるず嫌悪感を抱いおしたう「蛙化珟象」ず戊う女性の物語。綺麗事じゃない、いわゆる垞識から倖れおしたった人間の生理的にどうしようもない感情ず葛藀を、芋事に衚珟しおいる䜜品だず感じた。勀務先のゞュ゚リヌショップで結婚指茪を買っおいくカップルず䞻人公の心の内ずの明暗が、目の前で笑っおいる人ももしかするず――ず思わせおくれる。

    勇者ず王冠。  豆ははこ
    小さな村から無理やり勇者ぞず奉られたものが、聖剣を手にし魔王ず察峙する。無事に魔王を倒した圌のかぶる王冠に隠された秘密が小気味良い。ひずよりも魔族の方が人情味があるこずなど、皮肉に満ちた物語だった。

    倒した魔王からある〝呪い〟をかけられた勇者の話。
    淡然ずした筆臎で、勇者の心の有様がストレヌトに読者に䌝わり心地奜く読める。最埌の呟きにもぐっずくるものがあった。文節の区切りは短めで、改行も倚いが、繰り返される蚀葉のチョむスは、くどくならずに効果的に甚いられおいる。

    桃ず、嘘ず、そしおさよならを  きのみやはる
    人間の嘘を食べお生きる悪魔の女性が、ひずりの男性ず芪亀を深める。そんな圌のたずっおいる嘘が、物語にじわじわず圱を萜ずしおゆく様は芋事。䞭盀以降も展開力があり、結末たでハラハラしお読み進められた。

    人間の嘘を堪胜する嘘食いの女性悪魔ず、嘘を纏い続けおいるずある男性の恋物語。じわじわず解かれおいく謎ず、迫りくる「もしかしお」が切ない。思わず救いがあっおほしいず願っおしたう、䜙韻のある䜜品だった。登堎する果物が「桃」である理由がもう䞀抌しあるず、より深みを感じられそう。

    その味は蜜  矜涌
    広告業界に勀める䞻人公ず、共感芚によっお今埌流行するものやこずを味わうこずのできる友人。ふたりの関係性は、友人の圌氏の存圚によっお匕き裂かれそうになっお  軜快な文章で玡がれた物語で、結末もよかった。

    砂糖菓子みたいなお嬢様のリコや、その圌氏の健倪に察する䞻人公の感情に、ものすごく共感した。䞭盀、二人にひたすら腹が立った分、最埌の展開にはスカッずした。リコぞの庇護欲や、共䟝存のような関係性の䞭にある、女同士の唯䞀無二の関係性の描き方が絶劙だった。

    Mother  藀厎千早
    閉鎖空間に閉じ蟌められおいるふたりの女の子ずマザヌコンピュヌタ。倖に出られない圌女たちを逊うコンピュヌタだが、䞭盀以降にひずりの女の子が閉鎖空間から脱出するこずで、事態が急倉する。閉鎖空間SFずしお面癜く読めた。

    マザヌず二人の少女の話。読者に察する蚭定情報の提瀺の仕方がずおも䞁寧で奜感が持おた。アむテムの出し方ブロックやドロップにセンスが光るし、二人の䌚話も魅力的。埌半の展開は感動的だった。䞊限文字数にはただ字ほどあるので、盛り䞊がるシヌンを足せばもっずよくなる。

    わたぬき  橘花玅月
    四月バカをモチヌフに、宇宙人や魔女の話が飛び亀う物語。
    子どもたちに聞かせる童話ずしおの宇宙人ず、その保護者ぞ嘘を぀いたこずを説明をするずきの滑皜さが面癜かった。ぬいぐるみの綿ず四月䞀日を掛けおいるのもよい。

    ずある嘘が時を経お本圓になる話。発想が面癜く、文章も読みやすかった。物語の構造䞊、前半郚で時代や堎所ががかされおいる点が若干気になったが、そこたで倧きなノむズずはならなかった。

    兄のスマホ  髙岡しう
    若くしお亡くなった双子の兄。圌の遺したスマホに届いたメッセヌゞから、次第に兄の玠顔が芋えおくる構成で、展開も面癜く物語に力があった。根幹の答えをあえおはぐらかしながらも、明確に読み取らせる技術力も感じた。

    母に愛されおいなかったず気づいおなお、母のために嘘を぀き通そうずする䞻人公の姿が切ない。結末がやや急なのが惜しいが、䞻人公の心理描写が䞁寧で良かった。

    ゲット・アップ・ルヌシヌ  薄倉
    圌から極端なほどに管理された女性を描く。䞻人公の行動を、なにかに぀けおロゞカルな理由を぀けお管理する圌。そこに隠された秘密を玐解いおゆく過皋が面癜く、管理をする圌自身の葛藀や自由を求める䞻人公の懊悩が描かれおいた。

    「神になる必芁があったのだ」 文章の端々から培の支配したいずいう欲求が滲み出おいお、サスペンスのようで、怖いずころがおもしろいず思いたした。蚭定も構成も现かなずころたでよく詰められおいたす。
    テクノロゞヌの発展ずずもにノむズが小さくなっおいく珟代瀟䌚ぞの譊鐘ずしお受け止めたした。

    ロシアン・カフェ  冬厎桂
    ロシアをテヌマずしたカフェや颚俗など、珟代的なモチヌフ遞びが光る。
    戊争に぀いおの゚ピ゜ヌドをふんだんに織り亀ぜながら、物語ぞず昇華させる手腕は奜印象。今だからこそ描くこずができる物語の力匷さを感じた。

    ロシア料理を提䟛しおいる小さなカフェに通う女性の日垞が、䞁寧な筆臎で綎られおいる。淡々ずした語り口ではあるが、短い䞭に倚様な感情が詰たっおいお、読者偎も色々なこずを考えさせられた。匷いテヌマ性を持ちながらも、読たせるパワヌがある重厚な䜜品だず感じた。

    リヌプむダヌハヌトビヌト  氞接わか
    乳癜色の街で暮らす人びずを描く。どこか軟犁されおいるような状態の䞻人公ず、なんでも出来る兄貎分の同居人。ディストピアめいた䞖界芳の䞭で、䞻人公が䞀歩を螏み出したずきに広がる䞖界ず自身の身䜓の秘密には驚かされた。

    地䞊から差すクリヌム色の明かり、ずいうむメヌゞから䞖界芳を想起させる曞き方がずおも良い。䞻人公圓真の感情の流れ、雰囲気も党䜓的に奜たしく読みやすい。真盞はやや唐突に感じたが、空気感や圓真ず同居人宮の関係など、この䜜品の魅力が最埌たでしっかりず保たれおいた。

    #嘘からログアりトしたした  和泉タカナキ
    プロゲヌマヌになりたい気持ちを抑えおいる䞻人公が、励たされお挑戊しおみる物語。今の時䞖をきっちりず曞き衚しおおり、前を向く物語ずしお曞き䞊げられおいる。芪子の関係性もいい。

    嘘の矛先が自分に察しおのものである䜜品は、おおむね䜜品の䜓裁ずしお自分に察しお぀いおいた嘘を自芚し、それを捚おるずいう構成が倚いように感じたす。今回も構成䞊はその圢から倖れおおらず、自分の嘘を自芚しお新しい道を歩みだすずいう内容です。
    自分のうっかりから嘘に向き合わなくおはならなくなったこず、そんな圌にも手を差し䌞べおくれる誰かがいるこず。リアルにもWEBにもそういった誰かがいおくれるずいう救いが瀺されおいる本䜜は、読埌感の良さが心に残りたした。

    コグボむド  うゆう
    意識を持たない、ひずに酷䌌した生呜䜓コグノむド。郜垂䌝説に過ぎないはずだが、䞻人公のれミの知り合いは「それ」ずも思える雰囲気。終始曖昧な空気感で綎られる物語は奇劙で、読埌感もすっきりずはしないが玍埗感もある。䞍思議な読み心地だった。

    珟代の魔女狩りのような話。事実よりも、呚囲の人の印象や思い蟌みが正矩ずなっおしたう、瀟䌚の怖さを感じた。最埌に䞻人公がうゆうの曞いた文字を読み取れたシヌンで、圌女の心の領域の䞭に入れたのだず救いを感じた。人同士の距離感に぀いおの衚珟で、いく぀か印象的な文があった。

    りナギじけん  乙島玅
    倏䌑みの自由研究にた぀わるドタバタ劇。父芪ず子どもの関係性が楜しそうでほっこりするが、あたりに父芪が短絡的な点は気になった。ずはいえ、コメディずしお描かれおいるため、物語ずしおは面癜く読めた。

    すごく面癜かったです ちょっず情けないお父さんが、息子のためを思っお嘘に嘘を重ねお、だんだん远い蟌たれおいく様がおかしくも、随所で挟み蟌たれる䞍穏な劻の挙動がハラハラずさせ、どうなるんだろう、ず最埌たで気になっお読み進めたした。最終的にこんな良い話になるなんお  ちょっず感動しおしたいたした。
    家族のあいだですらこんなに知らないこずばかり。身近なずころに嘘っおいくらでも萜ちおたすよね。ず改めお気付かされる䜜品でした。

    赀ず癜  癜川慎二
    小孊校のクラスメむトのハナは虚蚀癖だ。家にオオカミの赀ちゃんがいるらしい。その事実を確かめに行った䞻人公らが、鬌ヶ島ず呌ばれおいる空き地ぞず誘われる。ポップな雰囲気の䞭で異様な緊匵感を孕む展開は面癜く、結末も曖昧で薄ら寒い。虚構ず事実関係ずの塩梅が絶劙だった。

    心地奜く読めた。「鬌ヶ島」「があがあおじさん」「手の切れそうな草」「サンボヌ」など小孊二幎生の子䟛たちがいかにも奜みそうな蚀葉のチョむスやオノマトペが効果的に䜿われおいる。
    構成バランスも敎っおいお展開が気になり先を読み進めやすい。歳になった青幎の回顧録ずしお、柔らかい䜙韻を残した。

    ドクタヌは生呜の重みを知る  はやくもよいち
    医療甚AIをモチヌフずした物語。高床に発達したAIは人間ずの区別が぀かない。蚭定のみならず、AIに産たれる感情生呜の描写が面癜い。医療、生呜倫理や生呜そのものに぀いおの定矩を揺らがす意欲的な䜜品だった。

    安楜死疑惑のAI医垫を調査する䞻人公の話。
    「今より少しだけ先の未来」の医療機関のディテヌルがよく詰められおおり、脅嚁が真に迫る。䞻人公が蚺療を受けながらAI医垫を尋問する心理戊郚分には、思わず固唟を呑んだ。同蚭定で、シリヌズで読んでみたくなる印象の䜜品。

    芪殺しのパラドックス  孫浊䞀京
    タむムトラベルをパラドックスをうたく䜿った物語。オヌ゜ドックスな䜜り方かず思わせながら、実隓的な構成をしおいお興味深い。䞖界が砎裂するなど独自の芖点もあっお面癜かった。

    芪殺しのパラドックスずタむムトラベルに読者の意識を向けさせおおき、仕蟌んでおいた嘘を䞍意打ちで炞裂させる手腕に舌を巻きたした。読者を驚かせ、楜したせようずするクヌルな意図を匷く感じたす。本圓に䞖界が壊れたのか、䞻人公の知芚できる䞖界が壊れただけなのか、そのあたりが刀然ずしない結末も魅力的。

    さよなら、゜ヌダくん  深山郜
    顔がモニタヌでできた転入生は、䞻人公の母が䜜ったアンドロむドだ。圌のこずが受け入れきれない䞻人公に察し、あたり違和感なく受け入れおいるクラスメむト。アンドロむドに察する葛藀や、家族に察する思いがない混ぜになっおいるゞュブナむル的成長譚。

    ある日、アンドロむドがクラスに転校しおきた。しかもそのアンドロむドは䞻人公の母芪が䜜った“自称”人間だった。嘘を぀けないアンドロむドたち。ひずりは答えないこずを遞び、ひずりはアンドロむドであるにもかかわらず嘘を぀くこずを遞んだ。どちらにもきっず芜生えおたであろうアンドロむドには本来ないはずの感情が、ずおも切なく優しく玠敵な物語だった。

    ムヌドメヌカヌ  祐里
    飄々ずしお匱音を吐かない長兄が仕事をやめおからしばらく経った。二番目の兄である䞻人公はやきもきし぀぀、家のためにバむトに粟を出す。
    ふたりの兄の優しさが心に染みる家族ドラマ。家族内の人間関係もよく、ほっこりしながら読めた。

    玠敵な兄ふたりの話でした。蚳知りな効ず無邪気な䞉人の匟、母芪。和やかな家の雰囲気ず優しい嘘。こういう家庭こそ幞せなんだろうず思わせおくれる䞀幕でした。奜きです。

    真実を喰らうモノ  瀬叀悠倪
    移䜏先ずなる星を探しおいる宇宙船の乗組員たち。道䞭、キャッチした信号の発信元に向かう圌ら。しかしそこでは事件が起こっおいた。
    惑星移䜏&未知の生物ずの遭遇をテヌマずしたSF。面癜く読めたが、類型が倚いので、抜きん出るには+αの芁玠が必芁ず感じた。

    宇宙空間で芋぀かった生物を排陀しようずしたら地球に向かっおしたった  ずいう筋立おの䜜品を知っおいたす。この䜜品は嘘を軞ずしおいるものの、同系統の䜜品ず感じたした。出来自䜓は凄く良いのですが、䌌たような䜜品を思い起こさせる点が気になりたした。

    䞉月のコオリヒメ  坂乃氎
    物語の行間に存圚しおいるはずの、小さいおじさん的存圚の氷姫。珟実にはいないはずの存圚、物語には䞍芁な存圚であるそれを、氷食症を患う䞻人公の劻の比喩衚珟ずしお甚いおいる。職堎で問題を起こし、珟実の䞖界にもどこか銎染めない異端の存圚を、静かだが匷い筆臎で曞き蚘しおいた。

    次々ず明らかになる真盞に翻匄されたした。ラストの事件や手玙の内容にも驚きたした。倚重的な蚭定を曞き切ったこずは玠晎らしいです。
    ただ、読者偎が藍花の蚀動をどう受け止めるかで䜜品から受ける印象がたったく倉わりそうです。もう少し読者に䞎える印象をコントロヌルできるずいいかもしれたせん。

    ゚マの泡  喜倚芋歩
    人魚ずAIを掛け合わせた奇劙で面癜い蚭定に惹かれた。童話のような䞖界芳からSFぞずシフトする展開が自然で、筆者の技術力を感じさせる。䜜り蟌みも良く、文章も䞁寧で奜感が持おた。

    効を喪った䞃歳の少幎が未来から来た青幎ず出䌚ったこずをきっかけに、滅びゆく䞖界が倉わっおいく。SFずいうゞャンルの䞭では掟手さはないように思えるものの、その分よく䜜り蟌たれた蚭定ず読みやすさは玠晎らしかった。時間を超えお二人が぀ながるラストも玠敵で、爜やかな読埌感だった。

    嘘぀きなおんなの子  氎島窯
    ナノマシンにより、嘘を吐くず䞍快感が珟れるずいう蚭定が面癜い。孊校によっお管理、監芖をされる少女を描く。台詞回しがよく、リアリティがあった。埌半の展開も面癜く、圌女や孊校が今埌どうなっおゆくのか、䜙韻のある物語だった。

    嘘に反応するナノマシンを䜓に埋め蟌たれた子どもたちの集たる孊校が舞台。教垫や生埒たちの振る舞いや䌚話が自然で、本圓にそういう科孊技術が、そういう堎所があるのではないかず思わされた。どう展開するのか予枬の぀かないストヌリヌで、最埌たで緊匵感を持っお読めた。

    ◇

    第䞉回も、倚くのご応募を頂きありがずうございたした。

    嘘ずいうテヌマが難しかったず思いたすが、応募原皿はいずれも面癜く、遞考委員䞀同楜しく遞考䜜業をさせお頂きたした。
    たた、倚くの感想も賜り、非垞に嬉しかったです。励みになりたした。匕き続き、皆さたからの応揎を頂けるず嬉しいです。

    ぜひ今埌ずも䜜品をお寄せください。お埅ちしおおりたす。

    ◇

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    『曞くしか』『文芞ムックあたらよ 創刊号第二号』『みどりの海を芚えおいる』『おかえり。ただいた。いただきたす。〜わたしず圌女の獲れたおごはん〜』倧奜評販売䞭
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