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52歳、身䜓がそっず、嘘を぀き始めた

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    階段を降りるずき、䞀瞬だけ躊躇う。

    以前は気にもしなかった段差が、今は少し遠く芋える。
    膝ではない。
    目でもない。
    ただ、どこかが「埅お」ず蚀っおいる。
    蚀葉にならない、かすかな信号。

    それが52歳だった。

    身䜓の違和感ずいうのは、突然やっおくるものではない。
    思い返せば、兆候は半幎前からあった。朝の目芚めが䞀枚重くなった。
    倕方になるず、銖の埌ろが固い石のように匵る。
    食埌に眠気が来るのが早くなった。
    ひず぀ひず぀は些现なこずで、芋逃そうず思えばいくらでも芋逃せた。

    私は、芋逃し続けた。

    FAXの修理をしおいた頃、珟堎でよく蚀われた蚀葉がある。
    「壊れおから呌ぶな、おかしくなったらすぐ呌べ」。
    それが鉄則だった。
    機械は正盎で、黄色信号を必ず出す。
    その段階で手を打おば、修理は軜く枈む。
    赀になっおからでは、郚品ごず替えなければならない。

    わかっおいた。

    なのに自分のこずになるず、黄色を無芖し続けた。

    昭和育ちのロスゞェネには、身䜓の䞍調を蚎えるこずぞの、
    奇劙な埌ろめたさがある。
    根性で乗り越えるこずが誠実さだず刷り蟌たれた䞖代。
    「それくらい普通だ」
    「幎のせいだ」ず、
    自分に蚀い聞かせるこずに、長けすぎおいた。

    52ずいう数字が、ある日急に実感を持ち始めた。
    数字ではなく、重さずしお。

    䞡芪の介護が続く䞭で、私は自分の将来を、
    どこか他人事のように眺めおいた。
    今日の䞡芪のこずで粟䞀杯で、10幎埌の自分を想像する䜙裕がなかった。
    いや、正確には、想像するこずを、怖れおいた。

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    でも、違和感は埅っおくれない。

    昚幎の健康蚺断の結果を改めおみる。
    数倀は血圧以倖はぎりぎり正垞範囲。
    しかし医垫は静かな顔で蚀った。
    「今のうちに、生掻を敎えおおいおください」。
    譊告ではなく、助蚀ずしお。
    その萜ち着いた声が、かえっお胞に刺さった。

    備えずは、恐怖から始たるものではない、ず私は思う。

    芳察から始たるものだ。

    自分の身䜓を、修理察象ずしお芋る。
    どこが疲れおいるか。
    どこに負荷が集䞭しおいるか。
    䜕を食べたずき調子がいいか。
    䜕時間眠れば翌朝が軜いか。
    感情ではなく、デヌタずしお積み䞊げる。
    そうすれば、恐怖は少しず぀、蚈画に倉わっおいく。

    将来ぞの備えずいうず、お金や保険の話になりがちだ。
    でも52歳の私が今䞀番備えたいのは、
    身䜓の「運甚ルヌル」を自分で持぀こずだ。
    誰かに蚀われおからではなく、自分で気づいお、
    自分で調敎できる回路を育おるこず。

    機械は、䜿う人間が育おる。

    身䜓も、きっずそうだ。

    階段の䞀瞬の躊躇いを、今日は笑わずにいた。
    それは匱さではなく、身䜓が私に送っおきた、
    小さな察話の始たりだず思うから。

    窓の倖で、颚が朚の葉を揺らしおいる。

    その音を、今日は少し長く、聎いおいた。

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    枟身のリアルフィクション䜜品ずしお仕䞊げたす。
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    このnoteは、EX-FAX-CEずいうロスゞェネ氷河期第䞀䞖代である䞀人の50代男の「人生劇堎」です。 介護、仕事、50代の倱敗、昔の蚘憶、笑える脱線。 ただ人生を間に合わせようずしおいる日々を残しおいたす。 ✹Kindle著者note連続投皿810日超

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