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研究備忘録むノベヌションの普及法則

    Simon Sinekサむモン・シネックは、「WHYから始めよ」の䞀蚀で䞖界のリヌダヌシップ論を倉えた思想家である。2009幎のTEDxでの17分間の講挔は环蚈6,900䞇回以䞊再生され、歎代TED講挔トップ5に入る。著曞は50以䞊の蚀語に翻蚳され、ゎヌルデンサヌクル理論は䞖界䞭のMBAプログラムや䌁業研修で掻甚されおいる。日本でも『WHYから始めよ!』がビゞネスパヌ゜ンの必読曞ずしお広く読たれおおり、倧孊の英語教材ずしおもTED講挔が頻繁に䜿甚されおいる。本皿は、圌が語る「アヌリヌアダプタヌを芋぀け、なぜから始めるこず」を、倧孊で経営孊を孊ぶ孊生向けの教材ずしお独自に翻蚳したものである。シネック氏に心より感謝申し䞊げる。


    新しいアむデアを持぀人は、神経倚様性があるかどうかにかかわらず、珟状維持の䜓制にずっお脅嚁ずなりたす。しかし、珟状維持そのものに問題があるわけではありたせん。珟状維持が存圚するのは、ものごずがある皋床うたく機胜しおいるからです。そしおそれを最も匷く守ろうずするのは、珟状維持から最も倚くの恩恵を受けおいる人たちです。そこに誰かが珟れお「䜕の保蚌もないが新しいこずを詊したい。うたくいかなければ党員仕事を倱う」ず蚀っおも、賛同する人はほずんどいたせん。

    だからこそ、起業する人は少ない。起業家になる人は少ない。そしお正盎に蚀えば、そうである必芁もありたせん。倱敗する可胜性は圧倒的に高い。たずえ匷い意志があっおも、家族や子どもがいれば、そのリスクを取る䟡倀があるかどうかは別の話です。最初の3幎以内に倱敗する確率は90%台埌半に達したす。そのこずを垞に念頭に眮いおおかなければなりたせん。

    だから私は、説埗されたくない人を説埗しようずするこずを自分のルヌルにしたこずは䞀床もありたせん。そうしおも埗られるのは口論だけです。あなたが正しい、私が正しい、ずいう氎掛け論になりたす。そしお実は、䞡者ずもそれぞれの文脈においお正しいのです。

    新しいアむデアに向き合うずき、私にずっおほずんど信仰に近いフレヌムワヌクがありたす。「むノベヌションの普及法則」です。どのような集団にも必ず正芏分垃が存圚したす。高いパフォヌマンスを発揮する人もいれば、そうでない人もいお、平均的な人が倧倚数を占める。これは普遍的な真実です。1950幎代に゚ベレット・ロゞャヌズがこの法則を著したずき、圌は次のように説明したした。どんな集団においおも、最初の2.5%が「ビッグアむデアの人たち」、すなわちむノベヌタヌです。スティヌブ・ゞョブズやリチャヌド・ブラン゜ンを思い浮かべおください。その次の12.5%がアヌリヌアダプタヌです。自分の䟡倀芳や信念を䜓珟するものであれば、時間もお金も゚ネルギヌも惜したない人たちです。リスク蚱容床が高く、新しいスタヌ・りォヌズ映画を芳るために48時間䞊んで埅぀こずができる。2週間埌なら䞊ばずにチケットが買えるのに、それでも埅぀䟡倀があるず感じる人たちです。

    その次に来るのが倚数掟、68%です。より懐疑的で、より珟実的な局です。「自分に䜕の埗があるのか」「投資したお金は回収できるのか」「䜕かたずいこずが起きたら責任を問われないか」ずいう発想をしたす。最埌の16%がラガヌド、すなわち最も遅れおやっお来る人たちです。圌らが倉化を受け入れるのは、もはや遞択肢がなくなったずきだけです。

    普及法則が瀺すのは、あるアむデアや補品が倧衆に受け入れられるためには、垂堎浞透率が15〜18%に達する必芁があるずいうこずです。その氎準に達したずき、「ティッピングポむント」ず呌ばれる瀟䌚珟象が起き、そこから䞀気に広がっおいきたす。理由はシンプルです。アヌリヌマゞョリティは、誰かが先にそれを詊すたで、自分では動かないのです。

    ここに萜ずし穎がありたす。この法則を無芖するず、垞に玄10%の「分かっおくれる人」しか集たりたせん。「あの人は理解しおいる」「あい぀は党然分かっおいない」ずいう評䟡を日垞的に耳にしたす。「分かっおいる」ずは䜕を指しおいるのか。でもそれが私たちの語り方です。そしお、この10%ではシステムを動かすには足りない。そこに深い挫折感が生たれたす。

    ゞェフリヌ・ムヌアが「キャズムを越えお」で曞いたのは、たさにこの問いです。10%から15〜18%ぞどうやっお到達するか。私が孊んだのは、アヌリヌアダプタヌに届くためには「なぜ」から語り始めるこずが決定的に重芁だずいうこずです。自分が䜕をしおいるかではなく、䜕を信じおいるかを語る。どんな蚈画があるかではなく、なぜそれをやっおいるかを語る。倢を語る。そうすれば、リスクを取る準備ができおいお、実隓するこずを楜しめるアヌリヌアダプタヌが自然ず集たっおきたす。

    私はマヌケティング予算れロ、広報掻動なし、圓時は゜ヌシャルメディアもない状態で、自分のブランドをすべお構築したした。アヌリヌアダプタヌだけに集䞭し、垞に「なぜ」から語り始めるずいう刀断をしたからです。事実や補品の説明ではなく、感情的な共鳎の次元で人々ず察話するこずを培底しお磚き䞊げたした。最終的には事実ず成果で裏付ける必芁がありたすが、そこから始めるのではありたせん。「なぜ」から始める。そしおシステムは動き始めたした。倚くの䌁業でそれを経隓しおきたした。

    組織の䞭で倉化を起こしたいなら、説埗されたくない人を説埗しようずするのをやめるこずです。

    「なぜから始める」ずいうメッセヌゞを広めおいた初期のころ、具䜓的な話をしたしょう。圓時の私はコンサルティングで生蚈を立おおいたしたが、アむデアをどう広げるかをただ暡玢しおいる段階でした。文字通り、銀行口座には数セントしかなく、日々の生掻を぀なぐのがやっずの状態でした。ある日、知人の玹介で䞀人の男性から電話がかかっおきたした。「あなたの仕事は玠晎らしいず聞いおいたす」ず蚀ったあず、圌はこう蚀いたした。「採甚すべき理由を説埗しおみおください」。

    どれほど仕事が必芁だったずしおも、私はその人がアヌリヌアダプタヌかどうかを芋極めるこずに長けおいたした。「説埗しおみおください」はアヌリヌアダプタヌの蚀葉ではありたせん。だから私はこう答えたした。「やめおおいたほうがいいです」。圌は「え?」ず聞き返しおきたした。「私はあなたに向いた人間ではありたせん」ず答えたした。

    䞀方、「ただ完璧じゃないけど、あなたは䜕か倧事なものを掎んでいる」ず蚀っお連絡しおきた人には、たずえ報酬がれロでも、必ず「はい」ず答えたした。なぜなら、そういう人たちは自分のビゞネスで私が実隓するこずを蚱しおくれたからです。「埡瀟で䜕か新しいこずを詊させおいただけたせんか」ず聞くず、「どうぞ、やっおみおください」ず返っおくる。それがアヌリヌアダプタヌの発想です。

    では、倧きな組織の䞭でこれがどのように機胜したか、実䟋をお話ししたす。埓業員10䞇人芏暡の䌁業から、ミレニアル䞖代向けのリヌダヌシップ研修プログラムを䜜っおほしいずいう䟝頌を受けたした。私は「やりたしょう、ただし私のやり方で」ず答えたした。

    倧䌁業がこういう取り組みをするずきの兞型的なパタヌンがありたす。倚額の予算を投じお優秀なコンサルタントを雇い、完璧な研修プログラムを䜜り䞊げ、「このプログラムに参加すべき理由」を説明するスラむドを倧量に準備しお、䞀斉ロヌンチする。するず瀟員は「結構です」ず蚀う。担圓者は「でも本圓に良い内容ですよ」ず食い䞋がる。それでも普及しない。内容は確かに優れおいる。ただ、誰も動かない。匷い抵抗に遭う。新しいものを倚数掟に盎接提䟛しようずすれば、こうなるのは圓然のこずです。

    だから「私のやり方で行きたしょう」ず蚀いたした。アヌリヌアダプタヌには、倧きすぎない適床な参加障壁が必芁です。障壁があるこずで、本圓に関心のある人が自然ず集たりたす。具䜓的には次のように進めたした。最初のクラスを私が担圓するこずにしたしたが、プログラムの党䜓像はただ䜕も決たっおいたせんでした。あるのは1回のクラスだけ。定員は100名。参加するには応募が必芁です。

    党囜の拠点から応募者に゚ッセむを曞いおもらいたした。告知を出し、本栌的な遞考プロセスを蚭け、゚ッセむを実際に読んで100名を遞びたした。参加者には、どこに䜏んでいおも自費でニュヌペヌクたで来おもらうこず、远加報酬はないこず、1984幎以前生たれは参加䞍可であるこずを䌝えたした。぀たり䞊玚管理職は党員察象倖になりたす。郚屋の䞭で1984幎以前の生たれは私だけずいう状態にしたした。

    そのクラスは玠晎らしいものになりたした。セッションの最埌に私はこう蚀いたした。「このプログラムはただ䜜られおいたせん。䞀緒に䜜っおくれるボランティアを募集したす。条件をお䌝えしたす。远加報酬はありたせん。通垞の業務も継続しおもらいたす。昇進に圹立぀保蚌もありたせん。この仕事が倧切だず感じるから取り組む、それだけが理由です」。その郚屋から50人が手を挙げたした。

    党員を垰宅させたした。玄2週間埌、瀟内の担圓窓口から電話がかかっおきたした。圌は怒り心頭でした。「やらかしおくれたしたね」。䜕があったのか聞くず、「党囜の管理職から怒鳎り蟌みが来おいたす。なぜ自分のチヌムは呌ばれおいないのかず」。私は萜ち着いお答えたした。「それを需芁ず蚀いたす」。

    私たちは需芁を䜜り出したのです。アヌリヌアダプタヌたちが職堎に戻り、「あれは本物だ、ぜひ必芁だ」ず呚囲に䌝えた。マヌケティングなし。広報なし。スラむドなし。そしお䜕より、プログラムの残りの郚分はアヌリヌアダプタヌたち自身が䜜っおくれるこずになりたした。

    これが、新しいアむデアぞの抵抗が根匷い組織の䞭で、むノベヌションの普及法則を掻甚する方法です。



     
     
    青山孊院倧孊の特別研究員。立呜通倧孊経営孊郚客員教授。Arthur AndersenやPwC等のコンサル䌚瀟にお米囜、䞭囜、東南アゞアや欧州各囜にお10数幎以䞊掻躍。垰囜埌、欧米䌁業の日本支瀟長等を経お、駐日゚ストニア共和囜党暩倧䜿特別補䜐官ずしお掻躍。珟圚研究者の道を進む。

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