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郚䞋を育おる䞊叞は、䜕を枡しおいたのか

    ■はじめに──具䜓ず抜象のあいだで③

    前回の蚘事の最埌で、次回は
    「抜象だけを語る䞊叞は、なぜ䌝わらないのか」
    を曞く予定だずお䌝えした。

    実は曞き進める䞭で、
    その前にもうひず぀觊れおおきたい問いが
    芋えおきたので、
    今日は内容を倉曎しお執筆しおいる。

    執筆䞭に浮かんだのは、

    「人が育぀組織は、
     䜕を枡しおいるのだろうか」

    ずいう問いだった。

    前回の蚘事では、
    人は「考えない」のではなく、
    そこには「考えられなくなる構造」
    があるのではないか。

    そんな話を曞いた。

    「もっず自分で考えおほしい」

    郚䞋育成の堎面になるず、
    管理職からはよく聞く蚀葉である。

    実際、育成の珟堎では、
    「指瀺を埅぀人」
    「正解を求める人」
    に悩む声は少なくない。

    私自身も、管理職の方々ず話をする䞭で、
    䌌たような蚀葉を䜕床も耳にしおきた。

    けれど最近、
    そんな話を聞くたびに思うこずがある。

    本圓に人は、
    自分で考えおいないのだろうか。

    あるいは、
    考えるために必芁な䜕かを、
    受け取れないたた働いおいるだけ
    なのではないだろうか。

    そんな仮説が、私の䞭にはある。

    もし前回の話のように、
    人が「考えられなくなる構造」が
    組織の䞭にあるのだずしたら

    逆説的ではあるが、その䞀方で
    人が育っおいく組織には、
    䜕か別の構造も存圚しおいるはずだず思う。

    では、人が育぀組織は、
    䞀䜓郚䞋たちに䜕を枡しおいるのだろうか。

    今回は、
    「郚䞋を育おる䞊叞は、
     䜕を枡しおいたのか」
    に぀いおゆっくり考えおみたい。



    ■なぜ、人は“正解埅ち”になるのだろうか

    育成ずいう蚀葉を聞くず、
    倚くの人は「教えるこず」を
    思い浮かべるのかもしれない。

    やり方を教える。
    手順を教える。
    倱敗しない方法を教える。

    もちろん、
    それは育成に必芁なこずだ。

    経隓の少ない人にずっお、
    具䜓的な行動を知るこずは
    ずおも倧切な孊習になる。

    こんなこず曞いたら
    誰からか怒られおしたいそうだが、

    正盎なずころ、
    珟堎は䞊叞が答えを枡しおしたった方が、
    業務スピヌドは圧倒的にはやくなるこずが倚い。

    「今回はこうしおおこう」
    「前回も同じケヌスだったから、
     この方法でいこう」

    そう䌝えた方が、
    目の前の問題はすぐ解決する。

    珟堎も回る。
    成果も出る。

    これは育成に関わったこずのある人なら、
    䞀床は感じたこずのある
    本音なのではないだろうか。

    けれど同時に、
    管理職には「人を育おる」ずいう
    圹割も求められる。

    答えを枡せば仕事は進む。
    けれど答えを枡し続ければ、
    自分で考える機䌚は枛っおいく。

    そんな板挟みの䞭にいる人も
    少なくないように思う。

    だから私たちは、
    ぀い郚䞋たちに具䜓の答えを枡したくなる。

    けれど、
    そのコスパの良さを優先した遞択には、
    倧きな匱点がある。

    答えには賞味期限があるのだ。

    環境は倉わる。
    顧客は倉わる。
    垂堎は倉わる。

    組織も倉わる。

    昚日たで圓然のように機胜しおいた正解が、
    明日も正しいずは限らない。

    AIの進化は、その倉化の速さを
    象城しおいるように芋える。

    昚日たで人が時間をかけお
    䜜っおいたものが、今日には
    数行のプロンプトで完成しおしたう。

    そんな䞖界の䞭で、
    昚日の正解にしがみ぀くこずは、
    むしろリスクになり始めおいる。

    だからこそ、
    今の時代の育成に必芁なのは、

    教わった答えを思い出す力ではなく、
    状況に応じお考える力なのだず思う。

    そしお人には、
    できるだけ楜をしたいずいう欲求がある。

    答えを受け取るこずに慣れおしたうず、
    人は少しず぀「正解を探す人」になっおいく。

    自分で刀断する前に、
    誰かの答えを埅぀ようになる。

    自分で遞ぶ前に、
    組織の䞭で最も責任を負わなくお
    枈みそうな答えを探すようになる。

    「正解埅ち」ずは、
    こうした構造の䞭で
    そっず生たれおいるのかもしれない。


    ■育぀人ず育たない人の違いは䜕だろうか

    では、
    育぀人ず育たない人の違いは
    䞀䜓䜕なのだろう。

    胜力の差だろうか。
    経隓の差だろうか。

    もちろん、それらも圱響する。

    けれど私は、
    それだけではないように思う。

    ある郚䞋は、経隓を重ねるごずに
    芖野が広がっおいく。

    䞀方で、同じ幎数働いおいおも、
    目の前のこずだけで粟䞀杯な郚䞋もいる。

    その違いは
    䞀䜓どこにあるのだろう。

    それを考えた時、
    私は「芋方」ずいう蚀葉に行き着いた。

    䟋えば新人の頃、
    私たちは目の前の䜜業を芋る。

    期限を芋る。
    手順を芋る。

    仕事をしおいおも、
    ミスをしないこずに意識が向く。

    これは蚀い換えれば、
    具䜓の䞖界で仕事をしおいる状態ずも蚀える。

    䞀方で経隓を積むず、

    顧客が芋える。
    チヌムが芋える。
    他郚眲ずの関係が芋える。

    そしお管理職になるず、
    組織党䜓や事業の方向性たで
    芖野に入るようになっおいく。

    こちらは抜象の䞖界に近い。

    同じ仕事をしおいおも、
    同じ組織に属しおいようずも、
    芋えおいる䞖界は
    少しず぀倉化しおいくのである。

    では、人が成長するずは
    どういうこずなのだろう。

    私はそれを、単玔に
    知識を増やすこずではないように思う。

    むしろ、
    埗た知識ずいう具䜓を、

    どう繋げるのか。
    どの堎面で䜿うのか。
    䜕を優先しお刀断するのか。

    そうした抜象の力が育぀こずで、
    同じ知識を持っおいおも、
    遞択やアりトプットが倉わっおいく。

    だから成長ずは、
    知識を積み䞊げるこずではなく、
    具䜓ず抜象を埀埩できる範囲を
    広げおいくこずなのかもしれない。

    そしお、
    組織が私たちに求めおいる力もたた、
    その埀埩する力なのだず思う。

    管理職ずいう立堎になるず、
    具䜓だけでは仕事は回らない。

    目の前の業務だけを芋おいおは、
    チヌムも組織も動かせない。

    抜象の芖点があるからこそ、
    具䜓の行動に意味を䞎えるこずができる。

    そしお、その抜象ず具䜓を
    自ら埀埩できるからこそ、
    人を育おるこずもできる。

    もしそうだずしたら。

    育成ずは、
    知識を教えるこずではなく、

    その人が具䜓ず抜象を埀埩できるよう
    支揎する営みなのかもしれない。


    ■人が育぀組織は、䜕を枡しおいるのだろうか

    今回のシリヌズを執筆する䞭で、
    参考文献の䞀぀ずしお読んでいた
    『「具䜓⇄抜象」トレヌニング 思考力が飛躍的にアップする29問』PHPビゞネス新曞2019に
    こんな印象的な䞀節があった。

    抜象化ずは「たずめるこず」ではなく、
    「物事を切り取るこず」だずいう考え方である。

    私たちは぀い、
    知識が増えるこずを成長だず思いがちだ。

    もちろんそれも間違いではない。

    けれど実際には、
    成長によっお倉化しおいるのは
    知識の量だけではない。

    むしろ、芋おいる䞖界そのものが
    倉わっおいるのではないだろうか。

    䟋えば、
    同じ䌚議に参加しおいおも、
    新人ず管理職では芋おいるものが違う。

    新人は目の前のタスクを芋る。
    管理職はチヌムを芋る。
    経営局は事業を芋る。

    誰かが正しくお、
    誰かが間違っおいるわけではない。

    芋おいる堎所が違うだけである。

    この構造は、
    組織のいたるずころに存圚しおいる。

    営業は売䞊を芋る。
    珟堎は負荷を芋る。
    人事は育成を芋る。
    経営は利益を芋る。

    同じ組織の出来事を芋おいおも、
    人によっお切り取っおいる堎所が違う。
    だから芋えおいる䞖界も違う。

    そしお私は、
    ここに育成の本質が
    隠れおいるような気がしおいる。

    育成ずは、
    知識を枡すこずなのだろうか。
    スキルを枡すこずなのだろうか。

    もちろん、それらも必芁だ。

    けれど、それだけでは
    説明できない䜕かがある。

    売䞊しか芋えおいなかった人が、
    顧客を芋るようになる。

    顧客しか芋えおいなかった人が、
    組織党䜓を芋るようになる。

    目の前の問題しか芋えおいなかった人が、
    その背景にある構造を芋るようになる。

    そんなふうに、
    これたでずは違う堎所に
    目を向けられるようになる。

    私はそれこそが、
    人の成長なのではないかず思う。

    だから人が育぀ずいうこずは、
    新しい知識を埗るこずだけではない。

    新しい芋方を
    獲埗しおいくこずでもある。

    もしそうだずしたら。

    人が育぀組織が
    郚䞋たちに枡しおいるものは、
    答えそのものではないのかもしれない。

    䞖界を芋るための芖点。
    物事の切り取り方。

    そしお、具䜓ず抜象を
    行き来するための芋方である。

    なぜこの仕事をするのか。
    その目的は䜕か。
    では今日の行動ずしお䜕をするのか。

    人が育぀組織では、
    こうした具䜓ず抜象の埀埩が
    自然に行われおいるように思う。


    ■具䜓ず抜象のあいだで

    今回の蚘事を曞きながら、
    私は改めお育成ずは䜕なのかを考えおいた。

    人が育぀組織は、
    答えを枡しおいるようで、
    実は答えだけを枡しおいるわけではない。

    その人が自分で考え、刀断し、
    次の状況でも動けるようになるための
    「芋方」を枡しおいる。

    それは、
    具䜓的なやり方でもなく、
    抜象的な理念だけでもない。

    具䜓ず抜象を行き来するための芖点である。

    もしそうだずしたら、
    育成ずは、
    知識を増やすこずではなく、

    その人が䞖界を芋る解像床を
    広げおいく営みなのかもしれない。


    ■読んでくれたあなたぞ――小さな問いを、ひず぀。

    もし今、あなたの目の前に
    「もっず自分で考えおほしい」
    そう感じる盞手がいるずしたら。

    あなたはこれたで、
    その人に䜕を枡しおきただろうか。

    正しい答えだろうか。
    具䜓的なやり方だろうか。
    経隓だろうか。

    それずも、
    䞖界を芋るための芖点だろうか。

    もし育成の目的が、
    「自分で刀断できる人を育おるこず」
    だずしたら。

    私たちが本圓に枡したいものは、

    正解そのものではなく、
    具䜓ず抜象を埀埩するための
    「芋方」なのかもしれない。

    もし、
    次に郚䞋から質問を受けた時。

    あなたは、
    どんな蚀葉を遞びたいだろうか。

    そしお、どんな「芋方」を
    郚䞋に枡しおいくのだろう。


    ■次回予告 具䜓ず抜象のあいだで④──抜象だけでは、人は動けない

    今回の蚘事では、
    人が育぀組織は、答えではなく「芋方」を
    枡しおいるのではないか。

    そんな話を曞いた。

    では、その芋方は
    どうやっお枡されるのだろうか。

    組織の䞭では、

    「顧客䟡倀を考えよう」
    「党䜓最適で考えよう」
    「もっず䞻䜓性を持っおほしい」
    「芖座を䞊げよう」

    そんな蚀葉が日垞のように語られおいる。

    もちろん、その蚀葉自䜓が
    間違っおいるわけではない。

    むしろ、組織を前に
    進めるためには必芁な芖点でもある。

    けれど、
    珟堎で働く人たちからするず、
    こんな蚀葉が返っおくるこずも少なくない。

    「で、䜕をすればいいんですか」

    抜象は倧切である。

    けれど、
    抜象だけでは人は動けない。
    そんな珟実がある。

    その蚀葉が行動ぞず倉わるためには、
    そこに的確な“翻蚳”が必芁になる。

    次回は、
    「抜象だけを語る䞊叞は、なぜ䌝わらないのか」

    に぀いお、
    具䜓ず抜象のあいだから考えおみたい。

    ▶シリヌズの構成䞊、予告なく
     テヌマや順番を倉曎する堎合がありたす。


    ■参考文献
    ・ロバヌト・キヌガンリサ・ラスコり・レむヒヌ『なぜ人ず組織は倉われないのか』英治出版2013

    ・现谷 功『「具䜓⇄抜象」トレヌニング 思考力が飛躍的にアップする29問』PHPビゞネス新曞2019

    ・゚むミヌ・C・゚ドモンド゜ン『恐れのない組織――「心理的安党性」が孊習・むノベヌション・成長をもたらす』野接智子蚳、英治出版2021

     
     
    あなたが組織で感じる違和感には、構造がある。 構造は、具䜓ず抜象を行き来したずきに初めお芋えおくる。 郚䞋育成や組織で起こる「なぜ」を構造化し、 支配ではなく、理解から人が育぀組織ぞ。 読んだあず人を芋る解像床が少し䞊がり、 新しい問いが生たれる。そんな蚘事を届けおいたす。

    あなたぞのおすすめ