
夏の音
暑くなってきたので、風鈴を出しました。
窓を開けてやると、良い音を響かせています。
カラン、カラン。
まるくて薄い貝殻が連なった糸が、四本吊り下げられて、貝殻同士がぶつかって音を奏でる、風鈴です。
小さい頃、沖縄旅行で買って貰ったものです。
もう、何年前になるでしょう、思い出せないくらいの月日を、ここに過ごしてきたのです。
あるときはしまい込まれて、埃を被っていました。
あるときは吊るされたまま、半ば忘れられて年を越していました。
もとは四色、ピンク、水色、黄色、白の貝殻だったはずですが、今では褪せてしまって、辛うじてピンクだけが残っています。
からからに乾いた音も、ずっと前には、潮のさざなみが残っていたのかもしれません。
それでも、毎年、毎年、ぱらりと割れてしまいそうな音色で、やわらかく、つよく、夏を伝えていました。
今、水色の空を浴びて、遠くの山を仰いで、カランカランと、ただ幸せそうに風に揺れています。