
【フラグ折りまくるので放っておいてくれませんか? ~転生少女は目の前のことに忙しい~】第ニ章 -1-
ナニアが目を覚ました時には、すっかり日が傾き始めていた。
「ナニア様ぁぁぁぁ!!」
目を開けると、勢いよく抱きついてきたのはレインだった。
「もう二度と起きないんじゃないかって……っ、うぅぅ……!」
大粒の涙を流して泣きじゃくるレインを、ナニアは苦笑しながら優しく撫でる。
「ごめんなさい。心配かけちゃったわね。」
「本当ですよぉ……!」
ようやく落ち着いたところで、ラインが一歩前へ出た。
「お嬢様がお眠りになられた後のことをご報告いたします。」
ラインの話によると、アーニャはナニアの力によって聖女の力を覚醒させ、そのままミーナの治療に成功したらしい。
幸いミーナの容態も安定し、今は自宅で療養しているとのことだった。
ただ、その代わりにナニアが倒れ、そのまま目を覚まさなかった。
突然倒れたナニアを見て、アーニャは自分のせいだとひどく責任を感じていたそうだ。
「……それは、申し訳ないことをしたわね」
助けるつもりが、逆に心配をかけてしまった。
ナニアは小さく反省する。
「アーニャ様は毎日のようにこちらへ足を運ばれています。本日も恐らく、お見えになるかと」
「毎日……?」
思っていた以上だった。
さらに、ラインは続ける。
「あの場の対応につきましては、ディディ様にもご協力いただきました。関係各所へ話を通してくださったおかげで、大事には至っておりません。」
どうやらラインはすぐにディディへ連絡を入れ、診療所で起きた出来事が騒ぎにならないよう手を回してくれていたらしい。
その後、気を失ったナニアをロナウドの屋敷まで運び、落ち着くまで付き添ってくれていたという。
(……やっぱり、あれは気のせいじゃなかったのね。)
頭を撫でられた温もり。
一度目を覚ました時、ヴィヴィが隣にいたこと。
あれは夢ではなかったらしい。
(寝顔まで見られたと思うと……さすがに恥ずかしいわね。)
相手はただの幼なじみ。
それでも、一番気を許している相手だからこそ、これ以上気の抜けた姿を見られたくはない気もする。
そんなことを考えていると――。
「ナニア様。アーニャ様がお見えになりました」
予想通りの来客に、ナニアは「どうぞ。」と小さく返事をした。