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日垞、時々、劖退治䞉条院家の䞉兄匟 第3話

    第3話 垞束家の来蚪

    烏間町ヌヌヌ。

    昌䞋がりの時間。
    喫茶・猫の目ずいう店の䞭は、柔らかな光が差し蟌み、心地よい音楜が流れ、銙ばしいコヌヒヌの銙りに包たれおいた。

    オヌナヌである䞉条院季乃は、䞀人の老人ず話をしおいる。

    「ああ やっぱり誉くんのご䞡芪にこの町を䌝えたのは竜さんだったんですね。」

    竜(りゅう)ず呌ばれた男性は、えんじ色のベレヌ垜を被り、自分の癜い顎髭を觊りながらニダリず埮笑んだ。

    「ハハッ、圌らは息子のために䞀生懞呜なのに、成果が䌎っおいなかったからなぁ。ここに来れば遭遇率は増えるが、それよりも心を通わせる人間にも出䌚えるず思ったんだよ。たさか、いきなりお前さんたちず知り合うずは、思っおなかったがな。」

    竜さんは目のしわを深めお深めお笑みをこがす。
    ちなみにこの竜ずいう男も、芖える偎の人間である。

    「垌備ず同じ孊校で、劖に襲われおいるずころに出くわしたらしいですよ。遭遇率もそうですが、危険床も増すじゃないですか。そこは考えおいたんですか」

    䞍服げな衚情の季乃に、竜はにっこり笑顔を向けた。

    「なあに、お前さんたちがいるんだ。それに、もう瞁も出来た。これで危険な目にあったら、お前さんたちのせいじゃな。」

    ファッファッファず笑いながら、竜は季乃のいれたコヌヒヌをすする。

    季乃はため息を぀いお、ボ゜ッず呟く。

    「最初からその぀もりなくせに  。」

    「ふふふ。さあ、おかわりを頌むよ。」

    「はいはい。」

    日垞の䞭に玛れた、非日垞。
    これが喫茶・猫の目のい぀もの光景だった。

    キヌンコヌンカヌンコヌン  。

    「垞束くんたたねヌ」

    「うん、䞊根さんもたたね。」

    日盎の仕事を終えお、他のみんなより少し遅めに垰ろうずする誉。
    ふず窓から倖を眺めるず、垌備やその友達がサッカヌをしおいた。

    䞀週間前のこずが倢みたいだ、ず誉は思いにふける。

    スラむムのような物䜓に抌し぀ぶされそうになった日、䞉条院の䞉兄匟ず出䌚っおから、誉の呚りは劇的に倉化した。

    以前は幜霊のような倉なものが芖えるこずで、虐められ、家族以倖に頌るこずが出来なかった。
    䞡芪も芖える蚳ではないが、息子のために働きながら暡玢しお行動する姿に感謝しかない。
    しかし、芖えるこずが原因でたた迷惑をかけるかもしれない、そんな思いが垞にあった。

    だが、この烏間町にきお、同じように芖える存圚がいた。しかも䞉兄匟党員が芖える偎だず蚀う。
    こんな奇跡があるなんお、なんお幞運なんだろう。

    「ゎヌヌヌル」

    垌備がシュヌトを攟ち、それが芋事に決たるず、呚りがワッず沞き立぀。

    「垌備さん、すごい」

    思わず独り蚀を呟いおしたい、ハッずしお呚りをみたが、誰もいないこずを確認しおほっずする。

    「  あ、もう気にしなくおいいんだ。」

    ぀い取っおしたった行動に察し、誉は思った。

    垌備たちず出䌚った次の日、登校䞭に垌備に誘われお、攟課埌に䞋玚生も䞊玚生も合わさっお、サッカヌをした。

    するず、クラスメむトの子が声をかけおくれお、ようやくクラスに銎染むきっかけが䜜れたのだ。

    どうやらクラスメむトたちは、誉がい぀も暗そうにしおるので、䜓調が悪いかもず心配しおいたらしい。
    元気にサッカヌをしたこずにより、誀解が解けたのだ。

    そしお垌備の存圚も倧きかった。
    孊校で人気者、みんなにやさしく面癜いず知られる垌備ず芪しげなこずで奜感を持った人間もいたようだ。

    「あ、垌備の友達の誉くんじゃん。じゃヌなヌ」

    サッカヌを䞀緒にやったずもくんだ。

    「うん、バむバむ」

    昇降口ですれ違うず、顔を芋ただけで話しかけお貰えるこずが増えた。少しず぀、銎染んできおいる実感を噛み締め、誉は孊校をあずにする。

    攟課埌。

    誉はランドセルを背負ったたた、喫茶・猫の目の扉をそっず抌した。

    カラン、ず鈎の音が鳎る。

    「いらっしゃい  あ、誉くん。」

    カりンタヌに立っおいた季乃が、穏やかに目を现め、迎え入れおくれた。

    「この前は、ありがずうございたした」

    ぺこり、ず深く頭を䞋げる誉。

    「䞡芪が、改めおお瀌をしたいっお蚀っおいお  。ご郜合のいい時間を䌺えたらず思っお来たした。」

    「はは、そうなんだ。気を䜿わなくおいいのに。」

    季乃は小さく笑っお、グラスにオレンゞゞュヌスを泚ぐ。

    「座っお。喉也いおるでしょ。」

    「あ、ありがずうございたす今日はちゃんずお金払いたす」

    「ふふ、分かったよ。」

    季乃がカりンタヌにグラスを眮くず、誉は少し高めの怅子によじ登るように座った。

    「いただきたす。」

    少しゞュヌスを口に含んだあず、誉は少し迷っおから、ごくんず飲み蟌んで口を開いた。

    「  あの、みなさんが芖えるこず、ただ䞡芪には話しおなくお  。車で送っおくださったこずだけ、䌝えおるんです。」

    「 そうなんだね、もう話しおたず思った。」

    自分の分のコヌヒヌを甚意しながら、季乃は答えた。

    「話しおも  倧䞈倫ですか」

    季乃が甚意したコヌヒヌを持っお誉の隣に座る。誉は銙ばしい銙りが少し緊匵を解しおくれるのを感じた。

    「誉くんは、話したくない」

    「ち、違うんです。ただ  僕がこのこずを話したら、䞡芪はきっず嬉しいず思うんです。でも  季乃さんたちに、䜙蚈な気を遣わせちゃうかなっお。」

    誉は芖線を萜ずし、グラスを䞡手で包んだ。

    季乃はゆっくりコヌヒヌを飲み、カップを眮いお小さく息を぀いた。

    「  芖えるっおこずは、分かっおもらえるこずより、分かっおもらえないこずの方が倚い。そのせいで、誉くんも蟛い思いをしおきた。だから、俺たちに気を遣っおくれおるんだろ」

    静かな声。

    「蚀わない方がいい堎合もある。それを分かっお蚀っおくれおるんだね。」

    誉は小さく頷く。

    「ヌヌヌ誉くん。」

    季乃は誉の方に身䜓を向けお続ける。

    「誉くんのご䞡芪は、ちゃんず誉くんのこずを信じおいる人たちだろ」

    その蚀葉に、誉は顔を䞊げる。

    「この烏間町に君を連れおきたのも、きっずご䞡芪が色々考えた䞊だず、俺は思うよ。」

    目は、たっすぐでやさしい。

    「誉くんが話したいなら、話しおいい。その決断を、俺たちは尊重するよ。」

    「  本圓に」

    誉の胞が、じんわり枩かくなる。

    たただ。

    この人は、無理に背䞭を抌さない。
    でも、ちゃんず隣に立っおくれるのを感じる。

    「  ありがずうございたす。」

    今床は、自然に笑えた。

    「それに。」

    季乃の蚀葉に、誉は顔を䞊げる。

    「俺たちはきっず君の力になれる。」

    続きの蚀葉を話す季乃の衚情は、い぀もず倉わらなく芋えるが、どこか確信めいたものが䌝わっおきた。

    「  僕の、力に」

    数日埌、誉が䞡芪を連れお再び喫茶・猫の目を蚪れた。

    誉の䞡芪に合わせお䌑日の日を遞び、猫の目の営業開始前の時間で䌚うこずになっおいたのだ。

    「初めたしお、誉の父です。」

    「母です。本日はお時間をいただき、ありがずうございたす。」

    爜やかな印象の父ず、穏やかな母。芋た目の印象だず、誉は母芪䌌のようだ。

    「初めたしお。䞉条院季乃ず申したす。どうぞ、こちらぞ。」

    季乃が出迎え、店の奥ぞ案内する。䜏居ず䞀䜓型になっおいるリビングの゜ファに、垞束家の䞉人を通した。

    「改めたしお、本日はわざわざお越しいただきありがずうございたす。」

    季乃が蚀うず、䞡芪は深く頭を䞋げる。

    「ずんでもないです。この床は息子の誉がお䞖話になり、本圓にありがずうございたした。」

    誉も䞀緒に頭を䞋げた。

    「頭をお䞊げください。私たちは特別なこずは䜕もしおおりたせん。」

    季乃がそう蚀うず、父芪が顔を䞊げる。

    「いえ  誉が、あんなに楜しそうに孊校ぞ通う姿を久しぶりに芋たしお。どうお瀌を申し䞊げればよいのか。」

    その蚀葉に、母も静かに頷く。

    「倱瀌ながら、䞉条院さんは芖えないものが芖える方だず誉から聞きたした。私たちは、理解しようずしおも理解しきれず  それがもどかしくお。」

    母は誉の肩にそっず手を眮く。

    「だからこそ、この子ず同じものが芖える方が近くにいおくださるこずが、心匷いのです。」

    季乃は静かに耳を傟け、やわらかく埮笑んだ。

    「そうおっしゃっおいただけるず、ありがたいです。誉くんが安心しお過ごせる堎所の䞀぀になれれば、それで十分です。」

    その時、キッチンから綺理が姿を珟した。

    「お茶ずお菓子です。手䜜りですが、よろしければ。」

    湯気の立぀緑茶ず、ふんわりず焌き䞊がったシフォンケヌキが䞊ぶ。

    「あら、手䜜りなんですか」

    母は目を茝かせる。

    「お䞊手ですね。」

    そう蚀いながら䞀口食べるず、ぱっず顔がほころんだ。

    「たあ  おいしいあなた、誉、ずっおも矎味しいわよ。」

    父ず誉も遠慮がちにフォヌクを入れる。

    「  本圓だ。」

    誉は、䞡芪が自然に笑っおいる姿を芋お、胞の奥があたたかくなるのを感じおいた。
    その様子を芋お、綺理が小さく目を现める。

    「お口に合ったようで、よかったです。」

    穏やかな空気が郚屋を包む。

    「䞉条院綺理ず申したす。季乃の匟で、補菓を孊んでおりたす。」

    季乃の隣に腰を䞋ろし、綺理は䞁寧に䌚釈をする。

    「ああ、匟さんは補菓孊校に通われおいるんですね。どうりで矎味しいわけだ。」

    父は感心したように頷いた。

    「よかったら、ぜひ䜜り方を教えおいただきたいわ。」

    母はすっかり䞊機嫌だ。

    綺理の“矎味しいもので和たせよう䜜戊”は、芋事に成功しおいる。

    「もう䞀人、匟がいるのですが  あいにく今日は――」

    その瞬間。

    ガチャッず勢いよく扉が開いた。

    「ここにいたヌヌす」

    「  。」

    䞀瞬の静寂。

    「垌備さん」

    「誉くん」

    二人はぱっず駆け寄り、顔を芋合わせお笑い合う。

    その無邪気な様子に、䞡芪は驚き぀぀も、どこか安心したように目を现めた。

    「垌備  。」

    季乃はこめかみを抌さえ぀぀、小さく咳払いする。

    「倱瀌したした。 末の匟、垌備です。」

    「君が垌備くんか誉の友達になっおくれおありがずう。」

    父は嬉しそうに手を差し出す。

    「たあ、思ったより可愛らしいのね。」

    母も柔らかく埮笑む。

    垌備は䞀瞬きょずんずしたあず、にぱっず笑い、父芪ず握手する。

    「䞉条院垌備ですよろしくお願いしたす」

    そしお小さく付け足す。

    「誉くんずは、もう芪友です」

    誉が慌おお顔を赀くする。
    リビングに、穏やかな笑い声が広がった。

    垌備は友人ずの玄束を早めに枈たせお垰っおきたらしい。綺理の隣に腰を䞋ろしたずころで、季乃が静かに口を開いた。

    「䞀点だけ、我々から皆さんにお䌝えしおおきたいこずがありたす。」

    その真剣な県差しに、誉の父母は自然ず姿勢を正す。

    「この䞖には、䞀般の方には芋えない存圚が少なからずおりたす。誉くんが芖えおいるものは、その䞀郚です。  残念ながら、あたり良い存圚ずは蚀えないものが倚い。」

    誉は䞀瞬目を䌏せお、再び季乃に芖線を戻した。

    「誉くんから、ご䞡芪がこれたで誉くんのために様々な行動をされたず䌺っおいたす。  合っおいたすか」

    父はゆっくりず頷いた。

    「ヌヌヌはい。私ず劻は、どうしおも誉ず同じ立堎にはなれたせん。だからこそ、どうにかしたくお、色々な方に助力を請いたした。しかし  未だに解決策は芋぀かっおいたせん。」

    膝に眮いた拳を握り締め、父は申し蚳なさそうに誉ぞ芖線を向ける。

    誉は唇を噛み、それから父の手に自分の手を重ねた。

    「僕のために、いっぱい考えおくれおるこずだけで嬉しいよ。だから、そんな顔しないで  。」

    その芪子の姿を芋ながら、季乃は県鏡をクむッず䞊げ、懐から䞀枚の札を取り出しおテヌブルに眮いた。

    「私たちは、そうした芖える人にその圱響が及ばないよう、芋守る立堎にありたす。」

    「芋守る、ずは  これは埡札ですか」

    父が札を芋぀めながら問いかける。

    「烏間町は、昔から目に芋えないものが集たりやすい土地なんです。そのため、それに察凊する術も発達しおきたした。その術を受け継ぐのが䞉条院家。  私たち兄匟です。」

    「え」

    芪子揃っお驚きを隠せない。芖線が自然ず垌備ぞ向く。

    「にひっ僕、結構匷いよ。」

    無邪気に笑う垌備。しかし誉は戞惑いを隠せない様子だ。

    季乃は垌備を䞀瞥し、話を続けた。

    「竜さん  北門さんにこの町を玹介されたず聞いおいたすが、詳しいこずは䌺っおいたせんか」

    「え北門さんずもお知り合いなんですか  ええ、あの方に玹介されたした。この町なら、きっず助けおくれる人たちがいるず。藁をも掎む思いで越しおきたのですが  たさか、こんなにお若いずは。」

    父は正盎にそう蚀う。

    「私たちは比范的若い方ですね。もちろん、この町や他の堎所でも動いおいる同業はいたす。衚に出ないだけで。」

    ただ半信半疑の様子の䞡芪。

    その時、垌備が䞀枚の札をひらりず取り出した。

    「芋せた方が早いんじゃないほら」

    「  垌備。」

    季乃の声にはわずかに制止の色が混じる。

    しかし止める隙もなく、その札からぜん、ず小さなハムスタヌが珟れた。

    「わっ」

    「えどうした」

    「䜕かあったの」

    誉の声に反応し、䞡芪が心配そうに身を乗り出す。

    「ず、父さんも母さんも芖えないのは、ハムスタヌが  」

    「あ、今芋えるようにするね。」

    垌備が札に念を蟌めるず、淡い光が䞡芪の目の前をかすめた。

    次の瞬間。

    「  え」

    「たあ  可愛らしい」

    䞡芪にも、小さなハムスタヌの姿がはっきりず芋えおいる。

    「え、今床は芖えおるの  」

    誉は、二人が自分ず同じように芋えおいるこずに驚きを隠せない。

    「これは匏神です。䞀時的に圢を䞎えた存圚ですね。」

    綺理が穏やかに補足する。

    父は深く息を吞った。

    「  ぀たり、こうした術を扱える方々が、この町を守っおいるず」

    「倧げさなものではありたせん。ただ、察凊できる者がいるずいうこずです。」

    季乃はテヌブルの札を軜く指で抌した。

    「こちらは護りの札です。」

    垌備がハムスタヌを近づけるず、ぱち、ず小さく光が匟けるように反応した。
    匷い衝撃ではないが、ハムスタヌはその札に近づけず、離れおから姿を消した。

    「怪しいものが觊れるず、こうなりたす。」

    季乃が説明するず、垌備はにこっず笑う。

    「ちゃんず効くよ効力バッチリです」

    芪子は驚き぀぀も、目を逞らさない。
    誉もぱちくりず䞉人を芋぀めおいた。

    「  匟が倱瀌したした。」

    季乃は小さくため息を぀いた。

    「この札が発動するず、僕たちに知らせるよう䜜っおいたす。なので誉くんが危ない時、必ず僕らが助けに向かうずいうこずを知っおいただきたくお。」

    綺理が補足するず、父芪はその札を手に取る。

    「私たちには、いざずいう時に誉を守る力がありたせん。ヌヌヌ䞉条院家の皆さん、どうか、よろしくお願いしたす 」

    誉ず䞡芪を芋送るため、䞉兄匟は店の倖ぞ出た。
    空はすでに赀く染たり始めおいる。

    「本日はお時間をいただき、ありがずうございたした。䜕かありたしたら、すぐにご連絡ください。」

    季乃は誉の父芪ず握手を亀わした。

    「こちらこそ、貎重なお時間をいただきありがずうございたした。  ただ頭が远い぀いおいない郚分もありたすが、今たでで䞀番、誉の悩みを理解できた気がしたす。」

    母芪も誉の頭を優しく撫でたあず、深く頭を䞋げる。

    「今埌ずも、どうぞよろしくお願いいたしたす。」

    家族䞉人で䞉兄匟にお蟞儀をする。

    それに応えるように、季乃はにっこりず埮笑んだ。

    「はい。こちらこそ、よろしくお願いしたす。」

    誉たち家族の背䞭を芋送りながら、䞉人はしばらくその堎に立っおいた。

    ふず、垌備がぜ぀りず呟く。

    「ヌヌヌ なんか、理想の家族っお感じだったね。」

    さあっず颚が吹き、垌備の髪を揺らす。
    するず、季乃ず綺理が同時に、コツンず垌備の頭に拳を圓おた。

    「なんだ俺たちじゃ満足できないっおこずか」

    「えそんなこず蚀っおな  。」

    綺理がさらりず続ける。

    「今日は垌備の奜きなバタヌチキンカレヌだよ。」

    「」

    垌備の目が䞀瞬で茝いた。

    「早く䞭入ろ」

    慌おお家の䞭に駆け蟌み、振り返っお手を振る。

    「兄ちゃんたち、早く」

    その笑顔に、季乃ず綺理は思わず笑みをこがす。

    二人が扉ぞ向かおうずした、その時。

    ヌヌヌ。

    季乃がふず、足を止めた。
    䜕かを感じお、ゆっくりず振り返る。

    そこにはヌヌヌ。
    癜い着物を纏い、顔を垃で芆った人の圢の䜕かが立っおいた。

    手玙のような玙を差し出すように、静かに近づいおくる。

    「䞉条院様。ご䟝頌曞でございたす。お受け取りください。」

    男ずも女ずも぀かない声。

    季乃は差し出された手玙を受け取り、䞭身に目を通す。

    「  承った、ず䌝えおくれ。」

    癜い人の圢をしたそれは、深く䞀瀌した。

    するずその姿はすうっず薄れおいき、代わりに人型に切り抜かれた玙だけが残る。

    玙はふわりず颚に乗り、そのたた空の向こうぞず流れおいった。

    「兄貎。」

    扉を開けたたた、綺理が埅っおいる。

    季乃は軜く溜息を぀き、手玙をひらひらず顔の暪で揺らした。

    「䞭で説明する。」

    そう蚀っお家の䞭ぞ入り、静かに扉を閉めた。


    ヌヌヌその数キロ離れた堎所。

    䞀぀の人圱が立っおいた。

    扉が閉たるのを芋届けるず、その圱もたた静かに姿を消す。

    空を芋䞊げるず、䞀番星が瞬いおいた。

    長い倜が、始たろうずしおいる。

    ※こちらは連茉しおいるものを創䜜倧賞甚に再線集したものです。

    #創䜜倧賞2026
    #ファンタゞヌ小説郚門

     
     
    はじめたしお、瞁果里です。 物語ず䞖界を描く掻動をしおいたす。 オリゞナルストヌリヌの䞖界蚭定やキャラクタヌ案、むラスト制䜜、小説を䞭心に発信。 絵はアナログ×AIが倚め。 ココナラでの創䜜䟝頌や、応募䜜品の公開なども予定しおいたす。 Instagram・pixivでも掻動予定。

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