移住先のサッカーチームのサポーターになった
僕はサッカーが好きだ。
海外に応援しているチームがある。
ただ、応援できるのはいつもテレビ越しだった。
現地のスタジアムへ通えるわけでも、その街で暮らしているわけでもない。
画面の向こうでは、街にクラブがあり、生まれたときから同じチームを応援し、その習慣が親から子へ受け継がれていた。
フットボールが特別なイベントではなく、生活の一部になっている。
僕は、そんな文化にずっと憧れていた。
ただ、東京で30年暮らしても、スタジアムへ通って応援する「自分のチーム」はできなかった。
東京にはJリーグのクラブがいくつもある。
でも、選べるものが多いぶん、地域も細かく分かれている。
同じ東京のクラブでも、自分が暮らす半径から少し離れると、どこか別の街のチームに見えた。
富山への移住が決まったとき、カターレ富山を応援しようと思った。
特定の選手を知っていたわけでも、昔から試合を見ていたわけでもない。
これから自分が暮らす街のチームだから。
それだけで、僕には十分だった。
移住して一週間。
初めてスタジアムへ行き、ユニフォームを買った。
それを着て客席に座り、ピッチを見た瞬間、「やっと応援できる」と思った。
試合が始まると、ファールに声を上げ、ゴールを喜んだ。
そして試合終了間際、カターレが劇的な同点ゴールを決めた。
気づけば、隣に座っていた知らない人とハイタッチしていた。
その瞬間にサポーターになった、というより、もうそのときにはサポーターだったのだと思う。
サポーターになるのに、契約も資格もいらない。
応援したいと思って、同じユニフォームを着て、同じ方向を見て、勝ってほしいと本気で願う。それだけでいい。
ずっと憧れていた、生活の中にフットボールのある日々が、富山で始まった。
