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Photo bytama3ro

薄暗い朝に、娘と走った3日間

    エンガワ

    今年こそ運動しなきゃ、と思いながら、
    気づけばもう今年も残り少し。

    着実に体力は落ちている。

    夫が今年も勝手に申し込みやがった
    私と次女の分の親子マラソンも、気づけば目前だ。

    毎年ぶっつけ本番で挑んできたけれど、
    今年は無理かもしれない。
    小1の次女のペースには、もう追いつける気がしない。

    「これは練習しないと、お前やばいぞ。」

    体のどこかがそう言っていたのだろう。
    気づけば、「明日の朝、走ろっかなぁ」と呟いていた。

    ……え?私が、今言った?
    走りたくないんだけど。
    休日くらいゆっくり寝てたいんだけど。

    「いいね! 私も走ろうかな!」
    長女がすかさず乗ってきた。
    朝が弱い長女よ、なぜだい。
    と思いつつ、もう後には引けない。
    5:30スタートの約束をした。


    5:25。
    長女に起こされ、三連休の初日が始まった。
    「まだ暗いね。夜じゃん…さむっ」

    外はまだ真っ暗だ。
    街灯だけがぽつんと光っている。

    その光に照らされた白い息が、
    走るたびふわっと揺れる。

    数分前まで布団でぬくぬくしていた私には、それが身に染みる。

    人通りはない。
    ただ空気だけが、やけに澄んでいた。

    「ママおっそ!」と言いながらも、
    長女は私のペースに合わせて走ってくれる。

    息が続くのか心配になるくらい、今欲しいシールの話からバスケ、詐欺電話を撃退したクラスの子の武勇伝まで、次から次へと話してくる。


    しばらくして、ふっと間を置いて、

    「……ママとゆっくり話せるの久しぶり!」

    と、少し弾んだ声で言う。

    私は年中鼻炎+久しぶりの運動+冬の乾燥で口の中がカラカラ。
    息切れで相槌を打つのがやっとだったが、
    そんな娘のテンションが嬉しかった。

    気づけば、空がほんのり明るい。
    東のほうが、ゆっくり色を変えていく。

    足を止めて朝日を眺めた。
    思いっきり息を吸うと、
    冷えた肺に、光が届くみたいだった。

    「気持ちいいね〜! 綺麗だねぇ!」
    長女が言う。
    うん、ママも同じこと思ってた。

    家の近くのコンビニで娘の選んだあったかいお茶を買い、
    すぐには帰らず、あえて近くのベンチで湯気を眺めながら飲んだ。

    「早起きもいいね! また走ろう!」

    その一言で、この三日間、毎朝5:30のマラソンになった。
    夫が遅番続きで毎朝次女と家にいれたのも、
    なんだか必然のように思えてくる。

    三日続いた早朝ランのおかげで、
    軽くなったのは体よりも、むしろ心のほうだった。

    最近は忙しくて、ゆっくり話す時間も減っていた長女と、
    並んで息を切らしながら走ったあの朝の空気が、
    思い返すとじんわり温かい。

    あんなふうに、まだ薄暗い街を一緒に走る時間なんて、きっとこれからどんどん減っていく。

    だからなのか――
    あの朝の白い息と、ゆっくり明るくなる空だけは、
    妙にくっきり残っている。


    筋肉痛もしっかり残っている。





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    小学生の娘が2人いるワーママです。 ささやかな日常の中にそっと隠れた気持ちを見つけて、家族に内緒で書いています。 いつかの娘たちへの小さなお手紙。

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