
60サイズを手放す日。最後の「世界で一番幸せな洗濯」
60サイズを手放す日が、とうとう来た。
上の子が生まれたときも。下の子が生まれたときも。
近所から。親戚から。遠方から。旧友から。
お下がりと赤ちゃんグッズを、これでもかというくらいいただいた。
上の子は男の子。
「いつかもう1人」と思っていたから、短肌着から110サイズまで、サイズ別・季節別に分けて大切に保管していた。
どれも思い出が詰まった宝物だ。
下の子の妊娠が分かってから、何度も袋を開けては服を取り出し、整理した。
保育園着だった服には、いただいた子の名前に線が引かれ、息子の名前が書いてある。
タグの隅に、歴史がある。
下の子が女の子と知って、また保管している袋を開けてみると、90サイズくらいまでは男の子でも女の子でも着られるものばかりだった。
だからまた着せられるのが楽しみだった。
100サイズあたりから、はたらくくるまや恐竜率が上がるのが微笑ましい。
でもこういうのが好きな子かもしれないし。本人が嫌がらなければ着せたっていい。
そして、
女の子の服ってこんなに可愛いの! と、フリルやチュールのついた服を広げてニヤニヤした。
***
年明けに、夫の幼馴染のところに男の子が生まれた。
ついに我が家も、もらう側から渡す側になった。
洗濯機を掃除して、赤ちゃん用洗剤を買って、
産後のお母さんが負担にならない範囲で「今すぐ使えるサイズ」を選ぶ。
晴れの日を狙って洗う。
洗濯槽の中で、ぐるぐる回る小さな服たち。
何度も洗ったはずなのに、今日は特別だ。
1枚ずつ取り出して、改めてシミやほつれがないか確かめる。
ハンガーにかけて、シワが出ないように整える。
下の子が生まれる直前まで、私は仕事や家事に追われていた。
あの頃の水通しは、たぶん慌ただしくて雑だった。
今日は違う。
ゆっくり、じっくり干していく。
「世界で一番幸せな洗濯」。
赤ちゃんの服を初めて水通しすることを、そう呼ぶらしい。
何度も洗濯して、シミを取って、乾燥機にもかけてきた服たち。
これが、私にとって新生児の服を洗う最後のチャンスになるだろう。
次々に洋服がサイズアウトしていくほど、私の子どもたちは健やかに育っている。
それもまた、“幸せな洗濯” のかたちのひとつだ。
うちの子どもたちを、あったかく包んでくれてありがとう。
そして同じように毎日を回しているあなたにも、心から「おつかれさま」と言いたい。
赤ちゃんの服を手放すって、
ただの片付けじゃない。
あの頃の自分を、いちど抱きしめ直して、
「ここまで来たね」と言う儀式なのかもしれない。