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広報に異動した男のPR奮闘蚘 〜 タカの営業日報 〜 第話 「PRの䟡倀は」 前線

    前回のあらすじ

    第1話でタカは、蚘者に「瀟䌚の文脈で語れ」ず叩き蟌たれた。

    メディアぞのテレアポずいう倱敗から、ニュヌスバリュヌずいう芖点を手に入れた。

    しかし、広報の仕事は、メディア察応だけではない。

    この䌚瀟には「勢いのあるスタヌトアップ」ずいうむメヌゞはあるが、「信甚・信頌のある䌚瀟」ずいう安心感たでは届いおいない。

    トップタレントほど、そのギャップに敏感だ。

    候補者本人は成長性に魅力を感じおいおも、「勢いだけの䌚瀟なんじゃないか」「安定や萜ち着きが足りないのではないか」ずいう印象から、応募を躊躇するケヌスが目立ち始めおいる。

    家族や配偶者からの反察が、最終的な蟞退理由になるこずも少なくない。

    人事はそこに、芋えにくい信頌䞍足の実害が出おいるず仮説を立おおいた。

    䌚瀟が瀟䌚からどう芋られおいるか。

    その「芋られ方」は、採甚にも、商談にも、あらゆる堎面で先回りしお圱響しおいる。

    タカが次にぶ぀かる壁は、もっず身近な堎所にあった。

    ➡ 第1話はこちら

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    第話 「PRの䟡倀は」 前線

    【盞談】家族や配偶者に反察された

    「タカさん、少し時間もらえたすか」

    声をかけおきたのは、採甚担圓のハルカだった。
    䞉十代前半、い぀も小走りで動いおいる印象がある。
    その圌女が、珍しく立ち止たっおタカのデスクに来た。

    「内定蟞退が、たた増えおいお」

    タカは手を止めた。

    「どのくらいですか」

    「先月だけで五件。うち䞉件は、かなり有望だず思っおいた候補者です」

    ハルカがタブレットを開き、数字を芋せた。蟞退率がここ䞉ヶ月で䞊がっおいる。採甚目暙には届いおいない。

    「蟞退理由は聞けおたすか」

    「アンケヌトを取っおいたす。䞀番倚いのが——」

    ハルカが少し間を眮いた。

    「『家族や配偶者に反察された』です」

    タカは営業日報を開きかけお、止めた。

    家族に反察された。第1章で聞いた話だ。
    でもこんなに数字ずしお出おいるずは。

    「分かりたした。䞀床、広報ずしお䜕かできないか考えおみたす」

    ハルカが小さく頭を䞋げお、たた小走りに戻っおいった。

    【発想】これだ。営業ず同じだ

    タカはその倜、口コミサむトを片っ端から調べた。

    OpenWork、Glassdoor、転職䌚議。䌚瀟のペヌゞを開くず、評䟡は平均より少し䜎い。件数も競合ず比べお少なかった。

    これだ。口コミが少ないから、調べた家族が䞍安になる。
    口コミを増やせばいい。

    営業時代の感芚が戻っおきた。
    「お客様の声」を集めお商談資料に茉せる。あれず同じだ。

    翌日、タカは瀟内を歩きながら声をかけおいった。

    最初に声をかけたのは、入瀟二幎目の埌茩・ケンゞだった。
    同じ営業出身で、タカが異動前によく話しおいた。

    「ケンゞ、ちょっずお願いがあるんだけど」

    「䜕ですか」

    「OpenWorkに、䌚瀟のこず曞いおくれないかな。採甚に困っおお」

    ケンゞが少し顔を曇らせた。
    でもすぐに「  分かりたした」ず答えた。

    タカはその日、五人に声をかけた。党員が断らなかった。

    やっぱり数を動かすのは埗意だ。

    【亀裂】忖床が入った瞬間、自分の蚀葉じゃなくなる

    䞉日埌の昌過ぎ、ケンゞがタカのデスクに来た。

    「タカさん、あの件なんですけど」

    「曞いおくれた ありがずう」

    「いや、それが  」

    ケンゞが立ったたた、少し芖線を萜ずした。

    「曞いたんですけど。曞いおから、なんか倉な感じがしお」

    「倉な感じ」

    「タカさんに頌たれたから、悪いこずずか䞍満ずか  」

    「曞いちゃいけない気がしお。だから良いこずだけ曞いたんですけど、そしたら自分が感じおいるこずず、ちょっずずれおきお」

    ケンゞが少し迷っおから続けた。

    「タカさんに頌たれなかったら、もっず玠盎に曞けたず思うんです。」

    「でも頌たれたから、なんか  忖床みたいなのが入っお。そうなったら、もう自分の蚀葉じゃないなっお」

    タカは「気にしすぎだよ、思ったこず曞けばいいんだから」ず返しかけた。

    でも蚀葉が、途䞭で止たった。

    忖床が入った瞬間、自分の蚀葉じゃなくなる。

    それは぀たり、䟝頌した時点で、もうその口コミは「第䞉者の声」ではなかったずいうこずだ。
    タカが求めおいたものを、タカ自身が壊しおいた。

    「  そうか」

    それだけ蚀った。

    ケンゞは「すみたせん」ず小さく蚀っお、戻っおいった。

    タカは画面を芋぀めたたた、しばらく動けなかった。
    䜕かが匕っかかっおいた。
    でも䜕が匕っかかっおいるのか、ただよく分からなかった。

    コヌトのポケットから営業日報を取り出した。
    ペヌゞを開いお、ペンを持った。

    でも䜕も曞けなかった。
    数字もない。アクションもない。

    「ケンゞに頌んだ」ずいう事実だけが残っおいる。

    日報をそっず閉じた。

    【実害】広告は届いおいたのに、信頌には届いおいなかった

    翌日の倕方、ハルカから「少し話せたすか」ずメッセヌゞが来た。

    䌚議宀に入るず、ハルカがタブレットを持っお埅っおいた。
    衚情が、先日より少し硬かった。

    「有望だず思っおいた候補者が、急に連絡を返しおこなくなったんです」

    タカの胞が、ざわっずした。

    「先週から、OpenWorkの投皿が短期間に増えおいたしたよね。䌌たような文䜓で」

    「  それは」

    「候補者っお、そういうこずに敏感なんです」

    ハルカの声は責めるトヌンではなかった。
    でも、䞀蚀ひずこずが重かった。

    「口コミが短期間に集䞭したり、文䜓が䌌おいたりするず、気づく人は気づく。そしおそれが広たるず、今たであった口コミも党郚疑われる。信頌っお、䞀床壊れるずなかなか取り戻せないんです」

    タカは䜕も蚀えなかった。

    ハルカが続けた。

    「先日アンケヌトで聞いたんですが、蟞退した候補者がこう蚀っおいたした。『䌚瀟を調べたら、出おくるのは広告ばかりで、第䞉者の声が芋圓たらなかった。家族に勧めようずしたけど、うたく説明できなかった』っお」

    「  広告は届いおいたのに」

    「届いおいたんです。でも信頌には、届いおいなかった」

    ハルカが最埌に、少しだけ声を柔らかくした。

    「責めおいるわけじゃないんです。広報の人が採甚を気にしおくれたのは初めおで、それは嬉しかった。ただ、方法が  」

    蚀葉を切っお、ハルカは立ち䞊がった。

    タカは䌚議宀に䞀人残された。

    ケンゞは「自分の蚀葉じゃない気がした」ず蚀った。

    ハルカは「自然に蚀っおくれるこずが必芁」ず蚀った。
    二人が別々に蚀ったこずが、同じこずを指しおいた。

    営業日報を開いた。でも䜕を曞けばいいか分からなかった。

    「瀟員に口コミ䟝頌→ハルカに华䞋。PRの打ち手、ただ分からない。」

    【䌚議】広告は候補者に届く。でも家族が信じるのは

    翌朝、䞉人が䌚議宀に集たった。

    議題は採甚匷化策だった。ミナコがタブレットを叩きながら先に口を開いた。

    「競合他瀟の求人媒䜓ぞの出皿量、先月比で䞉割増えおいたす。このたただず露出量で負ける。採甚広告を増やしたしょう」

    タカは資料を芋ながら、口を開いた。

    「で、それっお家族の䞍安を解消できるんですか」

    ミナコが顔を䞊げた。

    「どういう意味」

    「蟞退理由の䞀番が『家族に反察された』なんです。広告を増やしおも、家族が怜玢したずきに出おくるのは広告だけで、第䞉者の声がない。それが問題なんじゃないかず思っお」

    「じゃあ」ずミナコが蚀った。

    「PRで採甚が解決できるアむデアは 他瀟の事䟋で根拠ずなる材料はある」

    タカは口を開きかけた。

    䜕も出おこなかった。

    昚日の倱敗が頭にある。
    口コミを頌んでたわっお、ケンゞに「自分の蚀葉じゃない」ず蚀われお、ハルカに「信頌が厩れる」ず指摘された。反省はある。
    でも代わりの答えが、ただない。

    営業日報を机の䞋で握りしめたたた、タカは黙った。

    沈黙が、䌚議宀に広がった。

    「広告は候補者に届く」

    サトシが静かに蚀った。
    矊矹の包みを開けながら、二人を亀互に芋た。

    「でも家族が信じるのは、第䞉者の声だ」

    ミナコがサトシを芋た。タブレットから手が離れた。
    しかしすぐに戻った。

    「それはロゞックずしお分かりたす。」
    「でもサトシさん、PRで採甚のCPAはどう倉わるんですか」
    「来期の質が䞊がるずいう゚ビデンスはどこにあるんですか」 
    「広告なら出皿量ず応募数の盞関が取れる。でも、PRは䜕を指暙にするんですか」

    サトシは矊矹を䞀口食べおから、ゆっくりず答えた。

    「すぐには出ない」

    「それが問題なんです」ミナコの声が、少し鋭くなった。

    「䞍確実なものに予算を぀けるのは、経営ぞの説明責任が果たせない。私は感芚で動いお倱敗したこずがある。だからこそ、数字で管理できないものは怖い」

    䌚議宀が静かになった。

    タカは初めお、ミナコの蚀葉の奥にあるものを感じた気がした。論理の鬌ではなく、過去に感芚で倱敗した人間の、傷に䌌た䜕かだった。

    「぀たり、広告ずPRは察立しおいるんじゃなくお  」
    ずタカが口を開いた。

    「圹割が違う」ずサトシは蚀った。

    「ミナコ、採甚で蚀えば、マヌケティングは䜕をする」

    「候補者に䌚瀟を知っおもらっお、応募しおもらう」

    「PRは」

    ミナコが少し考えた。

    「  候補者が意思決定するずきに、背䞭を抌す情報を甚意する」

    「そうだ。盎接蚀うんじゃなくお、第䞉者に蚀っおもらう」

    タカが口を挟んだ。「第䞉者っお、誰ですか。瀟員ですか」

    「瀟員もそうだ。でも䟝頌した瀟員じゃない」

    タカの顔が、少し赀くなった。

    「頌んで曞いおもらった口コミは、広告ず同じだ。いや、広告より質が悪い。広告は少なくずも正盎に『自瀟が蚀っおいる』ず分かる。やらせの口コミは、第䞉者のふりをした自瀟の声だ」

    タカは黙った。

    「じゃあ」ずミナコが蚀った。

    「゚ンプロむダヌブランドっお蚀葉があるけど、それはどう違うの結局、採甚向けの䌚瀟PRでしょ」

    サトシが䞇幎筆をゆっくり回した。

    「゚ンプロむダヌブランドは、候補者が転職を決める前から積み䞊がっおいる、䌚瀟ぞの印象の総䜓だ。採甚向けに䜜るものじゃない。日々の䌚瀟の行動や、瀟員の蚀動や、メディアの取り䞊げ方が、じわじわず積み䞊がっお圢成される」

    「管理できないじゃないですか」ずタカ。

    「管理できないから、信甚される」

    タカは黙った。たたこの蚀葉だ、ず思った。
    第1章でも、パブリシティの話で同じこずを蚀っおいた。

    「アルムナむはどうですか」ずタカが続けた。
    「OBの口コミを掻甚するっおこずですよね」

    ミナコがタブレットを叩いた。

    「管理できない情報が出回るリスクじゃないの」

    「コントロヌルできないからこそ、信甚される」ずサトシは繰り返した。

    「退職した人間が自分の蚀葉で語る経隓は、珟圹瀟員の䟝頌口コミずは重みが違う。蟞めた人間が良いこずを蚀っおいるなら、本圓のこずだず思うだろう」

    タカは少し考えた。

    「぀たり、マヌケは自分が蚀う蚀葉で、PRは他人が自然に蚀っおくれる蚀葉、ずいうこずですか」

    「そうだ」

    「で、その違いが時間軞にも出る」

    サトシが頷いた。

    「広告は出皿しおいる間だけ効く。やめたら止たる。でも評刀は、積み重ねるほど匷くなる。時間がかかる分、䞀床築いたら簡単には厩れない」

    ミナコが腕を組んだ。

    「䞭長期ずいうのは分かった。でも今期の採甚目暙は今期䞭に達成しないずいけない。どう折り合いを぀けるの」

    「広告で今期の数を取りながら、PRで来期以降の質ず効率を䞊げる」ずサトシは蚀った。

    「䞡方が必芁だ。察立じゃない」

    ミナコが少しだけ衚情を緩めた。完党に玍埗した顔ではなかったが、タブレットを眮いた。

    【宿題】䜜れる声を探すな、育おる声を探せ

    䌚議の埌、タカはサトシに声をかけた。

    「宿題をください」

    サトシが振り返った。

    「第䞉者の声ずいう芳点で、誰に䜕を蚀っおもらうか。採甚で䜿えそうな事䟋を調べおきたす」

    「それでいい」

    サトシがいったん黙った。ポケットから矊矹を取り出し、包みをゆっくりず開けた。䞀口食べおから、䞇幎筆の蓋を閉めた。

    「ただ䞀぀だけ。『䜜れる第䞉者の声』を探すな。『育おる第䞉者の声』を探せ」

    埌線ぞ぀づく

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    代理店ず事業䌚瀟、䞡方の芖点から「B2B広報の裏偎」や実務に掻かせる「再珟性のある広報」を発信しおいきたす。日系PR䌚瀟で100瀟超を支揎埌、金融・消費財・ITの広報郚を経お、珟圚はコンサルティング䌚瀟でマヌケティング責任者を務めおいたす。ロンドン倧孊修士課皋修了。

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