
【連載24】父子で挑むアメリカ古民家リノベーション:生き別れた「双子」の丸ノコのこと
DIYでリノベーションする際の必需品は、いわゆる大工道具。
そのひとつに、電動のノコギリ、circular sawsがある。
円形の刃が高速で回転して木材などを切る。日本語では「丸ノコ」と呼ぶ。
日本の家庭ではほとんど見かけないが、この丸ノコは、DIYが盛んなアメリカでは、特に郊外の「一家に一台」くらいは、ありそうな道具だ。
ところが、当家には2台……。
そっくり同じメーカーで、ほぼ同じ年代のタイプ、どちらも40年近く前のものが今、ほぼ半世紀を経て活躍中だ。
なんでまた、2台も?

今使っている多くの大工道具と同様なのだが、昨夏に当家を「ゴミ」ごと買ったときに、丸ノコ1台も家についてきた。
そして、もう一台。
現在住んでいる、ポートランドの市街地にあるアパートの物置から出てきた。
なぜ、どうして、今、ここに?
映画だったらここで、画面がゆらゆら揺れて……。
場面は、約40年前の南カリフォルニアの街、パサディナ(Pasadena)だ。
わたしたち(「子」はまだいない)の初の「古民家のリノベーション」で、働いてくれた丸ノコだった。

丸ノコは、リノベーションにはもちろん必須で、酷使するものなので、当時のお金でも80 ドル(現在は200ドル前後)はしていた、DIY界では定評があったSearsブランドのCraftsmanのものを、もちろん1台だけ買った。
(Searsは現在、風前のともしび。全米でも数店しか残っていないが、当時は老舗で各地に店舗もあり、カタログ販売も有名だった)



パサディナのリノベーションが終わり、学生生活も終わり、その家も売った。
工具は知り合いに預けてから、知人に一揃い引き取ってもらった、はずだった。
残りの工具以外の荷物は、その後、まとめてポートランドへ送った。
そして約40年、なんらかの理由で「養子」に行かないで「実家」に残った丸ノコは、オレゴン州ポートランドのアパートの、工具には似つかわしくない衣類などの混じる押入れから、場違いのように姿を表した。
「使ってください」と、声でも出しそうだ。「この日が来るのを待っていました」って?


南ポートランドの「家付き」の丸ノコと、パサディナからの「追っかけ」丸ノコ、どちらもそっくり40年ほど前の、Craftsmanモデルが、双子のように、今ここポートランドで揃って仕事をしている。