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異端者、桃倪郎 03皿 20260708

【芁玄】

桃から生たれた青幎・桃倪郎は、旅の䞭で「匷さ」ず「守る意志」の狭間に葛藀しながら、鬌の村ずの共存を暡玢する。

か぀おの知人・智の教えや仲間の動物たちずの連携を経お、桃倪郎は「敵を殎り殺す」のではなく「共生する契玄」の道を芋出す。

ポメラニアンの献身的な姿に教えられた桃倪郎は、恐怖で支配するのではなく、盞互理解を通じお村ず鬌の架け橋ずなり、居堎所を勝ち取る。

【タグ】

#桃倪郎 #異端の物語 #異䞖界ファンタゞヌ #共生 #サトシの問い #物語創䜜 #ショヌトストヌリヌ


1、おわりずはじたりの日

○事実

 昔なのか、未来なのか、分からない、時空の狭間に、倪郎ず花子ず智(さずし)ずいう村の若者がおった。
 倪郎は花子の1枠で、花子もたた倪郎の1枠で、二人は互いを芋詰め合っおおった。
 あぶれた智の1枠は孊問だった。戊乱の䞖に問うべき「質問」を探しおおった。
 思い詰めた智は、䞀人で旅立ずうずした。
 しかし、倪郎も花子も、智を䞀人で行かせはしなかった。倪郎の父ちゃん手補の刀ず、花子の母ちゃん手補の法被を倪郎に着せお、旅立ちを芋送った。法被には䞉人の名前が入っおいた。遺品ずしお持ち垰られるようにだ。

○反応

 そしお幎が過ぎた。
 村には父も母もいなかった。
 ただ荒れ果おた倪郎の家だけが、かろうじお立っおいた。
 どこもかしこも、戊に飢え、病ばかりだった。敵を倒しおも意味がない。なぜなら、敵もたた苊しむ民だからだ。
 この䞖を貫く、問いは䜕か
 䜕に答えたら、争いは終わるのか
 智は始たりの地に戻り、宿敵の鬌の䜏みかに近づき、思玢するこずにした。
「さずし、いくな」
「やめなよ、さずし」
「答えがわかるなら、呜など惜しくないわい」
 埌ろをむいたたた、手を䞊げ、智は去った。

○認知

 もう誰にも智を止められないこずは分かっおいた。
 埌に残された倪郎ず花子は、急に腹が枛っおいるこずに気づいた。
 魚でも釣ろうず、川に近づくず、おおきな桃がどんぶらこっこ、どんぶらこっこずちかづいおきた。
 倪郎ず花子の二人がかりで持ちあげ、あばら屋に眮くず、パカヌンず桃が割れ、赀子が泣き声をあげた。
 刹那、赀子は桃を食い始めた。
 するずみるみる成長しお、赀子は青幎になった。そしお名乗った。
「俺は桃から生たれた桃倪郎。よろしくな」

○行動

 さすがに䞖界を枡り歩いた倪郎ず花子。少しも動じず、返事を返した。
「食い扶持分は働いおもらうぞ」
「わかっおらぁ」
 手を掛けた赀ん坊ではなく、いきなり青幎ずしお珟れた桃倪郎に、二人の1枠は揺るがなかった。
 桃倪郎は、二人を芋お、誰かの1枠になりたいず願った。

2、孀独

○事実

 倪郎ず花子ず桃倪郎は、倪郎の実家を修理した。
 桃倪郎は案倖圹立぀奎で、テキパキず仕事をした。
 どこで芚えたのか、桃から受け継いだのか、桃倪郎にも分からなかった。

○反応

 家の修理が終るず、䞉人は囲炉裏で魚を焌いお食べた。
 ふヌ、ふヌ。
 ふヌ、ふヌ。
 倪郎も花子も息を吹きかけお、焌き魚を冷たす。
 そしお、互いに差し出す。
「倪郎、食べ頃だよ」
「花子、こっちも食べ頃だ」
 亀換しお食べ始めた倪郎ず花子をみお、桃倪郎は突っ蟌む。
「意味なくない」
 しかし、自分の魚にかじり぀いたら熱かった。
「熱っ」
 それを芋た花子が笑った。
「あんたもぶいんぶいんの若い嚘ず、ふヌふヌしあっお食ったらあ぀くないよ」
「けっ」
 自分でふヌふヌするのもしゃくだから、魚を振り回しお冷たす負けず嫌いの桃倪郎を芋お、倪郎も花子も涙を流しお倧笑いした。

○認知

 どうすれば、ぶいんぶいんの嚘の1枠になれるか、倪郎は考えた。
 自分の長所は匷さなんだから、悪い奎をぶちのめしたら、「キャヌ、スキテ」ずなるかもしれん。
 そんな劄想をしながら暮らしおいるず、桃倪郎は倪郎に柎を売っおくるよう頌たれた。
 背負子に5぀、䞡手に3぀ず぀、柎を持っお、村に売りに行った。
 するず埅っおいた堎面に出くわした。
「きゃヌっ」
 若い嚘の怯えた声に、桃倪郎は柎を投げ捚お、駆け぀けた。
 赀い肌をしたそい぀は、皆から「鬌」ず呌ばれおいた。
 桃倪郎は迷わなかった。
 若い嚘の前に立ちはだかり、鬌に匷烈な右ストレヌトをぶち蟌んだ。
 鬌は吹き飛び泡を吹いお倒れた。仲間の小鬌が連れお逃げた。
 こんな勇姿を芋たら、きっず嚘は  振り替えるず嚘は怯えおいた。
 鬌も去ったこの堎で、間違いなく桃倪郎だけを芋お、震えおいた。
 それは鬌を芋た目ず同じだった。
 泣きたい気持ちをこらえお桃倪郎は蚀った。
「誰か、柎を買っおくれ」
 するずヘコヘコしながらゞゞむが近づいおきた。
「嚘の父でございたす。助けおいただいおありがずうございたした。しかし」
 小刀を握らせながら耳元で囁いた。
「あなたさたを狙っお鬌が来る。すぐに旅立ちなさい」
 ゞゞむは桃倪郎の肩を叩き、萜ちた柎を䜿甚人に拟わせお、嚘を連れお家に入っおいった。
 桃倪郎は、カラの背負子を拟い、走っお逃げ垰った。

○行動

 柎11束で小刀1枚ずいう金額。
 桃倪郎の右手の赀く腫れた拳。
 すべおを察した倪郎ず花子は、飯を山盛りよそっお桃倪郎に食べさせた。
 桃倪郎はそこそこ賢かった。
 旅立ちの祝いの飯だず分かっおいた。
 鬌を殎り倒した桃倪郎は、鬌ず同じくらい匷い。぀たり怖い。
 しかも、鬌が報埩に来る。
 それでも桃倪郎は、倪郎ず花子だけには、恐れられたくなかった。
 グチグチなやむのはカッコ悪いず考えた桃倪郎は、あえお自分から聞いた。
「鬌䞊みに匷い、俺が怖くないのか」
 倪郎は豪快に笑った。
「桃倪郎くらい匷いや぀はいくらでもいる。俺らは広い䞖界を3人で旅しお、自分より匷い敵ず、䜕床も戊った。勝負は力だけでは決たらない」
 花子も笑いながら蚀った。
「確かに生たれ方は倉わっおいるが、誰かが桃をくり抜き、赀子を入れお、川に流したのだろう」
「なんのために」
「川䞊で戊でもしおいるのだろう」
 桃倪郎は黙っお考え蟌んだ。
 そしお、その倜、䞀人でこっそり出おいく決心をした。
 土間に向かうず、月明かりに倧きなずた袋が照らされおいた。
 䞭にはくたびれた法被ず刀ずきびだんごが詰たった朚箱が入っおいた。
 桃倪郎は法被を矜織り、戞口から倖に出た。
 寝たふりをしおいる倪郎ず花子に感謝の䞀瀌をするず、鬌の村ぞ向かった。

3、郚䞋たち

○事実

 猟犬、番犬が奜たれる荒々しい䞖界で、癜くおフワフワのポメラニアンに需芁はなかった。
「かわいいけどさヌ、あんたみたいなちっこい、よわちい犬の血が混ざったら、猟犬や番犬にならないよ。ごめんね」
「いいんだワン」
 なでおはくれる。゚サもくれる。でも  飌っおはくれない。
 そんなポメラニアンを「むヌ」ず呌び、サトシは仲間にした。
「むヌ、おたえのフワフワした毛なら、回は急所をたぬがれるだろう。痛いが死にはしない。だが敵をあなどるな。二床目はない。次は確実に圓おおくる。぀たり死ぬ」
 い぀か、サトシを守るため、ポメラニアンには死ぬ芚悟ができおいた。

○反応

 ぀いにサトシは長幎の問いの答えを埗た。
 しかしタむミング悪く、鬌におそわれおいる最䞭だった。
「分かったぞ、戊う目的を問え」
 ポメラニアンはサトシを守るため、鬌の前に立ちはだかった。
 しかし、サトシは、ポメラニアンを぀かむず、遠くぞ投げ飛ばした。
「行け。キゞに䌝えろ。行っおくれ」
 ボコボコに殎られ、死にかけおいるサトシを残しお行けるわけがない。
 だが、サトシは悲願の問いを芋぀けたのだ。ポメラニアンには扱えぬ問いを。
 迷った末、ポメラニアンはキゞに届けるこずを遞んだ。
 䞀撃耐えおもサトシを守れないなら、キゞに䌝える方がいい。

○認知

 キゞには考える力がある。
 サルには悪知恵がある。
 ポメラニアンには、䞀撃だけ耐えるフワフワの毛がある。
 なのにサトシを芋捚おたこずが蟛くお、ポメラニアンは自分を責め続けた。
 キゞに問いを䌝えたずいう事実だけが、ポメラニアンの支えだった。
 そしお今、䞉匹で焚き火を囲み、鬌ず戊うものに、サトシの問いを突き぀けるため、あおもなく埅っおいた。
 チャンスは意倖ず早くやっおきた。桃倪郎ず名乗る青幎が珟れたのだ。
 「こんなに早く珟れるなら、あの時、サトシに逆らっお立ち向かっおいたら  」ず埌悔に抌し朰されそうなポメラニアン。次こそはなにがあっおも逃げないず誓う。
 そしお、䞀番頭の切れるキゞが、サトシの問いを、桃倪郎に問いかけた。
「鬌を退治するずは、どういう状態を衚すのか」
「党員ぶん殎る」
 ポメラニアンは思わず、聞き返した。
「赀ちゃんも殎るのかワン」
 桃倪郎が返事に詰たっおいるず、キゞが再び問う。
「桃倪郎、お前の目的はなんだ」
「村人に受け入れおもらうこずだ」
 黙っおいたサルが初めお口を開いた。
「鬌を皆殺しにした桃倪郎は、鬌より怖くねえか」
 ポメラニアンは同調した。
「鬌ずはいえ、赀子をぶん殎った桃倪郎は、怖いワン」
 むラむラず桃倪郎が怒鳎る。
「じゃあ、どうすりゃいいんだ」
「俺らが偵察しおきおやる。桃倪郎はここで埅っおいろ」
「信甚できない」
 キゞず桃倪郎がにらみあう。
「お前の父の倪郎、母の花子は、俺らの垫匠サトシず仲間だった。その衣装の内偎に、䞉人の名前が曞いおある」
 桃倪郎は、倪郎、花子、智の文字を芋お、銖を暪に振る。
「俺は字が読めない」
 サルが血の぀いたボロボロの垃を桃倪郎に芋せる。
「読めなくおも同じ文字ず分かるだろう」
 智ず曞かれた垃を芋お、桃倪郎がうなずく。
「わかった。お前らに任せる」
 桃倪郎はずた袋から、菓子折りを出した。
「お瀌はこのきびだんごでどうだ」
 3匹はうなずいた。そしお、
個あるきびだんごを個ず぀キゞがわけた。

○行動

 キゞの報告では、鬌の村には桃畑がある。桃は䜓を倧きくする圹割がある。しかし、適合しない堎合、リスクがある。
 倧きくなった䜓を維持するために、「牛」ずいう生き物を飌っお、その乳を飲み、肉を食い続けねばならなくなる。
 適合したものが桃を食えば、さらに匷さが増す。維持に乳も肉も必芁ない。
 しかし、適合するものは少なく、肉を食うから、村人より匷い鬌がほずんどだ。食うのをやめれば元に戻る。
 ぀たり、鬌も人間なのだ。
 そしおサルの報告では、牛は牧堎に集めお育おられおいるため、入り口を開き、牛たちを远いたおれば逃げ出すだろうず策略を告げた。
 最埌にポメラニアンが話した。かわいさで村長の嚘に取り入ったポメラニアンは、「鬌の䞖界は契玄で成り立぀。村長の印鑑を持぀ものが暩力を埗る」ずいう重倧な情報を䌝えた。
 そしお、サルずキゞが倜明けず共に牛を逃がしお、鬌が出払ったずころで桃倪郎が村長の家に行き、印鑑を奪い取るこずに決たった。
 サトシを芋捚おたポメラニアンは、ただ幌い鬌の村長の嚘の呜だけは守るず心に誓い、桃倪郎を案内した。
 「フカフカでかわいい」ずなでおくれた、嚘の手のぬくもりをポメラニアンは忘れない。

4、問い

○事実

 キゞずサルの䜜戊は芋事に成功しお、トントン拍子にポメラニアンず桃倪郎は、鬌の村長の家に぀いた。
 䞭にいるず、赀い肌をした小嚘がポツンず郚屋の奥に正座しおいた。
「村長の印鑑を枡せば芋逃しおやる」
 嚘は銖を暪に振った。
「印鑑はわたしの腹にありたす。切り裂いお取り出すしかありたせん」
 桃倪郎がこぶしを振り䞊げるず、ポメラニアンが鬌の嚘の前に立った。
「他の方法はないのかワン」
「村長だけが、わたしを殺さずに印鑑を取り出せたす。しかし、父はわたしの呜より印鑑を守るでしょう」
 その時、扉から鬌が雪厩れ蟌んできた。

○反応

 桃倪郎は、反射的に、鬌をバッタバッタずなぎ倒し、倧暎れした。
 䞀撃で倒れないものには、舌打ちしお、蹎りをかたした。
 あたりの匷さに、鬌たちが「呜だけは助けおください」ず懇願し始めた。
 思わず、桃倪郎は叫んだ。
「俺は化け物じゃない ヒトだ」
 叫びに答えたのは、片目を倱った老いた鬌だった。
「お前は化け物じゃないヒトだ。そしお俺たちも鬌じゃない。ヒトだ。俺たちは、お前を仲間ずしお受け入れる。契玄を亀わそう」
 嚘が老いた鬌に飛び぀いた。
「お父さた。来おくださるず信じおたした」
 長老が嚘の腹に手を圓おるず、すぅヌず印鑑が出おきた。

○認知

 桃倪郎は考えた。
 鬌は、牛の乳ず肉で䜓栌がよくなっただけで、人である。
 ならば、村人も牛を飌い、その乳ず肉を食べれば匷くなり、負けなくなるはずだ。
「俺たちはどちらも同じ人間だ。
 お前らは桃ず牛で匷くなっただけだ。
 ぀がいの牛をくれ。それから、村を襲わない契玄を曞け」
「断ったら」
「皆殺しだ」
 ポメラニアンが嚘をかばった。
「同じ人なら、どうしおこの子は助けないのかワン 矛盟しおいるワン」
 ポメラニアンの正論に、反射的に䜓が動く。䞀方で、心は冷静だ。怒りに震えながらも、矛盟するこずを願った。
 避けろ、むヌ
 桃倪郎は、ポメラニアンを思いっきり蹎った。
 しかし桃倪郎の期埅は裏切られ、ポメラニアンは吹き飛び、壁に叩き぀けられた。そしお倧量の血を吐いた。
 それでも女の子の前に戻っおきお立ちはだかった。
「なぜ、よけなかった」
 これでは、桃倪郎こそ、村を襲った鬌そのものではないか。
(いや、鬌より酷い。意芋の異なる味方を蹎ったのだから)
(ただ匕き返せる。殺戮者にならずにすむ)
(いや、もう遅い。この䜓は血たみれだ。このたたではサルもキゞも殺すこずになるだろう)
(党員、殺す  のか)
(村人も恐怖で支配するのか)
(受け入れおもらいたいのではないのか)
 桃倪郎はポメラニアンを右手で、嚘を巊手で぀かんだ。
 ぶ぀ければ䞡方死ぬ。
(䞀番殺したくないものから手にかければ  殺したくない)

○行動

 桃倪郎はポメラニアンず嚘を床に䞋ろした。
「䞖界を旅した父ず母が蚀っおいた。この䞖には鬌より恐ろしい生き物がたくさんいるそうだ。牛で村人を匷くしお、俺たちず鬌たちが組んだら、負けねえ。俺が負けさせねえ。どうだ、話に乗らないか」
 やっず動けるようになった鬌たちが、桃倪郎に襲いかかろうずしおいる。
 するず今床は、ポメラニアンが桃倪郎を守ろうずする。
 桃倪郎は思わず、ポメラニアンの行動に爆笑した。桃倪郎より圧倒的に匱いくせに、守ろうずするからだ。
「お前はどっちの味方なんだよ」
 桃倪郎がポメラニアンに突っ蟌むず、鬌たちからドッカンドッカン笑いが起きた。
 鬌から芋おもポメラニアンの行動は滑皜なのだ。䞀番匱いからだ。
「えぞぞ」
 照れ笑いするポメラニアンを芋お、桃倪郎はハッずする。
(匷いから戊うんじゃない。守りたいから戊うんだ)
 ポメラニアンに教えられた桃倪郎は、村長が差し出した手を握り返した。
 そしお、契玄曞が䜜られた。
 桃倪郎が雄牛に、サルが雌牛に乗り、村ぞ向かった。
 そのたた村の広堎ぞ行き、鬌の秘密を語り、牛を飌うこずを説明した。
 詊しに乳を飲たすず、その旚さに虜になった。
 こうしお連合は受け入れられ、鬌を殎り殺さなかった桃倪郎も村に認められた。
 䜕より嬉しかったのは、あの時助けた嚘が、桃倪郎の手を握り、盆螊りに誘っおくれたこずだ。
 もう恐怖に怯えた目ではない。
 人を芋る優しい芖線だ。
 桃倪郎は嚘の1枠になれた。

いいなず思ったら応揎しよう